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クロスファイア
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【この小説が収録されている参考書籍】
クロスファイアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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エンタメ作として面白いのは確か。法の目をかいくぐり、のうのうと生きている極悪非道な悪人達に、天誅を加える爽快感が味わえるし、石津刑事を始め、キャラも生きていると思う。 しかしながら、上巻を読んだ段階では、かなりモヤモヤが残ってしまった。まず肝心の主人公のキャラが一番定かでなく、感情移入し肩入れして読む事が出来ない。そのため、彼女自体がかなり極悪非道で、勝手に私刑を加える危険人物のように感じてしまった。まだ謎の組織? との関係など書かれておらず、彼女の事が判明するに従って、好感を持てるのではないかと思っているが。 下巻に期待。 | ||||
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主人公格の青木淳子は、念力放火能力。念じるだけで、あらゆる物体。鋼鉄をも溶かすほどの炎を発生されることができる能力の持ち主である。彼女はかつて、自分の能力を使って、凶悪で残忍な犯罪者でありながら、未成年であるというだけで罪をまぬがれている人間たちを「処刑」したことがあった。本書のなかでは、少年グループによる凶悪犯罪の現場を、淳子が偶然に目撃するところから始まる。そのグループにひとりの女性が拉致されていることを知った淳子は、少年グループの追跡と「処刑」を開始するが、もう少しというところで、その女性は射殺されてしまう。そして、失意にくれる淳子のもとに、「ガーディアン」と名乗る組織から電話がかかってくる……。 なにより、本書に出てくる登場人物たちが魅力的だ。主人公格の淳子はもちろんだが、他にも、子育てを終えた中年女性を、そのまま刑事にした感じの石津ちか子が、意外にも鋭い観察眼で真相を見抜いていく様子や、 幼い頃に弟を念力放火能力で焼き殺された牧原刑事や、人を思いのままに操ることができる能力を持つ木戸浩一、また淳子と同じ能力を持ちながら、それをコントロールできずにいる倉田かおりの存在など、どの登場人 物をとってみても、ひとくせもふたくせもあり、それに著者の巧みな文章力がまじりあって、確かに物語のなかで息づいているのを感じることができるのだ。 そして、強力な力を持つ自分の存在に疑問を覚えながらも殺人をつづける淳子と、それを追うちか子と牧原のふたり。このふたつの線が、どこで交差することになるのか、というストーリー展開は、その結末がだいた い予想できたとしても、やはり読者を引きつけてしまう。そういう意味で言うなら、宮部みゆきは確かに、すばらしいストーリーテラーであると言えよう。 だが、それにも増して重要なのは、本書が超能力という、およそSF的な要素を扱いながらも、その真のテーマは、人を殺して何とも思わない、世の中で増加している凶悪犯罪に向けられている。という点だ。淳子は、そういったどうしようもない悪人が確かに存在すると主張する木戸浩一のことばを認めつつ、それでもこんな疑問に悩まされつづける。 | ||||
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超能力をもつ女・・・それも火炎放射器の数倍ものすごい武器を持つ・・・主人公の青木淳子。 体から湧き上がるエネルギー・・・それは悪に対する怒り・・・ 社会が裁くことのできなかった犯罪を次々に制裁していく。 それもたった一人で・・・ 孤独な毎日・・・ でもそんな中ガーディアンと名乗る組織が近づいてくる。 そこで、自分と共鳴できる人と出会う。心が癒されていく・・・でもそれも束の間・・・ 話の着地点が想像できるだけに 時間を作ってでも先を読みたいという楽しみはなかったかな〜。 | ||||
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漫画や映画になりそうな題材。 この人の作品は冒頭の掴みのシーンは最高なのに、次第にダレてきて 面倒くさくなる。 ”ガーディアン”という組織が登場した時点で急に冷めてきた。しかし、 何とか読み進めていく内に、8割過ぎあたりからようやく面白くなってくる。 やっぱりスピード感のなさでしょうか。ページ数は半分でいいでしょう。 長すぎる。 | ||||
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誰も指摘していないことだが、この作品は宮部みゆき唯一の恋愛小説。SF小説でもないし、社会派小説でもない。そういう要素は含まれているものの、物語の底に流れるメインテーマは一貫して「恋愛」。 もしもパイロキネシスを物語の中心に据えるならば、最後の若い刑事との会話は彼の弟の死でしめくくられるべきだったが、そうではなく彼女が会話で最後に触れたのは、恋人についてだった。「楽にしてあげて」と。そして、弟の件は、結局は直接確認されずに終わる。組織の人間達が恐れていたように、彼女と若い刑事が組めば、また違った物語になり、それは宮部みゆきお得意の社会派小説であり人間ドラマになったと思う。しかし、作者は今回、一貫して青木淳子の恋愛を描いた。恋愛について正面から取り組んだ作品は、現在のところ宮部作品ではこれ以外にない。 | ||||
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救いのないというのはラストでの主人公の救いの方法がそのように感じられたからだ。 鳩笛草という短編小説の続編として書かれた作品で、主人公の人生をより深く追求した後日談である。 完全に制御することのできない発火能力を、自ら生きていくために、その能力の必要性を自分勝手に定義した主人公の心情は、そんな能力をもったことなんてないし、それでも共感できた。 他人が見れば、道徳なんてもので否定されるものであったとしても、自分で考え、その意味づけをし、実行していく主人公の姿は痛々しい。 そして傷をのりこえていく切ない主人公の解放が、作者の用意したラストであるのならば、悲しい、と僕は感じた。 | ||||
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自分の意思であらゆるものに火をつけることのできる念力放火能力(パイロキネシス)を持つ青田淳子が、 犯罪者に甘いこの社会では裁くことのできない凶悪な犯罪者たちを、 制裁という名目で殺害していく話が上巻のメインで、 下巻のメインは、青田淳子と同じような意図を持つ「ガーディアン」という組織と、 青田淳子の関わっていき、 刑事の捜査も次第に核心に向かっていく話。 この小説は、殺人の手口や意図が明らかになっているので、 謎解きの面白さというものはそれほどない。 また、犯罪者に弱い法律を題材としている点は、 多少なりとも現実社会の問題を取り上げているとも言えなくもないが、 パイロキネシスという能力が主題であるように、 基本的には現実離れしたサイエンス・フィクション・ミステリーである。 パイロキネシスといった常識では考えられない能力を、 登場人物がそれぞれの事情で理解していく過程が興味深かった。 | ||||
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~「鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで」の燔祭がこの「クロスファイア」につながっていくので、そちらも読んだ方が面白いです。本編も上下巻で読みごたえがありました。でも、矢田亜希子さん主演の映画はちょっとがっかり。しばらくしてスティーブンキングの「ファイアスターター」という小説に出会いました。なんと、「クロスファイア」とそっくりな場面が沢~~~~山出てきます。こ「クロスファイア」は、スティーブンキングの「ファイアスターター」に強く影響を受けているようです。~ | ||||
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全部読み終わってみると、面白かったもののなんだかイマイチ…。私としてはもう少し組織たるものに踏み込んで欲しかった感も否めません。 とはいえ、本全体は宮部さんの力量を感じた力強い一品。石津ちかこと青木淳子の話が交互にあるのですが、どちらの考え方も納得できる、共感できるものです。 | ||||
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面白かったし、テーマも深かった。 でもなあ、何かすっきりしない。 この「すっきりしない」というのは、「異能力という概念を出す必要があっただろうか?」ということ。 同じテーマ、同じ方向性でも、わざわざ構造そのものに触れない異能力という概念は、蛇足だと思う。 そのせいか、「組織」というのも最後まで現実味を感じられずに読み終えてしまった節がある。 こう考えるのは私だけだろうか。 | ||||
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超能力者などという荒唐無稽な題材を扱いながらストーリーにちゃんとリアリティが伴っていて臨場感に溢れている点は高く評価でき,平易で癖のない文体でさらさらと気軽に読み進められる点もエンターテイメント小説としてとても優れていると思う。けれどもこの分量の多さはなんとかならないのか。登場人物の数や盛り込まれるエピソードの数に比べてあまりにも分量が多すぎはしないだろうか。わかりきったことをくどくどとだらだらと書き連ね,いたずらに枚数を稼ぐ手法は,スピード感を損ない作品の質を落としていると思うし,はっきりいって,商業主義の匂いがぷんぷんする。宮部みゆきでありさえすれば面白いように売れるのだから,なるべく長く書かせて上下巻にして売ろうとする戦略が透けて見!えるようで,首を傾げたくなる。 | ||||
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宮部みゆき自身が認めているように本書は同じ題材を扱ったS・キングの『Fire Starter』の影響が大なので、本書の評価には両者の比較が欠かせないと思います。<描写>というレベルでの比較は、<印象付け>というワンランク上のレベルに余裕で達しているキングに比べると、細々した事物を描写するので手一杯の宮部みゆきは明らかに劣勢だと言わなければなりません。しかし、最大の相違が現れたのは結末のつけ方です。別次元での戦いを暗示するキングの作品と、<愛>という抽象概念で全てを片付けてしまう本作のどちらを良しとするか、この点こそ読者それぞれの判断が試される部分だと思います。 | ||||
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