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凍氷
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凍氷の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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まず、作者の冥福をお祈りしたいと思います。こちらのレビューアさんのコメントから、作者が亡くなってしまっていることを初めて知りました。これからすぐれた作品をどんどん書いていってくれると思っていたのに、ショックです。あちこち検索してみましたが、2014年に事故で亡くなったということで、詳細はわかりませんでした。 「凍氷」は彼の2作目の作品です。前作「極夜」に続いてカリ・ヴァーラ警部とアメリカ人の妻ケイトを中心とした物語です。前作がフィンランドの一地方を舞台にした猟奇殺人事件だったのに比べて、今回はバックにフィンランドの歴史と国際政治の闇が広がるスケールの大きな作品になりました。物語の展開も、「極夜」ではややもたついた印象があったのですが、こちらは同時並行のエピソードがうまく折り合わされて、より完成度の高い作品になっていると思います。 2次大戦中、ソ連に対抗するために、フィンランドがドイツのナチス政権と手を組んでいたというのは初耳で驚きでした。文中の言葉を引用すると「フィンランドの公安警察ヴァルポとドイツの秘密警察は繋がりがあった。フィンランドとナチスドイツは国内及び国際社会の共産主義勢力との戦いにおいて共闘した。(中略)我々はナチスの理想を共有していたのだ。拡張政策とわが国が拡大するための領土。」「ボリシェビキ、赤軍の将校、共産主義者、インテリ、そしてもちろんユダヤ人。(中略)ひとつの穴には150人から200人が入った。彼らはマシンガンで射殺された。穴がいっぱいになると上から土がかぶせられた」。そしてそれが一般的にほとんど知られていないのはなぜかと言えば「ナチスは記録を廃棄した。ヴァルポも破棄した。だが何より人々がこれを知りたがらなかった。知っている者は忘れようとした。」「フィンランドが責任を問われなかったのは、その言語の特異性によるところが大きい。我々はそのことについて話すことはなく、世界には我々の言葉を読める人間がほとんどいない。」 今となっては、それはフィンランド人にとって思い出したくもない黒歴史ということになりますが、こういうテーマを取り上げることができたのは、作者がフィンランド人の妻と結婚してヘルシンキに住み、フィンランドをよく知り愛しているアメリカ人という立場だったからでしょう。作者の視点はフィンランド人の感情と、外国人であるアメリカ人としての価値観の間を行き来し、非常に客観的に物事を公平に見ていると思えます。この作品がフィンランド人の間ではどんな評価だったのか気になります。 このユダヤ人虐殺に関係したのが自分の祖父だった可能性があるカリ・ヴァーラ警部。そしてその祖父の同僚で戦争の英雄である老人が無罪だとでっちあげろという上司からの政治がらみのやっかいな命令。それと平行して、ロシア人富豪の妻が惨殺された猟奇殺人事件の捜査が進んでいきます。プライベートでは、妻ケイトの妊娠出産と、アメリカからやってきたケイトの弟、妹との文化摩擦に悩まされながら、ヴァーラ警部はヘルシンキの街を駆け回ります。 前作でもそうでしたが、個人的にはミステリの部分よりも、フィンランド人とはどういう人々なのか、フィンランドとはどういう国なのか、そのあたりがへたな評論や解説書を読むよりも実感を持って感じられ、興味深いです。ミステリとしてはどうなのか?ということになるかもしれませんが、へえ、そうなんだとあれこれ考えながら、どんどん引き込まれるという意味では、とても深みがあるおもしろい小説だと思います。 | ||||
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アメリカ人の書いたフィンランド・ミステリの傑作です。。その後、作者が亡くなってしまったのが残念です | ||||
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「極夜」を読んでからしばらくして本作を手に取りました。 「Q」シリーズを一気買いした際に、「北欧関係でしたらこちらもどうぞ♪評価も高いですよ♪( ̄ー ̄)」 と本書の案内メッセージが出たので、そういえば「極夜を読んでたっけなあ」ということで、ついでに 注文した次第です。 で、内容は解説の通りなんですが、読了後の感想は「・・・・つまらないなあ、日記なの?これ?」 と言う感じなんですね。 暴くべき敵や犯人、迷宮入り、難事件が出てきて主人公と個性的で魅力的な仲間が対峙し、 艱難辛苦の挙句に敵を事件を解決して大団円。サイドストーリも興味深く、メインストーリーと 絶妙に絡んでいく・・・・・・・・・。(-_-;)フウ こんな期待はまったく裏切られてしまいました。主人公の日常生活を淡々と綴った日記のようです。 偏頭痛を抱え、煩わしい人間関係に苛まれ、もう嫌になっちゃった、と不平に不満の連続です。 ノルウェイの生活や文化、国民性や社会問題などのサイドストーリは、お話の中心にあまり絡んでこない。 だから興味も関心も湧かない。血みどろの殺人事件も数件発生しますが、さして興味も湧きません。 衝撃的なラスト、展開!と解説者は後書に書いていていますが、「そうなんだ、残念だね」といった感じ。 なんでこうなっちゃったの?そんな感じです。 戦時中のナチスと母国との関係、経緯や背景、戦争犯罪人とその人達の紆余曲折をもっと深掘りして 難事件を設定して、宿敵を登場させてと・・・・・そんな感じの方が良かったのではないのかな? 直前まで「Q」シリーズの「折りの中の女」「キジ」を読んだ後に手に取った本書。 とても残念な評価になってしまいました。 | ||||
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極夜 カーモスの続編です。舞台はヘルシンキ、気温はマイナス10度と暖かくなりました。 妻ケイトの希望通りヘルシンキへ移動となったカリ・ヴァーラ警部は猟奇的殺人事件の捜査、加えて第二次大戦中にフィンランドでもユダヤ人虐殺があったのではないかとの調査を内閣府から依頼される。 あいかわらずカリ・ヴァーラ警部の体は痛々しいが、さらにケイトの妹と弟がアメリカからやってくる。アメリカ疲れのフィンランド贔屓の兄弟たち。一見寄り道のような挿話で、なんでこんな展開にと思いますが、 どっこい、こんな話題でも差し込まなければ耐えられないフィンランドのシリアスな歴史がテーマ。 1930年から続くいわゆる継続戦争とその間のユダヤ人虐殺の可能性に言及しています 。 著者はフィンランド在住のアメリカ人、だから書けた、生粋のフィンランド人には絶対書けない話。 フィンランドでの評判はどうだったのだろうと気になる所です。 前作に続く傑作ミステリー、北欧ミステリーの快進撃は続きます。 | ||||
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スタートから、ズシリと腹にくる、結末もハッピーエンドとはいかないものの、再読No一ミステリ。他の作品「極北」読むつもりです。 | ||||
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カリ・ヴィーラ警部の「極夜」に続く第2作とのことですが 私は「極夜」を読まないまま、この本を読みましたが 大変楽しめました。 フィンランドのヘルシンキを舞台にした北欧ミステリー といってもこの本はフィンランドの方が書いたわけではなく フィンランド在住のアメリカ人作家が書いています。 カリ・ヴィーラ警部はフィンランド人で、妻がアメリカ人という設定ですが 作者はアメリカ人で奥さんがフィンランド人。 物語はフィンランドの殺人事件と、 第2次世界大戦時のフィンランドによるユダヤ人虐殺加担の疑惑解明。 交互に進められる物語がラストにみごとに融合します。 フィンランドの歴史についても、とても上手に解説され 東洋の西の端にすむ私にもよく理解できました。 ただ、私はフィンランドの地名はヘルシンキの位置すらあやふやなので 世界地図をひっぱりだして、出てくる地名の位置関係を確認。 フィンランドの地図が添付してほしかった~。 | ||||
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ヘルシンキ警察の警部カリ・ヴァーラは国家警察長官から奇妙な命令を受ける。今や90歳を超えるフィンランドの戦争の英雄アルヴィド・ラハティネンに対してドイツ政府がナチス加担の罪を問うているが、彼に事情聴取してその罪をもみ消せというのだ。フィンランドには戦争犯罪者はいないという公式見解に則った理不尽な命令だが、カリは渋々引き受ける。時同じくして、ある女性が拷問の末に惨殺されるという事件が起こる。凶悪事件の捜査と祖国フィンランドの歴史の闇とに同時に向き合うことになったカリだが…。 カリ・ヴァーラを主人公とするシリーズ第2弾。前作『極夜 カーモス』で負った深い疵も癒えぬうちに彼の前に難事件が立ちはだかります。 ヘルシンキ在住で妻がフィンランド人というアメリカ人作家が描くこの小説は、アメリカ人の目から見たフィンランド、そしてアメリカとの文化的衝突が丁寧に描かれています。事件の謎解きよりもそうした文化衝突の描写に頁がより多く割かれていて、本格ミステリー小説を求めた読者には少し食い足りなさを感じさせるかもしれません。 しかし私は今年5月にヘルシンキに出張して以来、かの国には強い関心を持っていて、この小説が第二次世界大戦におけるフィンランドの古傷をえぐる形で進むことに目を魅かれました。冬戦争、継続戦争、そしてラップランド戦争という、ソ連とドイツによって翻弄された歴史の闇。その微妙で苦い立ち位置について、そしてまた国民的英雄であるマンネルへイムやノーベル平和賞受賞者のアハティサーリについてここまで踏み込んだことが書けたのも、作者がフィンランド在住の外国人だったからでしょうか。 翻訳は極めて読みやすく、ムリのない日本語でまとめられていて、大変好感が持てます。 小説の終わりには、カリをさらなる試練が襲う展開を見せます。既にアメリカでは第4作まで出版されていますが、果たして日本ではこの先も翻訳されるでしょうか。 | ||||
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玄関で靴を脱ぐ国フィンランド マンションにすらサウナがついている寒い国の警察小説 小さな町キッティラで警察署長を務めヘルシンキ警察殺人捜査課に移動した<カリ・ヴァーラ警部>のシリーズ第2作 個人的には今年最高の警察小説ミステリです。 必ず第1作『極夜 カーモス』からお読みください。 | ||||
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『極夜』に続くカリ・ヴァーラ警部ものの第二弾。 『極夜』も面白くはあったが、フィンランドミステリというひどく寒そうな背景のみが印象に残り、さほど感銘を受けなかった。 ところがこの第二弾、『極夜』をはるかにしのぐ重厚な「ワルの匂い」が漂う傑作! 結末の衝撃といい、今後の展開がますます面白くなりそうなことといい、あらためてカリ・ヴァーラ警部と作者ジェイムズ・トンプソンのファンになった。本国ではあと二作、続編が刊行済のようだ。乞続刊! | ||||
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フィンランド・ミステリー、カリ・ヴァーラ警部シリーズの第二弾。『極夜 カーモス』で幕を開けたこのシリーズ、今回のカリ・ヴァーラには余りにも様々な事が降りかかる。 物語の核となるロシア人富豪妻の拷問殺人事件、カリ・ヴァーラ自身の原因不明の頭痛、警察上層部からの圧力、アメリカ人妻のケイトの出産、アメリカから来たケイトの弟と妹… 正統派の警察ミステリーにノワールの要素が加わり、二転三転する展開、あまり馴染みの無いフィンランドの国状も描かれ、非常に面白いシリーズである。 ラストには次作へのつなぎと思える気になる描写もあり、まだまだシリーズは続くようだ。 解説は堂場瞬一。堂場瞬一が『極夜 カーモス』を絶賛している。 | ||||
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