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暗き炎 チューダー王朝弁護士シャードレイク
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【この小説が収録されている参考書籍】
暗き炎 チューダー王朝弁護士シャードレイクの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.56pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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主人公の分裂した魂を象徴するような二つの事件は、結局繋がることなく、それぞれに決着を迎えます。が、主人公の内面では二つが密接に絡み合って、新たに世界と関わり合ってゆく道筋を作っていってくれることになります。 全く絶望しきって、自分はスケープゴートとしてこのまま死んでゆくしか道はないのだと思い込んでいる少女を救うことで、主人公は少女のみならす、自身の魂をも救うことになります。 それを助けてくれることになるのが、もう一つの事件のために助手として押し付けられた傍若無人な若い男であり、その男もまた深く傷付いていて、その上に事件が解決されなければ生きてゆく道を失うかもしれないという崖っぷちに立っている、というのも象徴的です。 最後は三人共、無事に再生の道を歩み出せることとなる訳ですが、世界の方は、混沌としていた政治も社会もますますぐしゃぐしゃになった感があって、大丈夫かなあ、しかしヘンリー八世の時代のイギリスって、本当にこんなにも酷い世界だったのか…と、少々気が滅入りもします。 でも、どんな暗い世界でも、人は胸の内に希望の灯を持つことが出来るのだと、教えてくれる物語でもありました。ありがとうございます。 | ||||
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二作目も相変わらずの上手さで、一頁目からぐいぐい引き込まれます。 今回も暗い話ではありますが、修道院の中にずっと閉じ込められていた前作とは打って変わって、今度はロンドン中を駆けずり回るので、ちょっと解放感はありますし、二つの全く異なる事件を同時に手掛けることになるので、変化も楽しめます。 また変化と言えば、主人公自身も、前作の悲壮な体験を経て、それまで何十年もかけて形造ってきた信仰心も信念も、冷淡な外面も無残に崩れて、別人のようになっています。 この魂の危機をどう乗りきってゆくのか、が今作の一つのテーマのような気がします。 その上で二つの事件をどう解決に導くのか、又、二つの事件はどのように繋がってゆくのか、全く見えないだけに下巻もますます楽しみです。 | ||||
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他の方も指摘するとおり、本書の傑出した魅力は、ミステリーとしてよりも (とはいえロマンスやアクションの要素もあり充分に楽しめる)、チューダー期 イングランド/ロンドンの精彩に富んだ描写である。 それに加えて物語に深みを与えているのは、著者のヒューマニスティックな視点だ。 エラスムスに傾倒する主人公の弁護士は、物語の終盤で次のように述べる。 「なぜ信仰心はおおぜいの人間の悪意を引き出すんだろうか。 なぜ人々を―教皇派であれ改革派であれ―獣にしてしまうのか」(下319頁) 宗教戦争(コンフェッショナリズム)を克服するために絶対主義が求められた、 と現代の教科書は言う。しかし、かつてトマス・クロムウェルとともに宗教改革の 理想を熱く語り合った主人公が目の当たりにしているのは、政治権力の魔性により 変質した宗教的理想であり、また宗教を道具として人々(貴族から物乞いまで)を 翻弄する絶対王政であった。 圧倒的な権力を前にして、個人は無力かもしれない。しかし、ムーア人の親友 ガイ・モルトンと主人公との真摯な交流からは、それでもなお人間性は信頼に 値するものなのだ、という著者の想いが読み取れるように思う。 | ||||
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時代背景は、15世紀イングランドとかなりマニアックですが、登場人物のキャラクターに好感が持てます。 キーワードとなる「ギリシア火」かなりマニアックではないでしょうか。 | ||||
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前作同様、主人公やその周辺の人物に好印象。 イギリスの歴史ミステリでは、ヴィクトリア朝時代が多いのですが、 絶対主義確立期の時代背景が興味深かったです。 | ||||
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クロムウェル失脚の報を受け、姿を隠した二人。クロムウェル派への粛正が思いのほか軽微だったためロンドンに戻ってきた。さて、ここからこのコンビ、変転極まりない時代の中でどのような活躍を見せてくれるか。当時の法律や生活についてのの書き込みも興味深く、繰り返し読み楽しみがあります。続きが読みたい。 | ||||
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前作がとても好きで、読み返したばかりです。 ドキドキしながら読み始めて、読み終わるのが寂しくて、結末が知りたいけれど終わりたくない気持ち。こんな本はなかなかありません。 今回のシャードレイクは、クロムウェルから距離をおいて3年。 弁護士稼業に専念していますが、背中の障害について揶揄されてもそれほど卑屈にならず、前作より若返った印象です。前回は暗い中年男性というイメージで読んでいたのですが、今回は顔立ちの整った、脊柱後湾症をかかえつつも弁護士としての仕事に誇りを持って生きている男性という印象です。 またしてもクロムウェルから呼びつけられ、無実(と思われる)少女の重石責めを猶予するかわりに盗まれたギリシャ火薬の行方を追うことになります。少女のためを思うこともあるのでしょうが、袂を分かっていても、どんなにクロムウェルが野望をかなえるために卑怯なことをしていたとしても、シャードレイクの心のなかにクロムウェルを慕う気持ちが残っていたのではないかと思うのです。どんなに悪人でも、好きな人は好きなままなことがありますよね。 私はイギリスの歴史のディテイルは知らないので、クロムウェルがどういう道筋をたどるのかわからないままに読み、十分楽しめました。歴史をご存じの方は少し先が読めてしまうかもしれませんが、欧米のレビューを見てもサンソムの作品は全てが好評ですので、歴史に関しての知識の有無にかかわらず読み応えがあるといえるでしょう。 イギリス人に訊くと、『クロムウェルはすごく悪い奴だよ』という認識でした。野望を抱えて出世したけれど、最後はどこの国でも同じ盛者必衰の理が・・・。 サンソムは歴史学の博士号を取得し、自身も事務弁護士ですので物語のバックボーンもしっかりしています。 ケン・フォレットの『大聖堂』と毛色は全く異なるけれど、同じようにその時代に入り込める物語です。 本当に大好きで、期待を裏切らない作品です。 (シャードレイクの愛馬、チャンセリーが死んだときはホロリときました。シャードレイクが18歳のときに買った馬ですから、20年以上をともに過ごしています。馬って長生きなんですね。) | ||||
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