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波打ち際の蛍
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波打ち際の蛍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.82pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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過去に恋人からのDVに傷つけられた麻由は、同じ相談室に通う蛍と出会い、やがて恋をする。 触れたいという恋情と、触れられたくないという拒絶。心と身体がそれぞれ別の生き物みたいに違う意志を持って動いている様子が、痛くて苦しくて、無意識に息を止めていた。 心にある古傷を隠して生きている人は世の中にたくさんいる。 ページをめくるごとに、少しずつ自己肯定をして傷の上に塗り重ねてきたものを一枚一枚剥がされていくような感覚になった。「だめな自分」に戻されてしまう、と心が怯える。前半部分の麻由の言動を客観視することは、傷を抱えて生きている人にはほとんど自傷行為のようなものだと思う。ひたすら自分の弱さと向き合わなければならない。だんだんと、自分と麻由の境界線が曖昧になっていく。 この本を読んで改めて感じたのは、どれだけ自分がボロボロで醜い姿になったとしても、自分を諦めないでいてくれるたったひとりがどれだけ心強いかということ。どん底から引っ張り上げてくれたさとる君や、逃げても呆れず向き合ってくれた蛍のように。逆にそういう人がひとりもいなければ、人は簡単に死を選んでしまうのかもしれない。他者の中にいる「大切にされている自分」を知ることで、人は強くなるのだと思った。 | ||||
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本を読んで、心をシンと静める、という、本来の自分の読書のスタンスを思い出す作品だった。 積ん読だらけの本の中で、久しぶりに一気に読み終えた。 それはハラハラドキドキとか、ワクワク感とは当然違っていて、何だろう、こう、自分自身が生き急いでる感だったりもして。 とても繊細な文章を描くひとだなあと。 題材や内容ももちろん繊細なものなのだけど、そう感じさせるのはだからじゃなくて、島本さんの文章自体がとても繊細だからだ。 神社のお祭りのシーン、食べ物を手に歩く人々の描写が素晴らし過ぎてハッとした。 | ||||
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島本理生サンの作品は幾つか読んでいるけれど、良くも悪くも、どれも“悩める乙女”の心理描写が丁寧で、物語の世界が奇妙に明るすぎることがない。 この小説は、むしろ暗いかもしれない。 少なくとも、私個人的には、読後感は「微妙」だった。 “恋愛小説”のカテゴリーに分けられているようだけれど、世間一般で言われているようなハッピーエンドとはちょっと違う気がする。 「え、コレで終わり??」というようなあっけなさ。 暫く考えて納得したのだけれど、この物語は多分、“ある女性の人生の一部分を切り取ったもの”なのだ――だからこそ、ゴールに到達することもなく、まるで明日に続いていくかのように唐突に話が終わる。 フィクションという観点で言えば、それでは些か物足りないことも、否定は出来ないけれど。 そして、登場人物のキャラクター設定にブレがないのも特徴。 悩んでいる主人公はストーリーが終わるまで悩んでいるし、神経質そうな元カレはいつまでも神経質そうだし、陽気で懐の深い従兄弟は最後まで面倒見が良いし、影の薄い恋人はやっぱり影が薄いままだし。 そういった意味でも、フィクション特有の「劇的な変身」や「ドラマティックな前進」は、本当に一切、期待出来ない。 それゆえ、ストーリーが印象に残ることもなく、キャラクターに特別な思い入れが湧くはずもない。 可もなく、不可もない。 そんな評価がピッタリな一冊だ。 | ||||
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元々、島本理生さんが好きで読んだのですが、はっきり言うと微妙です。 帯に、「ナラタージュを超えた、最大熱量の恋愛小説!!」と書かれていましたが、私にはナラタージュの方が断然良いと思います。個人の好みはあるでしょうが、なんとなく書ききれてないような気がします。最後のページまできたとき、「あれ、これで終わり?」という感じがしたので・・・ ただ、主人公の女の子のちょっとした感情や、日常で思うこと、そういった細かな描写は相変わらずすごいなぁと思いました。麻由の困ったような表情も、ありありと想像できました。蛍の生な気持ちもありだと思います^^ 全体的に批判的な内容にはなってしまいましたが、良い作品だと思います! これからも、島本さんには感動できる小説をたくさん書いて欲しいと思います。 | ||||
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相手役の蛍の存在がいまいち霞んでしまっているような印象。 読みやすい文体ですが、登場人物にいまいちインパクトがない。 (別作品でもいえることだと思います) 別作品と似たようなタイプの主人公(繊細で、傷つきやすい)なので、この話では題材的にこれでいいと思いますが、そろそろタイプの違う作品も拝読してみたいです。 でも安定した文章なので、安心して読み進められますし、緩やかな感じで迎える結末も悪くないです。 | ||||
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丁寧に丁寧に、繊細な壊れやすいものをいたわるように描かれている。 久々に島本さんらしい透明感のある作品を書いてくれたように思います。 気持ちは間違いなく惹かれあっているのに、体と過去がそれを受け付けられない。 近づきたいのに、近づけない・・・二人のもどかしさが手に取るように伝わります。 でも主人公の麻由が恋する蛍って、麻由の心が溶けていくのをゆっくりと待ってくれる優しい男なんだろうけど私はなんか信用できない。 すごく大人な男として描きたいんだろうけどそうは見えないっていうか、 「ナラタージュ」の時にも感じた島本さんの“男性の描き方が甘い”という弱点がここでもでてきちゃったように感じる。 麻友を元カレから救った従兄弟のさとる君と、揚げ物が大好きな紗衣子さんがすごーくいいキャラで素敵です。 さとる君がいい男すぎるから余計に蛍がかすんで見えるような・・。 | ||||
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