■スポンサードリンク
少年トレチア
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
少年トレチアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.17pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今まで読んだ津原さんの作品は、怪奇や猟奇の雰囲気はあってもどこかユーモア含みで全体としては明るいものだったのですが、この作品はかなりダークです。殺戮、罰、破壊、世界の崩壊、みたいなイメージでしょうか。後味も、最後に救いらしきものはあるものの、必ずしもいいとは言えません。 始まりから3分の2(1章、2章)までは、子供たちの残酷さがむき出しになります。舞台は、通称、緋谷サテライトと呼ばれる高層住宅群と一戸建てエリアが一緒になった東京郊外の新興団地。合間に中央公園と呼ばれる緑が豊富で大きな池もあるエリアがあり、左右対称になった2つの大型ショッピングセンターも入っていて、団地の中だけでひとつの世界ができあがっています。どこか無機的で近未来的なそのイメージがまず圧倒的です。 一見住みやすそうで快適に見える団地の中で、動物が次々に殺されたり、行方不明になる人が続出します。登場人物たちも襲われて大怪我をしたり、連れ去られて体中を切りつけられて池に沈められたりするのですが、死体が見当たらないためか警察が大きく動いている様子はありません。このあたりの表現はかなりスプラッタできついので、苦手な人はダメかもしれません。 漠然とした不安が漂う団地の中で、子供たちの間にトレチアという少年の話が伝説のように伝わっていきます。いつも白い帽子をかぶっているトレチアがいろいろとおもしろいことを指図してくれて一緒に遊ぶ、彼がどこから来たのか、どこに住んでいるのか知らないけれど、誰もそんなことは気にしない。子供たちの残酷な遊びはだんだんエスカレートしていき・・・・、とこのあたりまでは、子供たちの犯罪、都市伝説がテーマなのかと思ってドキドキしながら読み進みました。これで完結していたら、完成度が高いと感じたかもしれません。 最後の3章からは話ががらっと変わってしまいます。もちろん前半に登場した子供たちも出てきますが、後半はどこか壊れた、それでもかろうじて理性と良識を保っている大人たちが中心になります。謎の魚マカラの伝説が出てきたりして、まるで別の小説のようです。前半の流れをまとめようという意図は感じられるのですが、起こる出来事があまりに唐突すぎたり、SFなのか幻想小説なのかわからない話が入ってきたりして、かなり抽象的になってきます。個人的には、ソドムとゴモラやバベルの塔の話を思い出しました。つまり悪しき行いと残虐、そして破壊、崩壊です。あれは狂った社会と人々に対する天の罰だったのか? 繋がりがスムーズでなく、話がうまく流れなかった印象があるので、冷たい新興団地の雰囲気や全体の世界観が圧倒的でひきつけられるだけに、もったいないと思いました。前後を別々の小説に仕立てた方がよかったのではと感じます。いつも斬新な津原作品ではありますが、ちょっと実験的すぎたかな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分は、この本を、ホラーとしては読みませんでした。そして、初めの方から、本に引き込まれてしまいました。表現の仕方も、カセットテープから起こしたものであったり、ホームページの書き込みの部分があったりして、飽きずに読むことができ、独特な世界観や、この本の舞台である特殊な地域にも、ひきつけられました。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!