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無傷姫事件 injustice of innocent princess
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無傷姫事件 injustice of innocent princessの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.77pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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上遠野浩平を追っててよかった。上遠野浩平の小説で泣いてしまうなんて思わなかった。上遠野浩平の小説の中で最も好きな一冊。 | ||||
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殺竜事件からはじまる事件シリーズ6作目。ぼくは2作目まで既読で、たまたま今作のあらすじを読んで気になって先に読んでしまった(物語を楽しむ分には問題ないと思う)。 辺境の小さな国であるカラ・カリヤ。武装に頼らない軍事国家がいかに戦火を潜り抜け、国を守ってきたのか。そして、国の象徴でもある無傷姫。誰にも傷つけられないとされる彼女たちが、どのように姫となり、生きていったのかが描かれていく。 受け継がれていく無傷姫とその歴史という縦糸と、その時代においての姫や関わる人々の活躍という横糸を、各章にまとめて連作短編のようにテンポよく繋いでいるのが見事。それぞれの姫が個性的なところも読み飽きないポイントだと思う。個人的には2代目のミリカの話が好き。ラズロロッヒやマーマジャールとのやり取りや会話の面白さ、その立場や強さの対比も印象的だった。もちろん、ハリカとの嘘の話も。 「損得の話でしょう。人間は理想のために死ぬことはできるけれど、生き続けようと思ったら、すべては損得の話にしかならない─強い者におもねり、大勢の利益に倣う。そう─あなたと同じです」 このミリカの言葉はその考え方はなかったと唸った一言だった。野望のために群衆を支配しているはずの皇帝が、実は群衆の目先の利益に支配されていたというのが皮肉だよね。 終盤の余韻が残る幕の引き方も素敵だった。読み終えた後にすぐ読み直したくなる。冒頭の『究極の武装』の話も見え方がだいぶ変わってくるね。解釈は人それぞれなんだと思うけど、ぼくは『嘘』や『利益』や『信念』のことかなと考えた。あとがきの『姫』についての話も踏まえながらだと、より理解が深まりそうな感じがする。蜜を塗ったパンを片手に読み返したいね。 | ||||
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強国同士が睨み合う最前線に取り残された傭兵部隊を主軸とした烏合の衆。 彼らが生き延びる為、お世辞にも豊かとはいえない湿地帯に創り上げた国は、やがてこの世界を実質的に形作っていく中心となる。 自分達の命を、自分達の国を、自分達の独立を守る為に「武力」を使わずに敵を退ける無傷姫。 その無傷姫の采配の結果、この世界は「最悪の結末」をギリギリのところで回避し続けています。 「戦地調停士」が関わるべき事件はもうほぼ終息しており、実質この世界の歴史や組織の成り立ちを、その中心に位置する無傷姫側の視点から見た作品です。 | ||||
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地球となんとなくモノが行き来しているけれど気にしてる人は少数の変人だけ、という龍が見守る異世界を舞台に、国が興ってから滅ぶまでが描かれます。 4代のお姫様がどう物事に向かい合ったのか。 恋愛はありませんが、2代目・3代目のお姫様と国を支えてしまっている豪商との人間関係は実に良いものです。 3民族混成の国家としてレバンガ人の登場人物がいないために、そこの問題がわかりづらいのは欠点。 わけのわからないモノや人がぽっと出てきて仕事してなんだか分からないうちに去っていったのだけど…?は 上遠野ワールドの恒例なので別作品への登場を楽しみに忘れておきましょう。 | ||||
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EDが属する「七海連合」が、なぜ成立したか。その裏事情の一端が語られる。 戦鬼オリセ・クォルトの妹にして、初代無傷姫となったハリカ姫ことハリカ・クオルト。彼女の後に続く代々の無傷姫たちが、何を夢見、何を求め、そして死んでいったかが描かれている。 リスカッセ大尉の祖父や、若き日の戦士マーマジャール・ティクタムが出てきたりして、なかなか興味深い。風の騎士の活躍が無いのは、ちと残念。 ところで、「あとがき」でも指摘されているのだが、「お姫様」という存在は実に不思議な存在だ。その言葉を聞けば、みな様々なイメージを描くが、誰もその実態をつかめない。その本質はただ純粋に「愛されること」。何ともつかみがたいからこそ、色んな夢をそれに重ねてしまうのだろうか。もっとも、私個人は過去に土田よしこ大先生が描いた『つる姫じゃ~っ!』を読んで、「姫」という言葉から人々が思い描く願望や妄想のすべてを木っ端みじんに破壊されてしまったのだが。 次号、「奇帝国事件」。ダイキ帝国がらみの事件だろうか?括目して待って!(ていうか、早く出して) | ||||
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前の巻を読んだのがもう数年前で、記憶は遥か彼方だったのですが、まったく問題なく面白かったです。 それぞれの姫たちの生き方が、それぞれに潔くて美しい。 「殺竜」に次ぐ面白さなんではないかと思いました。 そして蜂蜜が無性に食べたくなる。 | ||||
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ファンタジーな世界で起きる事件、しかも世界の均衡を揺るがしかねい程の事件を解決する「戦地調停士」の活躍を描く、戦地調停士シリーズの最新作がようやく出ました。前作が出版されてから7年も経っていたとは・・・。 このシリーズは他のシリーズに比べても独立性が高く(上遠野浩平の作品はほぼと言っていいくらいに世界観が繋がっており別作品の登場人物や組織が関わる)、従って今から上遠野浩平の作品を読み始める人にはお勧めしやすいシリーズです。 特に今回のはファンタジーな世界観と自分にとって不完全な世界においてどう自己を確立させるか、願いを叶えるかで悩み奔走するキャラクターを書いたら抜群にうまい著者のストーリー展開がマッチして抜群に面白くなっていますね・・・! これは上遠野浩平ファンなら必読です | ||||
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シリーズの六冊目となりますが,これが初めての自分にはピンと来ない部分が多く, 設定や人物の繋がり,言葉など,これまでの読者の楽しみどころが逆に違和感となり, 途中から手を出したためとはいえ,もう少し補足があっても良かったように思いました. ただ,話自体はこの巻だけで成立しており,『その後』から始まる回想中心の展開は, 歴代の『姫』や人々の間で語られ,受け継がれていく年代記としては悪くはありません. また,一つの章で一人ずつの姫が描かれ,ある姫は忠誠心を,ある姫は反抗心や疑問など, 様々な思いや欺瞞を抱きながらも,国を護り,緩やかに朽ちていく様子が印象的に映ります. また,『事件』については最後にようやく,しかもミステリとしては物足りませんが, それによって浮かび上がる『真実』の方が,トリック的(?)にもそちらに近いのかも? そして,最後を彩る夜の空は,遠い日の夢を呼び戻して,悲しくも穏やかな余韻となり, 新しい始まりの中に覗く「もしかして?」は,小さくも明るい未来を期待させてくれます. | ||||
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かつて、 ディズニー映画のプリンセスたちには王子の登場が必然であった。 白雪碧やシンデレラの前にはその不遇な状況を打破してくれる王子様がいて「恋」する健気な女の子でいれば良かった。しかし、近年の「アナ雪」のエルザのように、王子を必要としなくなった強い女性の生き様が支持されるようになった、という話を聞く。 もはや、「恋」にも「王子」にも興味がなくなったお姫様は一体何に関心があるのだろう? 彼女たちには何か人生をかけてやるべき事が残っているのだろうか?自分のやれる事、やりたい事について真剣に考えているのだろうか? 私は映画を観ていないのだが有名な「let it go」の英歌詞(日本語意訳ではない)を読むかぎりそこには清々しい”吹っ切れた感”がある。 ありのままに、という日本語はどちらかというと上品な意訳で本来は「もう構うものか!」という放棄にも似た覚悟が見え隠れする。自分の原点を思い出すように、そうだ、私は〇〇だったんだという、はっきりとした実感を伴う自己認識がある。 「わたしはエルザだ!」と、彼女が誰に言われるでも無く押し付けられるのでもなく、自ら、名乗りを上げている姿が目に浮かぶ。 わたし達は多かれ少なかれ、密かに憧れている。 美しい存在に、巨大な存在に、それらが持つ圧倒的で心を預けたくなる様な『強さ』に憧れて生きている。それは宗教とは違って信仰であり、信じたいというキモチのみが重要なのであって毎日お祈りをしたり、本を読んで勉強したりといった行動は不要なのだ。 お手軽といえばそうなのだが、だからと言ってそれはを軽く扱われるのは許せない。 なぜなら、わたし達はそれを「信じて」いるからだ。 希望であり、夢であり、ときめきであり、ロマンなのだ。 同時に幻なのだけれど、そこには幻滅など入ってきて欲しくはない、心の宝箱の一番奥底にしまい込んだ、誰にも触らせない宝石があるのだ。 「無傷姫」について本作の登場人物はどう思っているのだろうか? 誰にも傷付けられないから無傷姫、というその異名について。 レーゼ・リスカッセの祖父は「押し付けてしまった詐欺」と嘆き、 人喰い皇帝ラズロロッヒは「印象操作」だと納得する。 七海連合の始祖ユルランは「ただの称号」言い切る。 その名を受け継いだ彼女たちにとって、それは重荷でしかなかったのか? 二代目ミリカ姫は言う、「あなた方が信じてくれなかったらー 無傷姫なんてものは一瞬たりとて存在できないのよ」 二代目ミリカは約束を守るために、三代目マリカは野望を胸に抱き、無傷姫の名前を掲げて生きた。個人的に言えば、一番ひれ伏したいと思う姫君はマリカで、一番友達になりたいと思うのはミリカである。彼女たちの元で働いたり、となりに立って議論を酌み交わす、それはそれは痛快な生き方であろう。 しかし、こと今すぐ目の前に現れてお話しすることが出来るのなら、他愛もないお喋りがしたいと思うのは初代無傷姫、ハリカ・クォルトである。 彼女のように「強い」存在と言葉を交わすというのはそれこそ夢の様な話で、作中の人物がそうであった様に、ほとんど理解できない事を言われて頭にハテナマークを浮かべ突っ立っているのが関の山なんだろうけど、それでも、そこで得た感覚はきっと大事なもので、その体験は「わたしは彼女を知っている」という実感を伴って、死ぬまで私の支えになる気がするのだ。 それは信仰が、確信に変わる瞬間である。 それは、宝石がもはや誰にも傷付けられない光を帯びる決定的な出来事なのだ。 四代目無傷姫 ヨリカは一番私たちに近い。 「何者にもなれない自分」 「押し付けられて何だか息苦しい自分」 「それでも何となく惰性で続いていく人生にため息つく自分」 そんな彼女こそが実は一番、無傷姫の名を強く行使した。 彼女は日記を介して初代無傷姫、ハリカ・クォルトに出会っている。それは、他人から見ればどうでもいい事で、ヨリカ本人にとっても意識していない、しかし、決定的な出来事だった。そして、それこそが凡庸で無力な彼女を、不信で何にも期待出来なかった彼女を「無傷姫」として立ち上がらせた黄金だったのだろう。四代目ハリカこそが一番、無傷姫の名に相応しい姫君だと私は思っている。 初代ハリカの「願い」 二代目ミリカの「約束」 三代目マリカの「野望」 そして四代目ヨリカの「決意」 それらは無傷姫の名の元に繋がっていった、などと言えばキレイにまとまるのだろうけど、それよりも何よりも、彼女たちには何というか、共通の感覚があって、それは全ての女の子が「姫」になる可能性を秘めているもので、言葉は知っているんだけど、口にすると陳腐なものにしかならなくて、だから、すっかり忘れてしまっているんだろうなぁ。 前作「残酷号事件」から6年が経った。 2009年に町に一軒しかない本屋で一冊しか置いてないそれを手に取り急ぎ足で家に帰って読みふけったあの日から六年の月日が流れた。私の人生に様々な変化があったにも関わらず、この作品はあの時から変わらず続いているのだと思うと感慨深いシリーズである。 上遠野浩平作品において最も地に足の着いたシリーズがこの事件シリーズであり、その後日譚というか、巻き込み事故の調書みたいな短編が2月に発売される。 さらに3月には上遠野浩平作品 において今や最もふわふわとしたシリーズブギーポップの新刊が出るらしい。ロストメビウス以降、話が前に進むでも、過去編に突入するわけでもないこのシリーズは先生の「昨日こんな夢見たんだけどどう思う?」みたいな恐ろしくフワフワした読後感に酔いそうになる。ちなみにタイトルを見ただけで今回も蜃気楼に向かって歩き出したような目眩を覚える。うわー楽しみ。 このシリーズには残酷号事件の時と同じく特製の「しおり」がついていてそこに書かれている言葉がこの作品をさらに味わい深くしているのでできれば新刊で購入した方が良いでしょう。 あと、この作品に関する上遠野浩平インタビューがネットに載っているので今作の読後に読んでみると良いです。いろいろ納得します。 ていうか羨ましいわ。 以上 BGM”ビック ガールズ クライ” byシーア | ||||
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ブギーポップシリーズはマンネリ化しつつあるが、久々の事件シリーズです いやーこれはおもしろかった。 読むのが止まりませんでしたよ 実際。 七海連合の発端のお話でした。 ただの平和を求めてという単純なお話ではありませんでした。 | ||||
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今作は、異世界におけるカラ・カリヤという武力を持たず世界に多大な影響を与えた国家の歴史譚と言える。 実に面白い。 特に2代目・3代目の無傷姫の物語は見事な出来であり、この作者は「力によらない強さ」を描くのが本当にうまいと再認識させられる。 他のシリーズを読まなくても楽しめるので、ぜひ読んでいただきたい。 ただ、最後にある人物の行動を「事件」としたのはやや無理があると思う。 まぁ表題に事件とついているので仕方がないが。 | ||||
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これを読み終えた後、あなたはきっとメープルシロップを衝動買いします。 | ||||
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久しぶりの「事件」シリーズ、とてもワクワクしながら読みました。 読む前までは 「タイトルからして、どんな攻撃も受けない姫のその謎を暴くんだろーなー」 等と安易に思っていましたが、全然スケールが違いました。 本書では今までのシリーズに出て来た主要人物の親族・関係者や、世界的組織を作った 創設者とも言える人物がたくさん出てきます。いかんせん、前巻との間が空き忘れて いる部分が多く、つながりを全て把握できないのが口惜しいと思えるほどです 本書は4代に渡って「無傷姫」と呼ばれる人物が統治?した「カラ・カリヤ」という国が 舞台です。戦地調停士EDが初代「無傷姫」の日記を読むところから物語は始まります。 読んでいるうちは、まるでその国の歴史を見ているようで(もちろんその中心には姫が いるのですが)「これのどこが事件なんだ?」という感じでした。 読んだあとも、正直これが「事件」であったとは思えません。 「事件」どころの話ではありません。そんな言葉では済まされない次元です。 確かに4代目の時に「事件」ともいえるべきことは起きるのですが、4代「姫」というものを 生み出したのは前代「姫」があったからで、その3代「姫」という人間を作ったのはという 感じで、全ては繋がっているのです(厳密に言うと「無傷姫」を創るのは国民なんですが)。 あまり詳しくは書けませんが、この「系譜」っぽい感じは「海賊島事件」みたいなところが あり、こちらはより「歴史(カラ・カリヤ史)」寄りでそういう壮大なスケールを味わえたと ころが良かったです。あと、中心人物となる「無傷姫」が4人いる事もあってかいろいろな人 物との会話が多く、そこも上遠野作品好きとしてはポイント高いです。 魅力的な人物もたくさん出てきます。(いかんせん故人も多いですが) 始めのカラーページも、読み終えた後ではまた違った風に見えます。 また「事件」シリーズを始めから読み直したくなります。 まだ読んでいない方は、できればシリーズを軽く読み直してから読んでいただきたいです。 | ||||
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