マンモスの抜け殻
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介護に関わるYoutubeでこの本が絶賛されており、気になってKindoleで読ませていただきました。主人公の奥さんの描写がステレオタイプなのが若干気にかかったところでしたが、このような社会派ミステリーのジャンルはあまりないので大変満足。解説に中村淳彦さんが登場されていたのでそれもなるほどと思いました。なぜなら、中村淳彦さんが『新型コロナと貧困女子』(宝島社新書 2020年)でお書きになっていたことを作品を読みながら想起していたからです。この作品で登場する介護士のシングル・マザーの「木村さん」は元キャバクラ嬢で、中村淳彦さんの著書に出てくる女性たちの姿に重なりました。しかも、この「木村さん」は、ブラックな職場の上司の不正を見ながらも、あわてず騒がず自分に有利な条件で職場条件をこの上司にのませ、実にしたたかに立ち回っている。そのしたたかさは、あくまでも「自助」であって、職場の人間と「共助」し合わないという点で、社会的には問題ある行為という面も否めまない。しかし、彼女のその”賢さ”は、ひとえに水商売で否応なく培った人間観察眼に立脚しており、説得力があります。彼女が主人公に語る職場の人物評は、この作品に深みを与えていると思います。 | ||||
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若干違う部分もありましたが業界の闇の部分を如実に描写され、一気に読んでしまいました。 | ||||
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介護業界を知る者だが、作品自体はよく取材や勉強をされていて、エンターテインメントとしても優れている。池井戸潤氏の作品や、松本清張、山崎豊子ら「社会派」小説と比べて遜色ない。ただし、残念ながら、所々誤解を招く表現やエピソードがあった。この程度のことを見抜くことができない担当編集者のレベルが知れるが、気になった点を指摘しておきたい。 ・ケアクラークの資格を取得しないと介護給付費の請求業務ができないような記述がある(85~86頁)。実際は取得しなくてもできる。生活相談員の要件を満たした職員が行ったりする。 ・泊まり付きデイサービスを舞台としているようだが、「介護老人福祉施設」と表現しているのが誤解を招きやすい(101頁)。正式名称は「通所介護」。宿泊は介護保険外サービスとして、全額実費負担で提供される。「介護老人福祉施設」は、特別養護老人ホーム(略称「特養」)の正式名称。特養が通所介護を併設している場合もあるが、私が知る限り、「泊まり付き」ではない。 ・介護保険制度のスタートと同時に「一般企業へと委譲」され、「それ以前は社会福祉法人など公的な機関が担ってい」たことを前提に話が展開しているが(163頁~164頁)、スタート後は社会福祉法人が運営することはなくなり、一般企業だけしか運営することができなくなったと受け取られかねない表現だ。ご存知の方も多いかと思うが、介護保険制度以前は、措置制度で介護サービスが提供されていた。当時は、原則として行政による直営か、委託された社会福祉法人が運営主体だった。社会福祉法人は民間団体なので、「公的な機関」という表現は適切だろうか。介護保険制度スタート後は、民間のサービス主体を拡大させた。非営利団体は従来の社会福祉法人だけでなくNPOなども、それ以外では民間営利企業も一定の基準を満たせば介護事業者になることができるようになった、というのが正確な説明だろう。 ・随所で介護職員のことを「ヘルパー」と表現しているが、業界内でそう呼ばれるのは、訪問介護に従事する介護職員のことである。その他は「介護職」などと呼ばれる。 ・介護保険では、利用者の自立支援について「自律」という表現はしない(310頁など)。「自立」と表現するのが一般的である。 本作品は、中村淳彦というライターが協力しているが、その結果、偏見を招きかねない内容になっている。彼が「解説」で告発しているエピソードは、彼が経験した某民間企業が運営する泊まり付きデイサービスのフランチャイズがそうだった、と考えるのが適当だろうと思う。私もいくつかの介護会社を経験しているが、当てはまったのは、深刻な人手不足、紙の書類負担やファックスの使用、同系列の店舗で経験した過剰な長時間労働などくらいである。勿論、耳目を集めた事件への言及は事実である。構造的な問題の指摘も確かだろう。 しかし、私が経験する限り、介護従事者は「ポエム」みたいなことは見抜いているし、洗脳などされていない。むしろ、冷めた目で見ている。「不正請求は常識」という実態や、不正請求のために「シフト表が二重にあるのは常識」ということは経験したことがない。一つのシフト表しかなかったし、不正な請求などしたことも見たこともない。彼の著書を読んだりYouTubeの動画配信を視聴したりしたこともあるが、ある程度の取材経験はあっても、客観的な統計や調査をしたことはないようだ。あくまで、個人的経験に基づく情報発信といった印象である。介護業界をネタにライター稼業の売名行為をしているのか、とさえ言いたくなる。彼のエピソードは本編にも反映されており、偏見を助長するのではないかと憂慮している。 なお、エピローグの爽やかな結末は、一種、介護業界へのエールを感じた。本編に一貫しているが、社会的評価の低い介護業界の重要性やリスペクトを感じさせる。登場人物の発案により、「希望」を見出せる内容となっている。架空の物語ではあるが、介護業界の現実に疲弊している人々にとって、かりそめの慰めにはなるだろう。現実を変える力になることを祈りたい。 | ||||
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限界集落、老人施設、介護職員、介護の不正、貧困の連鎖、エリート老人の末路等々いまの社会の縮図のような作品。犯人捜しが推理小説のだいご味なのでしょうが、この本は犯人捜し以外の部分がいまの新聞やネットをにぎわす 問題を描いていて、ドキュメンタリーのような映像を見ている感覚になる。最近、面白い本がないと思っていたが、こういう本に出合えたことは、僥倖です。 | ||||
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闇が広がる。 介護関連が抱える社会問題に切り込んでいく。 あのころのマンモス団地。 それは老朽化し今や限界集落のごとく。 介護が必要な高齢者はそこに住み続けている。 事件を追い続け、その真相は現代の高齢化社会に一石を投じて。 出口はなかなか見えてこない。 | ||||
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