忘れられた巨人

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評判

忘れられた巨人の評価:

3.88/5点 レビュー 139件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.88pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全267件 201〜220 11/14ページ
No.67
(2pt)

訳にガッカリ

50〜60代くらいの人が昔使ってた若者言葉みたいなのが時々出てきて、小説の時代に合わない。ノリも軽い。内容と訳のテンポが一致しなくて途中で投げ出した
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.66
(2pt)

訳にガッカリ

50〜60代くらいの人が昔使ってた若者言葉みたいなのが時々出てきて、小説の時代に合わない。ノリも軽い。内容と訳のテンポが一致しなくて途中で投げ出した
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.65
(2pt)

娯楽作品としては微妙

この作品はある程度の「予備知識」が必要になっています。
そしてそれは「普通の日本人」にはまずないものでやはり
イギリス(およびその周辺、もしくは嗜好者)向けの作品と言えるでしょう。

加えて情報の小出しや未出等も散見されるため物語にすんなりと入り込めません。
通常この手の作品は種明かしの段階でカタルシスを得られるのが醍醐味ですが、
本作品にはそういった楽しみは望むべくもない。

タイトルの意味も抽象的なものであり言葉通りの「巨人」でないことに肩透かしを食らいました。
テーマや作風も全体的に暗く日本人には受けが良くないでしょうね。
と言うかテーマが定まらない印象が強く読後感はスッキリしません。
結局オチも投げっぱなしな終わり方となっています。

例え暇でも読むことはお薦めしません。 ガッカリするだけでしょう。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.64
(2pt)

娯楽作品としては微妙

この作品はある程度の「予備知識」が必要になっています。
そしてそれは「普通の日本人」にはまずないものでやはり
イギリス(およびその周辺、もしくは嗜好者)向けの作品と言えるでしょう。

加えて情報の小出しや未出等も散見されるため物語にすんなりと入り込めません。
通常この手の作品は種明かしの段階でカタルシスを得られるのが醍醐味ですが、
本作品にはそういった楽しみは望むべくもない。

タイトルの意味も抽象的なものであり言葉通りの「巨人」でないことに肩透かしを食らいました。
テーマや作風も全体的に暗く日本人には受けが良くないでしょうね。
と言うかテーマが定まらない印象が強く読後感はスッキリしません。
結局オチも投げっぱなしな終わり方となっています。

例え暇でも読むことはお薦めしません。 ガッカリするだけでしょう。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.63
(3pt)

邦題「忘れられた巨人」について

巨人の正体が分かってみると「忘れられた」という形容が、しっくりしないように感じた。「忘れられた」には「覚えておかれるべき」が
くっついてしまうように感じるのです。原語どおりの「葬られた」の方が良いのではないだろうか。「葬られた巨人」。
「覚えておかれるべき忘れられた巨人」ではなく「白日の下に曝されるべき葬られた巨人」。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.62
(3pt)

邦題「忘れられた巨人」について

巨人の正体が分かってみると「忘れられた」という形容が、しっくりしないように感じた。「忘れられた」には「覚えておかれるべき」が
くっついてしまうように感じるのです。原語どおりの「葬られた」の方が良いのではないだろうか。「葬られた巨人」。
「覚えておかれるべき忘れられた巨人」ではなく「白日の下に曝されるべき葬られた巨人」。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.61
(2pt)

同じ作者なのに

「日の名残り」はとても良かったのに・・・。この本にはその良さがありませんでした。 「わたしを離さないで」もダメでした。同じ作者の作品とは思えません。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.60
(2pt)

同じ作者なのに

「日の名残り」はとても良かったのに・・・。この本にはその良さがありませんでした。 「わたしを離さないで」もダメでした。同じ作者の作品とは思えません。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.59
(2pt)

これは失敗ではないだろうか

わたしを離さないでと比較した場合、明らかに劣る。雰囲気はいいが、それだけという感じだ。途中から展開もダラダラになり、読むのがしんどかった。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.58
(2pt)

これは失敗ではないだろうか

わたしを離さないでと比較した場合、明らかに劣る。雰囲気はいいが、それだけという感じだ。途中から展開もダラダラになり、読むのがしんどかった。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.57
(4pt)

記憶を呼び戻す旅は是か非か

カズオ・イシグロは書く度に異なった作風を発表してきた。『私を離さないで』から10年、イシグロは新しい作風で読者を驚かせた。『忘れられた巨人』は、中世のイングランドを舞台に、鬼や龍、勇者、騎士などが登場し、主人公たちが旅するファンタジー風で寓意が散りばめられた小説だ。
 だが主人公が老夫婦という設定からして、一般的なファンタジーとは違う。老夫婦は息子を訪ねて旅に出る。それは記憶を訪ねる旅でもある。何とも穏やかに慈しみあう二人の旅は幾度もの苦難に遭遇する。
 この国の人々は皆、眠れる龍の吐く霧によって大事なものを忘却している。龍を対峙せんとする勇者と、それを阻もうとする者。支配者は何を望み、民は何に期待するのか。すべてを失った老夫婦の末路はいかが。小説に結論は無い。読者の想像力だけが結果を導く。
 忘れることは是か非か。過去の侵略や殺戮、裏切りと略奪は忘れるべきだろうか。個人の記憶の回復は、民族の記憶に繋がる。記憶の回復は愛を取り戻すのか、それとも引き裂くのか。記憶なき平和は本物だろうか。そもそも記憶とは何か? 死とは何か?
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.56
(4pt)

記憶を呼び戻す旅は是か非か

カズオ・イシグロは書く度に異なった作風を発表してきた。『私を離さないで』から10年、イシグロは新しい作風で読者を驚かせた。『忘れられた巨人』は、中世のイングランドを舞台に、鬼や龍、勇者、騎士などが登場し、主人公たちが旅するファンタジー風で寓意が散りばめられた小説だ。
 だが主人公が老夫婦という設定からして、一般的なファンタジーとは違う。老夫婦は息子を訪ねて旅に出る。それは記憶を訪ねる旅でもある。何とも穏やかに慈しみあう二人の旅は幾度もの苦難に遭遇する。
 この国の人々は皆、眠れる龍の吐く霧によって大事なものを忘却している。龍を対峙せんとする勇者と、それを阻もうとする者。支配者は何を望み、民は何に期待するのか。すべてを失った老夫婦の末路はいかが。小説に結論は無い。読者の想像力だけが結果を導く。
 忘れることは是か非か。過去の侵略や殺戮、裏切りと略奪は忘れるべきだろうか。個人の記憶の回復は、民族の記憶に繋がる。記憶の回復は愛を取り戻すのか、それとも引き裂くのか。記憶なき平和は本物だろうか。そもそも記憶とは何か? 死とは何か?
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.55
(3pt)

最後まで読むべし

最後のほうまできつい。
イシグロ節である「噛みあわない登場人物の会話」
と、「読者に嘘をつく登場人物」は、「日の名残り」などではものすごい効果的だったが、
今回の設定では逆効果。
なにしろ「霧が記憶を奪う世界」で、メインが老夫婦と老騎士(ガウェイン)。
これで噛みあわない会話と、読者に嘘までやられるので、もう痴呆症レベルの?が連続する。
この人なんでここにいる? 過去に何があったの? いったい何を話しているの?
この人この立場で、なんでこんな思考形状しているの?

納得できない。
いろんなことが。

明らかに無意味な過去へのカットバック。
物語の核心には触れてこない断片。

いらつくのだ。
いろいろ。

特にいらつくのはガウェインの思考で、クエリグをいつまでも倒さずに、
「わしが勇敢ではないなどといえるのか」などと自己弁護を延々と繰り返しながら
なぜクエリグを倒さ(せ)ないのかは読者に明かさないというのはきつい。

息子の村に行くだけの老夫婦が、ひたすら寄り道して竜退治の目撃に至るのも、
強引。鬼退治の村人の若い衆が、いったい何にどうされて竜への案内人になったのかも不明瞭。
竜はずっと岩穴で寝ていたんだよね? 死にかけ状態で。

しかし、最後には一応、多くの謎は開示されるのである、
そして読み終えた後は、なにかしんみりとして、余韻があるのである。
哀しいとも、寂しいともつかぬ、多くの隠喩が暗示したものに思いをはせずにはいられず、

美しいものを読んだ、

と感じてしまう。
途中と、読了では、評価が変わる物語だ。
霧が晴れる。少なくとも半分ぐらいは。

最後まで読むべきである。

しかし、この余韻をもってしても、
全体として、「よくできている」とはどうしても思えなかった。
非常に不思議な小説である。
超退屈な映画を観ているんだが、最後まで見たら放心したみたいな感じ。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.54
(3pt)

最後まで読むべし

最後のほうまできつい。
イシグロ節である「噛みあわない登場人物の会話」
と、「読者に嘘をつく登場人物」は、「日の名残り」などではものすごい効果的だったが、
今回の設定では逆効果。
なにしろ「霧が記憶を奪う世界」で、メインが老夫婦と老騎士(ガウェイン)。
これで噛みあわない会話と、読者に嘘までやられるので、もう痴呆症レベルの?が連続する。
この人なんでここにいる? 過去に何があったの? いったい何を話しているの?
この人この立場で、なんでこんな思考形状しているの?

納得できない。
いろんなことが。

明らかに無意味な過去へのカットバック。
物語の核心には触れてこない断片。

いらつくのだ。
いろいろ。

特にいらつくのはガウェインの思考で、クエリグをいつまでも倒さずに、
「わしが勇敢ではないなどといえるのか」などと自己弁護を延々と繰り返しながら
なぜクエリグを倒さ(せ)ないのかは読者に明かさないというのはきつい。

息子の村に行くだけの老夫婦が、ひたすら寄り道して竜退治の目撃に至るのも、
強引。鬼退治の村人の若い衆が、いったい何にどうされて竜への案内人になったのかも不明瞭。
竜はずっと岩穴で寝ていたんだよね? 死にかけ状態で。

しかし、最後には一応、多くの謎は開示されるのである、
そして読み終えた後は、なにかしんみりとして、余韻があるのである。
哀しいとも、寂しいともつかぬ、多くの隠喩が暗示したものに思いをはせずにはいられず、

美しいものを読んだ、

と感じてしまう。
途中と、読了では、評価が変わる物語だ。
霧が晴れる。少なくとも半分ぐらいは。

最後まで読むべきである。

しかし、この余韻をもってしても、
全体として、「よくできている」とはどうしても思えなかった。
非常に不思議な小説である。
超退屈な映画を観ているんだが、最後まで見たら放心したみたいな感じ。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.53
(5pt)

一は全、全は一

“Never Let Me Go”でも一定の、ある意味安定したトーンでストーリーは進んで行きましたが、
今回の“The Buried Giant”もイギリスの天候を思わせるようなグレーで且つ深緑色の雰囲気の中に私を引き込んでくれました。
ファンタジーということでドラゴンクエストのようなものを想像してしまって少し読むのをためらっていたのですが、
一度読み始めると小野不由美著の「十二国記」のように世界観の構成と表現にためらいがなく、
現実世界ではないはずなのに本当は歴史上そうであったのかもしれないと錯覚してしまうくらいで、仕上げるのに10年かけただけはあるなぁと感じました。

巨人といいながら本の中には“巨人”は出てきません。Giantはこの本での大切なメタファーになります。
本の登場人物はみなそれぞれの理由でそれぞれのGiantに執着し、忘れ(ようとして)、そして時の中に埋めてきました。
Giantは時には偉大なるアーサー王であり、クエリグ竜であり、老夫婦の寂しさであり、戦士のアイデンティティーでもあり少年の母でもあります。
しかしそれだけでは終わりません。漫画“鋼の錬金術師”の「一は全、全は一」を彷彿させるように
Giantは個人の中だけで完結せず周りの人、世界にも関わってくるのです。

そして最後のアクセルの表現は著者から私たちへの問いかけのような気がしました。
それは現実世界にいる私たちへ「あなたならどうですか?憎しみや復讐心を思い出してしまったとき、
遠い昔のことだったとしても全てを忘れて(許して)今これからも平穏に過ごしていけますか?」というような・・・。
船頭の横を何も言わずに進んでいったアクセルの表情はどうだったのか、どんな思いを抱いていたのか。
ベアトリスへの愛は霧が晴れたあとも変わらなかったのか。
一途で無邪気な二人の愛が本当のハッピーエンドで終わらないだろうと感じ始めた時から
心がざわつき、読後は目に涙が滲んでいました。
読んで数日は心の中にこの本に閉じ込められている様々な思いに魅入られてしまう作品でした。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.52
(5pt)

一は全、全は一

“Never Let Me Go”でも一定の、ある意味安定したトーンでストーリーは進んで行きましたが、
今回の“The Buried Giant”もイギリスの天候を思わせるようなグレーで且つ深緑色の雰囲気の中に私を引き込んでくれました。
ファンタジーということでドラゴンクエストのようなものを想像してしまって少し読むのをためらっていたのですが、
一度読み始めると小野不由美著の「十二国記」のように世界観の構成と表現にためらいがなく、
現実世界ではないはずなのに本当は歴史上そうであったのかもしれないと錯覚してしまうくらいで、仕上げるのに10年かけただけはあるなぁと感じました。

巨人といいながら本の中には“巨人”は出てきません。Giantはこの本での大切なメタファーになります。
本の登場人物はみなそれぞれの理由でそれぞれのGiantに執着し、忘れ(ようとして)、そして時の中に埋めてきました。
Giantは時には偉大なるアーサー王であり、クエリグ竜であり、老夫婦の寂しさであり、戦士のアイデンティティーでもあり少年の母でもあります。
しかしそれだけでは終わりません。漫画“鋼の錬金術師”の「一は全、全は一」を彷彿させるように
Giantは個人の中だけで完結せず周りの人、世界にも関わってくるのです。

そして最後のアクセルの表現は著者から私たちへの問いかけのような気がしました。
それは現実世界にいる私たちへ「あなたならどうですか?憎しみや復讐心を思い出してしまったとき、
遠い昔のことだったとしても全てを忘れて(許して)今これからも平穏に過ごしていけますか?」というような・・・。
船頭の横を何も言わずに進んでいったアクセルの表情はどうだったのか、どんな思いを抱いていたのか。
ベアトリスへの愛は霧が晴れたあとも変わらなかったのか。
一途で無邪気な二人の愛が本当のハッピーエンドで終わらないだろうと感じ始めた時から
心がざわつき、読後は目に涙が滲んでいました。
読んで数日は心の中にこの本に閉じ込められている様々な思いに魅入られてしまう作品でした。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.51
(4pt)

一人で生きよ、と言うか。

忘却がもたらしたあいまいな平安を、真実が打ちのめす。かすかな不満で結ばれた協定は、過去が暴き出されるとともに粉々に粉砕される。
それでも歴史を背負って、私たちは苦しみ続けなくてはならないのか。世界的に民族主義が高まり、宗教も先鋭化している。そうして私たちは自らお互いを遠ざけながら時代を進まなくてはならないのか。孤独と不安に立ちすくむ結末だった。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.50
(4pt)

一人で生きよ、と言うか。

忘却がもたらしたあいまいな平安を、真実が打ちのめす。かすかな不満で結ばれた協定は、過去が暴き出されるとともに粉々に粉砕される。
それでも歴史を背負って、私たちは苦しみ続けなくてはならないのか。世界的に民族主義が高まり、宗教も先鋭化している。そうして私たちは自らお互いを遠ざけながら時代を進まなくてはならないのか。孤独と不安に立ちすくむ結末だった。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.49
(5pt)

忘れられた巨人とは? カズオ・イシグロの世界は深い

先日、BSでカズオ・イシグロの出版記念講演会を観た。
カズオ・イシグロは好きな作家だから、遅い時間だったが、
頑張って起きて観た。本当に良かった!

丁寧に考えながら彼が話すのを聴いて、今、この作品を読むと、語り口そのものが、
文章となっていたのだと感じさせられて読んだ。

記憶が薄れていく世界で、老夫婦の旅が始まる。
彼らの過去は語られず、不確かに、でも居ると思っている息子を
訪ねて村を出ていく。年老いた二人は集落で孤立していた。
だから、息子の村の場所さえ確かではないのに訪ねようと決心する。

そういう心を決める事も、記憶が薄れゆく、もやっとした世界では、
中々決められなかったのだが、ようやく旅立つことになる。

彼らの旅に、アーサー王の騎士ガウェインが登場し、ウェスティンという、
サクソン人の騎士と出会うと、旅の様子が、目的も変わってくる。

出会いの都度、彼らの旅は困難になり、息子の村は遠ざかるかのよう。
息をつくと息子は思い出されるが、目の前の難題に向き合わなくて
はならないし、それを解決することも、もはや無理だとさえ思わされる。

途中で行き会った老婆たちの話が妙に記憶に刻まれる。
「島へは一人しか渡れない。夫婦の愛を確かめられる。
本当に二人が愛し合っているかを、渡し守が試すのだと言う。」

記憶を消していた竜を退治すると、サクソン人とブリトン人の
戦いが呼び起される。アーサー王が守ろうとしていたものは、
何だったのか。

老夫婦がたどり着いた渡し場では、渡し守が待っている。
小舟は小さく弱った妻を先に一人で乗せるしかない。
霧がはれてくると、記憶はよみがえり、訪ねようとしていた息子は思い出の中にいる。
夫は岸辺に立って妻の乗る船を見送る。すぐに行くからと声をかけて。

人の記憶とは何か?
人は忘れることで生きているのかもしれない。

何もかもが鮮明に記憶されていたら、苦しくていたたまれないかも。

この作品はアーサー王伝説やイギリスの歴史を、
こういった物語に組み込んで、人間とは?や年を取っていく事への
怖れや悲しみをつづっている。

カズオ・イシグロは巧みな書き手だと思う。
本人も言っている様に、前作とは全く違った設定でありながら、
彼の作品に共通の、人間が生きる事への温かいまなざしがある。
それは、厳しい人間観察の上で書かれているのだろう。
久しぶりに物語の世界に没頭した。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.48
(5pt)

忘れられた巨人とは? カズオ・イシグロの世界は深い

先日、BSでカズオ・イシグロの出版記念講演会を観た。
カズオ・イシグロは好きな作家だから、遅い時間だったが、
頑張って起きて観た。本当に良かった!

丁寧に考えながら彼が話すのを聴いて、今、この作品を読むと、語り口そのものが、
文章となっていたのだと感じさせられて読んだ。

記憶が薄れていく世界で、老夫婦の旅が始まる。
彼らの過去は語られず、不確かに、でも居ると思っている息子を
訪ねて村を出ていく。年老いた二人は集落で孤立していた。
だから、息子の村の場所さえ確かではないのに訪ねようと決心する。

そういう心を決める事も、記憶が薄れゆく、もやっとした世界では、
中々決められなかったのだが、ようやく旅立つことになる。

彼らの旅に、アーサー王の騎士ガウェインが登場し、ウェスティンという、
サクソン人の騎士と出会うと、旅の様子が、目的も変わってくる。

出会いの都度、彼らの旅は困難になり、息子の村は遠ざかるかのよう。
息をつくと息子は思い出されるが、目の前の難題に向き合わなくて
はならないし、それを解決することも、もはや無理だとさえ思わされる。

途中で行き会った老婆たちの話が妙に記憶に刻まれる。
「島へは一人しか渡れない。夫婦の愛を確かめられる。
本当に二人が愛し合っているかを、渡し守が試すのだと言う。」

記憶を消していた竜を退治すると、サクソン人とブリトン人の
戦いが呼び起される。アーサー王が守ろうとしていたものは、
何だったのか。

老夫婦がたどり着いた渡し場では、渡し守が待っている。
小舟は小さく弱った妻を先に一人で乗せるしかない。
霧がはれてくると、記憶はよみがえり、訪ねようとしていた息子は思い出の中にいる。
夫は岸辺に立って妻の乗る船を見送る。すぐに行くからと声をかけて。

人の記憶とは何か?
人は忘れることで生きているのかもしれない。

何もかもが鮮明に記憶されていたら、苦しくていたたまれないかも。

この作品はアーサー王伝説やイギリスの歴史を、
こういった物語に組み込んで、人間とは?や年を取っていく事への
怖れや悲しみをつづっている。

カズオ・イシグロは巧みな書き手だと思う。
本人も言っている様に、前作とは全く違った設定でありながら、
彼の作品に共通の、人間が生きる事への温かいまなざしがある。
それは、厳しい人間観察の上で書かれているのだろう。
久しぶりに物語の世界に没頭した。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369