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(短編集)
芥川症
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芥川症の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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芥川賞を芥川「症」とし、医者の格好をさせた芥川龍之介の似顔絵が表紙と来れば、作者の思い込みだけのパロディだろうと言う想像は誰でもするだろう。 自分も、途中で放り投げるだろうなと言う想像をしながら読み始めたが、さにあらず。確たる医者としての実績からくる症例などの詳細な情報を、小説家として上手く小説の腰を折らずに適度に散らばめながら、現代の医療機関で抱える様々な問題を7つの短編にまとめている。 ◆病院の中 救急で運び込まれた患者、入院した後に手術をした患者。患者の身内は藁をもすがる気持ちで医者に患者の手術の成功を依頼する。 しかし無事手術が成功したとしても、予後不良で急に容体が悪化し死亡につながる事も有る。身内としては医者が大丈夫と言った、医者が手術は成功したと言ったのに、何故?と言う気分になるだろう。 また身内としては大事な家族が亡くなっているけど、病院としては毎日の様に死者が出るので、事務的に処理していかないとならない。 そういった病院内で起こる病院側と患者側との温度差を扱った内容。 ◆多生門 ぐうたらな生活を送っていた40手前の男が心臓病になり、町の実力者やサポートをするNPO法人の助けを借り、募金で集まったお金で無事アメリカで移植手術を受け手術は成功した。 しかし生来ぐうたらな生活が好きな男は、せっかく救われた命にも関わらず、またぐうたらな生活に戻ってしまう。 しかし、ぐうたらな生活を送るために募金活動をした訳ではない支援者たちは、、、、。 ◆耳 人間の耳に異常な執着心を持つ小説家。サイン会を行った際、自身が理想とする完璧な耳を持った女性が来て、彼女を家に招待する。その完璧な耳を手に入れたい小説家は、、、、。 ◆クモの意図 これは7つの中ではお笑い要素の高い作品。当然、病院内でも様々な虫は入ってくる。その虫をも殺さずに逃がすタイプの看護師の話し。 ◆極楽変 これは7つの中で一番、身につまされた話しだった。自分の昔の知り合いでも居たが、何故か自分に芸術の才能があると思い込んでいる人の話し。 ◆バナナ粥 介護の話し。これも身につまされる話で、週刊誌の記事などでも、介護される側が余りにも身勝手で、実の親ながら殺してやろうと思ったという内容をよく見る。長年住んだ家で最後を迎えたい親と、親の介護はしなくてはならないと思いつつ、親の介護の為に自分の人生を犠牲にする事への葛藤。 特に同性同士だと余計に厳しいのだろう。 | ||||
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原作の解釈が幾重にも楽しめる 作者ならではのシニカルさと、芥川作品の世界観が味わえた。敢えてパロディに挑戦しているところが稀有な短編集。 一読の価値はあるし、改めて芥川作品に触れるいい機会になった。 | ||||
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芥川龍之介作品のパロディーに挑戦したもの。着想は面白い、けど世界観は全く別物。そういう解釈も有りかな、という大きな心で読めると楽しめる。 これまでの久坂部作品とは少し毛色が違うので、あくまで短編・気楽な読み物として入るのがいいかと。 | ||||
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ブラックユーモア、シニカルな話です。 短編なので泥沼化しないので、心地いい程度の皮肉で終わります。 軽く読み流せる本をお探しなら、お勧めです。 | ||||
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医療従事者です。思わず苦笑い…。ちょっと反省も…。人材育成にも使えるかも…。先日、朝礼でお勧めしちゃいました。 | ||||
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著者の特徴であるシニカルなストーリー建てで芥川龍之介の作品をもじっている 作品群です。あまり読みすぎると医学が信じられなくなること請け合いです。 | ||||
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本書は、阪大医学部出身で、その後も異色の経歴を積みつつ、作家としても実績を残す、著者の最新作。 とはいえ、本書を読むまで知らない作家さんでした、ごめんなさい。 平積みの表紙の芥川先生が医者の格好をしていてタイトルが「芥川症」そして、目次に並ぶ短編のタイトルも全てが文学作品をもじったもの。この時点でパロディ好きの私には買いです。 事実、芥川を一通り読んだ人には絶対お勧めなのです。単にタイトルをいじっただけでなく、作中の描写やテイストに個々の作品が反映されているところが、この著者の真骨頂と思えます。作品自体も、そうした著者を反映して、悪意ある諷刺に満ち満ちています。ともすれば、医師側でも患者側でも善意や善人をつくりやすいところを、実に痛烈に皮肉っているのが爽快。 そして、7つの短編はモノトーンではなく、とても多彩な作風になっています。風刺劇、ホラー、バカバカしいお笑い、ブラックコメディなどなど。読んでいて飽きません。落語を題材に使うばかりでなく、落語そのものを演って(描いて)しまうあたりは、他にも多々あるが、著者の才気を強く感じさせるところ。 では、読後感はどうかというと、実に爽やか。サクサクと約250頁読めてしまいますし、こちらの不明の埋め合わせ込みで、☆5つ付けちゃいました。 あ、内容に言及してませんが、パロディのネタや短編のオチを云うのは野暮なんで、あえて紹介してませんこと、ご容赦下さい。 | ||||
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