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(短編集)
その日のまえに
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その日のまえにの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.34pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全258件 61~80 4/13ページ
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本当は長い長い前ふりを書こうと思っていた。例によって、本の内容とは直接関係ないことで、私の経験のことを書こうと思っていた。 けれども、書こうとして書けなくなった。覚えていないということではない。もう2年半前になるけど、はっきりとあのときの会話や気持や風景は覚えていて、決して忘れない10分間ほどの時間だった。きっちり書けば軽く制限の文字を越える。書くことで、この本の本質も伝えることが出来るかもしれないし、私にも防備録になるし、父親が生きていた証にもなるかもしれない‥‥‥。父から病気のことを教えてもらったときのことである。 でも書けなくなった。不遜だと思った。馬鹿なことを考えていたと後悔した。 よってこの本のこの一節を書き写して、この本の紹介としたい。この本は、ガンで死んでいく人々のことを扱った連作短編集である。 精密検査の結果が出るまでの一週間で、最悪の事態の想像は、塗り絵を仕上げるようにあらかた済ませていた。毎晩、会社帰りに一人でカラオケボックスに入った。マイクがハウリングを起こすほどの大声で叫び、ソファーのクッションを壁に何度もぶつけ、タンバリンで頭をめちゃくちゃに叩いた。運命としか名づけられないものにありったけの罵詈雑言を浴びせたあと、子供のように泣きじゃくった夜もある。自ら望んだ告知も断ろうかと携帯電話を何度も開いたが、そのたびに、妻に重荷を背負わせるのはずるいだろうと思いなおした。自分が死んでしまうことよりも、父親を喪ってしまう子供たちの悲しみのほうが胸に迫る。子供たちの寝顔を見た後はトイレに入って涙ぐみ、朝になって「おはよう」の挨拶を交わしたあとは洗面所で顔を洗いながら、やはり涙ぐんだ。 そんな一週間を過ごしたせいか、実際に告知を受けてみると、自分でも驚くほど感情は平坦だった。冷静に事態を理解して受け止めているというより、感情のどこに爪立てればいいのかわからない。「胸にぽっかりと穴が開く」と言うのは、ただ言葉だけのものではないのだと初めて知った。 例えば、「潮騒」の主人公の男はこのように反応した。ひとりひとりに不幸は違う色でやってくる。小説だからこそ書けることがある。重松清以上に私にそのことが表現できるはずもない。不遜だったというのはそのことだ。 「電車のかなでは決して読んではいけない小説」と言うことで、テレビで紹介されたらしい。その通りだと思う。それに付け足していう。イオンショッピングセンターのフードコーナーのような人前では決して読んではいけない本である。 2008年10月読了 | ||||
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ひこうき雲、潮騒、ヒア・カムズ・ザ・サンが好きでした。子供達のしぐさや心情の描写に涙しました。1話ずつ完結しており、最後のはなしでそれぞれの話が交錯していくのも良かった。出てくる病気が癌で亡くなる話ばかりなのでそこにひっかかってしまう方もいらっしゃると思うのですが、あとがきに書かれているようにご自身の体験からおそらく別れや後悔に焦点をあてたかったのかなと考えながら読了後に振り返りました。本のタイトルにもなっている「その日のまえに」ですが、その夫婦がちょっと悲劇のヒロイン・ヒーローぽく自分に酔っている感じがあり個人的に抵抗がありました。子供達の様子はとても愛おしくて涙しました。死生観の違い、価値観の違いと言ってしまえばそこまでですが。食後の箸に口付けるのはひいてしまいました。いくら思い出があるからって、見ず知らずの人のポストに手紙など入れては迷惑。そして「神様は意地悪だ」というようなセリフが出てきますが、40代でどうにもならない理不尽さに神様を持ち出すというのはあまりに幼くて少し冷めました…人に平等に与えられているものは1日が24時間だということくらいでしょうから。 私は自分が死んだり大切な人を亡くしたら、全て消えてなくなってしまうと思っていました。届くDMを喜ぶ大輔君を見ていて、確かにそこに存在していた事を噛み締めたっていいんだと思えました。 | ||||
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一文一文がとても重い。こんなに重いものなのかと思う。 たった数文字に胸が詰まって、涙で文字が見えなくなる。 大切な人の道が区切られたと知らされた瞬間から、見えるものが、感じることが、気づくことが、散りばめられている。 「その日」を突きつけられた、残していくものと残していかれるものの思いが、散りばめられている。 味わったことがある人間にしかわからないありとあらゆる気づきが綴られている。 どれほどの別れを経験したら、こんなすごい本が書けるのか。 一見ごく当たり前の、なんの変哲のない文章がある。 たくさんある。でもそれは前後の文章によってひどい悲しみの具現だと気づく。 計算されているのか、いないのか、どうでもいいと思わせるほど痛い。 これは、本当に大切な人を亡くしたことのない人にはわからない領域だと思う。 『あと何日かすれば「ただいま」を言わずに我が家に帰ってくる』 これがどういうことか、本当にどういうことか、その日を知らないものにはただの言葉なんだ。 類稀なる名作だと断言する。 だが失ったことのない人にとっては、ただのちょっとさみしい本なんだろう。 いつかわかる時が来るまで、大切にとっておくといいと、と、そう思う。 こんなに泣かされる本に初めて会った。 | ||||
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読み終わって… そして… とにかく枕に突っ伏して嗚咽をあげて泣いた。 | ||||
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人の死に関する小説です。 二度読みするには苦しくて読めない本です。 が、何日か時間が経つとところどころ気になって一部読み返しました。 この本の一番の魅力は、目次に「その日」が付く最後の3章で前の全てと繋がるところです。これは芸術的でした。 繋がらなかったらそれほど面白いとは言えないでしょう。 繋がることで人の人生を又、別の視点で考えられる、という魅力を持っています。 重松清の本を読んだのはこれが初めてでしたが他の本も読んでみたくなりました。 | ||||
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重松さんの著書は、初めて読みましたが、とても読みやすく、一気に読めました。 | ||||
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この5月下旬から2ヶ月近く、まさに「鬼の撹乱」で入院を余儀なくされてしまった。まあ幸いというべきか生命にかかわるような病ではなかったのだが、それでも大小3度に及ぶ手術を受ける羽目になり、ベッド上で身動きの取れない期間も短くなかったので日用品やら何やらの発注などAmazon様には大変お世話になりました(笑)。 そんなある日、12年前に亡き母が同じ病院にやはり長期の入院をしていた際に、病棟ラウンジの書架に何故か刊行されたばかりの本書があって、病室の母のすぐ脇の椅子で一気に読了したのを思い出したのだった。不覚にも読後ひとり涙にくれていたら当日担当のナースが入って来て「ど、どうしたんですか!?」と色をなして訊くのを何とか冗談混じりに誤魔化したことも。そして今回思い出に手繰り寄せられるままにAmazonで注文したというわけで。 実を申すとその後退院したすでに意思の疎通が困難になっていた母を丁度10年ほど自宅で介護したので、私にとっての「その日」が現実に訪れたのはほんの2年ほど前だったのである。その間にも一冊書店で購入して再読していたのだが、母の訪問看護に来てくれていたやはり同じ病院のナースがお父上を亡くされたと聞きグリーフケアになればと思い進呈したのだった。 今回も病室に届いた本書に目を止め興味を示した新人ナースがいたので、退院の際に良かったら一読をと託したのである。まあ実際に人の生き死にと日常的に向き合っている彼女たちだから、本書の作品世界(昨今多用される世界観ではない)が単なる絵空事としか思えないのではないかとの危惧はあったのだがその時はその時で同僚に薦めるか、12年前と同じく病棟の書棚にでも置いてくれれば良しと思って。 作品自体の評価は今更申すまでも無いが、幾つものエピソードが主人公夫妻の「その日」前後に深く関わりを持つに至る構成の巧みさにほとんどあざとさを感じさせないあたりが確かに著者の力量なのだろう。ただ原作からは離れるが2度の映像化に関しては、キャスティングの当否は横に置いても全てのエピソードを盛り込み過ぎもしくは刈り込み過ぎに終わっているのが残念な結果だったが。 終わりに、我々生きとし生けるものどもにとってかけがいのない存在との訣れは避け得ない事柄だが、本書はそのような機会にまたとない真の意味の「癒し」をもたらしてくれる秀作と信じるものである。失礼ながら近年いささか器用貧乏に陥っている感なきにしもあらずの著者にとっても、現時点での真の代表作なのではないだろうか…。 | ||||
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平凡な日常の大切さを感じさせる物語でした。 誰でも起こりうることだとしみじみ思いながら、じっくり読ませていただきました。 | ||||
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流星ワゴンに代表されるような、現実なのか・そうでないのか 生きること・死ぬことを、独特な世界感で描く重松さん。 主人公とその家族、同級生などが シンプルながら 色濃く交わって お互いの関係をつくっていくところ 心のかわっていくさまに、惹き込まれます。 途中からは、もう涙ナミダでした。 男性目線からの描写が、切なくも愛おしく 改めて、自分の大切な人を想いました。 | ||||
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人はいつか死ぬという当たり前の事を思い出させてくれる名著。 若い人も年寄りも一回読んだ方がいい。 | ||||
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重松清の作品を集めたもの。テーマとしては「病」だと思う。 もう最初から重松清ワールドに引き込まれてしまった。 いやもう感動してしまう。またしてもやられてしまった。 心の中の毒素が全て洗い流される感覚。デトックス。だめだ…語彙力が足りなくて伝わらないけど、本当に素晴らしい作品。 最後のあたりの話で全ての内容がほんのり繋がってるところなんて、もう鳥肌が立ってしまった。伊坂幸太郎作品を連想してしまった。 ぜひこれは周りの人にも薦めたい作品。 もう心がスッキリしてしまった。満足。 | ||||
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自分自身の死期を迎え、友人や家族に想いを伝えたり、残したり、大切な死を見送る短編集。 当事者が、突然の死期に驚き、苦しんだり、段々それを乗り越えたりして、当人が亡くなる直前で話が終わる。人の死と別れをテーマにしているが、全然悲壮感が無く、爽やかに読み終える事が出来た。 | ||||
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あっと言う間に読んでしまいました。 大事な家族を失う。家族を残していってしまう。 切ないですね。 嫁と即胃カメラの予約しました。 | ||||
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以前、持っていたものを誰かにあげ、再び読みたくなったので買いました。 重松清ワールドにどっぷりはまれます。 | ||||
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人間は誰でも生を受けてから死に向かって一方通行だ。すなわち身もふたもない言い方をすれば人間はいずれは死ぬ。 それは当たり前のことだが日常では意識することもなく生活している。 ただその「いずれ」が余命宣告として告げられていたらどうだろう。 本作では様々なエピソードで愛する家族が亡くなる前、亡くなる日、亡くなった後を丁寧に書かれている。 世の中には様々な感動作があるが、「死」をテーマに一番泣けたのは本書でした。 | ||||
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大切な人の死を目前にして、どのようにそれまでの日々を過ごしていけば良いのでしょう。あまりにも早すぎる妻の死の宣告に、夫の心は千々に乱れます。 本作品は、死にまつわるいくかの短編からなり、タイトル作へとつながっていく連作短編集の形式です。様々な人の思いがクライマックスに向けて溢れ出し、そのひとつひとつが夫婦の過去、現在、未来と重なります。 亡き人宛てに送られてくるダイレクトメールを見たときの心模様など、胸に突き刺さるシーンがちりばめられています。一作だけぽかっと浮いている作品があるのですが、これもちゃんとつながっているんですね。 著者の泣かせ方があざといとの意見もあるようですが、素直に泣けました。お見事です。 | ||||
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手術を3回経験し色々と思いを馳せたことなどが甦り胸が熱くなり励まされました。 | ||||
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この人の文章はさくっと読めます。 内容が内容だけに重たくなりがちな所ですが、 どこかシンプルに、すっと流せるのでおすすめです。 | ||||
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電車で読んでて 思わず泣きそうだった 自宅で読んで泣いた また重松の本読みたい | ||||
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自分の家族が、友人が、あるいは自分自身が「その日」を迎えるときの事を考えさせられました。いつか訪れる「その日」について考えるのは難しいことだけど、いつかどこかで受け入れなきゃいけないんだと感じました。いいお話でした。 | ||||
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