(短編集)
パーキーパットの日々
- 人形 (161)
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
パーキーパットの日々の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
フィリップ・K・ディックを最近知ったのですが、どうやら死後評価されるタイプの天才だったようですね。 ブレードランナーで知名度がぐんと上がり、売れるようになると言うのに、映画公開の3ヵ月前に心臓発作で死んだとか。何てついてない男なんだ。 前書きにジョン・ブラナーがディックを絶賛し、その不遇さを嘆いているが、事前にそう言うエピソードを知っておくと気持ちは分かろうと言うもの。 ここに掲載されてる作品群は、雑誌に掲載された年代順に載っていて、前の方程若くなっております。そう言う意味でディック入門編としては正しいでしょう。 若い頃の作品ばかりなので、あまり洗練されてないと言うか、設定やオチの粗い作品が目立ちます。前書きによればこれらの作品を当時の編集達は「平凡な、印象に残らない作品」と断じてしまったそうですが、後のディックが描いた傑作を知ってる読者なら、粗削りな作品の中にある後の天才の抜身の才能を見逃す事は無い筈です。 と言うか分かり易く面白いのでSF初心者にもお勧めです。 全部はめんどいので気になった作品を。 「ウーブ身重く横たわる」 とある惑星に降り立った宇宙船が、ウーブと言う豚に似た巨大な生物を拾う。食おうとすると彼は喋り出す。彼は高度な知能を持つ生物だった。だが彼を食うと言う選択を変えようとしない船長。そして・・・。 結末が最高にクール。カッコいいしブラックで気が利いている。作者のデビュー作。 デビュー作らしく、所々ツッコミどころがありつつも、際立った著者の才能が充分に感じられる作品。 「変種第二号」 未来、アメリカとソ連の戦争はアメリカが優勢だった。アメリカ軍が、クローと言う名の自立型の殺人兵器を創り上げたからだった。ある時、ソ連から会談の申し入れがある。一人の将校がその場所へ向かおうとすると、途中で奇妙な少年に会う。戦争被災者だと考えた将校は彼を保護しようとするが・・。 大体途中でその先の展開と結末を想像できるが、昔のB級SFって感じで面白い。 「報酬」 とある工場で2年間働いていた男。その工場は企業の秘密を守り通すため、契約が終わった社員はその間の記憶を消す決まりになっていた。2年の記憶を失った男は、代わりに大金を手に入れるはずだった。 だがしかし、いざ受付から報酬を受け取ろうとすると、手渡されたのは針金やバスの代用硬貨などのガラクタ達。 どうやら記憶を消される前の自分は、大金の代わりにこのガラクタを受け取る契約書にサインしたとの事。当然抗議するも聞き入れられず追い出される。 途方に暮れていると男は警察に捕まる。自分が働いていた建設会社は政府に睨まれていたようだ。何も知らないと言うが聞き入れてもらえない。このままでは拷問されて殺されてしまう危険性すらある。 彼は警察が目を離した隙に、逃げようとするがパトカーにはロックがかかっている。技術者である彼は道具さえあればこんなものは開けられる。しかし素手では無理だ。せめて細長い金属のようなものがあれば・・。 そう考えた時、あのガラクタの中にあった針金に思いつく。それを使ってロックを外した彼は、パトカーから逃げだす。そして逃げだした先にバスが来た。そしてガラクタの中にあった代用硬貨で逃げる。 彼は気づく。このガラクタはメッセージだ。これらで何事かをなせと、記憶を失う前の自分が言っているのだ。 そして彼は企業と政府の陰謀に巻き込まれていく。 発送は凄く面白い。だが結末にもう一工夫欲しかった。ちょいと雑に終わらせてしまったのが残念だが、トータルリコールみたいな話で面白い。トータルリコールもディック原作ですが、原作の方は読んでません。 「にせもの」 エイリアンと地球人の戦いが熾烈を極めている近未来、スペンス・オーラムと言う男が突然エイリアンのスパイとして捕まる所から話は始まる。彼は全く身に覚えが無いと主張するが、エイリアンはオーラムの肉体、精神全てをコピーしたロボットを送り込んだと言う情報を掴んでいる軍人たちは彼の話を頭から信用しない。そのロボットは、「自分がロボットである」という自覚も無いのだ。そしてそのロボットはあるキーワードをオーラムが口にすると爆発する仕組みになっている。 彼は当然逃げる。きっと何かの間違いだ。さて、彼は誰かに騙されているのか?それとも・・。 これもツッコミどころはあるし、無理のある所が結構あるしラストも予想できる。 だがキレッキレのラストが良い。 ディックの作品はハッピーエンドにしようと言う姿勢が端から無くてそこが良い。 「植民地」 自然豊かだが動物が見当たらない惑星に降り立った宇宙船。売っぱらうのには実に都合の好いように見えるその惑星にはとんでもない生き物がいた。 これもバットエンドだし、実際いたら恐ろしいエイリアンなんだけど所々笑えた。エイリアン対策に乗組員たちが取る方法は映像にしたらもう笑うしかないやり方。コメディーだか何だか良く分からん。でも好き。 「パーキーパットの日々」 表題作なのに何だったら一番面白くなかった。何でこれを表題にしたのか良く分からん。 異星人との戦争に負け絶滅危惧種として手厚くエイリアンに保護される立場となった人類が他にする事も無いので人形遊びに夢中になる話。 だから何?と言わざるを得ない話。 まあ、人形遊びにかつての自分達の姿を重ねていく内、人形の生活が自分達の生活の方より大事になっていくあたりに怖さや滑稽さがあると言えばあるが、それを踏まえた上で。 だから何?と言う感想しか出て来ない。 そんなSF設定でなくても表現できる話だし。 表題作が残念ですが、分かり易い話が多いのでSF初心者から子供まで幅広い人にお勧めできる本です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私が初めてディックの作品を読んだのがこれでした。 この中でも変種第二号とペイチェックの二つが最も楽しめると思う。 この二つの作品は息も継がせぬ程テンポよくストーリーが進み純粋に楽しめる娯楽作品です。 ディックの長編についていけず読破できなかった人はぜひこの短篇集を読み、そのあと長編に挑むといいでしょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
次から次へと映画化されるディックの短編の内、「変種第二号」、「にせもの」そして最新作「ペイチェック」が含まれた短編集。 残念ながら映画のほうは、「ブレードランナー」と「トータルリコール」以外はいづれも「肩透かし」の感を否めませんが、原作はどれも一流です。映画でがっかりした人やまだ観ていない人も是非一読を。 「短編」という手軽さも魅力です。 しかし、ここへ来ての「映画化ラッシュ」はどういった現象なのでしょう? 本来、根強いファンは常にいても、どこか「SF界の異端児」の称号を与えられてきたディックのはずなのですがね。時代が彼に追いついたということでしょうか? 確かに世界背景・情勢などの描写に「古さ」を感じますが、その「アイデアの斬新さ」、「否定的な未来像」は、何度読んでもSF心を掻き立ててくれます。 「ペイチェック」の公開に合わせたのか、新しい短編集が編まれているようですが、できればこちらを読んでください。 何のことか、未だにさっぱり理解できてないと白状せざるをえない表題作「バーキー・パット~」でさえも、彼独自の雰囲気であなたの「センス・オブ・ワンダー」を刺激すること間違いなし、です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
皮肉で悲壮で、でも逞しい近未来を描かせたら、ディックの右に出る人はいない。 「変種第二号」 東西の対決を終結させる目的で世界中に撒いたアンドロイド兵器は、独自に進化して人間を脅かすようになっていた。 映画「スクリーマーズ」の原作。映画はしょぼいけど、原作は◎。 「報酬」 プロジェクトに関与していた期間の記憶を消すという条件で、巨額の契約をした特殊技術者。 が、契約満了時に彼が手にしていたものは5つのがらくた。だまされたのか? 映画「消された記憶」の原作。映画ではアイテム数は19。ちょっと多すぎないか。 「にせもの」 地球外星人の侵略が日々激しくなる中、地球防衛軍人の家の傍に宇宙船が墜落した。 宇宙船には、現存する地球人そっくりに偽装した地球外星人が乗っている、という。 映画「クローン」の原作。 「パーキー・パットの日々」 核で汚染され見捨てられた星・地球にそれでもほぞぼそと人間は生きている。 空から投機される補助物資だけが命の綱。 日々を耕す気力を失い、過去の思い出にすがる大人たちは、補助物資で精巧なミニチュアを作ってゲームの勝敗を競う。 病気のように蔓延しているお人形の「人生ゲーム」。 先祖がえりしたように荒廃した地球でたくましく生きる子供たちが印象的。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
中学校の国語教師です。 「SFを読もう」という単元を、年に数回設定しています。 この『パーキー・パットの~』中の「にせもの」は、生徒をよく引き付けたお話でした。 名作「冷たい方程式」と並び《次の一編に手を伸ばさせる手引き》として、また、ロジカル・フィクションの面白さを体感させる手引きとして 合格の品でありました。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 6件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|