(短編集)

遠い接近

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

遠い接近の評価:

4.48/5点 レビュー 25件。 A ランク

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平均点4.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全61件 41〜60 3/4ページ
No.21
(5pt)

戦争ができる国になるとどういうことが起きるのか

戦前、印刷の原版作画の職人として自営していた主人公に軍隊への教育(2ヶ月)召集が掛かる。主人公は虚弱体質で徴兵検査不合格となり、結婚して子どもを設け30代後半になっていた。徴兵検査の結果や年齢を考慮すれば、召集されるはずがなかった。そして、入営した日から、ある上官に目をつけられ連日、凄まじい制裁を受けることになる。この描写は読んでいて、反吐が出そうになるほどだ。清張の軍隊経験が反映してるのであろう。ところで主人公は、2ヶ月の我慢と思っていたところ、赤紙による正規の召集が掛かり戦地へ送られるのである。その間、広島へ疎開した家族は原爆で死んでしまう。ここまでが、本書のちょうど半分。
 帰還した主人公は召集のからくりを探り出し、自分を戦地へ追いやった男への復讐を誓う。それに、自分を制裁した上官への復讐が絡み合い、倒叙型清張ミステリーが展開するのが後半である。警察が復讐を果たした主人公を追い詰めていくのだが、そこにはしっかりとトリックも準備され、ミステリーの落ちとして上々である。
 日本では今、戦争ができる国への準備が着々と進んでいるが、兵隊がいなければ戦争はできない。どうやって兵隊を集めるか。その過程で、本書で書かれているようなことが起きないとは言えない。本書は別に反戦小説でもなんでもないが、物語前半の内容はリアルである。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167106213
No.20
(5pt)

隠れた傑作!

清張の作品はだいぶ読破したつもりだつたがこんな傑作が、残っていたとは、終盤の筋書きは読ませます。
遠い接近 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (カッパ・ノベルス)より
4334030467
No.19
(5pt)

隠れた傑作!

清張の作品はだいぶ読破したつもりだつたがこんな傑作が、残っていたとは、終盤の筋書きは読ませます。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167901889
No.18
(5pt)

隠れた傑作!

清張の作品はだいぶ読破したつもりだつたがこんな傑作が、残っていたとは、終盤の筋書きは読ませます。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167106213
No.17
(5pt)

35歳で教育召集された松本清張自身の実体験と重なっていることを知る必要がある

420ページの長編。印刷業を営む山尾は毎日家族のために家業に専念せねばならず、戦時訓練を休みがちであった。それを"反動"と受け取った軍のおかげで3ヶ月の教育訓練に呼ばれ、そこで古参の先輩兵士から地獄のごときイビリにあう。しかもそのあと本式の赤紙を受けて朝鮮へ出兵。稼ぎ頭のいなくなった親と家族は田舎の広島へ疎開、原爆により全滅する。
終戦後、東京に帰った山尾は、イビリにあっていた古参兵の仕事の手下となるが、恨みは決して忘れてはいない。また自分と家族を破滅に追い込んだ赤紙を出した役人まで突き止め、復讐劇を実行するのであった…

赤紙にまつわる手続きの実態と徴収された兵隊への扱いがどんなだったかを学べるとてもよい教材。しかもここまでの話は35歳で教育召集を受けその後朝鮮へ送られた松本清張の自伝そのもの。

一見、赤紙を出していた小役人をそこまで恨まなくても…と思うけれど、実際に辛酸を舐めた経験をしていない我々に何を言う権利があろうか。何もかも失った男の人生には復讐という残り火しかない。なんとも言えない虚しさが残る話でした。
遠い接近 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (カッパ・ノベルス)より
4334030467
No.16
(5pt)

35歳で教育召集された松本清張自身の実体験と重なっていることを知る必要がある

420ページの長編。印刷業を営む山尾は毎日家族のために家業に専念せねばならず、戦時訓練を休みがちであった。それを"反動"と受け取った軍のおかげで3ヶ月の教育訓練に呼ばれ、そこで古参の先輩兵士から地獄のごときイビリにあう。しかもそのあと本式の赤紙を受けて朝鮮へ出兵。稼ぎ頭のいなくなった親と家族は田舎の広島へ疎開、原爆により全滅する。
終戦後、東京に帰った山尾は、イビリにあっていた古参兵の仕事の手下となるが、恨みは決して忘れてはいない。また自分と家族を破滅に追い込んだ赤紙を出した役人まで突き止め、復讐劇を実行するのであった…

赤紙にまつわる手続きの実態と徴収された兵隊への扱いがどんなだったかを学べるとてもよい教材。しかもここまでの話は35歳で教育召集を受けその後朝鮮へ送られた松本清張の自伝そのもの。

一見、赤紙を出していた小役人をそこまで恨まなくても…と思うけれど、実際に辛酸を舐めた経験をしていない我々に何を言う権利があろうか。何もかも失った男の人生には復讐という残り火しかない。なんとも言えない虚しさが残る話でした。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167901889
No.15
(5pt)

35歳で教育召集された松本清張自身の実体験と重なっていることを知る必要がある

420ページの長編。印刷業を営む山尾は毎日家族のために家業に専念せねばならず、戦時訓練を休みがちであった。それを"反動"と受け取った軍のおかげで3ヶ月の教育訓練に呼ばれ、そこで古参の先輩兵士から地獄のごときイビリにあう。しかもそのあと本式の赤紙を受けて朝鮮へ出兵。稼ぎ頭のいなくなった親と家族は田舎の広島へ疎開、原爆により全滅する。
終戦後、東京に帰った山尾は、イビリにあっていた古参兵の仕事の手下となるが、恨みは決して忘れてはいない。また自分と家族を破滅に追い込んだ赤紙を出した役人まで突き止め、復讐劇を実行するのであった…

赤紙にまつわる手続きの実態と徴収された兵隊への扱いがどんなだったかを学べるとてもよい教材。しかもここまでの話は35歳で教育召集を受けその後朝鮮へ送られた松本清張の自伝そのもの。

一見、赤紙を出していた小役人をそこまで恨まなくても…と思うけれど、実際に辛酸を舐めた経験をしていない我々に何を言う権利があろうか。何もかも失った男の人生には復讐という残り火しかない。なんとも言えない虚しさが残る話でした。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167106213
No.14
(5pt)

「神聖喜劇」への清張流返答。

去る3月12日、大西巨人氏が亡くなられました。97歳。合掌。
大西巨人の代表作と云えば「神聖喜劇」(1960年連載開始〜1980年出版)。徹底した論理的な文体で、軍隊組織およびそれを縮図とした日本社会(日本人の民族性)を分析した大長編小説です。当初は左派系の文学誌にひっそりと連載されていたあの小説を、光文社から出版して広く世に知らしめるように便宜を図ったのが、実は松本清張さんなのだそうです。
この小説は、その清張さんによる軍隊小説(1972年出版)です。内容は、太平洋戦争中、東京の神田に住んでいる職人が、自分一人で家族を養わねばならん家庭の事情により、町内の軍事訓練になかなか参加できなかったことから、役所に目を付けられ、けっこういい歳なのに召集され、軍隊で年下の古年兵からこっぴどくイジメられます。一方、東京から広島に疎開させた家族は、原爆で全滅。敗戦後、家族を失った喪失感と生活の困窮から絶望的な日々を送っている主人公とは対照的に、軍隊で彼をイジメた古年兵は、闇市で儲けて羽振りのいい暮らしをしています。それを目にした主人公は、「自分さえ軍隊に行かなければ、イジメられて厭な思いもしないで済んだし、自分が身近にいて守ってやれば家族は死ぬこともなく、今でも幸せに暮らしていられたのに」とこの世の理不尽な不公平が我慢できなくなり、召集対象に自分を選んだ役所の事務員と、軍隊で自分をイジメた古年兵の二人に対して殺意をつのらせていきます。そして何食わぬ顔で二人に近づき、完全犯罪をたくらみます。しかし、思わぬところでボロを出して御用、と云う話です。
「神聖喜劇」の主人公・東堂太郎が、まるで宮本武蔵の「剣」を「知識と教養」に持ち替えたかのように、常に誇り高く、軍隊組織とそれを構成する日本人の民族性を相手に果敢に闘い続けたのに対して、こちらの主人公・山尾は、どこまでも受け身です。彼が唯一、積極的になれたのが、戦後、私怨による完全犯罪計画を立てて実行することであったところに、日本の庶民の心の弱さがリアルに表れています。大西巨人が「神聖喜劇」で乗り越えようとした日本人の心根が、おそらく「神聖喜劇」を意識して書かれたのであろうこの小説には、余すところなく描かれています。清張さんなりの「神聖喜劇」への返答であり、常に庶民の目線でこの世の不条理を描き続けた清張さんらしいところでもあります。「神聖喜劇」と「遠い接近」、併せて読まれることをお勧めします。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167901889
No.13
(5pt)

「神聖喜劇」への清張流返答。

去る3月12日、大西巨人氏が亡くなられました。97歳。合掌。
大西巨人の代表作と云えば「神聖喜劇」(1960年連載開始〜1980年出版)。徹底した論理的な文体で、軍隊組織およびそれを縮図とした日本社会(日本人の民族性)を分析した大長編小説です。当初は左派系の文学誌にひっそりと連載されていたあの小説を、光文社から出版して広く世に知らしめるように便宜を図ったのが、実は松本清張さんなのだそうです。
この小説は、その清張さんによる軍隊小説(1972年出版)です。内容は、太平洋戦争中、東京の神田に住んでいる職人が、自分一人で家族を養わねばならん家庭の事情により、町内の軍事訓練になかなか参加できなかったことから、役所に目を付けられ、けっこういい歳なのに召集され、軍隊で年下の古年兵からこっぴどくイジメられます。一方、東京から広島に疎開させた家族は、原爆で全滅。敗戦後、家族を失った喪失感と生活の困窮から絶望的な日々を送っている主人公とは対照的に、軍隊で彼をイジメた古年兵は、闇市で儲けて羽振りのいい暮らしをしています。それを目にした主人公は、「自分さえ軍隊に行かなければ、イジメられて厭な思いもしないで済んだし、自分が身近にいて守ってやれば家族は死ぬこともなく、今でも幸せに暮らしていられたのに」とこの世の理不尽な不公平が我慢できなくなり、召集対象に自分を選んだ役所の事務員と、軍隊で自分をイジメた古年兵の二人に対して殺意をつのらせていきます。そして何食わぬ顔で二人に近づき、完全犯罪をたくらみます。しかし、思わぬところでボロを出して御用、と云う話です。
「神聖喜劇」の主人公・東堂太郎が、まるで宮本武蔵の「剣」を「知識と教養」に持ち替えたかのように、常に誇り高く、軍隊組織とそれを構成する日本人の民族性を相手に果敢に闘い続けたのに対して、こちらの主人公・山尾は、どこまでも受け身です。彼が唯一、積極的になれたのが、戦後、私怨による完全犯罪計画を立てて実行することであったところに、日本の庶民の心の弱さがリアルに表れています。大西巨人が「神聖喜劇」で乗り越えようとした日本人の心根が、おそらく「神聖喜劇」を意識して書かれたのであろうこの小説には、余すところなく描かれています。清張さんなりの「神聖喜劇」への返答であり、常に庶民の目線でこの世の不条理を描き続けた清張さんらしいところでもあります。「神聖喜劇」と「遠い接近」、併せて読まれることをお勧めします。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167106213
No.12
(5pt)

遠い接近

個人読書履歴。一般文学通算239作品目の読書完。1985/06/05
遠い接近 (1977年) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (1977年) (文春文庫)より
B000J8UIIM
No.11
(5pt)

遠い接近

個人読書履歴。一般文学通算84作品目の読書完。1976/02/20
遠い接近 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (カッパ・ノベルス)より
4334030467
No.10
(5pt)

中年の松本清張が無理やり戦場に駆り出された驚くべき理由

私は松本清張の作品が好きだ。彼の反骨精神が好きだ。弱者への温かい眼差しが好きだ。仕事に取り組む姿勢が好きだ。彼の生き方が好きだ。松本清張という人間が丸ごと好きなのだ。

清張の担当編集者であった著者の手に成る『松本清張への召集令状』(森史朗著、文春文庫)には、清張の魅力が詰まっている。

一家7人を支える中年版下職人に、意外な赤紙(召集令状)が届いた。戦局が絶望的な状況にある時期での召集令状は、死を意味していた。なぜ、自分のような家族持ちの中年男が戦場に駆り出されるのか。明らかに、この召集には、懲罰的意味合いが込められていたのである。生計を立てることに追われ、在郷軍人会や職場での軍事教練に出席できなかった清張は、徴兵事務を担当する出先機関の小役人に「不真面目な、けしからん奴だ」と睨まれていたのだ。

この経験と怨念は、後に『遠い接近』(松本清張著、文春文庫)という長編ミステリーに結実する。ミステリー仕立ての、すさまじい復讐劇である。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167901889
No.9
(5pt)

中年の松本清張が無理やり戦場に駆り出された驚くべき理由

私は松本清張の作品が好きだ。彼の反骨精神が好きだ。弱者への温かい眼差しが好きだ。仕事に取り組む姿勢が好きだ。彼の生き方が好きだ。松本清張という人間が丸ごと好きなのだ。

清張の担当編集者であった著者の手に成る『松本清張への召集令状』(森史朗著、文春文庫)には、清張の魅力が詰まっている。

一家7人を支える中年版下職人に、意外な赤紙(召集令状)が届いた。戦局が絶望的な状況にある時期での召集令状は、死を意味していた。なぜ、自分のような家族持ちの中年男が戦場に駆り出されるのか。明らかに、この召集には、懲罰的意味合いが込められていたのである。生計を立てることに追われ、在郷軍人会や職場での軍事教練に出席できなかった清張は、徴兵事務を担当する出先機関の小役人に「不真面目な、けしからん奴だ」と睨まれていたのだ。

この経験と怨念は、後に『遠い接近』(松本清張著、文春文庫)という長編ミステリーに結実する。ミステリー仕立ての、すさまじい復讐劇である。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167106213
No.8
(3pt)

ルサンチマン

兵隊にとられて悲惨な運命を辿った男が、自分に召集令状を書いた役場の小役人を探し出して仕返しするというストーリー。
おもしろい。そういう発想は個人的には大好き。思いついた時点で百点。いかにも清張が書きそうな小説。
だが、これは明らかに筋違いである。逆恨みといってもよい。それが証拠にそんなことをした奴は現実には誰もいない。もし、こんな報復劇が実際に行われたなら、役場の戸籍係は全滅だ。
この場合、主人公に召集令状を書いた区役所の職員に他意はない。軍事教練の出席率が低かった者(主人公はしきりに仕事があって出たくても出られなかったとエクスキューズしているが……)から優先的に徴兵にとるというのは、消去法というか、まともな発想であり、職員の行った行為は少なくとも死に値するようなシロモノではない。
言うまでもなく、本当に悪いのは戦争をやらかした連中であり、戦争で旨い汁を吸っている輩であり、国家であり……などとはじめると、これはこれで『人間の條件』になってしまう。
というわけでルサンチマンの帝王、松本清張のねちっこくクールな報復譚ができあがった。著者もこんな仕返しが正当でないことは百も承知。最後はお約束の殺人事件と謎解きとお縄頂戴で締めくくられる。
まあ、ここに出てくる小役人や古兵はみんな大嫌いなんですがね。
でも、『坂の上の雲』とかが好きな人たちは、こういうのが苦手なんだろうな。たぶん。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167901889
No.7
(3pt)

ルサンチマン

兵隊にとられて悲惨な運命を辿った男が、自分に召集令状を書いた役場の小役人を探し出して仕返しするというストーリー。
おもしろい。そういう発想は個人的には大好き。思いついた時点で百点。いかにも清張が書きそうな小説。
だが、これは明らかに筋違いである。逆恨みといってもよい。それが証拠にそんなことをした奴は現実には誰もいない。もし、こんな報復劇が実際に行われたなら、役場の戸籍係は全滅だ。
この場合、主人公に召集令状を書いた区役所の職員に他意はない。軍事教練の出席率が低かった者(主人公はしきりに仕事があって出たくても出られなかったとエクスキューズしているが……)から優先的に徴兵にとるというのは、消去法というか、まともな発想であり、職員の行った行為は少なくとも死に値するようなシロモノではない。
言うまでもなく、本当に悪いのは戦争をやらかした連中であり、戦争で旨い汁を吸っている輩であり、国家であり……などとはじめると、これはこれで『人間の條件』になってしまう。
というわけでルサンチマンの帝王、松本清張のねちっこくクールな報復譚ができあがった。著者もこんな仕返しが正当でないことは百も承知。最後はお約束の殺人事件と謎解きとお縄頂戴で締めくくられる。
まあ、ここに出てくる小役人や古兵はみんな大嫌いなんですがね。
でも、『坂の上の雲』とかが好きな人たちは、こういうのが苦手なんだろうな。たぶん。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167106213
No.6
(5pt)

絵画技法・遠近法を隠喩した小説

清張の本を読むなら、もっと清張について知らなければ、真の清張文学の醍醐味は味わえない。例えば、この作品「遠い接近」は、東洋、西洋絵画の美術史家としても定評のある、清張個人の研究テーマ ”遠近法” の隠喩にみちたものなのだ。遠近法は絵画の技法で、その構造が解明され、数学的に理論化されたのは、ルネッサンス期のヨーロッパとされる。この物語を一言で要約すると、「細密画」ということになる。以上の説明がわかりにくければ、清張の他の作品、短編で「絵はがきの少女」というのがあるが、これと比較して読むと私の言っている意味がわかるはずだ。この短編は新潮文庫の「憎悪の依頼」の中に収めてある。もっと清張文学を上級コースの達人として理解したいなら、少し難解かもしれないが、「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著を読むことをお薦めする。あなたの清張の読み方は、幼稚園児以下だよと非難されないために。
遠い接近 (1977年) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (1977年) (文春文庫)より
B000J8UIIM
No.5
(5pt)

絵画の遠近法を隠喩したストーリー

清張の本を読むなら、もっと清張について知らなければ、真の清張文学の醍醐味は味わえない。今までこの単純な事実がわかっている清張ファンにお目にかかったためしがない。全く嘆かわしい。例えば、この作品「遠い接近」は、東洋、西洋絵画の美術史家としても定評のある、清張個人の研究テーマ ”遠近法” の隠喩にみちたものなのだ。遠近法は絵画の技法で、その構造が解明され、数学的に理論化されたのは、ルネッサンス期のヨーロッパとされる。この物語を一言で要約すると、「細密画」ということになる。もっと清張文学を上級コースの達人として理解したいなら、少し難解かもしれないが、「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著を読むことをお薦めする。あなたの清張の読み方は、幼稚園児以下だよと非難されないために。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
4167901889
No.4
(5pt)

絵画の遠近法を隠喩したストーリー

清張の本を読むなら、もっと清張について知らなければ、真の清張文学の醍醐味は味わえない。今までこの単純な事実がわかっている清張ファンにお目にかかったためしがない。全く嘆かわしい。例えば、この作品「遠い接近」は、東洋、西洋絵画の美術史家としても定評のある、清張個人の研究テーマ ”遠近法” の隠喩にみちたものなのだ。遠近法は絵画の技法で、その構造が解明され、数学的に理論化されたのは、ルネッサンス期のヨーロッパとされる。この物語を一言で要約すると、「細密画」ということになる。もっと清張文学を上級コースの達人として理解したいなら、少し難解かもしれないが、「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著を読むことをお薦めする。あなたの清張の読み方は、幼稚園児以下だよと非難されないために。
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4167106213
No.3
(5pt)

市民を拉致する赤紙(召集令状)の恐怖

■ 【当初は週刊朝日の連載ミステリー 】
この長編ミステリー小説は、当初、週刊朝日に半年以上
に渡り連載され、凡そ五年後の1977年7月に文庫本初
版が出ております。週刊朝日に連載を始めたのは、著
者(清張)60歳の時です。

■ 【20年前の『召集令状』へのわだかまり 】
連載開始時は、既に、戦後二十年経ち、清張自身も、芥
川賞(’53年)、日本ジャーナリスト会議賞(’63年)、菊
池寛賞(’70年)などを受賞しており、既に、ミステリー作
家としての地位を固めた時期になっております。この時
期に、著者は二十年前の自分、即ち、34歳の中年版下
職人への『召集令状』という国家権力の拉致行為への
わだかまりを本著書によって、赤裸々に著わしている。

■ 【赤紙(召集令状)発行の実態を知る 】
小説そのものは、一兵士の個人的復讐ストーリーです。
しかし、著者本人の召集令状に基づいた体験により描
かれた内容ということで、俄然、単なるミステリーの領域
を超えております。天皇の名で出される赤紙、即ち、『召
集令状』をキーワードに、一市民家族を地獄の苦しみに
追い込む赤紙と言う国家権力、召集令状の不正な闇の
国家権力のカラクリの実態、大日本帝国の私的制裁の
横行する軍隊生活、兵士達の望郷の念と運命などを描
き出しております。ミステリー作家として「社会派」と言わ
しめる代表的な作品となっております。
遠い接近 (1977年) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (1977年) (文春文庫)より
B000J8UIIM
No.2
(5pt)

市民を拉致する赤紙(召集令状)の恐怖

■ 【当初は週刊朝日の連載ミステリー 】
この長編ミステリー小説は、当初、週刊朝日に半年以上
に渡り連載され、凡そ五年後の1977年7月に文庫本初
版が出ております。週刊朝日に連載を始めたのは、著
者(清張)60歳の時です。

■ 【20年前の『召集令状』へのわだかまり 】
連載開始時は、既に、戦後二十年経ち、清張自身も、芥
川賞(’53年)、日本ジャーナリスト会議賞(’63年)、菊
池寛賞(’70年)などを受賞しており、既に、ミステリー作
家としての地位を固めた時期になっております。この時
期に、著者は二十年前の自分、即ち、34歳の中年版下
職人への『召集令状』という国家権力の拉致行為への
わだかまりを本著書によって、赤裸々に著わしている。

■ 【赤紙(召集令状)発行の実態を知る 】
小説そのものは、一兵士の個人的復讐ストーリーです。
しかし、著者本人の召集令状に基づいた体験により描
かれた内容ということで、俄然、単なるミステリーの領域
を超えております。天皇の名で出される赤紙、即ち、『召
集令状』をキーワードに、一市民家族を地獄の苦しみに
追い込む赤紙と言う国家権力、召集令状の不正な闇の
国家権力のカラクリの実態、大日本帝国の私的制裁の
横行する軍隊生活、兵士達の望郷の念と運命などを描
き出しております。ミステリー作家として「社会派」と言わ
しめる代表的な作品となっております。
遠い接近 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 遠い接近 (文春文庫)より
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