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棄霊島
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棄霊島の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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浅見光彦100事件目の節目の作品とのことである。かつて炭坑の島として栄えていたものの、今は炭坑の閉鎖とともに廃墟となっている長崎の軍艦島を舞台にしたストーリーである。僕もかつて軍艦島の写真を何かの雑誌で見た際に、その異様な光景に圧倒された覚えがあるが、一度は日本の中でも最先端をいっていただろう街がゴーストタウン化して朽ち果ててしまっている現状は、何とも言えないはかなさを感じる。その軍艦島にスポットを当てているのは、なかなか斬新な着眼である。しかし、ストーリー自体は、どちらかというと経済成長の間の日本の闇の部分の記述や長崎を中心とした各地の旅情の記述が中心となっており、どうも上下巻にしてしまうと中だるみしてしまっている感は否めない。 | ||||
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浅見光彦100事件目の節目の作品とのことである。かつて炭坑の島として栄えていたものの、今は炭坑の閉鎖とともに廃墟となっている長崎の軍艦島を舞台にしたストーリーである。僕もかつて軍艦島の写真を何かの雑誌で見た際に、その異様な光景に圧倒された覚えがあるが、一度は日本の中でも最先端をいっていただろう街がゴーストタウン化して朽ち果ててしまっている現状は、何とも言えないはかなさを感じる。その軍艦島にスポットを当てているのは、なかなか斬新な着眼である。しかし、ストーリー自体は、今回はわりと最初の方から犯人らしき人物が分かってしまうので、どちらかというと経済成長の間の日本の闇の部分の記述や長崎を中心とした各地の旅情の記述が中心となっており、どうも上下巻にしてしまうと中だるみしてしまっている感は否めない。 | ||||
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本書は浅見光彦が手掛ける100回目の事件に相当する事から、記念の長編上下巻となっている。著者はかつては鉄道を題材にした面白い推理作品を多く手掛けていたが、浅見光彦を登場させてから少し作風が変化し、浅見光彦というキャラクターがすっかり定着した感がある。最近の作品は時事問題を大きく取り入れているが、本書も例外ではない。本書ではゆとりの教育などに対する教育問題や北朝鮮に関する問題を取り上げて、著者なりの意見を述べているが、著者の時事問題への造詣の深さがうかがえる。 記念すべき本作品は廃墟化した島である長崎県の軍艦島を舞台とする難題に挑戦する。今回の事件は、当時の現場の刑事が、捜査の中止を上層部より指示されたという経緯があり、政治色を臭わせる。事実、浅見が目を付けたのはある政治家だ。今回の事件の解明はけっして容易ではない。本書の表紙カバーには廃墟と化した軍艦島のおどろおどろしい写真があしらわれている。 下巻に続く。 | ||||
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著者が本書上下巻で描きたかった事を代弁すると「正義とは国、宗教、時代などにより変化する」という事だと思う。今回の事件の根元は戦中戦後の激動の時期にまで遡る。特に朝鮮との関係において極めてデリケートな部分までが描かれている。戦中戦後の事ではなく、ごく最近起きたある殺人事件の動機が、戦後のどさくさの時期の出来事が端を発している。本書では、その前提の上で、文部科学大臣と首相とのやりとりまで生々しく描かれている。半分はフィクションであるが半分はフィクションではない。 著者は北朝鮮による日本人拉致問題に対する、極めて言いにくい事をズバズバと述べている。ここでも、どこまでが正義でどこまでがそうではないのかを鮮明にしようとしている。浅見光彦はフィクションである部分の、この現代の殺人事件の全貌を突き止めた。しかし彼はこれまでの様に、警察にその内容を伝えずに封印してしまう。何も言わない事や知らないふりをする事が最大の想い遣りであり、それも一つの正義の有り様だと判断するのだ。 本書の読後感は決して爽やかではない。否、爽やかであってはならない。現在進行形の非正義が厳然と存在するのだから。 | ||||
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