■スポンサードリンク
ひらいて
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ひらいての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.79pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全37件 21~37 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最高に面白いです。綿谷りささんは内向的な人間の内面を描写する天才だと思います。いつも引きずり込まれてしまい、一気に最後までよみました。たとえ君 、美雪、主人公の愛 全て魅力的な存在です。好きな男の恋人を寝取る場面は、笑えるし、興奮するし、最高でした。ただ、愛が心の平安が見つけられないまま、未来に向かって強く希望を持ち、終わって行く感じがあったのがやや残念でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本当に良かった。いろいろ本は読んできましたが、もっとも印象的で大切な本です。 レビューが分かれていることに驚いています。たぶん、心の中にたとえを飼っている人間のほうに、よりぐっと刺さる作品なんでしょう。たしかにまとまりなくバラバラだし、情感的過ぎるところも多いです。文章は読みやすいのに、そこに描かれていることが痛すぎて続きが読めなくなってしまう。読破にかはり時間をかけました。 でも、本当に買って良かった。こんな素晴らしい体験が本当に数百円でいいのか、と思います。 最後の終わりも、人によってはやっつけすぎると言うかもしれません。でも、あれこそわたしがたとえに言われたかったことなので、展開的におかしいとは思っても、とても救われた気持ちでした。むしろあそこで普通に終わっていたら、凡作になってしまっていたかもしれません。 耐えられないほど身勝手で寂しい恋をしたことがある人におすすめです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
綿矢りさの作品の出来にはまだ凹凸があるが、これは良くできた作品だと思う。たとえという男子高校生に対する恋情が暴走し、その彼女である美雪をもまきこんで行くプロセスには動的な面白さがある。もちろん現実にここまで暴走することは稀だから、これは小説の世界での話なのだけど、主人公の愛の心理描写は、その(身勝手な)愛情にだけ絞られていて、それなりに首尾一貫性がある。現実の世界では、その他の有象無象のことが絡んだ生活のなかにいるわけだから、これほど純粋に暴走することはできないけれど、思考実験としてはとても面白い。もちろん暴走主人公が中心だから、たとえも美雪も、愛に翻弄され、ある意味では人形のような一面的な描かれ方をしているのだが、これは愛の愛情の物語だから仕方ない。 しかし、そうした物語であれば、この終わり方はないだろう、という気がした。もっと混沌とした訳の分からない状態に突入して終わり、という方が良かったように思う。それは自殺なんかではなく、愛が時折見せる外部世界を遮断する状態の究極の世界のようなものだ。最後の1ページは書き直してほしいなあ、などと思う。それと、ヘンリーミラーが使ったような、断片的な詩のようなイメージの重層的表現が、うまく使われていて、そこは気に行った。すくなくともロレンスダレルよりはうまくミラーを継承している・・といって綿矢さんがミラーを読んでいるのかどうかは知らないが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「ひらいて」の一文は短い。とても読みやすい小説。 けど、エンターテイメントではなく、純文学だ。 綿矢りさの「蹴りたい背中」を小学校六年生のころ、図書館で読んだ。 感じたことのない衝動に震えたのを覚えている。衝撃だった。 そのあと「インストール」を読んでからずいぶん久々に、今回綿矢りさの作品を読んだ。 「ひらいて」にも、あの時感じた身体を駆け巡る衝撃がたしかにあった。 あと、最後に谷崎の「春琴抄」が会話の中にでてきたのが気になった。 いいたいことは沢山ある。でも悔しいからとどめておく。 言うと自分の醜さがあらわになるからとどめておく。 でもこれだけは言わせてください。私はあなたにぜったいに負けない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恋愛小説だと思って読んでいましたが、ただの恋愛小説ではありませんでした。 激しい恋愛感情の思う存分な描写は、期待通りの読み応えです。 でも、それだけではありません。さらに「読んで良かった。」と思える一冊でした。 日本に出稼ぎに来るアジアの若い女性が、故郷の家族に仕送りしているのを聞くと 「日本は子供にたかるような親が少なくて良い国だな。」 と安直に考えていました。 でも、模範的で幸せを羨まれるような家庭であっても、 「多少強引だけれど、仕事はできるよな。」と言われるような人がいる職場であっても、 実は微妙に、と言うか、巧妙に、家族や同じ職場の人を食い物にしている人が多いことに気が付く今日この頃です。 この巧妙さを打破するには、ある程度の破壊が必要です。でも、その破壊の過程で「彼は感情的になる人ですね。」とレッテルを貼られて「負け」を言い渡される可能性が高いことに考えが及びます。 この可能性の高さを勘案し、多少自分が食い散らかされていても、まともでいることを優先するのが大人の哀しさです。 この小説を読んで良かったと思うのは、主人公が、自分の負けを恐れず、破壊に走ってくれる点です。 例えば、自分でもこんな手段に出ることも可能であると思えば、自分の人生が食い散らかされ、損をしていると感じていても、耐える事ができるように思います。 正直でまともな大人にお勧めです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公・愛は、同級生のたとえに恋をする。しかし彼には美雪という彼女がいて・・・。ここまで聞くとどこにでもあるような三角関係のストーリーだと思う。しかし、読み進めてみると単純な展開ではないことに気付きました。愛がたとえを独占したいという想いが美雪を巻き込んだ形で発展してしまう・・・。 主人公・愛をはじめ、たとえ、美雪それぞれの存在が入り混じった恋愛小説ではないかと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
その人にとって手に入らないものというのは、実際にその中身を知ることができない。 ゆえに、想像することで補完する以外に方法がないのだと僕は思う。 よく分からないものに触れる場合で、僕が何かをつくろうとすると、つぎはぎになってしまう。 このふわふわとした地に足がつかない小説は、そういったことを含めて、白い、不完全な透明さ、という表現しづらい表現で仕上げられたように感じた。 不自然、とってつけたように感じるという意見、この話が元からそういうことを意識させるためにつくられたものだと考えることで、見方が変わるかもしれない。 この話の世界そのものが、そういったよく分からない何かに触れるときの感情、情景、速度だ。 天使は本来この世に存在しない。ならば、つくるしかないのだ。 壊れやすい 不安定 遠い場所 白 水色 透明 幻想 人ではない人 夢の中の男女 たとえ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
芥川賞受賞時の騒ぎなどもう知らない若い世代の人に、「綿矢りさ」を紹介すると、ネットで検索するらしく、直ぐ「とても綺麗な作家さんですね」という答えが返ってくる。この人の容姿の卓越ぶりは、10年近く経った今でも、他と隔絶しているようだ。 さて本作であるが、文化祭前の高校の甘酸っぱい空気なんか、相変わらず良く書けているなと思っていたら、「美」に関する哲学的な考察が出てきたりして、偉く真面目な訴えを盛り込んだ作品だなと思っていたら、近づいていった片思いの男子の相手の女子が自分の言葉を勘違いしたの逆手にとって、なんとレズに突入。このあたりのセックス・シーンの描写など、綿矢流の精細さで、エロ小説は今まで結構読んできたけど、このような描写はあまり経験ありません。奇想天外というか抱腹絶倒というか。前作の「かわいそうだね?」あたりから、綿矢さんの個性がのびのびと発揮されてきているように思います。プロに見いだされた若い才能が成長していくとはこういうもんなんだ、ということが同時代的に体験できます。 しかし、ラストの暴走ぶりはどうなんでしょう?処女作「インストール」に自分の部屋のものを全部ガレージにぶちまけるシーンがありましたが、本作でもそれと似たような印象があります。このような破壊衝動のようなものを、この作家さんは常に感じてられるのでしょうか?そういったことを描くことが、綿矢文学の通奏低音なのでしょうか? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
綿矢りさを読むのはデビュー作『インストール』以来、約10年振り。 17歳にしては、(エラそーながら)“読める”と思いましたがそれ以上のものは無く、2冊目を手に取るに至らず… 今回、どこかの書評で薦めていたのものの、あまり期待せずに読んでみたところ… 高校生を主人公としたいわゆる恋愛小説だが、ストーリーは突拍子もないというかハチャメチャでリアリティに欠き、その割にタイトルに込められたメッセージは、普遍的というかありきたり… でありながら、人間の毒や弱さ・優しさや強さが独特の表現や比喩でするどく織り込まれており、また、ラストに示される『ひらいて』の意味もなんでもない言葉でありながら、すんなりと心に入ってくる。“不思議と心に刺さる”に傑作だった。 『蹴りたい背中』が受賞したことにより、芥川賞が若さに媚びたなどと批判も浴びたが、やはりその才能は受賞に値したと改めて認識させられた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
<ネタバレ含む> 綿矢さんの今までの作品の中で一番じゃないでしょうか。 綿矢さんってページ数が少ない作家さんだと思うんです。 なので初めは「半分以上読んでしまったけれど、こんなにめちゃくちゃで最後どうやって終わるんだろう?」と 不安になってしまいました。 それくらい今回めちゃくちゃなんですよね。 なのにまるで「折り紙を折った様に」ものすごく綺麗に終わるんです。 その素晴らしさと綿矢さんの才能に感動しました。 これが私を発売日に本屋へ走らせる理由だと思います。 今回もひとつひとつの文章がとても丁寧に綿矢さんらしく書かれています。 綿矢さんの作品には今後も注目していきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本屋で1ページ目を読んで衝撃が走りました。 なんて「たとえ」は私の好きな人に似ているんだろう!と(笑) まあ、恋してるときは自分の恋愛と本の内容を重ね合わせることってよくありますよね。 そんなわけで思わず衝動買いしてしまったわけですが、 自分が愛になったような気持ちで一気に読んでしまいました。 読んでいる間はたとえが愛おしくてたまらなく、 美雪が憎らしくてたまらなかったです(笑) 読み終わった直後の今もまだ、興奮の余韻から抜け出せてません。 ラストの愛に向けられたたとえのセリフにしびれた……! ほんとたとえみたいな男性好きです!(笑) いけてないのに実はSっぽい感じがつぼ!(笑) と、まあこれ以上暴走した感想を書き連ねるのは自重しましょう。 現実にはありえない話ですが、これもまた小説の醍醐味ということで 星4つをつけさせていただきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いつも通りさらさらと読みやすく、綿矢さんらしい作品だと思います。私はとても好きです。 「勝手にふるえてろ」や「かわいそうだね?」は、割と軽いタッチの印象で、そちらも好きでしたが、 今回の愛憎に満ちてやや重く暴走していくストーリーも好きでした。 また、高校生活が舞台の作品というのも、私には10年近く前の「インストール」や「蹴りたい背中」以来で、 そういう懐かしさもありつつ、新しい価値観が織り混ざって凝縮された今回の作品の良さがありました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
設定は高校時代の恋愛問題で、 主人公が「たとえ」という男子生徒に 恋愛感情を抱きながらも、なかなか距離が 縮まらないはがゆさを描いています それにしても綿矢りさは、ギャグの天才ですね 主人公が好きになる男子生徒の名前が「たとえ」だと 読んだとき、おもわず心の中で爆笑してしまいました また、糖尿病でインスリンの注射を腕ではなく、 おなかを捲し上げてする同級生の女の子にも 笑わせてもらいました 綿矢りさは、自身が何歳になっても、高校時代の 甘酸っぱい恋愛小説を書き続ければ、売れ続けると 信じますよ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新聞で角田光代さんが紹介されていたのを見て気になり購入してみました。 今まで綿矢りさの作品は「蹴りたい背中」「インストール」「勝手に震えてろ」を読んだことがありましたが、私はこの「ひらいて」を一番面白いと感じました。 舞台は高校ですが主人公の女子はお洒落で意志が強く、クラスの中でもいわゆる「いけている」人物です。その女子がクラスの「いけていない」男子に恋をしてしまい、ある夜学校に忍び込んでまで彼の机をあさると以外な事実が発覚し……といった話です。 話が二転三転していくので読んでいて飽きません。エンターテイメントの度では今までで一番高いのでは。そのうちにむき出しになっていく登場人物たちの心に胸が揺さぶられます。綿矢流の独特な比喩やレトリックも健在です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
目立たないが気になる男の子のいる教室風景。女子高校生の普遍的な光景から物語は始まる。 いけないとわかっているけど、他人の手紙を盗み読み。 さあてここから一気に物語は暴走する。 エキセントリックな登場人物が意味ありげに舞台に立ち、つられて主人公の過激な性格が発露する。 そうだよ。高校生の頃って、充実していても不満一杯でも、とにかく自分を中心に地球が回っているんだ。 練られた文章が、小説内時間の一瞬一瞬を結晶化している。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
”大好きだ、大好きだ。こんな気持ち、恋とも愛とも呼んではいけない。彼を刺し貫く想いの矢だ。”(p.125) 「さびしさは鳴る。」にやられた人は、絶対おもしろいです。 (p.87の描写が『蹴りたい背中』を思い出す!) 今回も、最初のページから素晴らしい。 ”存在するだけで私の胸を苦しくさせる人間が、この教室にいる。 さりげないしぐさで、まなざしだけで、彼は私を完全に支配する。”(p.3) 普段生活している中でなんとなく感じつつも言葉にできない感情や情景、空気などを 日本語化する綿矢の技術には本当に舌を巻く。 『インストール』の解説で高橋源一郎に 「天才」、さらに、”綿矢りさは、この「時代」と「日本語」に選ばれたのだ。”と 言わしめた極上の日本語を今作でも充分に鑑賞できます。 内容に関しては、後半にかけての疾走感が圧巻です。 前半を呼んでるうちは、このあとどうなるんだろう?と 結末を予測、な〜んてしながらゆっくり読んでいたのが、 帯にもある、「人間の根源的な愛を問う」スリリングな展開にページを繰る手が止まりませんでした。 (ラスト10ページの出来といったら、そりゃあ、もう!) 美しい日本語と、描写の繊細さ。 小説を読みながら映画を観ているような、そんな素敵な時間を過ごせました。 間違いなく、おすすめです! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新潮5月号に発表されて話題となっていた綿矢りささんの新作。雑誌発表時から著者の新境地と好評だったためか、解説など一切なく、そのままに単行本化された感じ。雑誌は入手しにくいので、このような早いスパンの単行本化は評価できる。内容は、著者が描く主人公にある、ひねくれた性格は健在だが、直接的行動に走る中に素直な愛情が感じられた。「夢を与える」「亜美ちゃんは美人」に、本作の兆しはあるのだが、著者の新境地というのは間違いないので、ファンにはより必読と思う。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!