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(短編集)

アンダーリポート/ブルー



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【この小説が収録されている参考書籍】
アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)

アンダーリポート/ブルーの評価: 3.63/5点 レビュー 8件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.62pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(4pt)

作家

後に色々過去の作品を読んだ
アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)Amazon書評・レビュー:アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)より
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No.7:
(4pt)

罪を抱えて生きる

法を犯したことが一度もない人はいないと思うけど、
結構まずいことやっちゃって、それをずっと黙って生きている人って案外多いんじゃないか?
読後にそんなことを思った
アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)Amazon書評・レビュー:アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)より
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No.6:
(3pt)

結末から書く、という技法について

結末、クライマックスといえば、
全ての謎が解き明かされて盛り上がる場所として
一般的に認知されていると思う。

アンダーリポートも、そんなクライマックスシーンスタートで幕が上がる。
ここについて書いてみたい。

技法だけに着目すると、古畑任三郎のドラマシリーズだったり、
最近では100日後に死ぬワニにだって使われている。
いわば、スタンダードな代物だ。
それが、この物語では、どのように活かされていたのか。

大きく感じたのは、「緊張感」の存在だった。
休憩中のバー、女性の登場、会話の流れ、そして言動...といった
一つひとつの要素が、登場人物それぞれの覚悟や執念を滲ませている。

一人は明らかにしたいという覚悟。
一人は明かさずに生きたいという執念。

この平行線を辿る緊張の糸が、
物語の骨組みとして全編を支えていく。

二人の会話が持つこの緊張は
何から生み出されているのだろう?
そんな疑問符を頭の片隅に抱えたまま
読み進めさせられる。

古畑もワニも、アプローチは違えど
どちらも緊張感を作っている。

すなわち、「結末を書くこと」によって得られる効果は、
物語に緊張感という骨組みを生み出すことなんだと思う。
アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)Amazon書評・レビュー:アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)より
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No.5:
(4pt)

佐藤正午、ファンタジー

佐藤正午さんの二冊目でした。こちらの方が有名なんだそうです。ファンタジー小説。
アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)Amazon書評・レビュー:アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)より
4094062092
No.4:
(4pt)

良い作家だと思います

とても文章の上手い作家だと思います。やはりこれまでの最高傑作は「鳩の撃退法」だと思います(まさにいま再読してます)。
アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)Amazon書評・レビュー:アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)より
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No.3:
(2pt)

本編だけで良かった。

ブル-パートはサプライズなしでした。もうひと捻りを期待していました。
アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)Amazon書評・レビュー:アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)より
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No.2:
(4pt)

閉じた系を脱した果ての答えは想像を越えるほど非情なものだった

43歳の検察事務官である「私」古堀徹は、かつて隣人の撲殺体の第一発見者になった過去がある。あれから15年。被害者の娘で当時4歳だった村里ちあきは、今や大学生となって「私」を訪ねてくる。その時点から「私」は、まま迷宮入りしてしまったあの事件の真相を追い始める。そこには「アンダーリポート(報告されなかった犯罪)」がかかわっているのではないか…。

 2007年に発表された『』が、単行本『』所収の短編『ブルー』と合一されて文庫で改めて先月(2015年9月に)出来(しゅったい)しました。単行本で『アンダーリポート』は読んだものの、『ブルー』という後日譚が存在することは知りませんでした。これを機に今一度『アンダーリポート』の物語に浸ってみたくなり、この文庫本を手にしました。

 8年近く前に単行本『アンダーリポート』を読んだ際、私は、「これは佐藤正午が私につきつけた宿題ではないか」と題して書評を書きました。
 この物語は冒頭と終幕に同じ場面を描いています。読者は最終ページにたどりつくと同時に物語の最初のページに引き戻される仕組みになっています。終幕と冒頭の接合によって生まれる円環関係から脱出することのできない読書体験。この物語の中で読者は、閉じた系の中に永遠に閉じ込められることになります。

 そしてその循環し続ける物語の中で読者である私は考え続けたのです。15年前に殺害事件にいやおうなく関わらざるをえなかったかもしれない女たちの、やむにやまれぬ思いについて。
「もし戒める力がどこにも見つからなければ、いまあなたがやろうとしていることはあやまちではない。」
「人が、人と、なるべく出会わないように注意して生きていけば、不幸に見舞われる確率も下がるに違いない。」
「あなたが、あなたの人生を賭けて、その男を殺したのはわかる。」

 殺害に関わったかもしれない女たちの哀しい真実を言い当てた言葉が心に添う思いをしたのです。ですからこの言葉を前に私は抗する力を失い、茫然とし、息苦しさを感じないではいられませんでした。この閉じた系から出るために、私は人生の中でどう考え、何をなすべきなのか。

 その答を探すこと、そしてこの閉じた系を断ち切ること、それこそが、この小説で佐藤正午が突きつける私への宿題であるような気がしてならなかったのです。

 今回の再読でも、この私の思いは変わりませんでした。少なくとも後日譚『ブルー』を読むまでは。『アンダーリポート』の終幕まで読み終え、あらためて物語の冒頭に戻ると、第1章「旗の台」と第2章「大森海岸」で謎めいた点の数々が、物語の中で線へと連なる重要なものであることが鮮明に見えてきて興趣が尽きませんでした。

 ですが、『ブルー』には、正直なところ、私は落胆の念を覚えたのです。
 『アンダーリポート』という閉じていた系に、突如として小さな脱出口が現れたような展開を『ブルー』は見せます。しかし、古堀がPOVで語り続ける物語で、この結末は果たして許容されるのでしょうか。
 また閉じた系から脱する答えとしては、あまりにも非情としかいえないものであり、私の期待を裏切るものでした。

 この後日譚がなかったほうが、『アンダーリポート』はより優れた長編小説のままでいられたのに。そんな歯噛みする思いが残りました。

--------- 
*44頁:「目と目が合って彼女の笑顔に釣られた新聞記者に違いなかったが、戻ってきた連れの女にその取材はきっぱりと断られた。」という文章があります。この箇所はどうも意味をとりかねます。ひょっとして「目と目が合って彼女の笑顔に釣られた。新聞記者に違いなかったが、戻ってきた連れの女にその取材はきっぱりと断られた。」ということではないでしょうか。「釣られた」のあとに句点が必要な気がします。
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4094062092
No.1:
(4pt)

閉じた系を脱した果ての答えは想像を越えるほど非情なものだった

43歳の検察事務官である「私」古堀徹は、かつて隣人の撲殺体の第一発見者になった過去がある。あれから15年。被害者の娘で当時4歳だった村里ちあきは、今や大学生となって「私」を訪ねてくる。その時点から「私」は、まま迷宮入りしてしまったあの事件の真相を追い始める。そこには「アンダーリポート(報告されなかった犯罪)」がかかわっているのではないか。

 2007年に発表された『アンダーリポート』が、単行本『正午派』所収の短編『ブルー』と合一されて文庫で改めて先月(2015年9月に)出来(しゅったい)しました。単行本で『アンダーリポート』は読んだものの、『ブルー』という後日譚が存在することは知りませんでした。これを機に今一度『アンダーリポート』の物語に浸ってみたくなり、この文庫本を手にしました。

 8年近く前に単行本『アンダーリポート』を読んだ際、私は、「これは佐藤正午が私につきつけた宿題ではないか」と題して書評を書きました。
 この物語は冒頭と終幕に同じ場面を描いています。読者は最終ページにたどりつくと同時に物語の最初のページに引き戻される仕組みになっています。終幕と冒頭の接合によって生まれる円環関係から脱出することのできない読書体験。この物語の中で読者は、閉じた系の中に永遠に閉じ込められることになります。

 そしてその循環し続ける物語の中で読者である私は考え続けたのです。15年前に殺害事件にいやおうなく関わらざるをえなかったかもしれない女たちの、やむにやまれぬ思いについて。
「もし戒める力がどこにも見つからなければ、いまあなたがやろうとしていることはあやまちではない。」
「人が、人と、なるべく出会わないように注意して生きていけば、不幸に見舞われる確率も下がるに違いない。」
「あなたが、あなたの人生を賭けて、その男を殺したのはわかる。」

 殺害に関わったかもしれない女たちの哀しい真実を言い当てた言葉が心に添う思いをしたのです。ですからこの言葉を前に私は抗する力を失い、茫然とし、息苦しさを感じないではいられませんでした。この閉じた系から出るために、私は人生の中でどう考え、何をなすべきなのか。

 その答を探すこと、そしてこの閉じた系を断ち切ること、それこそが、この小説で佐藤正午が突きつける私への宿題であるような気がしてならなかったのです。

 今回の再読でも、この私の思いは変わりませんでした。少なくとも後日譚『ブルー』を読むまでは。『アンダーリポート』の終幕まで読み終え、あらためて物語の冒頭に戻ると、第1章「旗の台」と第2章「大森海岸」で謎めいた点の数々が、物語の中で線へと連なる重要なものであることが鮮明に見えてきて興趣が尽きませんでした。

 ですが、『ブルー』には、正直なところ、私は落胆の念を覚えたのです。
 『アンダーリポート』という閉じていた系に、突如として小さな脱出口が現れたような展開を『ブルー』は見せます。しかし、古堀がPOVで語り続ける物語で、この結末は果たして許容されるのでしょうか。
 また閉じた系から脱する答えとしては、あまりにも非情としかいえないものであり、私の期待を裏切るものでした。

 この後日譚がなかったほうが、『アンダーリポート』はより優れた長編小説のままでいられたのに。そんな歯噛みする思いが残りました。

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*44頁:「目と目が合って彼女の笑顔に釣られた新聞記者に違いなかったが、戻ってきた連れの女にその取材はきっぱりと断られた。」という文章があります。この箇所はどうも意味をとりかねます。ひょっとして「目と目が合って彼女の笑顔に釣られた。新聞記者に違いなかったが、戻ってきた連れの女にその取材はきっぱりと断られた。」ということではないでしょうか。「釣られた」のあとに句点が必要な気がします。
アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)Amazon書評・レビュー:アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)より
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