夢を与える

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評判

夢を与えるの評価:

3.28/5点 レビュー 134件。 B ランク

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平均点3.28pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全258件 61〜80 4/13ページ
No.198
(5pt)

現代の「山月記」

私はこの本を読んで衝撃を受けました。共感できました。そして吐き気をもよおしました。作品の感想は2つほど。
第一に,作品のテーマは,「自尊心」の罪であると感じました(個人的にはこの作品は「山月記」に似ていると思います)。主人公は周りの反対を押し切り,ある男性と交際を続けます。それは,初めて彼女が自分の手で探し当てた,自分なりの答えでした。しかし彼女は若く,自分が手にしているものに価値を見いだせず,それらを振り切りました。その結果,彼女は深い後悔に至るのです。それは,自尊心の恥を知った瞬間でした(もちろん,現実の世界ではこれは成長の一過程なのですが。)。「自分らしさ」というか,プリミティブな部分が原因で,自らの評価を落としてしまうという経験は誰しもがあることではないでしょうか。作中,それがほぼ最悪といってよい状況で再現されます。これに私はしびれてしまったのでした。
第二に,綿矢りさに糾弾されている感じを受けました。筆者は,クライマックスに向けて主人公の功績を積み重ね,終盤,容赦なく,一気に,それを奪います。忠告してくれた大人たちの信頼が途切れたとき,私はとてつもない喪失感と,「大人たち」の冷酷さを味わいました。この後味の悪さについて,筆者は確信犯です。おそらく綿矢りさは,自らの作品を通して,自分の(また人間一般の)闇に対する自責の念,それへの回答を披露すると同時に,そのような感情に無関係(と筆者自身は想定している)な第三者に対する糾弾でもしたいのではないか。そんな悪魔的感想すら抱きました。
あまり万人受けする作品ではないと思います。いずれにせよ,本当に興味深く,いい意味でも悪い意味でも思い出に残る作品でした。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.197
(5pt)

現代の「山月記」

私はこの本を読んで衝撃を受けました。共感できました。そして吐き気をもよおしました。作品の感想は2つほど。
第一に,作品のテーマは,「自尊心」の罪であると感じました(個人的にはこの作品は「山月記」に似ていると思います)。主人公は周りの反対を押し切り,ある男性と交際を続けます。それは,初めて彼女が自分の手で探し当てた,自分なりの答えでした。しかし彼女は若く,自分が手にしているものに価値を見いだせず,それらを振り切りました。その結果,彼女は深い後悔に至るのです。それは,自尊心の恥を知った瞬間でした(もちろん,現実の世界ではこれは成長の一過程なのですが。)。「自分らしさ」というか,プリミティブな部分が原因で,自らの評価を落としてしまうという経験は誰しもがあることではないでしょうか。作中,それがほぼ最悪といってよい状況で再現されます。これに私はしびれてしまったのでした。
第二に,綿矢りさに糾弾されている感じを受けました。筆者は,クライマックスに向けて主人公の功績を積み重ね,終盤,容赦なく,一気に,それを奪います。忠告してくれた大人たちの信頼が途切れたとき,私はとてつもない喪失感と,「大人たち」の冷酷さを味わいました。この後味の悪さについて,筆者は確信犯です。おそらく綿矢りさは,自らの作品を通して,自分の(また人間一般の)闇に対する自責の念,それへの回答を披露すると同時に,そのような感情に無関係(と筆者自身は想定している)な第三者に対する糾弾でもしたいのではないか。そんな悪魔的感想すら抱きました。
あまり万人受けする作品ではないと思います。いずれにせよ,本当に興味深く,いい意味でも悪い意味でも思い出に残る作品でした。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.196
(3pt)

作家が受け続けてきたであろう、眼差し

著名な文学賞を最年少記録で受賞した綿矢りさ本人が、骨身に味わったであろう――或いは今以て味わうことを強いられている――世間の醜さ、その経験が反映された作品であろうことは容易に想像がつく。作家自身の姿が背後に透けて見えるようで、遣り切れなくなる。

「夢を与える」とは、【大衆規範】に則り【大衆願望】に沿って自己の生を丸ごと匿名多数に供犠することだ。他人のわがままに操られて生きるということだ。誰でもない誰かが抱く何処にもいない誰かのイメージを生きるのであるから、それは必然的に嘘となる。他者の夢から自律的に自己の生を生きようとした者に対する制裁もまた、【大衆規範】に則った【大衆願望】に沿って下されることになる。匿名多数は、自分たちの好き勝手に、憧れ、祭り上げ、こき下ろし、使い捨て、破滅させる。大衆向け玩弄物であるのだから、そこに人格があるなどと慮ってやる義理はない。寧ろ、その玩具にも人格が備わっているということで破滅させる快楽は増幅されるのであるから、人格もまた【大衆願望】に奉仕する記号でしかない。

少女の稚拙な生真面目さは、【大衆規範】の醜悪さを知り尽くしボロボロになったかのようだ。しかしP.318から、【大衆願望】の呪縛を脱ぎ取った彼女の意趣返しは見事だ。彼女の感性は、一貫して生きている。

中学時代、同級生の男の子と過ごした潮の薫るあの瑞々しい時間が、いつか彼女に再び流れることはあるだろうか。



さて、匿名多数の我々読者は、作家 綿矢りさに対して、未だに夕子が受けたのと同じ眼差しを向けていないか。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.195
(3pt)

作家が受け続けてきたであろう、眼差し

著名な文学賞を最年少記録で受賞した綿矢りさ本人が、骨身に味わったであろう――或いは今以て味わうことを強いられている――世間の醜さ、その経験が反映された作品であろうことは容易に想像がつく。作家自身の姿が背後に透けて見えるようで、遣り切れなくなる。

「夢を与える」とは、【大衆規範】に則り【大衆願望】に沿って自己の生を丸ごと匿名多数に供犠することだ。他人のわがままに操られて生きるということだ。誰でもない誰かが抱く何処にもいない誰かのイメージを生きるのであるから、それは必然的に嘘となる。他者の夢から自律的に自己の生を生きようとした者に対する制裁もまた、【大衆規範】に則った【大衆願望】に沿って下されることになる。匿名多数は、自分たちの好き勝手に、憧れ、祭り上げ、こき下ろし、使い捨て、破滅させる。大衆向け玩弄物であるのだから、そこに人格があるなどと慮ってやる義理はない。寧ろ、その玩具にも人格が備わっているということで破滅させる快楽は増幅されるのであるから、人格もまた【大衆願望】に奉仕する記号でしかない。

少女の稚拙な生真面目さは、【大衆規範】の醜悪さを知り尽くしボロボロになったかのようだ。しかしP.318から、【大衆願望】の呪縛を脱ぎ取った彼女の意趣返しは見事だ。彼女の感性は、一貫して生きている。

中学時代、同級生の男の子と過ごした潮の薫るあの瑞々しい時間が、いつか彼女に再び流れることはあるだろうか。



さて、匿名多数の我々読者は、作家 綿矢りさに対して、未だに夕子が受けたのと同じ眼差しを向けていないか。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.194
(5pt)

オカルト級に怖い

わたしは傑作だと思います。

ただ、何かがリアルすぎて怖い。

最後の場面で、夕子が記者の手首をつかむ部分なんかオカルト級に怖い。
あまりに怖すぎて、この本を読んでのちシャワーで髪を洗う瞬間が恐ろしくなってしまいました。
なぜかわらべ歌「通りゃんせ」の歌詞が思い起こされたりして…
「行きはよいよい帰りは恐い」という部分です。おお、こわ。

ネット社会の恐ろしさを描いているとも思う。
『インストール』といい、デジタルネイティブ世代の作家ならではの展開だと思う。

それに父親不在の家庭。濃密すぎる母娘の絆。
「いい子」が母親の人生を、夢を肩代わりしてしまう。
与えるべき「夢」とは母の夢でもあったのでは。
母が頑なに守ろうとし歪めてしまった「夢」を追いかけるのが、娘にとって生きる糧にされてしまった悲劇。
子役とか、アイドルを見る目が変わりそうです。

文体も素晴らしいと思います。
独特かつテンポよく、わたしは一気に読んでしまいました。

つまんないって?う〜ん。同年代の時期に読んだら、つまらなかったかも。
おばはんになって、むしろ「社会派小説」として読んだ感想なのかも。
表紙から受ける印象からはまんまと裏切られましたね。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.193
(5pt)

オカルト級に怖い

わたしは傑作だと思います。

ただ、何かがリアルすぎて怖い。

最後の場面で、夕子が記者の手首をつかむ部分なんかオカルト級に怖い。
あまりに怖すぎて、この本を読んでのちシャワーで髪を洗う瞬間が恐ろしくなってしまいました。
なぜかわらべ歌「通りゃんせ」の歌詞が思い起こされたりして…
「行きはよいよい帰りは恐い」という部分です。おお、こわ。

ネット社会の恐ろしさを描いているとも思う。
『インストール』といい、デジタルネイティブ世代の作家ならではの展開だと思う。

それに父親不在の家庭。濃密すぎる母娘の絆。
「いい子」が母親の人生を、夢を肩代わりしてしまう。
与えるべき「夢」とは母の夢でもあったのでは。
母が頑なに守ろうとし歪めてしまった「夢」を追いかけるのが、娘にとって生きる糧にされてしまった悲劇。
子役とか、アイドルを見る目が変わりそうです。

文体も素晴らしいと思います。
独特かつテンポよく、わたしは一気に読んでしまいました。

つまんないって?う〜ん。同年代の時期に読んだら、つまらなかったかも。
おばはんになって、むしろ「社会派小説」として読んだ感想なのかも。
表紙から受ける印象からはまんまと裏切られましたね。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.192
(2pt)

残念

本はあまり読まないのでわかってないと言われればそれまでですがつまらなかったです。
出版社とか周りが直させないのでしょうか。
とりあえずある程度は売れるだろうという感じで出しちゃったんですかね。
逆に、まんまと他の作品も読んでみたくなりました。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.191
(2pt)

残念

本はあまり読まないのでわかってないと言われればそれまでですがつまらなかったです。
出版社とか周りが直させないのでしょうか。
とりあえずある程度は売れるだろうという感じで出しちゃったんですかね。
逆に、まんまと他の作品も読んでみたくなりました。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.190
(2pt)

あまりにも古臭くて、寒い。

こんなに長い文章、ご本人は書いてて退屈じゃなかったかな…?
…などと、ふと顔を上げて考えてしまうくらい、読んでて退屈で退屈でしかたがなかった。
飛ばし飛ばしで一応は結末まで読んだが再び手に取る気にはなれない。

今では芸能界の裏事情を垣間見せつつ売るのが常套手段となってるし、近年はホームページからブログ、ツイッターへと、芸能人自らが生の声(文章)で情報発信できるようになった。
本書を読みながら、一体この作者は何年生まれで、この物語の年代設定はいつなのかと、ずっと「?」が頭の中をぐるぐるしていた。登場人物のネーミングも、白人とのハーフという設定も、主人公が所属するユニット名とか…モデルは1980年代なのだろうか?、とにかく古臭くて、もう読んでて寒くて寒くて…。

著者はモーニング娘。のOGや宇多田ヒカルさんと近い年齢じゃなかろうか?
芥川賞作家ならどんな芸能人にも取材できたろうし、自分と同世代のアイドルやタレント、その仕掛け人たる事務所や養成スクール、家族や兄弟などに、たくさん会って話を伺う…取材をしたのだろうか?
同世代の芸能人の口調やファッション、私生活、悩みや夢、そういった諸々を作品に反映させればよかったのに。女性誌やネットのゴシップ記事に負けないくらい、小説の内容も過激にしろというわけじゃないのに…。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.189
(2pt)

あまりにも古臭くて、寒い。

こんなに長い文章、ご本人は書いてて退屈じゃなかったかな…?
…などと、ふと顔を上げて考えてしまうくらい、読んでて退屈で退屈でしかたがなかった。
飛ばし飛ばしで一応は結末まで読んだが再び手に取る気にはなれない。

今では芸能界の裏事情を垣間見せつつ売るのが常套手段となってるし、近年はホームページからブログ、ツイッターへと、芸能人自らが生の声(文章)で情報発信できるようになった。
本書を読みながら、一体この作者は何年生まれで、この物語の年代設定はいつなのかと、ずっと「?」が頭の中をぐるぐるしていた。登場人物のネーミングも、白人とのハーフという設定も、主人公が所属するユニット名とか…モデルは1980年代なのだろうか?、とにかく古臭くて、もう読んでて寒くて寒くて…。

著者はモーニング娘。のOGや宇多田ヒカルさんと近い年齢じゃなかろうか?
芥川賞作家ならどんな芸能人にも取材できたろうし、自分と同世代のアイドルやタレント、その仕掛け人たる事務所や養成スクール、家族や兄弟などに、たくさん会って話を伺う…取材をしたのだろうか?
同世代の芸能人の口調やファッション、私生活、悩みや夢、そういった諸々を作品に反映させればよかったのに。女性誌やネットのゴシップ記事に負けないくらい、小説の内容も過激にしろというわけじゃないのに…。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.188
(2pt)

作家は読者に何でも与えられるが

オリンピックメダリストがインタビューで、
「国民の皆さんに感動を与えられた・・・」云々と言っていたのを聞いて(記憶あいまいです)、
その言葉の持つ、嫌らしさというか、押し付けがましい感じに引っかかった。
本人はそんなニュアンス込めてないんでしょうけど。
コメント慣れしてないから、”国民向けの”言葉を知らなかっただけなのか。。
とにかく、とんでもなく距離感・上下感を意識させる、この言葉。

芸能界で美少女タレントとしてブレイクしてしまった夕子の、
借り物のモチベーションというかお題目となっている言葉です。

最近もよくテレビで、幼い年齢の子役さんを見かけます、
その純粋培養っぷりと、大人の世界での立ち居振る舞いに、ゾッとするような事も。。
そんな人を化かすことが当たり前の世界で、
見た目美しい少女が何を思い、仕事をし、恋愛をし、転落していくのかを描いてます。プロットは結構単純。
芸能界という、特殊なひとつの舞台を描くのに終始追われて、あまり胸を打つ心理描写がなかった。
個人的には、むしろ両親を主人公にしたほうが、面白くなったかもなと。

彼女自身、芥川賞作家となり、作品が多くの人々に”消費”されるようになったわけで、
この距離感を掴みかねていた時期の作品なのかな。
やはり、何を書きたいのか、何を読者に与えたいのか、悩んでスランプ状態になってたと思わせる作品。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.187
(2pt)

作家は読者に何でも与えられるが

オリンピックメダリストがインタビューで、
「国民の皆さんに感動を与えられた・・・」云々と言っていたのを聞いて(記憶あいまいです)、
その言葉の持つ、嫌らしさというか、押し付けがましい感じに引っかかった。
本人はそんなニュアンス込めてないんでしょうけど。
コメント慣れしてないから、”国民向けの”言葉を知らなかっただけなのか。。
とにかく、とんでもなく距離感・上下感を意識させる、この言葉。

芸能界で美少女タレントとしてブレイクしてしまった夕子の、
借り物のモチベーションというかお題目となっている言葉です。

最近もよくテレビで、幼い年齢の子役さんを見かけます、
その純粋培養っぷりと、大人の世界での立ち居振る舞いに、ゾッとするような事も。。
そんな人を化かすことが当たり前の世界で、
見た目美しい少女が何を思い、仕事をし、恋愛をし、転落していくのかを描いてます。プロットは結構単純。
芸能界という、特殊なひとつの舞台を描くのに終始追われて、あまり胸を打つ心理描写がなかった。
個人的には、むしろ両親を主人公にしたほうが、面白くなったかもなと。

彼女自身、芥川賞作家となり、作品が多くの人々に”消費”されるようになったわけで、
この距離感を掴みかねていた時期の作品なのかな。
やはり、何を書きたいのか、何を読者に与えたいのか、悩んでスランプ状態になってたと思わせる作品。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.186
(3pt)

著者と重なる

著者の作品はほとんど読んでいますが、
この『夢を与える』は、注目された芥川賞受賞、
その容姿と若さから「アイドル女流作家」みたいなイメージを押しつけられて
メディアに追いかけまわされたり、ストーカーまがいのファンがいたりという
自らの状況とどこか重ねて書いたのではないかと思ってしまった。
(本人は主人公=自分説は完全に否定している)

作家の心理はなかなか分からないが、
自分の心の状態が反映されてしまうものなのではないか。
どうしようもなく落ち込んでいる時に、「青春爆笑小説」を書けるものなのか?
と考えると、この時期著者も悩んでいたのかもしれないと思う。

女子高生のうっ屈した日常というだけでなく、
両親の状況、社会、会社、世間といったものがからんで
見渡す場所が学校と家以外に増えた分、どこか魅惑的な
「学校に閉じ込められた気になっている少女たち」の
微妙な心理が、前作、全前作に比べると上手く描かれていない。
それが、これまで読んだものと比べて魅力減、になっているように思う。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.185
(3pt)

著者と重なる

著者の作品はほとんど読んでいますが、
この『夢を与える』は、注目された芥川賞受賞、
その容姿と若さから「アイドル女流作家」みたいなイメージを押しつけられて
メディアに追いかけまわされたり、ストーカーまがいのファンがいたりという
自らの状況とどこか重ねて書いたのではないかと思ってしまった。
(本人は主人公=自分説は完全に否定している)

作家の心理はなかなか分からないが、
自分の心の状態が反映されてしまうものなのではないか。
どうしようもなく落ち込んでいる時に、「青春爆笑小説」を書けるものなのか?
と考えると、この時期著者も悩んでいたのかもしれないと思う。

女子高生のうっ屈した日常というだけでなく、
両親の状況、社会、会社、世間といったものがからんで
見渡す場所が学校と家以外に増えた分、どこか魅惑的な
「学校に閉じ込められた気になっている少女たち」の
微妙な心理が、前作、全前作に比べると上手く描かれていない。
それが、これまで読んだものと比べて魅力減、になっているように思う。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.184
(4pt)

ありふれたエゴイズム

母親のエゴイズムと、そのエゴイズムの犠牲となった娘。
しかしその娘も愚かで、とくに読者の憐れみを誘うようには描かれていない。
私はこの小説を、母性神話(無償の愛を子供にそそぐ、とか)へのアンチテーゼ小説として読みました。

筋で言うと「芸能界残酷物語」なので、たしかに平凡ですが、作者はありふれた悲劇を、淡々と書こうとしたのだと思います。
筋も別に面白くはないし、主人公に感情移入したり、主人公がこの先どうなるんだろうと心配させれるように書かれてない(作者はあえてそうしていると思います)ので、確かに面白くはないけど、母性神話への堂々たる挑戦として、読後はおもしろいもの読んだ―という満足できました。
星4つにしたのは、「蹴りたい背中」とかに比べると、読むのにエネルギーが要ったから。
綿矢りささんは、最年少芥川賞受賞作家で、端麗な容姿もあいまって、話題になったけど、彼女の書く小説は相当ダークだと思います。
ちなみにタイトルの「夢を与える」は、完全なアイロニーです。この本を読む前に「インストール」と「蹴りたい背中」を読んでいた自分は、読み始める前から、きっとダークな、世の中の常識や思いこみに対して一太刀浴びせる内容だろうなーと思ってたら、当たってました。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.183
(4pt)

ありふれたエゴイズム

母親のエゴイズムと、そのエゴイズムの犠牲となった娘。
しかしその娘も愚かで、とくに読者の憐れみを誘うようには描かれていない。
私はこの小説を、母性神話(無償の愛を子供にそそぐ、とか)へのアンチテーゼ小説として読みました。

筋で言うと「芸能界残酷物語」なので、たしかに平凡ですが、作者はありふれた悲劇を、淡々と書こうとしたのだと思います。
筋も別に面白くはないし、主人公に感情移入したり、主人公がこの先どうなるんだろうと心配させれるように書かれてない(作者はあえてそうしていると思います)ので、確かに面白くはないけど、母性神話への堂々たる挑戦として、読後はおもしろいもの読んだ―という満足できました。
星4つにしたのは、「蹴りたい背中」とかに比べると、読むのにエネルギーが要ったから。
綿矢りささんは、最年少芥川賞受賞作家で、端麗な容姿もあいまって、話題になったけど、彼女の書く小説は相当ダークだと思います。
ちなみにタイトルの「夢を与える」は、完全なアイロニーです。この本を読む前に「インストール」と「蹴りたい背中」を読んでいた自分は、読み始める前から、きっとダークな、世の中の常識や思いこみに対して一太刀浴びせる内容だろうなーと思ってたら、当たってました。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.182
(3pt)

不徹底な主人公像

作者の本は、
『蹴りたい背中』『インストール』と本作品で三冊読みました。
その中では、作家としての技量が最も熟しているように感じました。

ただ皆さん仰るように、描き尽くされた設定です。

私が残念だったのは、物語の初頭より主人公の破滅が読めているわけで、それでも最後まで読んだのは、主人公が割と聡明な観念を時折披露するからです。

以下ネタバレします。

にも関わらず、主人公は自分のセックスを初対面の人間に撮影させるような愚かな事件を起こす、全くのシラフで! それはあり得ないだろうと。

作者は、自身の賢さを主人公に反映させてしまったのか、それゆえ、愚かな主人公を描ききれなかったように思います。

また、大人を描くことはできていませんね、親がいつまでも三十代みたいでした。

賢い二十代女性の葛藤を描けば本領発揮できるはずで、背伸びをしないで、今しか描けないものを描いたほうがいいと思いました。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.181
(3pt)

不徹底な主人公像

作者の本は、
『蹴りたい背中』『インストール』と本作品で三冊読みました。
その中では、作家としての技量が最も熟しているように感じました。

ただ皆さん仰るように、描き尽くされた設定です。

私が残念だったのは、物語の初頭より主人公の破滅が読めているわけで、それでも最後まで読んだのは、主人公が割と聡明な観念を時折披露するからです。

以下ネタバレします。

にも関わらず、主人公は自分のセックスを初対面の人間に撮影させるような愚かな事件を起こす、全くのシラフで! それはあり得ないだろうと。

作者は、自身の賢さを主人公に反映させてしまったのか、それゆえ、愚かな主人公を描ききれなかったように思います。

また、大人を描くことはできていませんね、親がいつまでも三十代みたいでした。

賢い二十代女性の葛藤を描けば本領発揮できるはずで、背伸びをしないで、今しか描けないものを描いたほうがいいと思いました。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789
No.180
(5pt)

夢を与える

一人の人間の内面をひたすら掘り下げていく小説としてとにかく圧巻、重量級。面白い。

「蹴りたい背中」ではクラスメイトという狭く深い人間関係を描いたのとは逆。本作では幼くして芸能界という広く浅い人間関係に晒され続けた少女の内面の変遷をこれでもかと綴っている。大人社会に早くから馴染んでしまったためか、主人公の夕子の芸能界に群がる人たちや同年代のクラスメイトに当てられるまなざしは冷め切っている。中学生にして、未熟な新人の必死さを鬱陶しがるベテランの域に達しているのだ。それが後半、恋を経験してしまうことで、逆にそれまでの自分を見失って芸ができなくなり、脱落していくのがハイライト。前半と打って変わって性描写一色となる。どん底に落ちる中、クラスメイトの家を何年ぶりに訪れるも引越しで果たせないという寂しいエピソードがいい。

前作まであった過剰に文学的な表現は抑えて、綿密かつ執拗な心理描写に集中している。それは正解だと思う。一文一文が面白いのでつい先を読まされる。取材と掘り下げに長い時間がかかったんだろうなと感じさせるし、綿矢りさ、が書くこと自体にも意味がある。読み終わった後にタイトルがすべてをみごとに要約していて、思わず涙した。

近著の「かわいそうだね」では浮気を友情と正当化する男と女の対決、自分に対して興味を抱かない男にベタぼれしてしまう女、という本書でも披露されているプロットがよりエンターテイメントの形で掘り下げられていて、それも面白かった。
夢を与える Amazon書評・レビュー: 夢を与えるより
4309018041
No.179
(5pt)

夢を与える

一人の人間の内面をひたすら掘り下げていく小説としてとにかく圧巻、重量級。面白い。

「蹴りたい背中」ではクラスメイトという狭く深い人間関係を描いたのとは逆。本作では幼くして芸能界という広く浅い人間関係に晒され続けた少女の内面の変遷をこれでもかと綴っている。大人社会に早くから馴染んでしまったためか、主人公の夕子の芸能界に群がる人たちや同年代のクラスメイトに当てられるまなざしは冷め切っている。中学生にして、未熟な新人の必死さを鬱陶しがるベテランの域に達しているのだ。それが後半、恋を経験してしまうことで、逆にそれまでの自分を見失って芸ができなくなり、脱落していくのがハイライト。前半と打って変わって性描写一色となる。どん底に落ちる中、クラスメイトの家を何年ぶりに訪れるも引越しで果たせないという寂しいエピソードがいい。

前作まであった過剰に文学的な表現は抑えて、綿密かつ執拗な心理描写に集中している。それは正解だと思う。一文一文が面白いのでつい先を読まされる。取材と掘り下げに長い時間がかかったんだろうなと感じさせるし、綿矢りさ、が書くこと自体にも意味がある。読み終わった後にタイトルがすべてをみごとに要約していて、思わず涙した。

近著の「かわいそうだね」では浮気を友情と正当化する男と女の対決、自分に対して興味を抱かない男にベタぼれしてしまう女、という本書でも披露されているプロットがよりエンターテイメントの形で掘り下げられていて、それも面白かった。
夢を与える (河出文庫) Amazon書評・レビュー: 夢を与える (河出文庫)より
4309411789