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縮みゆく男



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【この小説が収録されている参考書籍】
縮みゆく男 (扶桑社ミステリー)

縮みゆく男の評価: 4.57/5点 レビュー 14件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.57pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

賞賛すべき作品だが、現代の読者向きではない

マシスンはとても好きな作家だし、他の作家に与えた影響は大きく、高い評価を受けるのは当然である。この作品も、日々縮みゆく男をていねいな筆致で描き出した傑作だ。

だが、あえて、マイナス点をレビューしたい。それは、現代の読者向きではないということ。
まずアイデアが短編向き。「男が毎日縮んでいくが、やっとこさ生きてます」というだけ。これを長編に引き延ばしているのだから、現代の読者にはだいぶ物足りないはずだ。
そして、描写がていねい過ぎる。地下室で蜘蛛と戦ったり、水を確保したり、クラッカーの欠片を拾ったりする場面が全体の4割くらいを占めている。会話のない描写と行動だけの場面がこれだけ長いのは、やはり現代の読者向きではないだろう。
さらにいうと、オチがエンターテインメントとしてはいかがなものかと思う。今までの生き残るための努力とか関係なく、「精神世界バンザイ!」と言っているようなものだ。おまけにそれまでの説明を考えると数学的におかしいので、首をひねってしまう。

また、物語のテーマは「小さくなっても必死で生き延びるぞ!」ではない。「小さくなっても性欲がすごくて困る」なのだ。いや、本当に。読むと驚くと思う。もちろん「満たされない性欲」というのは、「奥さんからも男として認められない孤独」を描くための道具である。「カラダが縮む」という現象には、「存在感が小さくなり、社会からもだれからも相手にされない、無価値な存在になっていく」という不安が象徴的に描きこまれているのだ。それがこの作品のもっともすばらしいところだろう。

エンタメ小説の古典を選ぶのは本当に難しい。この作品も、明らかにすばらしい作品なのだが、エンタメとして考えた場合、現代の読者向きではないというところをお伝えしないと、本選びの指標としては不完全だろう。
縮みゆく男 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:縮みゆく男 (扶桑社ミステリー)より
4594068766

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