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錦繍
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錦繍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全151件 121~140 7/8ページ
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まだ三十数年しか生きてきておりませんが、私が出会った中で最高の本です。 何回も読みました。折り目をつけたり、マーカーで印を付けた小説は生まれて初めてです。なので、2冊所蔵しています。 「なぜ?」「どうして?」「もっとあの時ああしてれば…」「今の不幸はあの時の、あのせいだ」誰しも一度は思ったことがあるのではないでしょうか? 自分の不幸を、離婚した夫のせいと八つ当たりなまでに理由付けてしまいたい主人公の気持ち、それでも最後には母として一人の人として、過去を昇華し、前向きに強く生きていこうとする力強さに涙がとまりませんでした。 同じ女性として強くありたいと憧れます。 | ||||
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よみおわったあとに 太宰治の「斜陽」と同じ感動の種類だなとおもいました。 なんていうか、幸せな前向きな余韻が残って広がる感覚。 書簡形式という形式が私の中で結構好きな小説形式ではあるので それも奏功して。 若干背景が古いかんじも読んでいてしますがいや、これは名作です。 | ||||
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二十歳のときに初めてこの小説を読み、愛し合っていても別れなければならない運命があることを知った。当初、本を読んで泣くことなどめったになかった自分が泣いてしまった本である。同じような感動を求めて、宮本輝の代表作といえる他の作品をいくつか読んでみたが、この「錦繍」ほど、素晴らしい感動には出会えなかった。 十四年後に読み返したときは、二十歳のときよりも更に涙が止まらなかった。このときは「生きていることと死んでいることは同じことかも知れない」というフレーズに惹きつけられた。 今では、自分は主人公と同程度の年齢に達している。二十歳のときよりは「死」というものが少しずつ確実に近づいている。しかし、まだ実感はない。もし十年後に読んだら、また違う感慨に更けるのであろうか。 「愛すること」と「別れること」、「生きること」と「死ぬこと」という永遠なる重厚なテーマに、男女の書簡のやり取りという斬新な形式で、人生の悲哀を美しく描いた、宮本輝の最高傑作。私にとっては、人生のうちで何度も読み返す価値のある、美しく深みのある物語である。 | ||||
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ずっと昔の話だが、「この愛に生きて」というドラマがあって、入院している鈴木保奈美の枕元で岸谷吾郎が手にしていた本がこれだった。 「生きていることと死んでいることは同じこと」。 なんてさびしい台詞だろう、と私は思った。いや、もしかしたらこれはさびしいということではないのだろうか。誰か教えてほしい。 | ||||
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宮本輝氏の美しい文体で綴られる、別れた夫妻の往復書簡。 主人公・亜紀の内なる声に、涙が止まらなかった。 あまりにも悲しい彼女のさだめに心が苦しくなってしまう一方で、突きつけられた現実から逃れることをせず、ただ精一杯今を生き抜こうとする二人がそこにはいて、私は勇気付けられた。 有馬の恋人・玲子が書簡を読み、「うち、あんたの奥さんやった人を好きや」と泣いた瞬間、私はさらに嗚咽していた。 人を愛すること、許すこと、そんなことをしみじみ考えさせられた本です。 | ||||
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深いです。 はじめの文体から、きらきらしていて、美しい言葉に引き入れられます、、 20代前半で、はじめて「おとなのおとこのひと」に薦められた本だったので、より印象も深いのですが、今でもくりかえし手に取り、そして、いつも裏切られない読後感が得られます。 ストーリーテラー宮本輝さんの最高作、と私の中では位置づけられています | ||||
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当たり前の現実を、この世の中を生きるということ。ある時は反発し、またある時は受け入れ、時に希望を持ち、時に諦めながらも、ただそこに在るということ。誰よりも近くにいる相手でも絶対的に他人でしかないという絶望的な孤独。 とても一言では言い表せないこの複雑な「人生」というもの、生きるという不可解なことを、1組の男女が半生を語りあう往復書簡を通して、とても自然に、かつ見事に表現している作品。 宮本作品には正直なところ当たりはずれがありますが、これは文句なしの大当たり。もう少し年を重ねた後に読んだらさらに評価が上がるように思い、今は星4つとしておきます。 | ||||
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宮本輝さんの作品は結構読んでおりますが、私の中では、かなりの上位にランクインしている作品です。宮本作品がお好きな方は、是非、ご一読を!(主観ですけど。) 宮本作品は、生・死、宿命、再生といったものを描いている物が多いですが、これもその中のひとつ。文体としてはさらっと書いてありますが(流転の海シリーズのように読み応えがあるタイプの本とは違います)、実は濃厚。暗い内容にも関わらず、読んだ後には、何か光がすっと見えるような、そういった心地良さ、爽快感?が漂います。 全編書簡体なので合わない人は合わないかな。合わない人にとっては、退屈な本と感じると思いますが、読書好きにとっては、一見、単調な文体に思えても、内容に引き込まれていくかと思います。 (余談ですが、六十代の父も、この本は面白かったと言っておりました。若すぎる人(二十代前半とか)は、面白さがわからないかも~。) | ||||
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この小説の主人公有馬靖明は37歳。偶然、訪れた蔵王のゴンドラリフトの中で、10年前に別れた妻勝沼亜紀と再会するところから物語は始まる。 2人の手紙のやりとりだけで綴られるこの物語は、最初は、お互いに離婚当時の事情を語るところから始まり、時には、相手を責め、時には詫び、悔いるということ繰り返す。 しかし、結局、今の自分の姿は過去の自分の行いの結果であり、今の自分の行動の積み重ねからしか、将来の自分の変化はあり得ないということに気がついていく。過去を受け入れ昇華させる中で、今まで否定していた自分を受け入れ、お互い、それぞれの道を前向きに生きるようになる。 結婚前の20代半ばで一度読み、感動して人にも薦めた。主人公の年齢を過ぎた40代で再読し、死と再生という深淵なテーマをどこまで理解できたのかと考えている。宮本輝ファンの私にとっての入門書であり、何度も読み返す座右の書でもある。 まだ、宮本輝を知らない人に、一度は読んでほしい本。 | ||||
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何度も読んでいますが、あの文頭を読み返すだけで 身震いがします(大げさですがそんな感じです) 「青が散る」系のさわやかさはないけど すてきな作品です。 | ||||
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愛する事と離れなければならない事、生きる事と死ぬこと、幸福と不幸、過去に礎を置く現在と現在を映す過去、往復書簡の始まりと、いつかは終わらねばならないという事実。 これらは相反すると見えても実は同一のものであると著者は訴えたいのではないだろうか。それゆえ人は運命に苦しみ、しかし求め合う。 第78回芥川賞作家が描いた、人間の感情の襞をあます事なく凝集した、最高傑作であるといえる。 | ||||
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宮本輝の初期の作品。男女の書簡の交換で展開されていくユニークな小説。ちょっと生きることに疲れたり、ちょっと後ろ向きになってる時に読むと、不思議に生きる勇気を与えてくれる一冊。 | ||||
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この作品の特筆すべき点は、ストーリーもさることながら元夫婦が書く美しい文体の手紙ではないだろうか? 離婚後の二人が過去を語り、そして現在を語る。じっくりと読んでいくとその手紙のやりとりの中には、お互いを優しく想い合う共鳴鐘が響いている。 過去を美化するのは人間誰しもが行うことなのかもしれないが、この手紙は決して二人が現実逃避するための手紙ではない。「あの時があったからこそ、今こうして生きている」という現実に、はっとしてしまう読者もいるのではないだろうか。 | ||||
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有馬靖明と大学生で一人暮らしをしていた時の自分と少し重なって見えてしまいました。そして、あの頃に戻りたいと思いました。 そして僕は令子に惚れました。 久しぶりに小説を読み、人生の深さを考えさせられました。 | ||||
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最初から最後まで手紙でのやり取りのみで書かれた書簡体の珍しい小説です。内容は別れた夫婦が蔵王で偶然であったことにより、それ以降近況を報告することから手紙のやり取りが始まるのですが、書簡体だからこそ手紙を書いた時点よりも過去に向かって物語が進むことで、なぜ夫婦が別れなくてはならなかったのか、別れた後に何があったのかを徐々に知ることが出来ますし、逆に現在の状況も書簡体により上手く過去と織り交ぜて表現することが出来ます。 私は元夫婦の二人の手紙を交互に読み進めていくうちに、最初は生きていることとは?死ぬこととは?などの疑問が浮かんでき、そして結局は生きていることも死ぬことも自分の人生も他人の人生も結局は大差ないのではないかということに気付かされました。禅問答的かもしれませんが、とてもスケールの大きな全宇宙的視点から人間という生き物を見る機会を得れたことに感謝します。 | ||||
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宮本輝の本をほとんど読んだ私にとって、この本は宮本輝のベストの本です。 人生についてを深く考えるきっかけを与えてくれる本です。 もっと多くの人に読んでほしく思います。 | ||||
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本書のなかで女性主人公は,「生きていることと死ぬこととは,そんなに違うことではないのかもしれない」あるいは「生きることと死ぬことは,同じことなのかもしれない」と,別れた最愛の人への手紙に記す。その思いは,言葉よりむしろ,モーツァルトの交響曲第39番がもっともよく表現してくれているものだという。 この作品に触れてはじめて,自分でも39番を聴いてみた。そうしたら,生きていることと死ぬことは同じことなのかもしれないという思いをもってこの曲を繰返し聴きく主人公に,理屈抜きで共鳴できるように感じた。主人公の日々の情念の基調を単純に喜怒哀楽に分類すれば,間違いなく哀であろう。悲しみ,と言い換えてもいいかもしれない。そして,哀や悲には,喜に劣らず,生きて在ることを肯定する力があると,主人公の女性は教えてくれるように思う。 この作品をはじめて読んでから十数年たったいまでもときどき,39番の旋律とともに,「生きていることと死ぬことは,同じことなのかもしれない」という彼女の言葉を思い出す。 宮本輝は一流のストーリテラーだから,どれを読んでも楽しいけれど,他方で『錦繍』に彼の人生に対する構えや考えの精髄すべてが表現されつくしているので,これさえを読めば,あとは読んでも読まなくても同じという気もする。 | ||||
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これは、宿命とか運命とかに、流されずに、 大波が来たからこそ、乗り越えて行けるのだという 人間の持っている力を、信じた人の話です。 小説だからあり得るんだろうと、言う友人もいましたが 私は実際に、こういう生き方をしている人を数名知って います。小説であっても、決して夢物語ではなく、表面的に 良いことを書いてあるだけでもなく、宮本輝さんのどの作品 にも通ずる、生身の人間の世界の、太さ、強さ、熱の様なもの が全体を通して感じられる作品です。 人生だから、色々あるし、人間だから弱い部分も当然ある。 でも、その色々に流されて、宿命や運命のせいにして生きるか、 それに負けずに、その色々を燃料にして、自分を前進させるか? 本当の幸・不幸の分かれ目って、そこな気がします。 宮本輝さんは、以前から大好きで、この素晴らしい作品を読む のが遅すぎたぐらいですが、とにかく出会えて、読めて、感動 出来てよかった。 たんなる「良いお話し」などではなく、力のある、作品です。 大人と呼ばれる年代の方に、強力にお薦めします。 | ||||
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運命的な出来事により、愛し合いながらも別れなければならなかった男女が10年ぶりに再会したことから始まる往復書簡。 元妻は男の見るからにおちぶれた姿に筆をとる。元夫は思いあぐねた上、一度は返書するが、もう送ってくるなと謝絶する。別れる原因となった過去の事件に対する双方の告白。別れた後もふたりがお互いを思いあっていた。10年ぶりに明らかになる真実、そして和解。 だがふたりにはすでにそれぞれの生活があり、元に戻れるわけではないという現実。 いつかは終わらなければならない、と予感しつつ1月に始まり11月まで10ヶ月間に交わされる14通の手紙。手紙で伝えられること、伝えられない思い。終わらないといけない時がきました、と最後の手紙に記す男。新しい生き方をしますとしたためる女。お互いの多幸を祈りつつ、筆がおかれる。 わかりあえたにもかかわらず、迎える再度の別離のせつなさがつらい。 しっとりとした端正な文章とあいまって、人の生き方、人生といったことを考えさせられます。 | ||||
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生、死、出会い、別れ、過去、未来…。 それらが二人のやり取りの中で美しく力強い存在として完成されて行く…。 生きることや愛することを心が自然と肯定して行く。 別れを真摯に受け止める。 それが人にはきっとできる。 そして人は「現在」をきっと力強く生きていける。 本を閉じた時そう感じました。 そしてこう考えました。 愛する人と生きていけることはもしかすると奇蹟かもしれない、と。 あなたもそう感じるかもしれません。 | ||||
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