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春にはすべての謎が解ける



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【この小説が収録されている参考書籍】
春にはすべての謎が解ける (創元推理文庫)

春にはすべての謎が解けるの評価: 4.25/5点 レビュー 4件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

「カイウスはばかだ」や「五月三十五日」の系譜

作者A・ブラッドリーはアダムという探偵を主人公に作品を書いていたが、アダムが道端でメモを取っている少女と出会うシーンで少女のことが気にかかって先が書けなくなってしまった。(『パイは小さな秘密を運ぶ』「訳者あとがき」p440)
そのままのシーンが本作品に出てくる。少女フレーヴィアはかつて挫折した作品と引き換えに生まれたのだ。

このエピソードは、フレーヴィアに対する作者の愛着の深さを示しているのかもしれない。
本作品の全体的な雰囲気はまるで孫に寄せるじいちゃんの気持ちとでもいうべき幸福さにあふれている。
その至福な感じが伝わるのは、フレーヴィアに対する訳者の共感を反映しているためかもしれない。

という感想なのだが、私はどうやらこの小説を推理小説だとは思わずに読んだらしい。
ヘンリー・ウィンターフェルトとかエーリッヒ・ケストナーといった児童文学の流れとして読んだみたいだ。

でもまあ、推理という点で言うと、トリックがどうのアリバイがこうのと絞り込んでいくふうではなく、「ウミガメのスープ」みたくある奇妙な出来事の理由を考えてみるという、四字熟語で言うならば水平思考の愉しみであるといえよう。

ちなみに、本作品の奇妙な出来事とは(死体に夢中で(p43)、死んだ人間をある意味楽しんでいる(p144)と明るく言うフレーヴィアにふさわしく)、口にハンカチを当ててその上から防毒マスクをかぶっている死体である。
この奇妙な死体を説明するために、読者は考えの枠を大きく広げてみるだろう。

しかし作者が示す答えを正しいとするなら読者は決して正答できないだろう。でもまあ、そこが水平思考で、それが唯一の正解であると考える理由は全くない。

さて、余談ですが、私自身が最近〈本の中で〉見つけた奇妙な死体を紹介します。
山で黒焦げになった死体がウェットスーツを着て足ひれを付け完璧なダイビングのいでたちだった。
信じ難いような話ですが。→『万国奇人博覧館』p530。
春にはすべての謎が解ける (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:春にはすべての謎が解ける (創元推理文庫)より
4488136060

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