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(短編集)
時間飛行士へのささやかな贈り物
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時間飛行士へのささやかな贈り物の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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ある日、父親が宇宙人に取って代わられる。 ある日、人類が機械文明に支配されてしまう。 ある日、自分の体がスライムのような醜悪な不定形生物になってしまう・・。 ・・誰でも一度は考えるような、チープでタチの悪い冗談のような妄想が、 名手ディックにかかると、悪夢的世界を構築するための格好の土台となる。 誰しも、上記したような妄想の世界が現実になるなんて思っていない。 しかしSFとは元来「ありえないこと」に説得力を持たせ、 常識外れの空想世界をリアリティある現実として読者に認識させるジャンルだ。 ジョークじみた「笑い」が「恐怖」に、馬鹿馬鹿しい「荒唐無稽」が「現実」へと変貌する異様。 ディックはそのある種偏執狂じみたユーモアとリアリズム描写で、 読者の認識している「現実」を少しずつ侵食していく。 誰でも「当たり前」のものとして認識し、この目で見ているつもりになっている「現実」の地平を。 ディックは本書収録の「父祖の信仰」で、共産主義社会の頂点にたつ「絶対の恩人」を 邪悪な宇宙生命体として描写した事で、当時の左派から猛烈な批判を食らったらしいが、 ディックが真に恐れていたのは共産主義などではなく、 自分の信じるものこそ絶対だと考えて疑わない人間の愚かしさだったのかもしれない。 | ||||
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もともとが、「ベスト・オブ・P・K・ディック」というタイトルの短編集の第2冊目です。「ベスト」だけあってディックの中では最高の短編が集まってます。もともとディックは短編の名手で、ディックの長編も短編を長編化したものが多いです。かの「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」も元々短編でした。 ディック傑作集〈1〉では「変種第二号」や「にせもの」といった映画化作品が目玉ですが、この〈2〉では「アフター・サーヴィス」や「電気蟻」が個人的には最高です。なにかというと、読み返してます。 「時間飛行士へのささやかな贈物」は「時間飛行士」のアイディアがディックの作品では珍しく本格SFの感がありますが、そこはそれディックのこと、やり切れない結末は誰も真似のできないディック節であります。 村上春樹は「神経がある種の疲れ方をするとディックかフォークナーを読む」そうですが、この短編集はそんな感じにぴったり合います。と言っても「暗い」というわけではありません。ディックお馴染みの乾いたユーモアは、あちらこちらに仕掛けられています。 ディックを読むなら短編がいいです。「ある種の神経の疲れ方」とはどんな疲れ方か、これを読めば想像がつくというものです。 | ||||
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「父さんに似たもの」 ガレージのゴミ箱の中からひからびた父さんの皮が出てきた。 家の中にいるあれは、やっぱり父さんじゃないんだ。 実存する人間に入れ替わり、徐々に居場所を広げようとするソレの、賢さ、周到さが不気味。 過去の実績に裏付けられた戦略であることが感じられる。 育ちつつある幼虫のようなぶよぶよした「自分」には鳥肌! | ||||
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