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(短編集)
ランドルフ・メイスンと7つの罪
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ランドルフ・メイスンと7つの罪の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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刑事弁護士としての経歴を生かしミステリー史上初めて悪徳弁護士を主役に据えた物語を世に問うた巨匠ポーストの恐るべき処女短編集です。私はこれまでルパンやラッフルズといった義賊ジャンルには馴染んで来ましたが、本書に登場する弁護士ランドルフ・メイスン物を初めて読んで強烈なショックを受けました。彼はとにかく無条件に悪党の味方を買って出る人物で、正義感や倫理感とは全く無縁です。依頼人に高額な謝礼を求めますが彼の目的はお金にはなく、宿敵と信じる運命の女神に挑戦する事にあります。彼にとっては依頼人や犠牲者も現実の存在ではなく、ゲームの駒に過ぎません。本書収録の7編の内、6つまではお金の絡む経済犯罪で何とか気持ちに折り合いがつけられますが、冒頭の『罪体』ではメイスンは何と殺人の教唆までしていて唖然とさせられます。この作品は殺人を犯して罪を逃れるという内容で、発表された当時アメリカの実社会で応用した犯罪が多発したそうです。それにしても幾ら言論の自由といっても、悪人擁護の小説が社会的悪影響を生むのは必至であるのに、この翌年にも普通に第二短編集が出されている訳で、アメリカという国の寛容さには本当に驚かされます。著者自身は法律の抜け穴を示して社会に警告し是正させる事が執筆の目的であると序文で述べておりまして、ある意味では肯けますが、教訓を得るには多少の犠牲もやむなしという姿勢には賛成し難いです。ただ一つだけ著者の為に弁護しますと、物語の性格としては不運が重なった依頼人が正規の方法では窮地を脱出できない事態に陥ってしまい弁護士を頼り、結局その負債を他人に背負わせて逃れるというパターンが多く、出て来るのが完全な極悪人ではないのがせめてもの救いでしょう。悪人が罪を逃れてしまう結末に読後感は複雑ですが、本書は百年以上前に書かれたとは思えない今読んでも新鮮な知的パズルの傑作ですので一読をお奨め致します。 | ||||
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