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(短編小説)
遊戯
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遊戯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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最晩年の作品集。「小説現代」に集中連載された「遊戯」他の短編は連作という形態をとっているようだが、連作全体のタイトルが「遊戯」だったのかは知らない。ただ、ここには長篇として構想されたような大きな野心は感じられない。 第1作の「遊戯」は、読後、なぜか藤野一友の作品を想いだした。藤野はダリの影響を受けた画家だが、彼の絵の人物は裸身であることが多い。それも奇怪な想像力によって“遊戯”を強いられているのだ。 ネット・ゲームからはじまるので、新たな“孤独の広場”を発見した新機軸かな、と思っていたらそれだけで終わりはしなかった。もちろん、それは重要な伏線にはなっている。映画「パリ・テキサス」や、珍しくビートルズの曲が流れ、それがEleanor Rigbyだったりもする。ネットで知り合った二十歳の娘と三十一の男。彼女が指摘した拳銃によるのと刃物によるのとでは殺傷の意味が違うという話から男が決心したこととは…というミステリ(謎解き)。 「帰路」には、朝川みのりだけが登場する。本間透は出ない。彼女の溌剌とした伸びやかな性格がはち切れんばかりだ。しかし、藤原が用意した境遇はやはり訳ありだった。彼女の父は警察官。今度再婚しようとしている。再婚相手に会った“みのり”はしかし、好印象をもつ。一方、離婚した母は一人住まいを追い出されそうになっていた。 「侵入」は、本間とみのりの両者が出てくる。彼らが対面するのはまだ2回目だ。2人は世間的には単なる知り合いであり、実際には本間のひみつを共有する関係ではあるが、まだ特定の関係にはない。 「陽光」のタイトルは、マンションの建設現場での撮影中に射してくる“陽光”のことでもあるだろう。雨後なので危険回避のため5階での撮影は中止しようとの意見にみのりが異を唱える。それで、とび職の武田というベテランをアドバイザーにつけて強行されるのだが、みのりの意気に感じた武田の男気とやさしさが今回のメーン。 「回流」は、未完に終わった連作の最終話。一等不可解な“自転車の男”への推理が整理してある。ここから膨らませられることは色々あるのかもしれないが、言えることは、この男が本間の過去の亡霊だろうということだ。それ以外に、男の登場する意味はない。 しかし、本間にはすでに“みのり”という実り多き未来が訪れている。問題はない。そういうところまで書かれている本作に何の不満があろう。後は、恐怖との対峙が描かれるのみなのだ。その力技が晩年の藤原には喪われていたのかもしれない。あるいは躊躇いがあったのか。 最後の短編「オルゴール」の道具立ては秀逸である。<小型トースターほどの重量と大きさを持つ木製のオルゴール>が過去と現在を結ぶ。この国有数の資産家・夏目重隆(65)と倒産会社社長・日比野修司(41)とかつてそれぞれの伴侶であった祥子とを結ぶ<ゼンマイ仕掛けの手品>として機能する。 しかし、ここでも幼女とその母が物語のためとはいえ抹殺される。そして、そのことが二人の哀愁にまみれた男の影を造形する。彼の早逝を惜しむ声は多いが―このまま行けば彼とて駄作を書いていたのかもしれない、とも思える腐臭を嗅げないこともないワンパターンだ。だから、藤原が「がん発症始末」で書いた<生きのびた場合には、できるだけファンキーなジジイになりたい>といった、その“ファンキーなジジイ”への転生をはかろうとした骸としてこの作品集はあるのかもしれない。 | ||||
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藤原伊織という作家ではなく、藤原伊織という人を、心から好きになってしまいました。最後の作品です。最高です。 | ||||
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この本は藤原伊織ファンとしては納得ですが知らずに読めば???記念に大切にします。 | ||||
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商品コンディションは「良い」というコメントでした。 中身はそのコメントに納得の状態でしたが、表紙カバーは五段階で評価をすれば「3」がいいところかな・・という感じでした。 しかし、まあ満足はしています。 | ||||
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藤原伊織の遺作。 短編の連作としての長編・・・・の途中で作者が亡くなられたようです。 いつものように「イイ男とイイ女」が出てきて、色々と複線が張り巡らされているんだろうなぁ・・・・・・・というところで終わってしまいました。 残念。 最後まで読みたかった。 あと中編が一つついています。 藤原伊織の遺作に合掌。 と言うことで星五つ。 | ||||
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殆どの作品において男性の感性が色濃いから、ハードボイルドって言われるのは仕方ないけど 男の繊細さ っていうか まぁ 男ですいません!!って潔い感じが好き。 お亡くなりになったのは凄く残念です。 もう、作品が世に出ないのですから。 | ||||
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やはりこの作品は藤原伊織を読み尽くした人以外にはオススメできません。何と言っても結末がない訳ですから・・・。 ただ、藤原作品のファンだったからすれば、よくぞ出版してくれたと言える作品なのも間違いありません。結末は読み手側それぞれで考える事が出来る訳ですから。 つくづく惜しい作家を亡くしたと思いますが、死の直前までこんなにも緻密な作品を書き続けたことは本当にすごいと思います。恐らく最後には我々が思いもよらない結末があったのでしょう・・・。 最後の「オルゴール」に見る人生の悲しさは著者ならではの作品だと思います。 | ||||
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2007年7月、藤原伊織が亡くなった直後ぐらいに出された本の文庫化だ。 「遊戯」「帰路」「侵入」「陽光」「回流」と続く連作短編集で、 おそらくはこのあと何編かが書かれて、1つのストーリーか完結したはず。 作品のほとんどが死の前年、前々年に書かれている。 精神的にも肉体的にも大変な時期だったろうに、 ここまでの作品を書き続けたのはすごいと思う。 だが、最後の「回流」で、物語は唐突に切れる。 自転車に乗った謎の男、拳銃……これらの謎を残したまま。 私は単行本のときも文庫化されても読んだが、 まるで連続ドラマが途中で打ち切られ、 「結論」がわからないまま……という感じである。 しかし、「これからどうなるだろう」という期待を残していくあたり いかにも藤原伊織、という気がする。 「ダナエ」などとあわせて、読みたい本だ。 表紙の「自転車」と弾丸……これが何を意味するのか。 なお、この他に、短編「オルゴール」がある。 これがなかなかいい。 ともすれば「遊戯短編集」にだけ目が行きがちだが、 「オルゴール」の藤原伊織の世界は、ファンを満足させる出来だと思う。 改めて合掌。 | ||||
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著者が病気で亡くなったため未完となった作品であり、続きが読めないのはとても残念。相変わらずテンポがよく、CM業界の詳細を丁寧に描きながら少しずつ物語が展開されていくのだが、短編としても読めるので、途中まででも十分に楽しめた。 | ||||
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残念です。おそらく傑作になったでしょう。主人公の渋いかっこ良さ、プロットの興味深さ。ファンとしては星5つ付けたい、でも未完のため星四つ。 藤原伊織さんの文章は音楽を聴くよりも音が心に響きます。秀逸です。 | ||||
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ただ残念です。 気骨があり、非常に魅力的な文章を書く私の好きな作家藤原さんの遺作。 未完で終わってしまった。 藤原さんの小説の主人公はいつも格好よすぎる。今回の派遣会社社員の本間も然り。さめていてしかしやさしくクレバー。本当にこんな男性実際にいたらノックアウトです。 そしてヒロインのみのり、インターネットゲームで知り合った二人を軸にストーリーは進み、そこにストーカーと思しき不気味な自転車の男の影、父が残した拳銃、二人の関係、まだまだ話は続いたと思うのですが、書き残したまま天国に旅立たれた藤原さん。 藤原さんの小説で大好きだったのはストーリーもそうですが、登場人物の描き方でした。 今回のみのりも小説から飛び出してきそうな躍動感、そして謎の男の不気味な存在感。そして本間の孤独な優しさ。 とても残念ですが、最後まで自作の小説の主人公のごとく素敵だった藤原さん 今まで素敵な小説をありがとうございました。 | ||||
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「小説現代」に発表された連作短編で、一作ずつが読み切りになっている。だから一作目の「遊戯」なんか、それだけ読むとミステリー要素なしで、ちょっと純文っぽくも楽しめる。主人公2人の男女の関係性なんて、いつも以上にドライでミスマッチで、ちょっと村上春樹の小説を髣髴とさせる。まぁ拾った小石とかオルゴールといったマテリアルから過去の記憶を紡ぎ出すといったセンチメンタリズムは藤原伊織のものだけど。まぁ、甘甘じゃないやせ我慢、節度はあるけどね。 それにしても、著者逝去のため、本作は未完となっていて、これって藤原伊織が読者に最後に残したミステリーだよね。あの自転車男がこのあと、どう主人公2人に絡んでくるのかっていう。実際はあと1、2回あったんだろうけど、この謎解きっていうか、完結編の競作ってアイデアも面白いと思う。もちろん、パスティーシュのクオリティーが必要だけど。ま、そうなると現実、無理か。このままミステリーとして終わらせる、読者各自の想像に委ねるってほうが、やっぱいいのかもね。 いつもながら、広告業界のディテールはさすがで、物語としてのリアリティー、説得力が増す。 それにしても、藤原伊織の新しい小説がもう読めないってのは残念だなぁ。合掌。 | ||||
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今年5月に他界された藤原伊織氏の遺作です。表題作「遊戯」は残念なことに未完で、解決されていない部分も多いのですが、終わり方にそれほど中途半端な印象はありません。もう一篇の「オルゴール」は短編ですがこちらは完結しています。どちらも、初期の作品に比べると穏やかな作風ですが、人物描写も素晴らしく藤原氏らしさがでています。今後この作者の作品がもう読めないと思うと本当に残念です。これまでの作品をもう一度読み直そうと思います。 | ||||
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先日藤原伊織氏が他界した。まだ若かったのに・・・と思っていた矢先に、本書が出版された。迷わず手に取った。本書は未完であった。 しかし惜しい。こんなにワクワクしたものは久し振りだったから、余計に惜しい!非常に残念である。失礼かもしれないが、まだまだ感覚も若い。それなのに・・・ 続きが読みたくて体の震えが止まらない・・・・。 しかしながら、今はただ故人のご冥福を祈るだけである。 高級なミステリーをありがとう。 | ||||
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先日ガンで亡くなった藤原伊織氏の遺作である。病床で何を想いながら書いていたんだろうと考えながら読破したのだが、これまでの作品に負けず劣らず素晴らしい中編集に仕上がっている。彼の文章に何で惹かれるのだろうかと時々考えるのだが、おそらく、すべてがすべてを明文で語りきらず、むしろ行間で勝負しているところにあるのではないだろうか。主人公が必ずと言っていいほど30〜40代の男性という設定だからということもあるが、文章を読みながらこちらのイマジネーションがどんどん刺激され、感情移入し、自分で行間を埋めていってしまうのである。こういう読者の主観を利用する手法なので、きっと、小説から受ける心証や読後感の振れ幅も読者によって相当大きいのではないか。とにかく、もう彼の小説を読めないのかと思うと本当に残念である。 | ||||
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インターネット上のゲームサイトで、 31歳の男性と20歳の女性が知り合うところから、物語は始まる。 1編50ページほどの短編集である。 しかしそれぞれの短編がつながっているから、 連作短編集というより、長編の中の1つの「章」として読んだほうがいいと思う。 しかし残念なことに第5編の「回流」で、未完となっている。 「回流」が発表されたのが2006年の3月。 藤原伊織さんがなくなったのが2007年の5月だった。 主人公の一人である31歳の男性が父親の「遺品」として持っている拳銃。 もう一人の主人公の女性の父親は刑事。 そこに、スーツを着て自転車に乗った謎の男が……。 物語はここからどう進むのか、藤原伊織が用意していた結末は……。 カバー写真にある弾丸と、針金でつくられた自転車が何を意味するのか。 すべては謎のままだ。 藤原伊織ファンでなくとも、何が何でも読みたいところで終わってしまっている。 しかし、未完とはいえ、充分に読み応えはある。 もうひとつ。遺作となった「オルゴール」。これがいい! 中編だが、こちらは完結している。ひと言で言うと、切ない物語である。 だから、買って決して後悔はしない本だと思う。 最後にこの切ない作品を残し、おそらくは長編ミステリーになるはずだった 「遊戯」を未完にしたまま亡くなったことが、 藤原伊織という作家をそのまま象徴しているように思う。 「遊戯」から始まる連作は未完に終わっている小説だから、 いくら読み応えがあるとは言っても消化不良はあるだろう。 しかし私はこの本を、藤原伊織さんの「遺品」として買い求めた。 大切にしたい。 | ||||
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インターネット上のビリヤード対戦サイトで知り合った男女。 男は派遣会社勤務だが、何故かベッドにつくときにいつも拳銃を手にする。 女はアパレル会社を退社したばかりだが、モデル事務所にも登録をする身長180センチの長身。 この二人が関わるうちに謎の男が現われて…。 藤原伊織さんは、この奇妙な短編群で、読者を何処へ導いていこうとしたのでしょうか。 未完に終わっているのが本当に口惜しい。 「遊戯」、「帰路」、「侵入」、「陽光」、「回流」の5編までが書かれたところで、 藤原さんが亡くなったのです。 多分あと3編か4編で完結させるつもりだったはず。 主人公の元に遺された拳銃は、何らかの事件に関わっているのか。 女との関係は。 そして、謎の男の正体は。 ああ、続きが読みたい! 遺作となった短編集に、誰にも解けない謎を残していくあたり やはり藤原さんらしいですね。 | ||||
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