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錦繍
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錦繍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全151件 81~100 5/8ページ
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初めて宮本輝を読みました。読み終えてから細かい心の描写を深く知りたいと思い、 すぐにもう一度最初からじっくりと読み込みました。 書簡による別れたふたりの告白文でしたが、ベートーヴェンの「ハイリゲンシュタットの遺書」を連想しました。 耳が聞こえにくくなったベートーヴェン、これまでの自分と決別するため、遺書を書きますが その後は傑作の森と呼ばれるにふさわしい、中期の名作を遺しました。 この作品でもお互いの過去・現在を告白することにより、自分の生きていく方向をしっかりと歩んでゆく・・・ 素晴らしい名作です。 宮本輝、もっと読みます。本って、本当に面白いですね。私もたくさんの体験をしているように感じています。 | ||||
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「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」。 この最初の一行から惹きつけられ、あまり再読することのない私が何度も読み返した本で、初めて手に取った20代後半から不動のベストワンです。 亜紀と有馬靖明の書簡の往復により構成されている長編小説で、二人と、二人を取り巻く人々の人生、心の中に抱いているものが見事に炙り出されていています。 加山又造の装画を見るたびに、この本を読んだ翌年、仙台での研修を終え、急に思い立ち、一人、山寺へ向かう仙山線の車窓から見た何色もの紅と黄色の葉が織りなす美しい錦絵に目を奪われたことが、懐かしく思い出されます。 親木は、やがて燃え尽き、葉を落としますが、決して無駄死にではない。枯れた葉は肥やしとなり、春に芽吹く手助けをする。 うまく表現できませんが、この本を読むたびに「人生は、絶望と希望が交錯している」。そんなことを思います。 「生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかもしれない」という言葉が繰り返し出てきますが、この作品のテーマは、この一文に込められているのかもしれません。 秋の訪れが待ち遠しい残暑が続きます。 「錦繍」。そして、美しい日本語で綴られるこの小説で、燃える秋を想像してくださいませ。 草々 | ||||
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宮本輝の作品は好きで、文庫化したものは、すべて読破した中でも特にこの作品はよい、あまり再読はしないほうだが。コレは再々読した。生涯読書ベスト3に入る作品だ---、大好きなこの作品を再々再読、読むたびに、読後感が違う、のは、この作品の素晴らしさを表している。 | ||||
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約30年前に著された本であるが、この本の中の世界は自由で幸せな世界だと感じた。 たぶん、現在に当てはめても通用すると思う。 多種多様な、簡潔な単語を駆使して情景を体感させてくれるというのは凄い。 何か、思いっきり軌道をずれてしまったかの様な現代社会を忘れるのには、いい本だ。 | ||||
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宮本輝の小説は青が散るに続き二冊目ですが、男と女の切ない恋愛関係の描写や雰囲気に引き込まれます 個人的には好きな作品です | ||||
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「生命」に響く物語です。辛く悲しいけど、暖かい心に触れる。 絶望的なのに、希望の光が見える。 久々に小説で泣いた。しかも何回も。 読んだあと、「生きる」力を湧かせてくれる。 | ||||
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元夫婦による手紙形式で綴られるお話 手紙のみで進行されているからこそ、読み取れる相手の心情や思慮 それが、寂寥感だけが漂うのではなく、暖かくて優しくて心がこもっている 生きる意味を再確認したい時に、読みたくなる一冊 | ||||
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おそらく有馬と勝沼亜紀は相手の手紙を繰り返し読み直したでしょうし、自分の手紙を書くときは何回も下書きを重ねたに違いありません。 どうしようもない過去を振り返り、決して幸せとはいえない現況を伝えながらそれでも素直に心情を吐露する姿勢だけは貫きました。 そうして、2人はただの手紙のやり取りだけで確実に新たな一歩を踏み出したのです。 令子みたいな人に出会えればそれだけで幸せです。 | ||||
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本当にここまで美しい文章で、ここまで鮮やかに人間の感情を鮮やかに描き出す小説はないと思います。 例えば川端の文章や鴎外の文章はそれはそれで美しいのですが、現代の感覚に適しているかと問われれば疑問に感じます。 その点本作は現代の感覚においても「美しい」文章と言う評価を下されるべき、秀作中の秀作と言えます。 なぜ由加子は靖明に頬寄せたのか、そして靖明と心中を図ったのか なぜ勝沼は浮気をしたのか なぜ亜紀は勝沼に愛情を感じつつも、別れを決意したのか。。。 そういったひとつひとつの「なぜ」を追いかけても意味はありません。 そこにある瑞々しい感情、ともどもなくあふれ出る思い、それらがまさしく「綾」のように 幾重にも折り重なって生まれる「からくり」が本作の主題です。 不幸に直面した時、人間はいつも理由を求めてしまいます。 なぜ、こんな子どもが生まれるのか、なぜ、あの人は去っていくのか。 理由もない、業などもない。 ただそこにある生命の綾に思いをはせる、味わい深い一冊です。 | ||||
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恋愛小説における座右の銘となるだろう。 恋愛において辛いことは数多くあり、乗り越えるられないと思うことは多いだろう。 二人は手紙のやりとりを通じて、過去を消化し未来へと進んでいく。中盤の「生と死」というキーワードから未来への希望が見えはじめる。 人生は最終的には個人的なものでしかありえない。そのことを知るのは「生と死」について何かを理解したときである。 私が最近悩んでいる恋愛において、辛いとしか思えなかったが、何か前向きな希望が見えはじめた力のある作品だった。 | ||||
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『男運が悪い』という言葉があるが、この物語の亜紀こそ、 まさにその通りではないだろうか。 最初の夫はよその女と心中未遂事件を起こし、 現在の夫も長年浮気を続け、子供までもうけている。 いくら両方とも自分の意思で決めた結婚とはいえ、これではあんまりだ。 それでも亜紀と元夫の靖明との手紙からは、 二人の当時の懊悩が苦しいほどに伝わってくる。 手紙というものは、たとえそれがどんなに稚拙な文章であっても、 その人の素直な感情や、その人自身が確実に表れるものである。 そして亜紀が最後に父に伝えた決断は、まさに今後、もう未来にも過去にも 縛られずに生きていくという彼女の意思の表れである。 彼女の父が言った「人間は変わっていく」という言葉そのものに。 | ||||
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素晴らしい本だと思いました。 離婚した男と女の手紙のやりとり。過去に縛られる男、 離婚するときにいえなかったこと、恨みやつらさを お互いの手紙で綴りながら、前向きに生きていくことに目覚めた二人。たとえ一緒にいなくても、手紙は途絶えようとも 永遠につながっている、こんな愛もあるんだなと私は信じます。 一番印象に残ったのは、令子が亜紀からの手紙を読みつく 何でもない一言 「私、この人嫌いになれへん」 この言葉に泣かされました。 同じような経験が過去にあったからでしょうか。 | ||||
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この本に書かれた内容は 小説だからあり得た話だと言う人に 伝えたい。 私の周りに充分あった。 今もなおある。 この本の評価を最悪だとあえて言う必要があった人に 伝えたい。 誰が自分を否定しようとも 自分の「今」を 「今」受け入れていなければ 「死」の瞬間に 壮大で痛切な「今」をようやく垣間見たって そこで あなたに何が残されるというのだ。死の直前に訪れるのは 強烈な「今」だ。 今 は 二度と 帰っては来ないのに。 | ||||
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離婚したふたりが、偶然再会したことをきっかけに 交わしはじめた往復書簡。 すべてはこの手紙のやりとりだけで物語が進行していきます。 手紙で語られる二人の過去、現在、そして未来。 過去にはお互いが充分に語れなかったことを 打ち明けはじめるのが素敵。 時間が経ったからこそ語ることのできる想いは確かにあると思うのです。 そして、これだけの長い手紙を交わしながらも お互いが決して元いた場所には戻れないことも知っている・・・。 切なくて哀しいけれど、ふたりにはそれぞれの希望も見えているんですよね。 誰かを想うということ。 大切な人のことを想うということ。 静かだけれど、深い愛情を感じます。 | ||||
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宮本輝先生の作品を初めて読んだのですが、 先生独特の空気感があってとても面白かったです。 若い頃に読んだらあまり響かなかったかもしれませんが 読み終わった後、しばらく残りました。 | ||||
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この作者の小説にはしばしば見られる手法ですが、ある事件があったことを暗示しておいて、徐々にその事件の内容等が語られる、という形式になっているため、謎解きのような趣きがあり、夢中になって読み進めてしまいます。 しかし、この小説の素晴らしさは、こういう手法のうまさ、物語としてのおもしろさだけではなく、付随して語られる深遠な世界観、人間という存在に対する厳しくも優しい洞察、それから、なんと言っても美しい文章です。特に小説の最後のミモザアカシア…のくだりは、息をのむほどでした。 この小説のタイトルは蔵王のダリア園を表現したものだと思いますが、この小説のすべてを象徴していると言えます。 | ||||
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錦繍という美しい言葉に惹かれて購入しました。 離婚した夫婦が十数年ぶりに紅葉の綺麗な蔵王で再会した。その後、二人の間に文通が始まり、手紙のやりとりだけで構成された小説になっている。会って話したのでは伝えようもない過去の心の傷や、現在の自分を往復書簡で語る事によってお互いの気持ちが埋められていく。そして最後は、お互いのしあわせを願い文通に終止符が下ろされるのだが、一歩前に進み出た二人の未来が見えてくるようだ。 二人の手元にある、手紙の束を想像すると現代のメール時代には、貴重な重さを感じ、手紙はいいなあとしみじみ感じた作品だった。 | ||||
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錦繍とは、2つ意味があります。一つは錦と刺繍を施した織物の事。もう一つは、 美しい詩文、そして、紅葉、花などのたとえです。 この2つの意味、両方ともこの小説の中のテーマになっていると感じたのは、 この小説を読み終わった時でした。建設会社を経営する父を持つお嬢様育ちの勝沼亜紀、その夫、有馬靖明は他の女性と心中し、女性は亡くなり、靖明は生き残るという残酷な事件にあいます。亜紀は、夫と離縁し夫靖明は、胸の深い傷と共に孤独と罪の深さに苦しみます。亜紀が夫に綴った手紙、そして、靖明からの返信。この小説は、二人の手紙の往復の文章によって構成されているめずらしい小説です。その手紙によって、二人が癒され、1つであった夫婦が別れ別れになって、業という宿命を携えて各々異なった人生を織りなしていきます。 手紙でのやりとりの中で、2人とも同じ思いを抱きます。それは、「生きる事と死ぬ事は同じ事かもしれない」という複雑な命のからくりです。靖明は亜紀への手紙の中で、臨死体験を通じて得た不思議な体験を語ります。「すべての人間が、死を迎える時、それぞれがそれぞれの成した行為を見、それぞれの生き様による苦悩や安穏を引き継いで、それだけは消失することのない命だけとなって、宇宙という果てしない空間、始めも終わりもない時空の中に溶け込んで行くのではなかろうか‥」命のからくりとは、生きている間も死んでいる間もその業を伴ってずっと続いている、そんな気になります。 秋の紅葉、錦の刺繍、命、人生、それらがひとつの大きい主題となってこの小説は終わります。木は秋になると、自ら栄養を遮断して、葉を紅葉させ枯れさせます。それは木が永遠に生きる命としての生き残るための手段なのです。秋の木々の紅葉は、この世の生と死そしてどこまでも続く命の象徴として描かれ、更に二人の紅葉のごとくに変化していく人生は、宿命という錦の刺繍糸で織りなされ、ひとつの美しい錦繍という織物になって心に深く残ります。読み終えて、ぐっと心に残る作品です。 | ||||
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生きていることと死んでいることはもしかしたら同じことかもしれへん。そんな生命の不思議なからくりをモーツァルトの音楽は奏でている。という本の根底に埋められているテーマを男女の愛別離苦を通して物語にされている。人間の生命のすべての善悪の行為は自身の生活や動作や考え方に返報され、その重なり合った行為が姿が業となり現在の個人の反映される。 仕事をしたいのに無かったり、うまくいかなかったり、結婚したいのにできなかったり等。その正体がこの小説のなかにえがかれている。甘く切ないが溌溂とさせてくれる自身と向き合わせてくれる小説です。 | ||||
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読み終わった最後に辞書で「錦繍」の意味を調べ、納得しました。 話としては、別れた男女の手紙のやり取りのみが書かれたお話ですが、心に染み入る感じで、恋愛の愛だけではない、心の奥底からグッと感じられる愛情にあふれた話でした。 宮本輝さんの作品を読むのはこれがはじめてでしたが、他の作品も読んでみたいと 思えるきっかけを与えてくれる本でした。 | ||||
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