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(短編集)
Boy's Surface
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Boy's Surfaceの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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非常に面白い。 普段接している概念があって、それを「形式的にこう当てはめられるならこうも言えるよね、じゃあこういうことにならないかな。」という拡張・一般化の思想の元、「理系の本気の言葉遊び」を進めていく小説。比喩をもって読者をつれていってくれる。 どこかで聞いたことがある、けれど文学の文脈では聞いたことがない単語を豊富に出してくれる。理系読者垂涎の一冊。 変換、極限、(文中では示唆だけだが)実数の範囲外での極限操作の概念、ライフゲーム、etc... 繰り返し読むことでだんだんわかる、でもよくわからない。そんな心地がたまらない。 self-reference engine に続き私を円城ファンたらしめる作品。ぜひご覧あれ。 | ||||
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読むのにとても時間が掛かり、今日帰りのJRの中でも読み終えられなかったので、無人駅に降りてからベンチで数十分使い何とか読み終えた。私は普段司馬遼太郎の歴史物なんか読み飛ばして高速で読書してるのだけど、本書は読み飛ばしたら本当に何も頭に残らない感じがして丁寧に読むしかなかったのだ。 恋愛小説と言う噂だったので、表題作「Boy's surface」がてっきり少年の話かと思ったのは私だけだろうか。実はBoyと言うのは人名で物理学用語らしいのだが、わかるわけねえだろ! と言う感じで、まともな小説ではなく、激しく読者を選ぶと思う。個人的には筒井康隆後期の「虚構船団」以後の実験的作品を想起したのだが、「恋愛小説」を読もうと思ってるならパスした方が良い。まあ、初めの1ページ読んだらわかると思うが。その後いくら読んでもわかり易くなることは全くないし、普通の意味で男女の恋愛なんて少しも描写されてはいない。あえて言えば恋愛小説を解析した難解なログを読まされる感じだろうか。 少なくても私にはほとんど理解不能だったが、高等数学や物理学の用語が頻出し、さらにその他の雑学的な要素も山盛りで、作者が専門の物理学のみならず教養も凄いことがわかる。ところがそうしたわけのわからない文章の羅列を追っていくのが不思議と面白くてクセになる。まるで難解な現代詩でも読んでるみたい。きっとSF好きな人の半分くらいはハマるのではなかろうか。逆に言えばまるで受け付けない人も多いだろう。 たふん「こんなの小説じゃない!」と腹を立てる人の方がまともな感覚の文学好きだと思う。「SF」も「SM」も大好きな私みたいな変態性癖な人なら面白く読める本かなあ。 | ||||
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作者の作品は初読。5編を収めた中短編集だが、冒頭のタイトル作を読み始めて驚いた。「鳥獣戯画」の昔から動物や物体の擬人化は良く見られるが、何と数学上の概念を擬人化するとは...。 タイトル作の語り手は、ある高次元射影空間上の構造"レフラー球"であり、自身の発見者である数学者レフラーの初恋を語るという奇想天外な設定。"レフラー球"はmorphismであり、その構造は本質的に無限循環である。読者が本を読んで何らかの意味に解釈する事をmorphismと捉え、その本質を解体した作品に映ったが...。理解出来ない事が特徴だとも思われる。次編「Goldberg Invariant」も、一見エージェント指向の自然言語自動認識・生成を扱った近未来SFのように見えて、実は上述の"メビウスの環"的構造で、小説における階層の破壊を試みたもの(だと思う)。「Your Heads Only」は、読者をチューリングマシンとして、作品をそこからのアウトプットとして(あるいはその逆として)捉えたゲーム感覚に溢れた作品。それでいて作者の美意識を発露した作品でもある。ここでも"メビウスの環"的構造が繰り返される。「Gernsback Intersection」は、大胆なメタファーを用いて、読者の想像力の"極限"の産物が作品であると訴えたもの(だと思う)。要するに良く分からないのだが、見た目のユーモア感に比して作者の思惟の深さが窺える。自作解説を装った最後の「What is the Name of This Rose ?」がまた悩ましい。 数学・プログラミング上の概念・用語のオンパレードである事も手伝って読み手を選ぶ作品。だが、作者の知見と諧謔が楽しめ、未体験の刺激を求める方にはお勧めしたい。 | ||||
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数学やガジェットや言い回しやパラドクスや論理パズル、 そんなのを寄せて集めて組み立てたら、 できたのは胸から絞り出されるような心の叫びだった。 恋愛の不可能性の証明をかたりながら、 この胸が痛いのはなんなのか。 人類など大したものじゃないと悟りながら、 寂しさを感じるのはなぜなのか。 この人の文章は読者には不親切。 わざとわからないように書いているような、 理解されることをとうに諦めているような、 そんな印象がある。 だから、この人の書いたものを読んで感じたものは 筆者の準備したものというより 読んでいるこちらの感情であり世界観だということが 逆に分かりやすい。 そんな風に思いながら 読んでいます。 | ||||
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ディック的な世界を予想して読み始めたが、読後感は、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』みたいな感じでした。 読者としては、このまま、数理学的メルヘンの世界を進化させて行くのか?それとも、メルヘンと《生々しい現実》との間に、何らかの接点を見つけて行くのか?それが、一番、気になります。 ただ、この作品自体は、まるで《チェシャ猫のニヤニヤ笑い》を、そのまま小説にしたみたいで、楽しかったです。 | ||||
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今回も何が何やらよくわからなかった。 でもこれが、壮大なSFホラ話で、恋愛小説なんだということだけがわかった。 相変わらずの颯爽とした世界をなめきっているふざけた文体でサクッと読めても数学的な内容は、SF素人にはちょっときつい。 私は、作品の6割5分が理解できなかった。 でも円城塔の作品が好きなんですよね、単純に。 今回も浅く読ませていただきました。 | ||||
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