わたしたちが孤児だったころ

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わたしたちが孤児だったころの評価:

4.00/5点 レビュー 80件。 E ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全162件 101〜120 6/9ページ
No.62
(5pt)

大人は子供に嘘を教える


われわれ大人は子供に大いなる嘘を教える。
世界は優しく美しいものである、という嘘を。
世界は悪や残酷さや暴力に満ち溢れているにもかかわらず。

子供たちは理想郷という虚構の中で、いわば純粋培養される。
いずれは子供たちも真相に気づくわけだが、われわれ大人は
その日の到来をなるべく遠ざけようとする。

大いなる嘘で語られるのは、われわれが果たせなかった願いであり、理想である。
子供時代の記憶は、優しく美しく、ノスタルジックだ。おそらく、その記憶こそが
悪や残酷さや暴力を拒む力となりうる。

「虫眼鏡」という、すでに時代錯誤的で、牧歌的な小道具は、子供時代の象徴である。
(あの凄惨な市街戦のさなかでさえ、あいかわらず「虫眼鏡」!)
フィリップおじさんの告白を聞くことではじめて、主人公にとっての子供時代は終焉する。

この「純粋培養」というテーマは、次作の 『わたしを離さないで』 で再び主題化される。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.61
(5pt)

大人は子供に嘘を教える


われわれ大人は子供に大いなる嘘を教える。
世界は優しく美しいものである、という嘘を。
世界は悪や残酷さや暴力に満ち溢れているにもかかわらず。

子供たちは理想郷という虚構の中で、いわば純粋培養される。
いずれは子供たちも真相に気づくわけだが、われわれ大人は
その日の到来をなるべく遠ざけようとする。

大いなる嘘で語られるのは、われわれが果たせなかった願いであり、理想である。
子供時代の記憶は、優しく美しく、ノスタルジックだ。おそらく、その記憶こそが
悪や残酷さや暴力を拒む力となりうる。

「虫眼鏡」という、すでに時代錯誤的で、牧歌的な小道具は、子供時代の象徴である。
(あの凄惨な市街戦のさなかでさえ、あいかわらず「虫眼鏡」!)
フィリップおじさんの告白を聞くことではじめて、主人公にとっての子供時代は終焉する。

この「純粋培養」というテーマは、次作の 『わたしを離さないで』 で再び主題化される。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.60
(4pt)

推理小説ではありません。

なにやら無性に骨太の小説が読みたくなり、本棚を漁ったら、随分前に買ったまま放置していた本書が見つかったので、読んだ。因みに、同時並行的にポール・オースターと村上春樹も。奇しくも全員60歳前後の男性作家で、そして、こんな乱暴な言い方が許されるなら、おおざっぱに言うとテーマは自分探しだ。
ごくあいまいな感想で本当に申し訳ないが、カズオイシグロを読むには体力がいる。別に圧倒的に雄弁な語り口でもなければ、目まぐるしく場面展開が起こるわけでもない。そうではなくて、常に抑え気味のトーンにもかかわらず、そこに留まっていることが難しいというか、能楽で言えば一番動いていないときが一番体力を使っているような、感じ。だから体力のないとき、集中力の保てないときにはカズオイシグロは読めない。でも、一旦そのトーンに波長をあわすことが出来れば、作品世界がすっと広がる。読んで見て、面白かった。満州事変前後の社会をイギリスの視点から描いていて、詳しく話すと面白くなくなるからこれ以上は書かないけど、どしっと腰を据えて読む時間ができたときに読みたい本の選択肢に加えて欲しい。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.59
(4pt)

推理小説ではありません。

なにやら無性に骨太の小説が読みたくなり、本棚を漁ったら、随分前に買ったまま放置していた本書が見つかったので、読んだ。因みに、同時並行的にポール・オースターと村上春樹も。奇しくも全員60歳前後の男性作家で、そして、こんな乱暴な言い方が許されるなら、おおざっぱに言うとテーマは自分探しだ。
ごくあいまいな感想で本当に申し訳ないが、カズオイシグロを読むには体力がいる。別に圧倒的に雄弁な語り口でもなければ、目まぐるしく場面展開が起こるわけでもない。そうではなくて、常に抑え気味のトーンにもかかわらず、そこに留まっていることが難しいというか、能楽で言えば一番動いていないときが一番体力を使っているような、感じ。だから体力のないとき、集中力の保てないときにはカズオイシグロは読めない。でも、一旦そのトーンに波長をあわすことが出来れば、作品世界がすっと広がる。読んで見て、面白かった。満州事変前後の社会をイギリスの視点から描いていて、詳しく話すと面白くなくなるからこれ以上は書かないけど、どしっと腰を据えて読む時間ができたときに読みたい本の選択肢に加えて欲しい。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.58
(3pt)

うまく消化出来ない作品でした

「私を離さないで」を読んで興味を持った作家だったので二冊目として選んだ。
 モノローグで綴られることや、静謐な語り口は同じ。物語は過去と現在を往復しながら、上海とイギリスを行き来するのだが、記憶と現実の行き着く先である上海が中心となる。「租界」という言葉の醸しだす妖しい雰囲気が、作品に登場する阿片の煙のように物語全体を覆っている気がする。主人公の少年時代を除けば「私を・・・」の舞台であるイギリスの印象と同じく、陰鬱な感じの舞台だ。
 物語の筋はわかるし過去の事件に対する主人公のこだわりもわかるのだが、その行動が今ひとつ理解できない。しかも物語の進行に執拗に絡んでくる同じ女性やイベントの話など、まるで自分の無力を象徴するように繰り返される悪夢にさえ思える。もしかして、この気分こそが作者の目指すところだったのだろうかと思えてしまった。
 上海での子供時代のエピソードで、イギリス人である主人公と日本人の友人とがお互いに自分の中にイギリス人らしさ/日本人らしさが足りないと告白するシーンがある。日本人として生まれながら幼少からイギリスに育った作者の思いがここにありそうだ。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.57
(3pt)

うまく消化出来ない作品でした

「私を離さないで」を読んで興味を持った作家だったので二冊目として選んだ。
 モノローグで綴られることや、静謐な語り口は同じ。物語は過去と現在を往復しながら、上海とイギリスを行き来するのだが、記憶と現実の行き着く先である上海が中心となる。「租界」という言葉の醸しだす妖しい雰囲気が、作品に登場する阿片の煙のように物語全体を覆っている気がする。主人公の少年時代を除けば「私を・・・」の舞台であるイギリスの印象と同じく、陰鬱な感じの舞台だ。
 物語の筋はわかるし過去の事件に対する主人公のこだわりもわかるのだが、その行動が今ひとつ理解できない。しかも物語の進行に執拗に絡んでくる同じ女性やイベントの話など、まるで自分の無力を象徴するように繰り返される悪夢にさえ思える。もしかして、この気分こそが作者の目指すところだったのだろうかと思えてしまった。
 上海での子供時代のエピソードで、イギリス人である主人公と日本人の友人とがお互いに自分の中にイギリス人らしさ/日本人らしさが足りないと告白するシーンがある。日本人として生まれながら幼少からイギリスに育った作者の思いがここにありそうだ。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.56
(4pt)

なんでこんなに長いのか?

5年くらい前に読んだ『わたしを離さないで』が劇的に面白かった。
『わたしたちが孤児だったころ』は『わたしを〜』の1作前にあたる。
戦前の上海が舞台の探偵モノ、という設定に期待大。
だがしかし、読み始めてすぐ「ああ。イシグロカズオだ」。

なんだろー。
このヒトをダマそうダマそうという控えめな語りは。
「語り手vs読者」という戦いを挑まれる。
文章すべてが主人公の記憶語りであり、客観性ゼロ。
まったく信用できない不安さがイシグロカズオを読む醍醐味なのかもしれない。

主人公が、相手の瞳に感謝の念を「確かに」見た時、相手は本当に感謝しているのか???

例えば。
子供時代の友人と再会した主人公、クリストファー・バンクス。
我々は「みじめで1人でいるのが好きな2人」だった、という相手のセリフに仰天するが、友人の言葉の方が、真実なんじゃないのか?と思え過ぎる。

そんな感じで、ロンドンで着々と出世してゆく様子を読んでも、本当のことなのかどうか、常に怪しい。
社交界で主人公に向けられる会話がすべて、そのコミュニティー定番のジョークに思えてしまう。

後半の上海で登場する落ちぶれたクン爺さん。
彼が輝かしい過去を語っても、誰一人その内容を信じていない。
それでも、その昔話に対して金を払ったりしているようなのだ。
その図式は主人公にも当てはまらないか?

と疑念満載で延々と長文を読み進め、終盤の上海に入ると。
いよいよクレイジーさも、命に関わる問題に。
どうなるんだ?どうなるんだ?と一気読み。
緊迫したアクションシーンで死ぬかもしれない。
「だがしかし全部妄想かもしれないぃ!」とバンクスと一緒に戦場を駆け抜けながら全力で疑う。
もはやストーリーは支離滅裂状態で、この意味不明さのどの部分が真実として、解決編で残るのか?

やっと最後9分目に入って、アッという間に、30年近くに渡るモヤモヤが全解説され、バンクスも読者も驚愕である。
この小説、なんだってこんなに長いのか?
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.55
(3pt)

退屈しました。

ヨーロッパの白人が、中国という広大な植民地の未開の地で失踪していくヨーロッパにはよくありそうなテーマな気がします。 シャーロックホームズのイギリスで、元々戦中の不安から探偵小で説というジャンルは盛り上がったと解説にあります。 喪失した植民地で探偵小説=支配は成り立たなかったという。 探偵小説の否定、理性の支配の否定か。 誰の証言もアテにならないという、混乱、喪失読書体験になるようです。 長いし、実利を求める人には向きません。 この本がどうのとかではなくて、私はカズオイシグロ自体に向かなかったようです。 カズオイシグロとしては、安定のクオリティではないでしょうか。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.54
(4pt)

なんでこんなに長いのか?

5年くらい前に読んだ『わたしを離さないで』が劇的に面白かった。
『わたしたちが孤児だったころ』は『わたしを〜』の1作前にあたる。
戦前の上海が舞台の探偵モノ、という設定に期待大。
だがしかし、読み始めてすぐ「ああ。イシグロカズオだ」。

なんだろー。
このヒトをダマそうダマそうという控えめな語りは。
「語り手vs読者」という戦いを挑まれる。
文章すべてが主人公の記憶語りであり、客観性ゼロ。
まったく信用できない不安さがイシグロカズオを読む醍醐味なのかもしれない。

主人公が、相手の瞳に感謝の念を「確かに」見た時、相手は本当に感謝しているのか???

例えば。
子供時代の友人と再会した主人公、クリストファー・バンクス。
我々は「みじめで1人でいるのが好きな2人」だった、という相手のセリフに仰天するが、友人の言葉の方が、真実なんじゃないのか?と思え過ぎる。

そんな感じで、ロンドンで着々と出世してゆく様子を読んでも、本当のことなのかどうか、常に怪しい。
社交界で主人公に向けられる会話がすべて、そのコミュニティー定番のジョークに思えてしまう。

後半の上海で登場する落ちぶれたクン爺さん。
彼が輝かしい過去を語っても、誰一人その内容を信じていない。
それでも、その昔話に対して金を払ったりしているようなのだ。
その図式は主人公にも当てはまらないか?

と疑念満載で延々と長文を読み進め、終盤の上海に入ると。
いよいよクレイジーさも、命に関わる問題に。
どうなるんだ?どうなるんだ?と一気読み。
緊迫したアクションシーンで死ぬかもしれない。
「だがしかし全部妄想かもしれないぃ!」とバンクスと一緒に戦場を駆け抜けながら全力で疑う。
もはやストーリーは支離滅裂状態で、この意味不明さのどの部分が真実として、解決編で残るのか?

やっと最後9分目に入って、アッという間に、30年近くに渡るモヤモヤが全解説され、バンクスも読者も驚愕である。
この小説、なんだってこんなに長いのか?
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.53
(3pt)

退屈しました。

ヨーロッパの白人が、中国という広大な植民地の未開の地で失踪していくヨーロッパにはよくありそうなテーマな気がします。 シャーロックホームズのイギリスで、元々戦中の不安から探偵小で説というジャンルは盛り上がったと解説にあります。 喪失した植民地で探偵小説=支配は成り立たなかったという。 探偵小説の否定、理性の支配の否定か。 誰の証言もアテにならないという、混乱、喪失読書体験になるようです。 長いし、実利を求める人には向きません。 この本がどうのとかではなくて、私はカズオイシグロ自体に向かなかったようです。 カズオイシグロとしては、安定のクオリティではないでしょうか。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.52
(4pt)

結末について

非常にいいレビューが出尽くしているので、ちょっとした意見だけ。

結末、特に母親の扱いと「フィリップおじさん」の自白の生々しさが、
あまりに扇情的にすぎるような気がする。
「私を離さないで」の時もそのように感じたのだが、それまでの
筆致が抑制されているので、余計にそう思うのだが、どうだろう。

あとは、養子のジェニファーの扱いが、どうしてもとってつけた印象
を受ける。どうしても配置しなければいけない人物であるのは、わかる
のだけど。

※ちなみにこの作品は映画化されてませんが、イシグロ脚本で上海租界
を舞台にした「上海の伯爵夫人」という映画があります。同映画で、上海
租界の猥雑で混沌とした雰囲気がよく分かりますよ。あと、スピルバーグ
の「太陽の帝国」も上海租界のイギリス人少年が主人公です。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.51
(4pt)

結末について

非常にいいレビューが出尽くしているので、ちょっとした意見だけ。

結末、特に母親の扱いと「フィリップおじさん」の自白の生々しさが、
あまりに扇情的にすぎるような気がする。
「私を離さないで」の時もそのように感じたのだが、それまでの
筆致が抑制されているので、余計にそう思うのだが、どうだろう。

あとは、養子のジェニファーの扱いが、どうしてもとってつけた印象
を受ける。どうしても配置しなければいけない人物であるのは、わかる
のだけど。

※ちなみにこの作品は映画化されてませんが、イシグロ脚本で上海租界
を舞台にした「上海の伯爵夫人」という映画があります。同映画で、上海
租界の猥雑で混沌とした雰囲気がよく分かりますよ。あと、スピルバーグ
の「太陽の帝国」も上海租界のイギリス人少年が主人公です。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.50
(4pt)

英国らしい文章

翻訳の方が素晴らしいのでしょうが、文体が英国らしく、皮肉な笑いがたくさんです。 1930年代の上海とロンドンが舞台というだけで、わたしのようなものはもうお腹いっぱいになってしまうわけですが、 そういう舞台に興味がなくても、楽しめる作品だと思います。 ミステリーは好きではないので、最初ミステリーかと思ってギョッとしましたが、別にミステリーではなかったです。 主人公の職業がそれっぽいだけでした。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.49
(4pt)

英国らしい文章

翻訳の方が素晴らしいのでしょうが、文体が英国らしく、皮肉な笑いがたくさんです。 1930年代の上海とロンドンが舞台というだけで、わたしのようなものはもうお腹いっぱいになってしまうわけですが、 そういう舞台に興味がなくても、楽しめる作品だと思います。 ミステリーは好きではないので、最初ミステリーかと思ってギョッとしましたが、別にミステリーではなかったです。 主人公の職業がそれっぽいだけでした。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.48
(4pt)

カズオ・イシグロ氏は巧い。

普通(なのかな?)ある作家に惚れこむと処女作から時系列で読んでいく傾向があるが、僕はカズオ・イシグロ氏の作品を逆順に読んでいる。本作は『わたしを離さないで』の前作に当たるが、まず著者の小説作りの巧さが冴えている。本作はエンタテイメント寄りの作品に仕上がっているが、イシグロ氏のストーリテラーとしての巧みさと文章の洗練度は相当なものだ。個人的な嗜好として、ヨーロッパを中心とした上流階級を設定にした端正さよりもアップデイトなモチーフで書かれた小説が好みなのだが、著者の腕にかかるとそういった趣味を超えて小説の面白さを十二分に堪能できる。超絶的名作『わたしを離さないで』の次に読んだためやや食い足りない読後感があるが、著者の懐の広さを堪能できる作品だ。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.47
(4pt)

カズオ・イシグロ氏は巧い。

普通(なのかな?)ある作家に惚れこむと処女作から時系列で読んでいく傾向があるが、僕はカズオ・イシグロ氏の作品を逆順に読んでいる。本作は『わたしを離さないで』の前作に当たるが、まず著者の小説作りの巧さが冴えている。本作はエンタテイメント寄りの作品に仕上がっているが、イシグロ氏のストーリテラーとしての巧みさと文章の洗練度は相当なものだ。個人的な嗜好として、ヨーロッパを中心とした上流階級を設定にした端正さよりもアップデイトなモチーフで書かれた小説が好みなのだが、著者の腕にかかるとそういった趣味を超えて小説の面白さを十二分に堪能できる。超絶的名作『わたしを離さないで』の次に読んだためやや食い足りない読後感があるが、著者の懐の広さを堪能できる作品だ。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.46
(4pt)

子供の頃の記憶、母親への思慕・・・。

正直、主人公の思いつくままの回想に付き合わされているようで、3分の2くらい読み進むまであまり面白いとは思わなかった。探偵もの、ミステリーとしても面白さがあるわけでもなく、謎の真相も何やら通俗的な感じがするし、幼なじみアキラとの関係や探偵として世界の混沌の責任を負っているかのような主人公の気負いも奇妙に思えて違和感があった。はっきり言うと理解できないというべきか。ただ、エピローグ的な香港でのエピソードの最後の言葉に、どっと涙が出てしまった。太平洋戦争前の不穏な上海を舞台にしていますが、あくまでも物語の背景にすぎず、作者は子供の頃の記憶、母親への思慕を描きたかったのかなと思いました。自分もふっと思い出す子供の頃の母親の姿や彼女はどんなことを思っていたのか、なんていうような一瞬の回想が切り取られたかのような・・・読後感が残る本でした。

 なんとなくですが、ロシアのアンドレイ・タルコフスキー監督が母親についての記憶を抽象的に描いた「鏡」という映画を思い出しました。なんとなくですが・・・。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.45
(4pt)

子供の頃の記憶、母親への思慕・・・。

正直、主人公の思いつくままの回想に付き合わされているようで、3分の2くらい読み進むまであまり面白いとは思わなかった。探偵もの、ミステリーとしても面白さがあるわけでもなく、謎の真相も何やら通俗的な感じがするし、幼なじみアキラとの関係や探偵として世界の混沌の責任を負っているかのような主人公の気負いも奇妙に思えて違和感があった。はっきり言うと理解できないというべきか。ただ、エピローグ的な香港でのエピソードの最後の言葉に、どっと涙が出てしまった。太平洋戦争前の不穏な上海を舞台にしていますが、あくまでも物語の背景にすぎず、作者は子供の頃の記憶、母親への思慕を描きたかったのかなと思いました。自分もふっと思い出す子供の頃の母親の姿や彼女はどんなことを思っていたのか、なんていうような一瞬の回想が切り取られたかのような・・・読後感が残る本でした。

 なんとなくですが、ロシアのアンドレイ・タルコフスキー監督が母親についての記憶を抽象的に描いた「鏡」という映画を思い出しました。なんとなくですが・・・。
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347
No.44
(4pt)

過去の記憶と「今」の断片

この前の日中戦争の直前・戦中そして戦後における父と母そして彼らと「私」を取り巻く人々の記憶の断片を辿る「孤児」日記。 でも何か物足りない。 何かすっきりしない。  イシグロの作品の中でもレヴェルの低い作品かな、と思う。 ただ単に長いだけで、最後までぐいぐいと読ませる力量は認めるとしても、やはり物足りない。 途中で「なんでやねん!」「???」と突っ込みたい箇所が多々、多々ある。    「英米で非常に高く評価され、ベストセラーになった」と文庫のカバーにはあるが、この作品はなんらかの文学賞を受賞してないんだな、何かおかしいんだ、これ以外の作品とは違うんだ・・・・・
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152083425
No.43
(4pt)

過去の記憶と「今」の断片

この前の日中戦争の直前・戦中そして戦後における父と母そして彼らと「私」を取り巻く人々の記憶の断片を辿る「孤児」日記。 でも何か物足りない。 何かすっきりしない。  イシグロの作品の中でもレヴェルの低い作品かな、と思う。 ただ単に長いだけで、最後までぐいぐいと読ませる力量は認めるとしても、やはり物足りない。 途中で「なんでやねん!」「???」と突っ込みたい箇所が多々、多々ある。    「英米で非常に高く評価され、ベストセラーになった」と文庫のカバーにはあるが、この作品はなんらかの文学賞を受賞してないんだな、何かおかしいんだ、これ以外の作品とは違うんだ・・・・・
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)より
4151200347