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七夕しぐれ



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【この小説が収録されている参考書籍】
七夕しぐれ
七夕しぐれ (光文社文庫)

七夕しぐれの評価: 4.50/5点 レビュー 16件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全16件 1~16 1/1ページ
No.16:
(5pt)

読後感は爽やか。

仙台在住であり、子供が同じくらいの年代なので物語に没入して読めました。
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.15:
(5pt)

まだあった戦後の風景

1ヵ月ほど前、図書館で何気なく手に取った『ウエンカムイの爪』で熊谷達也という作家の存在を知り、次に読んだのが『調律師』。 ここで私は著者の作風の重厚さ・緻密さ・ストーリー展開力に填まった。

以下、『箕づくり弥平商伝記』、『森/牙』シリーズのうち2冊、『ゆうとりあ』、『虹色にランドスケープ』、『オヤジ・エイジ・ロックンロール』、『新参教師』、そしていま本書を読了したところである(大部分を文庫で購入。森シリーズの未読本を、これから読んでいく予定)。
 本書(および新参教師)は、どう読んでも昭和33年生まれという著者の私小説であろう。

「戦後の風景」がまだ残っていた昭和30年半ば=たとえば、米穀配給通帳、遊郭跡、悲しくアコーディオンを弾く傷痍軍人、角付けのお貰いさん、貧しく慎ましい庶民の暮らし、更に貧しい引き揚げ者仮設住宅、etc.=を幾らかでも記憶している最後の世代は、ポスト団塊に属する私あたりまでと思っていたが、地域によってはそうでもなかったらしい。

 私小説と思われる本書を含め、10冊を読了して分かったのは、どの作品でも一旦読み始めると書を措く能わずの筆力と、狩猟(殊にマタギ、クマ狩り)、ヴィンテージオートバイ、地方都市での大学生生活、自然カメラマン、小説家・編集者、定年退職後の生き甲斐(殊に、田舎暮らしとエレキギター/ロックバンド)、教員・学習塾経営、損害保険会社と交通事故の内幕、被差別部落問題・・・が、各作品を通じて緩やかなオムニバス式に展開されていることだ。

 これらのテーマのうち幾つかを自分のこととして感じられる人にとっては、全作品を完読したくなる作家の1人であろう。
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.14:
(4pt)

子供の頃の差別体験談です。

子供心にも知った差別体験を綴っていますが、戦後生まれの世代では誰もが何がしかの差別を

直接的では無いにしても間接的には感じていたと思います。

現代は、二極化していると言われますが、これも広義の意味での差別化ではないでしょうか?

いつの時代でも差別は、無くならない!
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.13:
(5pt)

Library Books

熊谷達也「七夕しぐれ」を読了。作者の著作は以前から親しんでおり、安心して読めると思っていました。結果、そのとおりの読書体験となりました。こういう題材に弱いです。純粋な友情物語に弱いです。取り巻く大人たちも素晴らしい人たちです。差別の問題が子供達の生活にも影響を及ぼす様を作者は冷静に見つめています。いじめ問題にも言及しています。そのような題材をもって、友情の物語を作り出した作者の力が素晴らしい物語を紡ぎだしました。
また舞台の仙台の情景が浮かんできます。私の知っている仙台とは異なりますが、描かれている情景は想像できます。良い作品と出会いました。
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.12:
(2pt)

二度と戻らぬ少年のひと夏を、硬派な題材で描いた。

子供は一つの立派な人格であるけれども、
大人の文法では動いていない、不思議な存在である。

大人の世界でうやむやにされていることに対し「なぜ?」
という率直な疑問をもつ一方で、
近くにいる大人の言っていることを何の疑いもなく信じるという
一面もある。
そして、子供の中での「正しさ」というのは、力が強いとか、
大人っぽいとかそういう要素が強い者の発言に左右される。

この本は、昭和の時代を舞台に、子供の他愛のない遊びや
たたかいを描きつつ、上に書いたことを上手に表現しているな、
と感じました。
気になる女の子と遊びに行くときの甘酸っぱさや、
子供の気持ちが分かってしまう大人の存在などの描写に対しても、
自分の記憶ともあいまって、引き込まれました。

テーマも部落差別と、なかなかないものなので先が気になり、
一気によんでしまいました。

ただし、最初から文章になじんだわけではなく、素人っぽい書き方だという
感想を抱いたので、読み進むか迷うことがありました。
「だが」、「けれども」、のような接続詞がけっこう続くのでテンポが悪く
感じられたのかもしれません。
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No.11:
(2pt)

ほんとに同じ作家の作品か?と思いました

数年前に「邂逅の森」を読んでそのすばらしさにこれぞ本物の作家だと感激しました。
しばらくぶりに熊谷氏の作品を読んでみようとアマゾンレビューで高評価の本作を手にしたのですがかなりがっかりしました。自叙伝的作品と言うことで作家と同世代の私にとって時々語られる当時のエピソードには忘れていた自分自身の過去をえぐられるような思いがあり、ちょっとホロッときました。ところが全体としては熊谷氏の作品とは思えないひどい出来だと思います。一人称で語られるのですが、過去を振り返る大人の目だったりリアルタイムから語る子供の目だったりとちぐはぐな印象です。周辺キャラクターの描き方も物足りない。ストーリーもデキスギでいかにも大人が作った子供の話でディテールのリアリティと比べるとまるでメルヘンです。あの骨太作家熊谷氏の作品とはとうてい思えない。
あえて差別問題を取り上げ子供に語らせようという考えは理解できなくもないけど、同じようなテーマで描かれる宮本輝の名作「泥の河」にははるかに及ばない。続編に続くような思わせぶりな最終行も読後感を台無しにしている。星二つ!
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.10:
(5pt)

作者の創作の原点かもしれない

自然もの、動物もので有名な熊谷達也だが、最近はちょっと作風が変わってきている。
この小説も主人公は作者と思しき小学五年生の男の子。自伝的小説なのだろうか、主人公の少年が転校した先で差別を受けている友人たちとともに、その差別に対して、立ち上がるという話。

少年の成長物語としても面白く読めるし、物語の舞台となった仙台の被差別部落への差別の記録としても興味深く読めた。

時代は昭和40年代前半。私の少年時代より、ちょっと前の話だが、当時の小学生の生活(趣味が切手集めだったり、アポロに憧れたり)は、自分も記憶がある。ただ、自分は 東京に住んでいたせいか、あまり「差別」ということは意識したことがなかった。もちろん、いじめは当時もたくさんあったが、住んでいる場所や出身などで差別したことはなかったような気がする。

今でも、この社会には差別というものはなくなっていないのだろう。この少年が口にする「正義」という言葉は、今でも、あまりにも眩しすぎる言葉だ。彼の行動になんだか胸が熱くなった。

この小説が作者の自伝的なものであるならば、この体験で得た「正義」という言葉が、ずっと作者に残っているのだろう。彼の他の作品にも通じるものがあるように思う。
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.9:
(5pt)

やっぱりボクも、あの3人に拍手を贈ってげたい。

転校したの小学校で出会った近所同士でもある新しい友達
「どうして仲良くしてはいけないの?」…ただ素朴に浮かんでくる疑問

差別問題という、
理解することも表現することも躊躇われがちな事柄を、
決して正しさを押し付けるのでもなく、
小学生の男の子という目線から少しも曇りなく見つめた作品です。

大人が判らなくなってしまったもの…
判ろうとしなくなってしまったもの…
それを理解させ、気付かせてくれるのは子供なのかもしれない

子供にも子供の事情というのがあって、
それは大人の抱える事情とさほど変わらない…
和也の経験する弱さや葛藤や憤りは、大人が何時の間にか無視して、
自分がそれに巻かれてしまうことを許してきたものと通うものがある

登場する3人の子供たちのように、大切なものを大切に、
おかしいと感じることはおかしいと拒むことを貫けるように
そんな風でありたい…そう思った。

悔しかったり、痛快だったり、恥ずかしくなったり…
誰もが自分を振り返りながら読んでしまう…
すごく教えられました。
やっぱりボクも、あの3人に拍手を贈ってげたい。
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No.8:
(5pt)

昭和40年代初頭、純朴なひと夏の物語り

昭和40年代初頭。田舎町から仙台市内に越してきた和也は11歳。近所のユキヒロとナオミと友達になろうとするが、なぜか冷たくあしらわれてしまう。そこには根深く、暗い部落差別が存在していた…。
 周囲の大人たちとの交流、子どもらしい純朴なふれあい、生活が、昭和40年代初頭のノスタルジーと相まって、郷愁豊かな物語りに仕上がっている。ナオミに淡い恋心をいだくひと夏の和也の青春が、読む者に懐かしさをあふれさせる。著者ならではの読ませる小説だ。
 あくまで小説なのだが、著者の自伝的小説とおもえてならない。
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.7:
(5pt)

差別を超えた友情物語

この小説はあくまでも架空のストーリーです。

この小説を読んで、仙台にもこういった差別があったと勘違いしている
人が多いように思います(私もそうでした)が、仙台にはこのような
差別は存在しませんでした。それは熊谷氏本人も語っています。

特に仙台周辺に在住する人にとっては、地域、川、学校、商店街・・・、
すべてが頭に浮かんでくるので、熊谷氏の自伝的小説なんだろうと勘違い
するのも無理もありませんが、これはあくまでも"小説"なんです。

あえて地域差別のなかった仙台を舞台に、そうした差別問題を折り込んだ
ことが、この小説を面白くしているのだと思います。

現実にそうした差別の存在する地域を舞台としていたら、この小説のような
ほのぼのとした雰囲気は出せなかったでしょう。

読むほどにストーリーに引き込まれます。
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.6:
(4pt)

大切なことをストレートに。

久々に、こういう本読みました。
「大人向けの課題図書」って感じでした。子供向けでもいいんだろうけど、大人が読めるから「大人向け」。テーマが明確だから、「課題図書」。

とてもよかったです。今でも知らない人、結構いるんじゃないかな。「部落」とかの話。そういうことを、小学生の目線で書いてあるから、なんか心に刺さる。

テーマはそれなんだけど、小学生が主人公だからいろいろすんごく懐かしい感じ。でもまぁ世代が違うから、「巨人の星」とか「アポロ11号」がリアルタイムの時代なんだけど、でも懐かしく感じたなぁ。
久々に、一気に読み終えた本です。
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
4334745970
No.5:
(5pt)

やっぱりボクも、あの3人に拍手を贈ってげたい

転校したの小学校で出会った近所同士でもある新しい友達

「どうして仲良くしてはいけないの?」…ただ素朴に浮かんでくる疑問

差別問題という、

理解することも表現することも躊躇われがちな事柄を、

決して正しさを押し付けるのでもなく、

小学生の男の子という目線から少しも曇りなく見つめた作品です。

大人が判らなくなってしまったもの…

判ろうとしなくなってしまったもの…

それを理解させ、気付かせてくれるのは子供なのかもしれない

子供にも子供の事情というのがあって、

それは大人の抱える事情とさほど変わらない…

和也の経験する弱さや葛藤や憤りは、大人が何時の間にか無視して、

自分がそれに巻かれてしまうことを許してきたものと通うものがある

登場する3人の子供たちのように、大切なものを大切に、

おかしいと感じることはおかしいと拒むことを貫けるように

そんな風でありたい…そう思った。

悔しかったり、痛快だったり、恥ずかしくなったり…

誰もが自分を振り返りながら読んでしまう…

すごく教えられました。

やっぱりボクも、あの3人に拍手を贈ってげたい。
七夕しぐれ (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七夕しぐれ (光文社文庫)より
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No.4:
(5pt)

差別やいじめを助長する大人への怒り

舞台は私の子どもの頃と同時代の昭和40年代と思われます。

仙台に引っ越してきた小学5年生の和也が主人公。

転校してきてすぐに仲良しになった同級生のユキヒロとナオミ、なぜかクラスでは仲間はずれにされています。

その理由が被差別部落出身であるためと知り、和也は思い悩みます。

そんなことをしてはいけないと口に出した途端、陰湿ないじめが和也を襲います。

何度も逃げたくなりながらも、正しいと思ったことを行動に移し、友達を助けるため正義を貫き、自分のプライドを取り戻そうとする和也の一途さには胸が熱くなります。

それでもなお、言われ無き差別に苦しむユキヒロとナオミの絶望が、胸を刺します。

生まれも育ちも東京の私が、25年前大阪に嫁いだとき、至る所に掲げられた同和の文字が入った垂れ幕や立看板に、

教科書や小説でしか知らなかった差別問題が、今なお現実にあるのだと衝撃を受けたことを思い出しました。

差別やいじめを助長するのも、そして止めるのも、間違いなく大人です。

子どもが発信する思いを、きちんと受け止められる大人でいたいと、心から思います。
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4334925227
No.3:
(5pt)

正義の方向性と、爽やかな読後感

この差別の根は壮絶なまで深い。

正義などという看板を振りかざして、解決出来る様な、生やさしいものではない。

現在でも、各地で、政治や経済の深刻な問題が噴出しているが、多くの人は、この問題を避けて通る。

舞台は昭和30年代だろうか?

この頃はひどかった。

ここで描かれている行動は、微力ではあるが、大きな力になっている。

そして、この作品の舞台となった当時と、今とでは、状況は格段に改善している。

そこには、血のにじむ様な、努力の積み重ねがあった。

やはり「大義名分」は御法度だ。

3人の行動に拍手を送りたい。

表紙カバーの表は仙台の町並と広瀬川、裏はユキヒロ、ナオミ、そして、カズヤだ。

読了して眺めると、この裏側の絵は、大変微笑ましい。

手に汗握る場面もある。

正義とは、この様な形で、発揮すべきだ。

深く感動した。
七夕しぐれAmazon書評・レビュー:七夕しぐれより
4334925227
No.2:
(5pt)

子供の目からみる「差別問題」

このお話の時代設定は現代ではなく、

今から数十年前、ちょうど「巨人の星」のアニメがリアルタイムで放映していた頃。

住んでいる地域や先祖の暮らしぶりから、

差別を受けている友人を目の当たりにした少年。

差別問題を子供の目から見つめた、小さなヒーローの物語です。

私が子供のころもちょっとしたいじめはあった。

けどこの本の中に描かれるものはもっと根深いもので、

「いじめ」を超えた「差別」だ。

住む環境や自分のルーツを否定され、

子供同士だけでなく、

この本の中の教師たちがそうであるように

大人は目をそらしたい、むしろかかわりたくない問題。

私の住むところではまったく聞かないけど、

今でも根深く同和問題が残っている地域があるらしい。

彼らは結婚や就職の際に差別を受け、あたりまえな社会生活が送れないでいる。

今の日本にはあってはならない問題だと思います。

子供たちのみずみずしい物語であり、

差別とはなんなのか・・・真剣に考える機会を与えてくれる本でした。

子供たちの行動を大人が見習っていかねば!!

最後の一行に注目!

この一行が物語ることに淡い期待を抱いて待ってますよ、熊谷さん。

最近読んだ中ではナンバー1。強く強く引き込まれました。
七夕しぐれAmazon書評・レビュー:七夕しぐれより
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No.1:
(5pt)

すがすがしく自然体、なおかつ正義の味方

友達を守るために、正義を貫く小学生の美しい生き様を描く。しかも同和問題に関わる差別事象に立ち向かう。それが、上っ面の正義感ではなく、切手収集やタイガーマスクなどと同じ地平にあることとして扱われる。この自然さが秀逸である。

 そうだ、差別って、実は凄く身近にあることだ。正面きってこの問題を題材に選んだ作者に敬意を表す。この少年達の物語は、私達がどのような大人として行動しなければならないかを示唆している。いい大人であるか。手本となる大人であるか。自分に嘘をついた生き様をしていないか。…でも、沼倉のおんちゃんに叱られないような生き方をするのって、難しいけどね。

 作者のおだやかな語り口が好ましい。身構えることなく、自然と物語に引き込まれていく。
七夕しぐれAmazon書評・レビュー:七夕しぐれより
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