(短編集)
聞書抄
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この時期の谷崎には、未完に終わった「夏菊」という作品もありますが、それも含めて何れの作品を手に取っても巻措くに能わずの充実ぶりで、特に「第二盲目物語」の副題を持つ本作は、とりわけ読み応えのある作品です。 | ||||
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谷崎潤一郎は盲人の物語を幾つか残している。名作「春琴抄」はもちろん、本作と似た趣向の「盲目物語」もある。触覚と臭覚のみで美しい女性を描き出すことに執着があったかと想像される。 「聞書抄」は豊臣家の没落を背景に、たおやかな女人たちや狂気の「殺生関白」の行状を流麗な筆致で紡いでゆく優美で残酷な物語。「盲目物語」ほどの魅力はないが、谷崎の豊潤な小説世界に堪能できる秀作だと思います。 | ||||
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関西への移住以降の作品の中で、一応昭和を舞台とした作品をいくつか読んで見ましたが、ちょっとこの「起承転結というストーリイのない世界」にも疲れたようです。というわけで、もうひとつの彼の得意のジャンルでもある歴史小説(もっとも紀伊国狐....は時代小説ではありませんが)に眼を向けてみました。「間書妙」は立派な長編です。ここでは秀次と三成をめぐる因果応報と盲目を自発的に選択するという行為を通しての不思議な愛情表現が取り上げられています。もっとも後者が前面に出てくることはありません。語りは、不思議な因縁で邂逅することになった三成の娘、その乳母と盲目の法師との間で繰り広げられます。文体は現代文と古文が混合する形ですが、これには慣れが必要かもしれません。「三人法師」は短編ながら、3人の出家僧の告白という形式を通して、人間の不思議な運命の関わりとすべてのむなしさが描かれます。「悪は善の裏なのです」という真理が最後に提示されますが、と同時に出家すること(俗世での人間関係の断絶)の悲しさが三者三様の告白を通じて示されます。どの短編もたっぷり余韻を残す形で終わっているのは谷崎ならではでしょうか? | ||||
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しかし谷崎潤一郎の歴史小説はなんと豊麗なのだろう。 一見淡々と語られ、それでいてわずかな冗漫もない、この作者の腕前は、言うも愚か、凄まじいものがある。 「聞書抄」は、関ヶ原で敗戦の憂目にあった石田三成の娘と乳母が、或る盲目の法師に三成の晒し首の前で出会い、彼が往時を懐述するという形。 太閤秀吉の世のきらびやかな様子から、殺生関白の残虐な行状、三成と家康の相克…と話は展開していく。 谷崎作品には欠かせない、美しい女性も雅に描かれ、菅楯彦の挿画も文章にマッチしていて美しい。 「三人法師」「紀伊国狐憑漆掻語」「覚海上人天狗になる事」三篇はそれぞれ短編。 併録という形だが、中でも、「紀伊国狐憑漆掻語」は谷崎文学のみならず日本文学の大傑作の一つだと思う。 | ||||
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