凍える街
評判
凍える街の評価:
3.25/5点 レビュー 8件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1〜4 1/1ページ
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凍える街の評価:
3.25/5点 レビュー 8件。 D ランク
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クリスマスが間近に迫る日の真夜中にオスロ市の高級マンションで凄惨な四重殺人事件が起きる。海運会社社長夫妻と長男に加えて身元不明の男が被害者で、捜査の大勢は相続絡みの確執による物へと次第に傾いて行くのに対して、ひとりハンネだけは四人目の被害者の存在を重要視するのだった。
本書の真相は手掛りを追って行くだけではとても到達できる物ではありませんが、でも十分に衝撃的で恐らく真犯人を言い当てられた人は滅多におらず間違いなく誰もが茫然自失となるでしょう。著者のユニークな叙述テクニックは、プロローグとエピローグを哀れな野良の老犬の人生の一コマでまとめている事、途中に挿まれるある老弁護士の死と田舎に住む老人の異常な体験のエピソードを事件のヒントとして読者に提示するのですが一向に関連性の見当がつかずに最後まで首を捻らせ続ける事ですね。また非常に疑わしい父から不遇の扱いを受けた次男夫婦と麻薬中毒の長女の家族を巡るドラマにも読者をもしかしたらと頻りに迷わせる巧妙な工夫が凝らされています。この犯罪には信じられない様な要素があり、完全なフェアプレイとは言えませんが、それでもハードボイルドと本格ミステリーが融合された作品という意味合いではまずまず合格点をあげて良いと思いますね。さて、創元推理文庫に初登場の女警部ハンネは同性愛者でパートナーの女性と元街娼の老女と三人暮らしですが、最近不仲だった父の死を経験して幼い日の嫌な記憶を呼び覚まされて精神的にダメージを負った状態で、万全とは言い難くかなり危なっかしく見えて大丈夫かなと心配になります。しかも成行から女性地方検察官アンマリと対立する立場を取ってしまい、周囲に同調せず頑なに逆らい続ける一匹狼と見なされるのですから、さらに暗澹たる気分が深まるのですが・・・・。でも自分が完全に納得するまでは安易な考えを受け入れない彼女の実力は確かで強運にも恵まれながら誰も調べようとしない線を追って驚愕の真相に辿り着くのですね。唯一残念なのは結局彼女がやっぱり正しかったのにも関わらず、そこに勝利の嬉しさや称賛の気配が全く感じられなくて、却って組織の中で一人孤立し浮いてしまった印象が強い事でしたね。生きるのが下手で猪突猛進で無防備だけど、でもそんな自分の行動を疑わず一切後悔しない彼女の潔さと強さを最後のシーンを読んで強烈に感じましたね。
本書の続編「ホテル1222」は既に刊行されていますので追々読むとしまして、現在は絶版状態の集英社文庫の初期3作の復刊(これらは古書で入手可能でしょう)と未訳の3作が紹介される見通しはかなり低そうですが、でも望みは捨てずに気長に待ち続けたいと思いますね。