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縮みゆく男
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縮みゆく男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.57pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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マシスンはとても好きな作家だし、他の作家に与えた影響は大きく、高い評価を受けるのは当然である。この作品も、日々縮みゆく男をていねいな筆致で描き出した傑作だ。 だが、あえて、マイナス点をレビューしたい。それは、現代の読者向きではないということ。 まずアイデアが短編向き。「男が毎日縮んでいくが、やっとこさ生きてます」というだけ。これを長編に引き延ばしているのだから、現代の読者にはだいぶ物足りないはずだ。 そして、描写がていねい過ぎる。地下室で蜘蛛と戦ったり、水を確保したり、クラッカーの欠片を拾ったりする場面が全体の4割くらいを占めている。会話のない描写と行動だけの場面がこれだけ長いのは、やはり現代の読者向きではないだろう。 さらにいうと、オチがエンターテインメントとしてはいかがなものかと思う。今までの生き残るための努力とか関係なく、「精神世界バンザイ!」と言っているようなものだ。おまけにそれまでの説明を考えると数学的におかしいので、首をひねってしまう。 また、物語のテーマは「小さくなっても必死で生き延びるぞ!」ではない。「小さくなっても性欲がすごくて困る」なのだ。いや、本当に。読むと驚くと思う。もちろん「満たされない性欲」というのは、「奥さんからも男として認められない孤独」を描くための道具である。「カラダが縮む」という現象には、「存在感が小さくなり、社会からもだれからも相手にされない、無価値な存在になっていく」という不安が象徴的に描きこまれているのだ。それがこの作品のもっともすばらしいところだろう。 エンタメ小説の古典を選ぶのは本当に難しい。この作品も、明らかにすばらしい作品なのだが、エンタメとして考えた場合、現代の読者向きではないというところをお伝えしないと、本選びの指標としては不完全だろう。 | ||||
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