(短編集)

道化師の蝶

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

道化師の蝶の評価:

3.30/5点 レビュー 73件。 E ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.30pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全76件 61〜76 4/4ページ
No.16
(4pt)

現代美術におけるインスタレーションのような小説

道化師の蝶:
題名の通り、ひらひら飛んでいく蝶のようなテクストのダンス。捕まえようと網を持って、単語と一文に集中しようとするとふわりと、某大リーグボールのように逃げていく。これはストーリーではなくテクストの円環と羽ばたきを楽しむお話。

松ノ枝の記:
こちらは打って変わってどんどん深みに高みに乱高下するメタ・メタ小説とでもよふべきお話。テクストが自ら勝手にテクストを生むような小説を書きたいのだろう、始まりのテクストのみが人間、いやいま書かれている人間はまさにテクストか、など考えさせながら人間とテクストの同一視と入れ替えに視点を頻繁な変更していると、やがて違いが曖昧になっていく。

どちらも、現代美術におけるインスタレーションのような小説でした。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.15
(3pt)

難しいという人へ

ジブリ映画で「ハウルの動く城」という作品があるが、知り合いが「難しい」と述べていた。どこが難しいと感じたのかを詳しくは聞かなかったが、その後自分が見てみて、特に難しいとは感じなかった。
 
 ただ、その知り合い(女性)が「難しい」と感じたのは、呪いをかけられたヒロインのソフィーが老婆の姿になったり、若い女性の姿になったりというところかな、と思った。アニメーションの表現として、あるキャラクターが色々と姿を変えることで、ヒロインの内面的な部分を表現している、というのが自分のというか、一般的な解釈かなと思う。

 「道化師の蝶」についても、一般的な小説としての読み方とは違ったものが求められるのは確かだが、たとえばエブラハム氏についても男性なのか女性なのか、といった具体的な次元で捉えるのではなく、より抽象的な存在として考えれば、いくらか腑に落ちるのかなと思う。フィクションの作品世界内では、キャラクターの存在の形態は変化するものなのだ。

 ただ、本質的には「エブラハム氏」も「わたし」も、ある種の同一性を保持しているのは読むうちに感じられると思う。そういった部分でのずらしというか、読者の想像力が働く方向を分かっていながら、あえてずらして、ミスカシフィケーションとでもいった効果を生じさせ、最終的に、「小説」としての一つの像を作ろう、というのが円城氏の意図なのだろう、と思う。あくまでも私個人の解釈でしかないが。(あと、章が変われば、世界(観)が変わるという心構えでもいいかと思う)

 ただ、眠くなるという人がいるなら、完全に同意(笑)。通勤や通学の電車で読んで、続きが気になって電車を乗り過ごしてしまう、というようなタイプの小説ではなく、寝る前に少しずつ読み進めていく、そういうタイプの小説かなと思う。

 蝶が舞って、抽象的な感覚を撒き散らす、そして眠くなる

追記:「とぼけたユーモア」と評されるが、「乳幼児向け満漢全席」だとかはくだらないし、それだけで真面目に読む気を失ってもおかしくない。ただ、何となく「東大の博士課程」という経歴から、意味があるかと真面目に読んでしまった。
 小説の方法論としての前衛うんぬんより、そういった細部の趣味・嗜好が、読者を選ぶんじゃないかと思う。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.14
(3pt)

難しい作品

同時受賞した「共喰い」の田中氏の作品とは対照的で一読しただけでは 作品の中に入っていくのが難しい作品である。 「わたし」の文章と他人の書いたとされる文章が入り組んで、出来事の 関係、人物の動きを追いかけるのが大変で難解すぎるというのが感想 です。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.13
(3pt)

イメージの繋がりの魅力はある

同時に芥川賞を受賞した「共食い」と比べると文体が読みやすく、そういう意味では取っ付きやすさを感じました。
 一方で論理の展開が難しく、こういうのが(いわゆる理屈っぽいのが)好きな人には面白いのだろうなと思いました。
 前半の飛行機内の二人の会話や、後半の蝶が出てくる場面は面白く感じましたが、途中の展開は一般のストーリー性を意識してると、つながりが意味不明で、最後まで読み切るのに苦痛を感じました。
 オムニバス形式のような、場面場面を分割、独立しながら、「蝶」「刺繍」「捕虫網」というイメージでかろうじて繋がっているという、貼り合わせのような雰囲気を感じました。こういうのを現代小説というのか私には知識がありませんが、いわゆる読者に想像をゆだねる範囲の多い小説なのでしょう。
 受賞作品ということで読みましたが、こういう作品があっても良いだろうと思う反面、雰囲気や格好良さだけで自己満足する作品を書く人が増えるのではないかと危惧します。こういう作品は自分の世界観の自覚がないと、そう簡単に書けるものでもないと思うからです。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.12
(4pt)

結構やるなと思った。


 これは、私の直観でしかないが(まず、間違ってはいないと思う)作者は安部公房と云うよりも、確実にボルヘス、アゴタ・クリストフ、村上春樹らの影響下にある気がする。
 芥川賞の選評では、高樹のぶ子氏が”メタフィクション”、島田雅彦氏の”言語論”、”フィクション論”と指摘していたが、彼らは表層を指摘しただけであって、実は何も語っていない。石原氏にいたっては、新しい文学をみる目の無い「節穴ぶり」を露呈している。
 本作の語彙は、時に借り物で、こなれてない感じが散見するが、彼自身は、一つの才能である。同時受賞の田中氏が、まぎれもなく中上健次への先祖返りでしかないのに対して、円城氏のこの作品は、ある意味エポックメイキングであり、新しい世界文学の幕開けを予感させる。
 平野啓一郎が芥川賞を受賞するなら、円城氏も獲って良いはずである。デビュー時の村上春樹の訳の解らなさよりは、遥かに万民に開けている作品であるし、あと20年後、どんな変身を遂げているか、楽しみな作家である。

 ただ「受賞の言葉」の文章の稚拙感は、どうしたものだろうか(時間がなかったの?)?
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.11
(3pt)

星は二つ半

円城氏の名前だけは以前から知っており、購入済みで未読の本もある。従って今回が著者の作品を初めてよむことになる。掲載紙の文藝春秋で読んだのだが、他のレビュアーの方々の指摘通り僕自身本作をどこまで解ったかは疑念がのこる。だが、言語論・着想の起点・フィクション論・らのモチーフから透けて見えてくるのはメタフィクションの手法によって「私とは誰か?」というテーマを様々な相対的な意匠をこらす事によって浮かび上がらせようとしている事が読めてくる。私とは何か?という問いはすなわち現実とは何かという問いと必然的に結びつき、両者の関係性の中にしか原理的に見出す事ができない難問だ。その点において円城氏の志は高い。だが作品全体としては--(無論意図的な仕掛けなわけですが)--とりとめがなく、様々な美しいガジェットの潜在構造の結びつきが弱い。そのため読むのになかなか苦労する作品だ。だが、著者はまだ発展途上にあるのだと思う。かつ、ここまでの前衛に芥川賞が授与されたのは、良い事だ。(文壇はどうしても保守的です)著者には頑張って頂き、トマス・ピンチョンなど凌駕するような凄い作品を書いて欲しい。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.10
(2pt)

「僕の小説は前衛的だから分かる人にしか分からないんだよ」な小説

もしいま目の前に何の前知識もなく安部公房の芥川賞受賞作『壁―Sカルマ氏の犯罪』があったとして、自分にその価値が正しく評価できるだろうか、それはやはり自分でも自信がない。だからこの『道化師の蝶』も、本来なら自分には全く理解できない独り善がりな小説!と断定できるだけの勇気はない。選考委員たちの多くも「この小説には何かがあるかもしれない」とのことで、芥川賞受賞となった。でも、敢えて僕はやはりこの小説は前衛を気取っただけのつまらない小説だと断言したい。安部公房が、芥川賞受賞後、『砂の女』や『箱男』といった作品で前衛を貫きながらも分からないといった人たちをも唸らせてしまうという芸当が、この作者に出来るだろうか?前衛的だから分かる人にしか分からなくていいじゃなくて、「分からない人にも圧倒的世界観でねじ伏せてやる」といった情熱をこそ、この作者に求めたい。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.9
(2pt)

理解できず(残念そして劣等感?)

出だしは面白そうでしたが、所々、辻褄が合わないような・・・・(自分の読解力不足?) 焦るばかりで、楽しめなかった。 専門書以外の一般図書で、こんなに文書を理解できなかったのは初めてです。 ただ、文章に不思議なリズム(韻)が有ります。 途中で「これは詩なのか?」と思い直し、でも、リズムに流されてるとストーリーが全然頭に入ってこないまま進んでしまったり。 とにかく、最後まで大変でした(トホホ)
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.8
(4pt)

構築美

円城塔の「道化師の蝶」を読了。一言でいって読者を限定する作品です。好きな人というか、本作を理解できる人と全く理解できない人の2種類しかいない、自分も理解できませんでした。でも理解したい気持ちでいっぱいです。本作はこれまでの小説のフォーマットと違う造りで構成されています。いうなれば「構成を楽しむ作品」でもあります。具体的には、章ごとに「わたし」が出てきますが、全て違う「わたし」なのです。一読しただけですが、全ての章が関係性を持っているように感じますが、本当かどうかはっきりしません。不思議な作品です。
でも日本人はこれまで様々な構成を愛してきました。様式美ともいうのでしょうか。型の美しさ、を感じる能力を持っています。本作は小説からの「型の美しさ」への挑戦であると思います。その挑戦に対して我々読者は感じるものがあるはずです。でも駄目なときは駄目でいいのです。きっとそういう作品なのです。
祝芥川賞。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.7
(1pt)

旅の間にしか読めない本があるとよい。

では、 この本は一体いつどこでどのように読むべきなのでしょうか 私には読めませんでした 何が言いたいのかがわからなかったです 友人が話題になっている共食いを買ったので 私は芥川賞同時受賞のこれを買いましたが 正直、共食いを買ったほうが良かったかな、といった感想です 私がこの本を理解出来ないだけですので この本が悪いとは言いませんが 私が読めなかったので、やはり私の評価は下がらざるを得ないわけで 新しく購入を考えている方に 万人向けでは無い本ですよ と、一言言いたかったのでレビューを書かせていただきました お目汚し失礼致しました
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.6
(3pt)

読み手を選ぶ作品

好きと嫌いの二択しかない作品です
まあまあ好きかも。なんてことはなくて、好きな人はハッキリと好きだと言えるし、嫌いな人は嫌いだとキッパリ言います

普段純文学に触れる機会が少ないためか最初の方は内容が理解出来ませんでした
何を言いたいのか、何を伝えたいのか
只とつとつと文字をなぞるだけ
ひたすら「わたし」の語りが続きます
特に二章は会話も少なく、言語に関する論文や研究書を読んでいる錯覚を覚えました

三章の友幸友幸(おそらく)の記憶語りから面白くなってきて無心で読み進めました
所々聞き慣れない表現で疑問符を浮かべたりもしましたが面白かったです
そこまでモチベーションが保てないと、つまらない作品と思ってしまうかとおもわれます

抽象的で曖昧かつ最後まで濁した表現なので、最後をハッキリとさせたい、どういうことなのか読了後にスッキリさせたいと思う人には向きません
友幸友幸とは記憶に寄生する蝶の名前の一つでA・A・エイブラムス氏が言うところの「着想」というのがこの蝶ってことなのでしょうか?
ハッキリ出来ず、私はもやもやが残りました
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.5
(5pt)

蝶は捕まえられない

『あなたは蝶を捕まえてなどいないのですよ。蝶に勝手についてきただけだ』87頁11項

学校では、自分の考えを訳をいれて話すことをもとめます。「訳」それは特に低学年の児童には大事な思考の網なのです。様々な経験を表現したり理解したりするために、学校の国語教育では経験をすくいとる網(語彙や規律)をたくさん用意しています。「いつ、どこで、だれが、どうした」「どうしてかというと」「□□とくらべると分かることは」云々。
こうして網(語彙や規律)を習得することで人は形作られ、成長していくのです。網の数こそ、学識であり、知恵であり、行動力そのもの。たくさんの網をもち自分の力で生き抜いていってほしいと願うばかりです。
でも、網を使えば使うほどに気づかされるのは、一つの言葉のすくいとれる意味の曖昧さ。「やさしい」この言葉の網がすくいとる意味は、どれだけ多いことか。「やさしい」を使う人の数はたくさんおり、その人それぞれに経験想起される内容は多岐にわたり、付随される意味も含めると無数に意味は広がります。
一つの言葉ですら非常に曖昧さを伴うのです。
この物語で描かれる、作家『友幸友幸』も数多の網を習得。20もの言語を使うことができる人物であるならなおさら、使い分けるのは困難をともなう。
我々教員が、子どもに伝えていること。
一つの言葉で人を生かしもし、一つの言葉で人を殺すこともできるよ。
ああ、大博打を打って、人は言葉を使っているのだなぁ。ああそんなことに気を遣うんだったらば、唯一の意味しかない言葉があったら、どれだけ便利だろう。でも、唯一の意味しかない言葉があったら、どれだけつまらないだろう。意味と言葉の間にひらひら舞う蝶のように、人の言葉も美しさを垣間見る作品でした。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.4
(3pt)

前衛的な言語表現

何の予備知識無しに一読してみたが、あまりの掴みどころのなさに面食らった。 言葉が複雑かつ、巧妙に絡みあっていて、難解な文章はどこか無機質だが美しく、まるで言葉で表す幾何学模様のようだ。 下手に理知的な頭で読むと混乱してきて先に進まない。  前衛的な絵画を見たり、現代音楽を聴いている感覚に似ている。 それこそが正に帯に書かれるような「現代言語表現の最前線!」だということなのだろう。 文学的に優れている作品であることに変わりはないのだが、純粋に物語を楽しむような種類の本ではなかったようだ。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.3
(4pt)

形而上を舞う蝶を追え!

芥川賞受賞作かぁ〜ということで何となく手に取り、初めて著者の作品を読みました。

結果、期待以上でした。

私はこれを、円城氏の人間の思考の限界への挑戦であると感じました。
今までにない新しい小説と言われているのも耳にしましたが、本作品に関して言えばむしろ、古代ギリシアから今日に至るまで、様々な人々感じ紡いできた書き手として王道を行く作品だと思います。
カントとかヘーゲルとかを読んで、思惟することを好む人は結構楽しめるのではと思います。。

地球上にあるいかなる人間の言語おいても、話者は数、時、場所など表すことができるようになっているし、同じような思考をもっていたりします。
これはつまり人間が言葉でとらえる前の何か、この小説でいうところの「蝶」が存在しているのです。
そんな蝶をひたすら人間の作り出した「虫取り網」で追いかける人々の姿は、円城氏でもあるでしょうし、その他の書き手でもあるし、また潜在的にすべての人間である。なんて幻想的な形而上学でしょう。

彼のほかの作品も是非読んでみたくなりました。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.2
(1pt)

芥川賞?

冒頭部の意外性につられ読んでみました。 友幸友幸の登場あたりから雲行きが怪しくなり 予想通りの残念な結果、という印象です。 あまりに読者を限定しているような作品。 ただ、この作者にしか語れないような物語が今後 生まれる可能性は否定できないとは思いました。 今回の作品はどこで読んでも同じ発色でした、私には。
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614
No.1
(5pt)

大仰な言葉遊びなのだろうか?

恥ずかしながら、一度読了した程度では理解できませんでした。 はたしてこの作品は純文学なのか。 メフィスト賞に出しても違和感ないと思ったほどの非現実感。 場面の転回と、語彙と知識の豊富さで読んでいて頭が痛くなるような、いかにもスノビストが喜びそうな風味。 読者を振り回さんとするシュールレアリズム作品なのか、はたまた内容を追いかけることを無為とするダダイズム作品なのか。 自分は人よりは読解力があるだろうと思っていたが、勢い良く鼻を折られた。 ひょっとしてこの本は「逆立ちする二分間に読む本」なのだろうか?
道化師の蝶 Amazon書評・レビュー: 道化師の蝶より
4062175614