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春琴抄
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春琴抄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.53pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全94件 81~94 5/5ページ
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様々な愛の形がある。 ストイシズムという言葉を耳にすることがなくなって久しい此の頃、果たしてこの作品が大衆に受け入れられるか不安である。 かつて性は「秘め事」とよばれ、恋愛すら世間や倫理道徳により抑えられていた。そんな時代のお嬢様と下男の特異な愛の形を、語り口調で書き綴った作品。 美貌と聡明さを兼ね備え、高慢でわがままな春琴は、のっそりとした下男の佐助にいつもつらくあたっていた。それは佐助の寄せる想いを感じての事のようにも見え、次第にエスカレートしていく。 しかし、ある時春琴は何者かに頭から熱湯を浴びせかけられ、見るも無残な顔になってしまったのだ。 事件前と後にまたがって描かれる、春琴と佐助の不思議な間柄を第三者的に書き綴る本作品は、様々な想像を読者にかきたてる。そして愛の究極の形が垣間見えることだろう。 | ||||
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文字どうり、盲目的な愛の物語だ。主従関係という身分の違いはあれど、火傷事件のよって二人の愛は本当の完成を得る。 美貌を失って、女性としての誇りを失った春琴。佐助は自らの目を潰し、自分の中にある美しいままの春琴を記憶に留める。 女性上位の恋愛小説。句読点や改行が少ないので、違和感がでる人もいるかもしれないが、決して読みずらくないはずだ。 それにしても、火傷事件の真犯人は本当に利太郎か? いろんな人に恨みをかっていた春琴だったから、もしかしたらほかにいるのかもしれない。 | ||||
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いまや、愛はいくつかのカテゴリーに分類されています。 「エロス」、「フィリア」、「アガペー」。 『春琴抄』は「アガペー」に分類されるそうです。 「アガペー」とは、他者中心的、自己犠牲愛だという意味合いです。 聖書の解説などにも使用される用語でもあります。 しかし。 『春琴抄』読後。 「アガペーって何?」。 愛に関する分類なんてどうでもいいや・・・ とまで、愛のカテゴリーを吹き飛ばしてしまう名作。 枠にはまらない愛を描いた、枠にはまらない文豪の傑作です。 | ||||
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支配する者とされる者。SMといってしまえばあまりに単純だが、そこには他者の絶対に介入できない孤独な愛の世界がある。傍目にはどんなに常軌を逸したものにみえても、当人にとっては至福の世界なのだ。むしろその甘美な幸福を味わうことのできない、理解することのできない者こそ、不幸だというべきであろう。 | ||||
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谷崎の描く女性像はまずお嬢様である事が第一条件。次に冷酷で気まぐれ、しかも意地が悪い。これが第二条件。そして最後に非常に美人。この三要素が揃うと谷崎は「もう耐えられません、殺して!」みたいにのめりこんでしまいます。 こういう条件を全て満たし、しかも谷崎の凝りに凝った文体。そしてカラクリ。春琴の冷たい足を染み透るように有難く懐で温める佐助。その彼が最後、目を突き刺すブスリ・・という音が耳奥で聞こえる生々しい描写力。 同じテーマの繰り返しがここまで強烈なリフレインに凝縮したのは見たことがありません。まさに谷崎版「ヴェニスに死す」と言えます。 | ||||
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官能の美しさを描いた作品。サディステックな女性とマゾヒズムな男性の愛の世界。その世界観を句読点のない、不思議な文章で深めている。けっして、純愛ではないし、誰にもすすめられるものではない。でも世の中にはこんな世界がある、ということを早熟な子供達には伝えたい。恋愛には我々の思考の限界を突破している人がたくさんいることを知ってほしい。そして谷崎のこの文体の素晴らしさはなんなんだろう。耽美な官能の世界を本当に見事に現している。あまりにもエロチックな一遍である。 | ||||
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主と従の中で交わされる、やや屈折した愛情が切々と、美しく描かれています。しかも冒頭に本書の主人公二人の墓を訪ねた書き手の立場から描かれており、二人の間の出来事や感情を推測として表現されている部分が多く、それが物語りにぼんやりとした神秘性を持たせています。忠誠、支配といった間でお互いの立場を運命のように受け入れ、というよりお互いの役柄の中で育ったものを壊さないように関係を深めていった描写は読んでいる最中よりも読後数日後にぐっと迫ってくるものがあります。 | ||||
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谷崎文学の精髄は、「どこにもない世界」を「どこかにある世界」と 読者に感じさせるところにあるだろう。どれほど異常な人物を描写して も、時代背景や細部の描写などが完璧なので現実感をもたせることが できるのである(その意味で、三島由紀夫とは対照的である)。本書は、 今までにない擬古的文体(多分谷崎流ではあるが)を用いて江戸後期の 大阪の町人文化のなかで繰り広げられるドラマが描写されている。 独立した「女性芸術家」である春琴と商家の奉公人から「検校」 にまで出世する佐助は男尊女卑の身分社会である当時からすれば 特殊人であるとさえいえるだろうが、谷崎の独自の文体によって タイムワープ(こういう俗な語は使いたくないが)させられた我々 読者はそういう「特殊人による特殊な恋愛」も「リアリズム」として 受け止めることができるだろう。文学作品における「文体」の重要さ を実感させてくれる作品であり、後年の「源氏物語的文体」を用いた 「細雪」にもつながるものである。 | ||||
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授業中に内職で読み始めたら止まらず、一気に読み終えてしまったのを覚えている。 句読点が微妙に省かれているのがむしろ読みやすく、すらすらと美しい文章の上を眼をはしらせることができる。 そして読みやすい上に美しい。 春琴の美しさへの憧憬を同じく感じ、また佐助のひたむきな思いを身近に感じ。 最後の佐助の自らの視界を閉ざす行為にはっと驚かされながらも 一方でその佐助のなかの思いがしっかりとわかる気がする。 | ||||
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古文のような字面で一見読みにくそうですが、すらすらと物語に引き込まれる、美しく素晴らしい文章です。 ストーリーもスリリングで、一流の小説とはこういうのをいうのでしょう。 盲目で驕慢な美貌の春琴、そして彼女に絶対服従でひたすらつくす佐助。 主従関係を超えた強い純愛・・・なのですが、そんな綺麗な言葉には収まりきらないこの妖しさ。 どう考えても、「ドSとドMの幸福な出会い」ですよね、これ・・・。 そして、ここからは一読者の勝手な妄想。きっとこの二人、夜はSとMが逆転するに違いない。 でなきゃ、佐助はともかく、春琴がなんだかんだいって佐助に執着する説明がつかない。 下品だ、と怒られそうですが、きっと、大谷崎先生はニヤリと笑って許してくれるでしょう。 「まあ、あの道は奥が深いんやで・・・」と。 | ||||
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あぁぁ「大谷崎」しかるべき。でもオトナになってからで良かった、子供の内に読んでたら悪影響(笑)受けてたと思う。クライマックス前のシーンはまともに文章読めませんでしたぁぁ。こんな所で細かい描写すんなぁぁぁ。 解説より。この作品に対して「人物が描けていない」だの「生への問いかけがない」だのという批評がなされたって、現代の作品ではほとんどが「できてない」って事になっちゃうんじゃないすか? つか、第四者というか完全なる他人の視点で物語を描いている作品に対して「人物が描けてない」つーのも的はずれな批評に感じる。「鵙屋春琴伝」という(架空の)冊子を元にした調査報告を加えた作者のレポート(抄)という形になっている事で感情が抑えられている分、クライマックスまでの流れがより以上に感情に訴えているように感じる。いや、全体的に淡々と「書かれて」いるので、数少ない主役二人の会話が際だって瑞々しく感じられるので、その会話という窓を通じて覗く事ができる二人の人間性を見れば「人間が描かれてない」という批評はちょと違うんじゃないかなぁと思う訳で。 「文庫背表紙にあらすじが全部書いてある」系だけど、中味を読む前と読んだ後では感想が違うよなぁ。文学作品の醍醐味は最近流行の「あらすじ抜粋本」ではゼッタイ味わえない、断言できる。 | ||||
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実は、私にはよくわからなかった。でも、愛の物語といわれたら、そんな気がする。 とっても深い愛なんだと思う。 | ||||
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この話は、70ページ弱しかないのだが、非常に密度が濃い。話に強烈なインパクトを感じ続け、読み終えた後は「春琴」に盲従しているとともに愛人でもある「佐助」の人生が、果たして幸福であったのかどうか、非常に気になるところであった。 この本は短いにもかかわらず、ある1ページで突然に展開が変わったりせず(短い小説などではこれは往々にしてあることで、読んでいると「この1ページだけを抜き出しすれば随分ページ数を削れるんじゃないの?」と思うことが多い)、春琴と佐助の話が起承転結を持ってしっかりと繋げられているように感じられた。 とにかく、最後の展開が感動を誘わずにはいられない。盲目で我がままな春琴であるが、彼女に本当に一生をささげている佐助の一途さは、非常に美しいと言えるだろう。とにかく「何をここまで彼を彼女に惹かせるのか」と言う疑問を感じるよりも、彼のその彼女への尊敬と愛情の美しさを感じずにはいられない。 この作品での真の見所は、春琴の性向もさることながら、やはり佐助の「自らの生涯をすべて彼女に捧げる一途さ」にあると言えるだろう。 佐助は死んでも春琴の墓に自らの墓を寄り添わせる。輪廻転生、そんなものがあるのかどうか知らないが、死んでからもとにかく永遠に彼女に尽くしたい、と言う彼の思いが伝わってくるようで、そんな彼の思いにはひたすら「美しさ」を感じるのだ。きっと、彼は幸せだったのだろう。時には春琴にきつくなじられながらも、彼女をひたすら愛し、尊敬し続けた。そしてそれは幸福感がなければやり通すことができなかったことであろうと思う。 一生涯の間ずっと尊敬させられる相手を見つけることは困難であるが、彼は見事にそれを果たしたのだ。それだけでも、彼は十分我々の羨むに足る人物であると言えそうだ。 | ||||
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私の大好きな本です。 少し読み返そうと適当に本を開けると、そこからつらつらと 入り込んでしまいます。 谷崎さんの全ての著作のなかで一番好きな作品です。 「完璧!」と言いたくなります。美し過ぎます。 | ||||
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