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緋い空の下で
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緋い空の下での評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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著者によると本書は、「実在の人物である主人公の経験に可能なかぎり沿った歴史小説」であるとのこと。 実際に読んでみると「事実に娯楽要素を肉づけした創作小説」という印象で、そうなるとどうしても、事実と創作の境目がどこにあるのかが気になってしまう。 もちろん、こういう形で世に出すことにも意義はあるけれど、個人的にはノンフィクションで読んでみたかった。 終盤で描かれる、ドイツ軍撤退後にイタリアで起こった出来事は初めて知る事実で、極めて衝撃的。 イタリアの人々がこの戦争をあまり語りたがらない理由が、ここにあるのだろうか。 アメリカが正義のヒーローとしてしか描かれていないところは若干気になったが、主人公にとってのアメリカはそうだった、ということなのかなと。 多言語をあやつり、ピアノをたしなみ、登山と車の運転の技術はプロ級で、強い正義感と大胆な行動力を持ちあわせた、純情純粋な少年ピノ。 第二次世界大戦中のイタリアを舞台にしたこの数奇な物語は、10代後半の彼の視点で語られる。 それゆえに文章は、深みや含蓄のあるものではなく、少年らしい、見たり感じたりしたことをそのまま描写する直截的なものになっていて、そのぶん読みやすいが、読書歴の長い人間にとっては少々物足りなくもある。 主人公のキャラクターとこの文体をあわせて鑑みると、本書は、ハイティーン向けの児童文学というカテゴリに分類することもできるだろう。 その点からも、すでに、様々なメディアによる多くのナチスの非道を伝える作品に触れ、知識もある大人の方よりも、それらについてあまり知らない若い人たちにこそ、おすすめしたい。 ただ、原題を直訳した邦題と、原著のものに近いおどろおどろしいイメージの表紙は、そうした本書の性格にあまりふさわしいものではなく、出版社は損をしているような気がする。 例えば、ハヤカワ文庫の「卵をめぐる祖父の戦争」などは、意訳した邦題と(原題はcity of thieves=泥棒たちの街)イラストを使用した表紙が、高い売り上げにひと役買っているはず。 もし、そのせいでこの本が、あまたの出版物の山に埋もれてしまっているのだとしたら、もったいないなと思うのだが。 | ||||
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