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(短編集)

谷崎潤一郎犯罪小説集



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谷崎潤一郎犯罪小説集の評価: 4.56/5点 レビュー 16件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.56pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全16件 1~16 1/1ページ
No.16:
(5pt)

眼からウロコが落ちた!

白昼鬼語を読了し、先ず感じたのは江戸川乱歩風だなと思い、谷崎が乱歩を参考にしたのかと思いきや、あにはからんや巻末の渡部直己の『解説ー犯罪としての話法』で逆であることを知った。「青年期の乱歩にとって、当時の谷崎ほど刺激的な作家はいなかったという。」にビックリ。
 ミステリー作家として谷崎潤一郎を考えると、代表作の一つである「春琴抄」もただの愛の小説ではなく、誰が春琴の顔に熱湯をかけたのか?と言う、ミステリー小説になる。そもそも読者は「春琴抄」がミステリー小説だと分からず終わる。しかも最後まで犯人は明かされないで終わる。映画「春琴抄」はどれも愛を描き、ミステリーの側面は表に出てこない。
犯人は誰か???、今となってはなかなか入手困難な●『名作の戯れ(『春琴抄』『こころ』の真実)秦恒平)』で、徹底的に深読みしています。そして夏目漱石の『こころ』では、なぜ先生が自殺したかを深読みしています。
 ミステリー小説を愛読してる人なら、どの作品も最後のオチがどうなるかは数種類思い浮かぶが、
谷崎の凄さは執拗な描写力・表現力がぐいぐいと読者を引き込む。なので行間を味わう、心に時間的ゆとりがないと良さは分からない。
谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)より
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No.15:
(5pt)

こんなのが読みたかった〜◎

推理、サスペンス、ミステリー物は、ついついストーリーに走って頁を捲るけれど、探偵や刑事等の第三者ではない、一人称の犯人の心理を読者に理解させ、考えさせたり、共鳴させたりする作品が少なくて、あ~探してたのはコレだ!と思えた一冊でした。
本嫌いに、本を読む面白さを教える格好の一冊だと思う。
谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)より
4087497399
No.14:
(4pt)

凄い

これが、谷崎潤一郎?
松本清張ばりの面白さ。
おすすめです。
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4087497399
No.13:
(5pt)

いずれ劣らぬ逸品揃い

文豪谷崎の探偵小説(的)作品4篇を収める。神経症的異常心理による殺人『柳湯の事件』。所謂「プロバビリティの犯罪」を描く本邦嚆矢とされ名高き『途上』。「意外な真犯人」の『私』。悪魔主義とマゾヒズムの結合『白昼鬼語』。いずれ劣らぬ逸品揃い。薦めます。
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No.12:
(4pt)

心理小説

この小説集は、ストーリー自体はそれほど刺激的とは思えませんが、読み終わり時間が経ってからじわじわと余韻が戻って来るような、不思議な読後感があります。
落ちを期待する推理小説というよりは、〈犯罪者の心理〉小説という感じがします。

【柳湯の事件】
ぬらぬらしたものの感触、夢の中を漂うような浮遊感、柳湯の不潔な描写が秀逸で、読んでいるときは気持ち悪いですが、読み終わってみると、夢か現か不思議な余韻とともに、奇妙な世界の印象が頭から離れません。

【途上】
蓋然性についての「論理的遊戯」は、面白いことは確かですが、あとから小出しに情報が加算されるので、ミステリーとしては不完全であり、論理展開の上でもフェアではないような気がします。
ただ、犯罪者よりも探偵の方が不気味な人物と映る不思議な読後感でした。

【私】
嘘をつかない語り手の、完全な一人称語りで犯罪小説が成り立つという、とても完成度の高い作品だと思います。当時としては斬新な手法だったと思われます。

【白昼鬼語】
これだけはストーリー展開が予想がつかず、途中まではとても面白く読めました。しかし、このタイプの小説としては少し長すぎるように感じられ、中ほどで落ちをつけて終わりにしてもよかったのではないかと思いました。想像もつかない結末でしたが、伏線やヒントがあるわけではないので、謎解きの物語とは少し違うと思います。
詩のような暗号文は素敵でした。
主人公の園田はなかなか面白い人物だと思いました。

全体的な印象として、ストーリーはともかく、谷崎潤一郎による文体そのものを楽しむという読み方もあると思います。
読書では筋よりも文章を味わうタイプの方にもおすすめです。
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No.11:
(5pt)

シチュエーションが古すぎ

同じ文庫の「フェチズム」「マゾヒズム」は活字が小さいし、漢字、形容詞などが現代では使われていないものが多かったけど、まあ、面白く読めた。
この犯罪小説は、ひとつ読んだだけで、ブックオフに10円で消えました。
分かりにくくて、面倒なのです。
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No.10:
(5pt)

「 途上 」 は、“ 犯罪事件の probability ・・・蓋然性 ” の概念を提示し、我国推理小説へ大きな影響を与えた作品

.
谷崎を、「推理小説作家」と呼称すべきではないが、このジャンルにおいての影響力は大きなものがある。

とりわけ、犯罪構成の観点から注目されるのが、「途上」である。

内容は、第三者を「事故の蓋然性を高める」環境におく犯罪者の所為を丹念に描いているのであるが、

「事故死を起こすべく手順を踏むが、『 事故が起きてもあくまでも偶発事故 』 である 」 といった犯罪 ・ ・ ・

言うならば自然界の因果関係を最大限に利用した、” 完全犯罪 ” の 「 問題提起 」なのである。

流麗な文章構成から「和文の芸術家」とも称すべき、若き谷崎の意欲的な作品と評し得よう。
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No.9:
(4pt)

表紙が気に入って買いました

表紙が気に入ったので買いました。くまおり純さんというイラストレーターの絵です。
谷崎潤一郎犯罪小説集ということで、四つの短編が入っています。いろいろな評論家の方が指摘していますが、谷崎潤一郎は江戸川乱歩に影響を与えました。「途上」は、乱歩が褒めていたと思います。今年2015年は谷崎、江戸川の没後50年にあたります。
清水良典氏の『あらゆる小説は模倣である。』(幻冬舎新書)によると、谷崎の「金色の死」は、乱歩の『パノラマ島奇譚』に影響を与えたそうです。また、「金色の死」もエドガー・アラン・ポーの「アルンハイムの地所」と「ランダ―の別荘」の影響を受けているそうです。(p68-71)

※「金色の死」はこの本には未収録で、講談社文芸文庫で読めると思います。紛らわしいことを書いてすいません。
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No.8:
(4pt)

論理・マゾヒズム・語り口

「途上」は、収録編中もっとも論理的な作品で、狂人も変わり者も登場しない。
蓋然性が重なれば必然性に変わると説き、犯人の狙いを見抜く。
本編は"完全犯罪は為し得るか"という見地から乱歩の短編「D坂の殺人事件」で取り上げられている。

「白昼鬼語」は、二重だまし、眩暈を誘う頽廃的耽美の魅力もさることながら、
狂人・園村の突拍子もない被虐嗜好にうちのめされた。
探偵小説としてもちろん愉しめるのだが、圧倒的なマゾヒズムの病癖に瞠目させられる。

「私」は、一読すると二重人格者を思わせる主人公(一人称)。しかし、ラストで力説しているように、
ウソを文脈に一言も書いていない。語り口のテクニックが憎いほど冴える。

※ 写真・自己紹介は無視して下さい
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No.7:
(5pt)

谷崎文学は日本のミステリーの始まり。

いろいろな純文学を読んでいて谷崎にたどり着きました。

芥川龍之介が追及していた人間のエゴイズムの流れはここからミステリーや

ホラーへとつながっていったのではないだろうか?
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No.6:
(4pt)

探偵小説黎明期の作品群

「柳湯の事件」「途上」「私」「白昼鬼語」の犯罪をテーマにした4編を収録。
一読しての感想は、戦前の探偵小説の独特の語り口や、雰囲気と共通したものが感じられ、こうした作品が、乱歩以降の各作家の諸作品に強い影響を与えているのが実感できました。
探偵小説には、理知とリアリズムを主眼とした「本格派」に対して、異常心理や恐怖・幻想を主眼とした「変格派」がありますが、作者は後者の祖として位置づけられるべきなのでしょう。
「途上」は、二人の男が路上で会話を交わしながら、ある事件の真相が明らかになっていく話です。この作品を読んだ時に、殺人を犯したとして男が話しかけてくる浜尾四郎の「途上の犯人」と、戦後の焼け野原で、二人の男の会話から過去の事件の真相が明らかになる横溝正史の「百日紅の下にて」の2編を思い出しました。特に後者では人物関係に「痴人の愛」の設定も流用されています。
また「白昼鬼語」は、暗号をめぐる二人の男のやり取りや最後のどんでん返しの部分が、乱歩の「二銭銅貨」を彷彿とさせますし、「D坂の殺人事件」に先駆けて異常性欲をテーマにしている点も興味深く感じました。
振り仮名やかなづかいの変更もわかりやすさを第一に、丁寧に行われていて、とても読みやすく面白く読めました。
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No.5:
(5pt)

きれいでした

本の状態がとてもきれいでよかったです。対応も迅速で助かりました。
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No.4:
(5pt)

とても良かったです。

谷崎ワールドにはまりました。

すごく面白い内容です。

懐かしい世界でした。
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No.3:
(4pt)

とっつきやすいかも

谷崎潤一郎の作品は淫靡で妖しくて、なんだか苦手と遠ざけてきたが、この本は「犯罪小説集」と銘打ってある。
犯罪、とくれば、それはもう非日常であり、どのような突飛な展開であろうと、却って安心して読めるのではないかと思って読んでみた。
4編の短編が収められている。

「柳湯の事件」は、「夢オチ」ならぬ、なんとかオチと言えそうな展開だ。
あっけないほどあっさりと終わる。
これはもう、物語の設定や背景などよりも、
途中の、読んでいて気分が悪くなるほどの執拗な、
ぬらぬらぬめぬめな死体のことを詳しく書きたかったってことなんだろうか、とさえ思ってしまった。
そして私立探偵の「調査報告」を軽く聞く様子でじわじわと物語が構築されていく「途上」、
周囲の目や言葉から、やはりじわじわと事実が浮かび上がってくる「私」という2つの短編がある。
読み進むほどに、あぶり出しのように物語が見えてくるという点でこの2編は似ているかもしれない。
一行読むごとに確実に物語の輪郭は濃くなる。
謎解きの醍醐味に、一瞬たりとも集中を欠かさず読んでしまう。

最後に、やや長めの「白昼鬼語」が収められている。
これは最後に意外などんでん返しが待っているのだが・・・。
どんでん返しがないままに終わってしまえばそれはそれで呆れた途方もない変態物語であり、
しかしどんでん返しがあっても、変態だらけの驚くべき物語に変わりはない。
もし、どんでん返しがないままに終わったとしたら、
主人公・園村は、己の道(変態道)を全うするという点で、
もしかしたらちょっとかっこいいほどの変態になれたのかもしれないが、
作者・谷崎潤一郎がそうはさせなかったってことかな・・・などと思ってしまった(笑)

谷崎潤一郎はとにかく文豪で、耽美で淫靡でやっぱりちょっとなかなか・・であります。
でも、はじめにも書いたが、物語の舞台が「犯罪」というそもそも非日常空間なので、
物語として純粋に鑑賞できると思う。
とっつきやすいのではないだろうか。
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No.2:
(5pt)

見事な叙述トリックに感動!

浅学の身でおこがましいのですが、谷崎潤一郎の有名な作品はほとんど読んだつもりでした。しかし、まだまだ面白い小説が沢山残っているのですね。
 この文庫本のタイトルが「犯罪小説集」と、おどろおどろしいタイトルですが、身の毛がよだつようなおぞましさはありませんのでご安心を。
 この本には、4編の短編小説が掲載されていますが、なかでも、「途上」「私」という二つの掌編はショートショートの傑作。ミステリー愛好家もきっと満足されることでしょう。
 
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No.1:
(4pt)

乱歩のような谷崎

谷崎潤一郎が書いた犯罪に関する小説を集めた作品集です。江戸川乱歩を思わせる、異常心理から生ずる犯罪を中心に据えた作品が多いようです。こんな作品群を彼が書いていたとはまったく知りませんでした。『私』という作品などにはどんでん返しと叙述トリックが用いられており、本格探偵小説と呼んでもいいと思います。

『黒白』は短編にしては長い作品です。ある作家が殺人についての小説を書いた際に知り合いの編集者を被害者のモデルにします。ところが、発表後に彼は実際にその編集者が殺されて、自分に犯人の嫌疑がかかるのではないかという妄想に捕らわれます。ところが途中で主人公が女遊びをする話にかなりの筆が割かれるなど、かなり行き当たりばっかりの印象を受けるのですが、谷崎が楽しみながら書いているのが感じ取れます。
谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)より
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