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楽園への道
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楽園への道の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 21~26 2/2ページ
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家族を捨ててタヒチへ渡り、少女との淫行を重ね、キリスト教を批判し、芸術作品を書いたゴーギャン。 夫を捨てて(当時はそれだけで罪)、女性解放運動、労働組合組織という運動に身を投じる(当時はキリスト教会を超える集団をつくろうとしただけで罪)フローラ・トリスタン。彼らは孫と祖々母の関係である。 彼らに共通しているのは、「まわりの空気を読めないこと」−反社会性といった方がいいかな−。しかし、どちらもそうだが、彼らの足跡は燦然と輝く。「彼らにとって大切なものは、祖国ではなく人類だった。彼らにとって正義と自由は単にフランス人のためのものではなく、人類のためだった」 彼らの考えは当時の習慣にとらわれず、普遍的だった。だから、苦悩も大きい。 文学として思いテーマを描きながらも、場面展開がはやくストーリーもしっかりしている、質のよい映画を見ているような感覚になる。リサーチのために、タヒチにも行っているようで、タヒチ文化の描写も詳しい。人物描写もすばらしい−ときどきでる二人称がひきたててくれる−。歴史小説として読んでも質が高い(大半はフィクションらしいが)。 「文学全集」の固いイメージにとらわれず、エンターテイメント性の高い小説として軽い気持ちで読むことができました。 | ||||
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とにかく面白かったです。 個人的にはガルシア=マルケスの「百年の孤独」より、こちらの方が断然好きです。 ゴーギャンとフローラ・トリスタンの夢見る楽園は、全く別の種類ですが、 どちらも自分の人生に情熱を持って生きていたんだと実感できました。 フローラ・トリスタンのエピソードは、歴史の重みを感じ、 ゴーギャンのタヒチやマルキーズ諸島のエピソードで、旅をしている気分も味わえました。 久々のヒットです。 | ||||
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フローラ・トリスタン(祖母)とポール・ゴーギャン(孫)の二人の話が、交互に語られる形式で物語は進行します。語りは、時々、親しみを込めて二人に呼びかけます。 「スカートをはいた扇動者」フローラ・トリスタンと「芸術の殉教者」ポール・ゴーギャンに血の繋がりがあるとは、初めて知りました。 この物語を一言で語る言葉があります。 「ここは楽園ですか」 「いいえ、楽園は次の角ですよ」 二人は、共に「楽園」を求めて精力的な生き方をしたのでしょう。家族も捨て、身体の不調にも耐えて。 トリスタンは、人間社会に「ユートピア」を求めて、ゴーギャンは、生命力に満ちた豊かな芸術の追求の先に「楽園」を求めて、一途に生きて行きます。 この二人の純粋さに驚かされます。 普通に生きれば、二人とも豊かな生活が保障されていたでしょう。 それなのに、周りの環境や人間関係をすべて捨ててまで求めた「楽園」は、決してたどり着ける場所ではなかったものです。それを承知で求め続けた二人の壮絶な生き方に敬意を表します。 | ||||
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印象派の退廃的画家ポール・ゴーギャンと彼の祖母で労働運動家のトリスタンの晩年を描いたとても面白い小説。事前に内容を知らずに読み出せばもっと刺激的でショックが大きかったのではないかと思わせる。500ページ近くになる翻訳を圧倒的な筆力とこなれた日本語訳で一気に読ませてしまう。歴史的事実を踏まえつつ、作者の想像力が充分に発揮されたノン・フィクション小説なのだろう。 本邦初訳ということだが、作者はあの落ちこぼれ日系大統領フジモリと大統領選挙を争った現地では超有名人であるということもまた興味深い。 | ||||
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バルガス=リョサというと、ペルーの大統領選をフジモリ氏と戦ったことで日本では有名になったが(もちろんリョサ氏は落選)、文学の世界ではノーベル文学賞さえ射程圏におさめる大御所、大看板です。 本書はゴーギャンと、日本では無名だがその祖母トリスタンを素材にしていて、それだけでも興味深いが、作者の尋常ならざる想像力とあいまって、読書の楽しみを満喫させてくれる作品になっています。世界文学全集のラインナップに入れるには、評価が定まっていないというか、作品が新しすぎるのでは、という懸念もあったが、読んで納得。面白かった! 星を減らすほどではないけれど、若い読者や海外作品に慣れていない読者のためには、もっと語注があってもよかったろうし、主な登場人物の紹介や作品舞台の地図など、文学全集としては定番のサービスがあってもよかったのでは? | ||||
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この本は、晩年タヒチで隠遁生活を送った印象派画家ポール・ゴーギャンとその祖母で労働運動活動家のフローラ・トリスタンの晩年を描いたものである。こういう事実は、読む前からパンフ等で知らされていた。でも、そのようなこの本の内容を知らずに読んだらもっと新鮮な驚きとショックを感じたのではないだろうか。しかし、それでも本邦初訳とはいえ田村さと子の訳がすばらしいので、ぐいぐいと読ませてしまう。500ページ近くの大作を1日で読み終えてしまった。目次が書いてある小説というのも全くないことではないが、まあ、珍しい。この目次もなくてよかったと思うが、なければ読者は過去と現在、各章の中でさらに設定された過去と現在が混沌としてくるので、これは作者のサービスかもしれない。 解説で、訳者本人が述べているように「騎士道小説の手法」を取り入れたものであるらしいが、文中、作者の言葉として、「おまえ」とフローラとゴーギャンに対して2人称で呼びかけているが、もう少し工夫した翻訳はなかったものだろうか。 大胆な言葉・下半身言葉が頻繁に出てくるが、それにしてもタヒチでのゴーギャンはなんでまた、こんなにも14歳少女が好きなのでしょうか。とにかく、とても面白い小説である。 | ||||
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