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量子宇宙干渉機



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【この小説が収録されている参考書籍】
量子宇宙干渉機 (創元SF文庫)

量子宇宙干渉機の評価: 4.00/5点 レビュー 7件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

SFらしさは最初だけ

量子力学の多世界解釈に基づいて展開されたストーリーで、物語のはじめ、QUICという装置の開発のあたりまではハードSFと言ってもいいくらいにしっかりとした理屈が感じられました。ただ、私が面白く感じたのはそこまでで、後ろの3/4くらいは量子力学でもなんでもない単なる古典的なパラレルワールドへの転生というか憑依というか、それが延々と続くだけのファンタジーでした。多くのSF作品と異なり、メインプロットとは直接関係ないSF的な仕掛けや視点がほとんどない点もちょっと物足りません。

 かと言って純粋にファンタジーとして面白いかと言うと、そこも微妙で、物語の中核にある出来過ぎたユートピアは(別世界にしても)リアリティが感じられず、登場人物が多すぎてストーリーを追いかけるのにも疲れてしまい、日本人からすると東洋文化のステレオタイプもややうっとうしく感じられてしまいます。

 SFとしての理屈の根底の部分については、記憶は持ち帰れるのに他の媒体による情報伝達は絶対ムリ、みたいな設定でしたが、そうなると人間の精神だけが何か物理学の中で特殊な位置に置かれてしまい、その部分の説明がないのもすっきりしません。一方ではQUIC/QADARの原理とDNAの構造や生物進化との関連性を指摘していたりもしているので、この「人の精神だけが多世界を移動できる」という設定が余計に引っかかってなりません。全体として、"Scientific" というよりは "Spiritual" な fiction かなぁ、というのが私の印象でした。
量子宇宙干渉機 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:量子宇宙干渉機 (創元SF文庫)より
4488663192

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