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邪宗門



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邪宗門の評価: 4.57/5点 レビュー 53件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.57pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全47件 41~47 3/3ページ
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No.7:
(5pt)

イデオロギーと教義

この本に触れた当時,自分は高校生だった。
戦後ベビーブームのはざまの世代。
三無主義四無主義とか言われ,ベビーブーマーの創出した
熱に浮かされたようなムーブメントが一段落し,
学生運動は崩壊,ビートルズも解散した。
高校の文化部は左翼思想の残り火だけで
取り残された我々は,個人主義へ向かっていたと思う。

「知識人の崩壊」てなキャッチフレーズで
前世代の遺産としてある意味インテリゲンチャを気取っていた
高校生にとって高橋和巳の書くものは必読書のひとつであった。

イデオロギーを教義に変えその成立から崩壊まで
一気に突き進んでゆく。
邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)Amazon書評・レビュー:邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)より
4022640049
No.6:
(5pt)

恩田陸を読んで思い出した。

久々に思い出した。

人生において時折手に取ってみたくなる本がある。
そういう本です。

今回は,恩田陸のQ&Aを読了して思いだした。
その前はオウム事件の時。

恩田が描く集団幻想はさらりとしていて手軽です。
これと高橋和巳を比べると怒られるかもしれないが,
何かの共通点を感じた。

小説という虚構の世界にどっぷりハマりたい人にお勧めです。
邪宗門〈下〉 (朝日文芸文庫)Amazon書評・レビュー:邪宗門〈下〉 (朝日文芸文庫)より
4022640057
No.5:
(5pt)

真に人を動かす作品

まず前のレビュアーの方が書いていたように、小説としての完成度と、
この作品がもたらす感動はまるで別だという点を述べておきたい。
私たちは、この作品にケチをつけようと思えば、いくらでもつけられるだろう。
構成や展開にやや強引なところがあるのは確かであると思われる。

しかし、にもかかわらず、ここに賭けられたもののあまりの切実さに、
一体、動かされない人はいるだろうか?
ひのもと救霊会の五問、八誓願の迫力に、我々の同時代文学が帯びている
「漠然とした不安」などとは違う、圧倒的な苦痛と苦悩の深さを感じない人が
いるだろうか?

貧困、失業、人間関係やコミュニティーからの疎外、、等々。
私たちの目の前には、今、再び、リアルで圧倒的な苦痛に満ちた世界が訪れつつある。
不安が可視化しつつある。
苦しみの理由がより具体的なものになりつつある。
弾圧される宗教のごとく、文学的な発想がないがしろにされるがゆえに、
その貴重さが無比なものになりつつある。

それはすなわち、この作品がもう一度読まれても良い時が来た、ということでは
ないだろうか。
邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)Amazon書評・レビュー:邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)より
4022640049
No.4:
(5pt)

「凄い」という言葉がこれ以上にあてはまる小説を他に知らない。

一時には全国で百万の信徒を抱えた新興宗教団体「ひのもと救霊会」が、戦前戦後を通じて邪宗門(邪教)扱いされ壊滅するまでを描いた壮大なスケールの叙事詩。

この「ひのもと救霊会」は実在の大本教をモチーフにはしているようだが、あとがきによれば教義・戒律等は作者自身が考えているらしい。それを知った時には正直驚いた。
なぜなら、本文で描かれる教団の組織構成や教義は非常に細かい所まで作られており、いくら実在の宗教団体等を参考にしているとはいっても、作者一人で考えているとは全く思いもしない程、リアリティのあるものだったからだ。
決して言い過ぎではなく、作者が恐ろしい程にこの本は良く出来ている。

本書は上下巻合わせて1100ページ以上、文字はビッシリで、決して読みやすい本ではない。
が、最後まで読みきった後のあの感情は、少なくとも他の小説では味わったことが無い。
本当に、良いものを読んだ。読めて、嬉しい。
邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)Amazon書評・レビュー:邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)より
4022640049
No.3:
(5pt)

魂に響く名作です

この作品で描かれる、ひのもと救霊会は大本教との類似が指摘されるが、その大本教に関する知識のない私にとっては、どことなくキリスト教の初期に既に異端視され、徹底的に弾圧され焼き尽くされたカタリ派に似通うものがあるような気がする。「愛の宗教」とも呼ばれ、神への愛にも通ずるとして男女の愛に特別な価値を置いたというカタリ派と、既成の社会道徳にとらわれない男女の愛しあう形を認めたひのもと救霊会。また、カタリ派とひのもと救霊会の死の観念にも似たところがあるように思う。神の国の実現と人間の真の自由と解放を願う精神が権力者に憎まれ、弾圧を呼んだという点も同じであろうか。

作品の中で、日本の美しい農村風景と、一方で餓死者まで出すようなその社会構造が酷薄なまでに描かれ、救霊会はあくまで農村風土と密接に結びついているが、その宗教的理念は普遍的なものといえるのではないか。

迫害を受け、戦争で荒廃した社会状況の中、救霊会の選んだ道を愚かだと断ずるのは簡単だ。しかし、終戦を境に価値観の大転換を体験した作者は、1つの教義に殉じたこの教団をめぐる個性的な人物達を魅力的に描くことで、人間本来の生き方とは何かを問いかけているようだ。
邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)Amazon書評・レビュー:邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)より
4022640049
No.2:
(5pt)

宗教を題材としているが、登場人物の魅力などで読みやすいです。

大本教を題材としたと言われている、宗教や人間の生きざまを書いている大作です。
 国から弾圧された事など、実際にあった歴史の重い部分を背負いながら、人間が生きていく事の意味を問いかけています。
 しかし、主人公の少年などの存在は、それらをどこかで救ってくれていると感じます。
邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)Amazon書評・レビュー:邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)より
4022640049
No.1:
(5pt)

神とは何か、そして人間とは何か

ひのもと救霊会は国家権力の弾圧に耐えながら終戦を迎えた。大日本帝國は敗れ、弾圧は止んだ。しかし、初代教主亡き後に教主となった千葉潔を中心とする足利正ら教団幹部は、新たなる革命への理想を抱いていた。ある事件をきっかけに救霊会はついに軍事蜂起し、役所や警察を占拠してその地方を支配する。だが革命の夢は戦後政府と占領軍にあっけなく潰され、救霊会は壊滅する。
 だが潔を支配していたのは、必ずしも理想に燃える心ではない。自身が幸福になる「資格がない」という彼は決して現世を享楽できず、教主でありながら神を信じられない。潔を屍累々となることが明らかな勝算のない決起に導いたのはむしろ、滅びへの意志や世の中への怨念や復讐心ではなかったか。
 救霊会が攻め滅ぼされよ!うとしているとき、信徒が潜んでいる洞窟で門外不出の奥義書の一節が唱えられる
   如何にして執着をのがれんや、ただ信仰によってのみ
   信仰とは何ぞや、救済なり。救済とは何ぞや、…
果たして救済とは何なのか?また、潔を支配していた心の闇の原因、彼が「神」と呼ぶものの正体、彼と深く関わり合うことになる女性たち、行徳阿礼、行徳阿貴、堀江民江、有坂卑美子のそれぞれの運命が明らかになる。
 理想的な社会実現への意志や汚れのない信仰心と同時に、人間に巣くう復讐心や憎悪、残虐性、慢心、諦念などを赤裸々に描かれている。本当に人間とは何かについて考えさせられた。
邪宗門〈下〉 (朝日文芸文庫)Amazon書評・レビュー:邪宗門〈下〉 (朝日文芸文庫)より
4022640057

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