ずうのめ人形
評判
ずうのめ人形の評価:
4.22/5点 レビュー 153件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全206件 141〜160 8/11ページ
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ずうのめ人形の評価:
4.22/5点 レビュー 153件。 B ランク
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元々ぼぎわんは、科学全盛のせいで人間が一番怖い系ホラーが氾濫しすぎた現代において、往年の化け物ホラーを最後まで書ききったという点に意義があった。更に本来はミステリーで用いられる多視点トリックという仕掛けを盛り込むことで、「懐かしいのに新しい」という読み味を描いてみせた。
これってリアリティ重視のために社会派だらけになったミステリ界で、孤島の名探偵モノを現代風に復興させた新本格ミステリーの、ホラー版とも言える造りなんだよね。
今作でもかしまさんやさっちゃんを彷彿とさせる「呪いの都市伝説」という、今では鼻で笑われるような題材で、こんなに面白くて怖い現代ホラーを描いている加えてミステリとの融合も深化している。
計5つの視点から成り、主人公の視点と交互に挟まれることで、恐怖を味わいながら、謎が解かれながら、また謎が深まるという構成。どんでん返される度に、最初から読み返すことになった。それ以外にも、何重にも張り巡らされた叙述トリック等、伏線だらけ。
更にぼぎわんにはなかった本作独自の魅力に、メタ性がある。リングや四谷怪談の評論があったり、サダコがキーパーソンだったり、そもそもあらすじがリングとそっくり。
単なるモチーフやパロディではなく、現実世界とのリンク強化や、往年のホラーを下敷きに現代に新たなホラーを生み出そうとしているこれも、ホラーでは珍しいが、ミステリでは定番の「本歌取り」と呼ばれる手法。
しかし本作でも示されたように、この手法はホラーで凄く活きる。なぜなら当事者意識(自分も呪われたかもしれない)が恐怖を高めるから。
呪いのトリガーが「原稿を読む」であるあたり、メタホラーへの強いこだわりが伺える例えばリングの呪いのトリガーはビデオだった。しかし原稿なら読者も読んでいる。でも所詮都市伝説、フィクション。呪われるわけがない…と思いきや、都市伝説としてはベタなウソ系の創作都市伝説であることが明かされる。それなのに人が死ぬ。読者も目をつむると赤い人形が視界に浮かぶ気がしてしまう。
そういう意味で、本作は新本格メタミステリホラーとして高い完成度を誇っていた。そもそも「山村貞子と鮎井郁介へ」という献辞からも新本格ミステリとホラーへのこだわりは明らかだ。
ただ、ミステリ的志向のせいで複雑すぎ・ひねり過ぎのきらいがあるし、名作ホラーのネタバレはあるし、ベタな都市伝説のあるあるを前提とした造りになっているため、ベタで純粋なホラーを読みたい人、ミステリやホラーの先行知識があまり無い人にはあまりオススメできないかもしれない。
ところでリングへの直接の言及やあらすじの相似から、リングとの比較が多い本作だけど、上記の点では三津田信三、特にそのデビュー作である『忌館』を、一番直接の下敷きにしているんじゃないかと思っているのだが…
作中作とメタ性を巧みに使った入れ子構造、名作への評論分析とその本歌取り、新本格ミステリとモダンホラーの融合、作中作のあらすじの相似など、あまりにも似通った点が多い。と思ったら愛読書は三津田信三らしくて、確定かな?
※以下ネタバレ
戸波を真相は、何度も読み返したのにこんなバレバレで基礎的な叙述トリックに気づけなかったのが本当に悔しかったのだが……
一人称である以上、絶対「女性とは思えないくらい〜」みたいな記述が入るはずだから、叙述トリックを成立させるために恣意的な書き方をしていると、本格ミステリ的な見方ではマイナスポイントになりそうなんだけど……主人公は「戸波を女性として見てなかった」という記述をちゃんと最後に入れて、アンフェア問題もクリアしてるあたり、本当にミステリーとして細かいところまで手が行き届いているなと感心する。
欠点をあげるなら、ぼぎわんに続き、オチがよくあるB級ホラーみたいなのと、文章が無味なことかな。
全てが解決した後に、読者を疑念の渦に放り投げる三津田信三のオチに、鈴木光司の濃密な文体をも取り込んだら完全無欠のホラー作家になっただろう。
最後に。
面倒臭いホラーオタクの、「呪怨はビデオ版2作のみ認める」がリアルすぎて笑った。