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(短編集)
嘘をもうひとつだけ
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嘘をもうひとつだけの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全86件 61~80 4/5ページ
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本書に付された帯の説明にあるように、加賀恭一郎は東野作品にしばしば登場する刑事である。自らの感情を表に出すことなく淡々と事件究明に邁進する彼の姿勢に共感するファンも多いに違いない。私が彼の名前を最初に知ったのは、『どちらかが彼女を殺した』という読者自身による犯人当てを企図した作品である。納得するまで調べ上げる執拗な捜査に対して犯人の内心は穏やかでないが、彼の巧みな術中に落ちてしまうケースに読み応えがある。そもそも、彼は「自分の質問が何のために行われているのか」を犯人に予想することを許容させず、どんなに些細な情報であってもその価値を慎重に酌量する能力に長けている。 本書は加賀恭一郎の初の短編集であり、彼の活躍が存分に味わえる作品だ。他のレビュアーが書いているように、本作品からはあの有名な古畑任三郎を想起させる構成であり、「犯人が誰であるのか」ではなく、「犯人がなぜ犯行を行ったのか」という「ホワイダニット=動機」の追及に比重が置かれている。殺人事件を犯した人間には必ず「動機」(それはその本人にとってはきわめて重要なもの)があり、読者もそれが犯行を行うに足る十分なものであるのかを看過しないはずである。そういう意味でも、こうした作風もそれなりの魅力を有しており、東野圭吾作品の奥行きの深さを体感させるものであるのではないか。短編集であってもじっくり読めば、加賀の刑事としての能力だけでなく、男との魅力をも示している(最後の作品「友の助言」)。 とはいえ、各作品における犯行動機はありきたりのものが多く、斬新なものではなかった。率直にいえば、犯行動機それ自体の解明よりも、細かい情報を巧みに積み重ねることから透けてみえている、事件の様相を暴く加賀による捜査能力の凄みへと読者を導きたいのかもしれない。私としては思わず震撼するような「動機」を備えた諸作品を期待したが、それは次回作に持越しである。 | ||||
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五篇の短編集であるが、どの作品も、犯罪の動機を描く事に、重点が置かれている。 それらの動機は、かなり特殊なものもあるかと思えば、いかにもありそうな、平凡なものまで、両極端だ。 表題作で、一番前に配置されている「嘘をもうひとつだけ」も味があるが、むしろ、他の作品の方が、味わい深い。 特に、二番目に配置されている「冷たい灼熱」は、動機という面では、非常に込み入っていて、大変面白い。 全作品に登場する、加賀刑事は、かなり粘着質で、少々嫌な感じだ。 初期段階で、すべてを見通しているにも関わらず、証拠を小出しに出して、犯人をじわじわと追い詰める。 従って、どの作品も、どろどろとしていて、読後の爽快感は、あまり無い。 しかし、それぞれの作品は、文庫50ページ程度で、すぐに読了出来、犯行の動機に関して、興味をそそられる。 著者の他の作品に比べると、奥行きが深いとは言えないが、それでも、完成度は、かなり高い。 軽いノリで、気軽に楽しむ事が出来る。 ただし、本書では泣けない。 | ||||
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5編の作品が収められた短編集です。 加賀刑事の事件を解決する手腕に脱帽しました。 不自然だと感じたことを徹底的に調べ上げ、ウラを取っておいて犯人を追い詰める・・・。彼ならどんな事件でも解決してしまいそうです。 | ||||
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加賀刑事が殺人事件(1篇は未遂だけど)の謎を解き明かしていく5編のストーリー。 犯人はだれなのか、ではなく、どういう動機でどう罪を犯したかを追っていく。その点では「古畑任三郎」や「刑事コロンボ」に似た展開といえるだろう。 理系人間東野圭吾らしい謎解きも用意されているが、どちらかというと人間の心に迫った内容のものが多く、犯人の切なさ、やるせなさが伝わってくる作品群である。彼らは決して凶悪な人間ではない。むしろ犯行にいたる経緯を知るにつれ同情を誘って、いつの間にか、このままそっとしておいてあげたい、と思ってしまう。 スカッとした読後感は望めないが、読んで損のない1冊。 | ||||
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5話の短編を収録。敏腕刑事・加賀と犯人の心理戦は、確かに刑事コロンボ等の 作品と同様のテイスト。短いストーリーなので、いきなり犯人との最終対決へと 進んでいく。加賀が犯人の嘘をみやぶるポイントにはなるほどとうなずくが、特に 目を見張るトリックがあるわけではない。東野作品の中で、良くも悪くも手軽に 読める一冊。 このまま終わりかと思ったら、最後の『友の助言』には引き込まれた。加賀は誰の 告発もないのに、ある疑問を出発点に推理と裏づけを積み重ね、事件の真相を明らか にしていく。その着目点には感心することしきりだった。刑事としてではなく、友人 としての加賀の心情が胸に染みる、秀逸な一篇であった。 | ||||
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火曜サスペンスあたりでみたような展開ばかり。 主役の刑事もなんら内面を掘り下げるようなこともなく淡々と すすんでいく。ああいう展開なら刑事が誰でも別にいいよね? | ||||
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50ページ超の短編が5本、すべてさらっと読める内容である。 日常のささやかな出来事から発生する殺人事件を加賀恭一郎が 鋭い洞察力で犯人を突き止める! 加賀恭一郎さえいなければ、事故等で片付く完全犯罪だったのに… と何故か私は犯人の肩をもつ。 | ||||
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刑事コロンボや古畑任三郎のように、犯罪を犯した者と刑事の心理戦を描いた連作短編集。 事件が起こった後からのストーリー展開なのでスタート位置が違うこともあってより対決に視点をおいた作品になっている。 どの作品も濃縮エキスのように対決が詰まっていてちょっと息苦しい。もう少し長めの中編くらいでじっくりと読みたいなぁと感じました。とは言え、この「濃縮」は実に味わい深いものなんですが。 最後の作品「友の助言」だけは少しだけ趣向が違っています。自己で入院している友人の元を訪れた加賀刑事が事故に隠された犯罪の芽に鋭く迫ります。この攻防は犯人との対決ではありませんが、緊迫感のあるやりとりが続けられます。 絶賛ではありませんが、東野圭吾さんのエッセンスを感じるには良い良作だと思います。 | ||||
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2時間ドラマのネタを集めたようなサスペンス短編集。加賀刑事の活躍が光る。 トリックや犯行から逮捕までの犯人の心理描写などが簡潔に描かれていて、楽しめる一冊。アイデアに満ちたストーリーはどれも膨らまして長編に出来るように思えた。敢えて言えばミステリ作家の修行跡を見た気分だ。 | ||||
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東野作品ではおなじみの刑事・加賀恭一郎が捜査する短編五篇が収められている。 加賀の登場する作品は『悪意』と本作しか読んでいないが、短編ではことに、「罪を認めさせる人間」というより、「罪の奥底にあるものを暴く人間」というのが加賀の印象である。込み入ったトリックや、犯人探しのおもしろさを期待して読むと肩透かしを食うだろう。予め犯人がわかっている作品もあるし、謎解きも、途中でこれが鍵だな・・・と気づくものが多い。それは作品の瑕疵ではなく、もともとそういった点に主眼をおいていない小説なのだと思う。 加賀が犯人やその周辺の人物と静かに話すラストが印象的。罪の重さ、どうしても罪を犯さなければなからなかった背景、それを隠蔽し続けた者の苦しみなど、犯人たちの心もようが悲哀を伴ってじわじわ伝わってくる。 最後には、それまでと異なる視点から事件に関わる人間を描いた一篇が用意されており、さすがと思った。 | ||||
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刑事加賀恭一郎を主人公にしたシリーズ6作目の短篇連作小説。 本作に収録される5つの短篇は、真犯人探しやトリックの解明よりも、真実を追求する加賀と嘘をついて真実を隠そうとする犯人との駆け引きを主題に描かれている。 内面がいっさい描かれていない加賀に対して、加賀の冷静な捜査に怯えながらも嘘を守りと通そうとする犯人の心理描写は詳細にわたる。加賀に追い詰められた犯人が真実を語りだすとき、人の尊厳や愛するものを守るためについてきたと思っていた嘘が、実は大きなものを失うことだということに後から気づく人の哀しさのようなものを感じる。 どの短篇もしっかりとした構成をもっていて完成度が高く、また読み終わったあとに真意がわかるようなタイトルの付けかたもうまい。 | ||||
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刑事コロンボや古畑任三郎のように、どうやって犯人を自白に追い込むか、どうやって事件の解明を行うかというところに注目されます。犯人たちは、自分のやったことを正当化して嘘をつきます。刑事である加賀恭一郎はその嘘を見破って、真相に迫ります。犯人が発した言葉と起きている事件の物的証拠や状況証拠を見て一歩づつ真実に迫っていきます。相手の矛盾を突くように徐々に追い詰めていきます。 今回は、5編の短編小説だったが、どれも犯人の動機というものは、人間の悲哀をついたもので、なんとなく共感できるものだったと思います。 「嘘をもうひとつだけ」では、嘘を隠すためには、辻褄を合わせるために、大きな嘘をつく必要がある。 「冷たい灼熱」では、本当は、夫が妻の逃げ場所(癒しの場所)にならないといけない。 「第二の希望」では、子供に親が目指したものをかなえてほしいと思うんだろう。子は親の分身じゃないよね。子供の夢を親が押し付けることはやってはいけないよね。 「狂った計算」では、普段から奥さんのことを横暴に扱った夫よりもやさしい中瀬のほうに心がゆらめくのは当然の結果か。奥さんと中瀬で夫を殺す計画を立てた。それは、どうなったかは本書を読んでもらおう。 「友の助言」では、自分は相手に何をしてあげたのだろうか。仕事よりもあたしのほうを大事だと思ってくれているのか。 | ||||
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練馬警察の刑事が容疑者をたくみな対話で追い詰めていく、コロンボ系の作品。(最初から犯人は明示的に分かっている) | ||||
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完全犯罪などということはありえない。加賀は、散らばっている事実をひとつひとつ丹念に拾い集める。その拾い集めた事実をつなぎ合わせたとき、見えてくるのは矛盾に満ちた証言。そしてその証言の向こうの真実。どんなに取り繕ってもしょせん嘘は嘘。真実はひとつしかない。事件は見事に解決する。しかし、犯行にいたる動機には、人間の切なさが隠されていた。罪を犯した人間を、心の底から憎む気にはならなかった。 | ||||
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東野さんのパターンである連作小説集。パターンと言うのは同一主人公。この本では加賀刑事がそれにあたります。で、この加賀刑事と言う人の設定がなかなか良い。イメージ的に古畑任三郎を誠実にし現実味を加えたキャラクターに見えます(おふざけを排し、好感がもてます)。そう感じたのも、これらの短編は犯人の心理描写を描いているため、犯人探しと言うより、どうしてそのような罪を犯してしまったのかと言う事を見せ、随所にちりばめられた「嘘」を加賀刑事が指摘していくと言う形だからだと思います。その伏線の張り方やミステリーなどは、いつものように東野安全印で安定して高レベルなものです。短編と言う事がもったいないくらいですよ。 この本に出てくる犯罪を犯してしまった人達に共通するのは人間としての弱さと悲しみ。犯人賛歌ではありませんが、どうしても同情してしまう人達が描かれています。とくに「第2の希望」の母親の心理には胸が痛みます。 悲劇の事件が多いため、どちらかと言うと読後はブルーになる内容だと思いますので、その点を心に留め置いて読まれることをお勧めします。 | ||||
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犯人は、わかっている。ただ、言葉で相手を追い詰めていく。相手の言葉のほころびを拾い出してゆく。理詰めの推理短編集だ。加賀刑事が、冷徹に事実だけを分析していく。推理の面白さを、奇をてらわずに味わわせてくれる。 「第二の希望」や「嘘をもうひとつだけ」など、題名がうまい。言葉の美しさと共に、題材と響きあったスマートさを感じる。短編らしい簡略さに、好感を覚える一冊。 | ||||
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各章の容疑者は自分にとって大切なものを守るため『嘘』をつきます。それは、名誉だったり、愛する人だったり…各章ごとに異なるのですが、嘘をついてまで必死に守ろうとする姿は人間らしくて、読み進めていくうちに切ない気持ちになりました。私は文庫本しか読まないので続きの本が出ているのか分からないのですが、もしも続きが出ているのであれば読みたいと思いました。 | ||||
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派手な殺人トリックや驚天動地の結末、などというものは出てこないのだけれど、なぜかぐんぐん引き込まれてしまい、一気に読んでしまいました。登場人物のそれぞれの「嘘」がよく描かれていると思います。自分のプライドを守るための嘘、愛する誰かを守るための嘘。。。犯人にせまるときの加賀刑事の”哀れむような”表情というのは、もうこれ以上嘘を重ねないでほしい、という彼の気持ちのあらわれなんでしょうか。静かだけれど、人間の感情が様々に交錯する、奥の深い短編集です。 | ||||
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どこにでもいそうな普通の人が犯してしまう犯罪。その犯罪を隠すために嘘をつく犯人。そして捜査にあたる加賀刑事は、犯人に嘘を重ねさせることで、その矛盾を暴き、犯罪を解決させるという短編集である。作者の実力は随所に感じられるが、作者のほかの作品と比べると、今ひとつのできか? 何となく子供の頃にみた「刑事コロンボシリーズ」を思い出してしまった。 | ||||
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内容は犯人探しというよりは、犯人だと分かってしまうキーワードが「嘘」ということ。嘘を重ねていくことによって、自分が身動きとれなくなってしまう、ということ。人間のおろかさや、浅はかさがとてもよく描かれていると思います。嘘をつくよりも、黙っていたほうがいい、と、そんなことを考えてしまいました。保身のための嘘。それは、とても醜いことだと改めて思わされる小説です。 | ||||
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