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代官山コールドケース



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【この小説が収録されている参考書籍】
代官山コールドケース
代官山コールドケース (文春文庫)

代官山コールドケースの評価: 3.83/5点 レビュー 35件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.83pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全27件 21~27 2/2ページ
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No.7:
(4pt)

著者の円熟味が感じられる一冊。

川崎で起こった強姦殺人。
残された陰毛から、17年前に被疑者死亡で解決済みの
殺人事件の現場に残されたものとDNAが一致した。
警察の判断ミスだったのか?
しかし、今になって代官山の17年前の事件を蒸し返した
ところで、真実を明らかにできるのか?
絶望的な状況の中で、やり手の水戸部、性犯罪のエキスパート
浅香が捜査を開始した。

代官山、川崎、そしてあらたに西日暮里でも若い女が殺される
事件が発生。
3件の事件をつなぐ鍵が見どころ。
代官山コールドケースAmazon書評・レビュー:代官山コールドケースより
4163823905
No.6:
(4pt)

捜査小説というべきかも

地層捜査の続編。
今度は代官山が舞台である。前作を引き継いで、基本的に地味な展開。
代官山という日本の中でも屈指のおしゃれな街、しかもバブル崩壊直後で今とはまた別の意味で世相の荒れていた時代を背景にしており、実際にこういった事件が起こってもおかしくはないというような造りになっている。代官山という華やかな表の顔の裏側に生きる人間達も描かれており、これも実際にいそうな人々ばかり。

読んでいて気づいたのだが、この作者の作品の多くは、被害者があまり語られない。リアリスティックといえばそうなのだが、やや珍しい気もする。

以下ネタバレ気味だが、この作品の被害者役は3人。デザイナー志望の女の子、写真家の卵、看護婦だ。このうち、もっとも作中で語られているのはデザイナー志望の女の子だが、他の二人については当の本人がどう考えていたかという点には殆ど触れられる事がない。

視点は常に捜査官にあり、捜査官の感じた事、想像した事、場合によっては加害者が吐露する言葉をあくまでベースとしているのである。
その結果、推理ものというよりかは捜査ものという雰囲気が非常に強くなっているのではないか。特にこの地層捜査シリーズは派手なアクションがあまりないため、その趣が強く出ている。

私はこういう作品が好きですが、好みの分かれるところかもしれません。
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No.5:
(4pt)

いっしょに捜査

事件捜査の聞き込みというものは、このように行われるのかな…と
少しかいま見ることができたような気になりました。

関係者をあたり、アリバイを確認し、そしてとにかく語らせる…
線としてつなぐことのできる点を求めて地道に集める…

ちょっと一緒に捜査しているような気分になりました。
そして、事件が解決した時には
最初に感じた、というより「住んでる場所」「職業」「見た目」から
決めつけていた印象とは全く違う
亡くなった人たちの「人物像」が浮かび上がってきたのでした。

その発見に似た感覚が印象的でした。

楽しめました。
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No.4:
(5pt)

警察小説といったら佐々木譲です

日本では拳銃を撃てるのは警察官ということで、彼らを主人公にしている小説が描かれます。しかしその多くはただ警察官を主人公にしているというだけで、警察官や警察組織を描いてはいません。関係者ではなくても日本の官僚組織を考えれば、荒唐無稽なものが多すぎます。既刊の「警官の血」を読了した後の圧倒的な満足感は、近年感じたことのないものでした。本作はまだ途中までしか進んでいませんが、週刊誌に掲載されたとき何回か読んでおり力作と思っておりました。
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No.3:
(4pt)

惜しいなと思ったこと

再捜査となった過去の事件を特命を帯びた刑事たちが追うというのは特に珍しい設定ではない。
しかし、代官山という土地柄を選んだところがまず成功している。17年ほど前の代官山と現在の町とをきちんと対比させ、東京育ちには独特の響きを与える「同潤会アパート」を事件現場としたことで当時の臨場感とノスタルジーを感じさせてくれる。
主人公の刑事が北海道出身であり、17年前の東京を知らないという設定もうまく使っている。

サリン事件の真っただ中で起きた女店員殺人事件は微妙な形で取り残されていった。
ここら辺の描き方が、当時の東京が、警察がどんなふうに異様な状況に置かれて振り回されていたかを浮き彫りにして感慨深い。
当時の様々な事情から事件の証拠は不全となり、歳月により街並みも失われてしまった。警察内部の事情も複雑で、そうした不利を二人の刑事は追わねばならないのだ。
科捜研の同僚や当時の案件に携わった刑事なども自然体で絡んでおり、余計な暴力ややりすぎのアクションや奇想天外な偶然性などがないところも真摯で真実味がある。
とても丹念に丁寧に描かれていて面白く読んだのだが、とても気になることがあった。

この作家を読むのが初めてである、ということが前提なのだが…。
主人公の刑事や相棒となる女性刑事、あるいは聞き込みの際の相手の語り口に年齢的な違和感を覚えることがしばしばあった。たとえば女性を表すことばに「おきゃん」というのがあってびっくりした。ある年齢以上しか使わないのではないだろうか。
警察小説にはなんだかとても古臭かったり、30代40代ではそんな言葉は使わないのではないかと思うことがしばしばある。この物語でもそうした「おじさんが書いたんだろうな」と思わせる部分がある。主人公の相棒は40そこそこの女性刑事なのだがやたらに古い言葉を多用する。「こすい」なんて、日常使うだろうかと首をかしげた。
「微笑」という言葉もちょくちょく出てきたものだからだんだん気になりだし、ついにものすごく多用されていることに気付いた次第。
ドキュメンタリー的要素を追う物語の展開の先を急いでいると、わずかな言葉のやりとりや、言葉の選び方が画一的になってしまうのかもしれないが、物語が面白かった分、文章が不器用に見えて気がそがれたのがちょっと残念だったのだ。
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No.2:
(5pt)

相棒の女性捜査官がじつによい

さいごまで楽しめた。
仙台出身の警視庁特命捜査対策室刑事、水戸部が活躍するシリーズ2弾。
おおかたの評価は「地味」だった第1弾『地層捜査』にくらべると、
華やいだ雰囲気がただよう。

それは、事件の舞台が、前作の《荒木町》というシブい元花街から、
今回、若い人の好感度が高い《代官山》に移ったから、だけではない。
首都の一部地域がもつ「好感度」に誘惑される若者のあやうさ、
そうした若者を利用する大人のうすぎたなさ。それらを、切実に描いているから。
つまり、場所が華やげば華やぐだけ、虚飾も悲哀も、あぶり出される。
昼間の明るい光がうつろになり、夜の灯りにいかがわしいものがうごめきはじめる。
その対比が、うまい。

むかし、叔父夫婦が代官山の同潤会アパート近くに住んでいた。
この作品の「過去の事件」が発生した時期より、もっと前だが。
よく遊びに行ったので、かつての東急代官山駅一帯のようすや、
光も空気も閉じ込めたようなあの同潤会アパート周辺は、はっきり覚えている。

その記憶でいうと、せっかくアパートを事件の一部に採り上げたのだから、
もう少し濃淡のある雰囲気で描写して欲しかった、という気持ちはある
(その逆で、前作『地層捜査』の荒木町の描写は文句ありません)。

ただし、前作に比して魅力的なのは、水戸部の“相棒”として、
水戸部より年長、しかし階級は下の女性捜査官・朝香を配したこと。
過去と現在の卑劣な性犯罪を追及していくにあたり、彼女の存在は、
水戸部の心理に陰影を与え、さらに物語の展開に大きな説得力を与えている。
クライマックスにも、彼女の見せ場あり。
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4163823905
No.1:
(4pt)

あふれるばかりの臨場感に分かりやすいストーリー展開を楽しめました

警察捜査の描写が臨場感にあふれています。特に、参考人や被疑者への尋問の様子と、そこから真実を導き出そうとする刑事の心理描写は非常にリアルです。また、警察組織同士の縄張り争いも、ストーリーの幅を広げます。派手なアクションはありませんが、参考人や被疑者と刑事との駆け引きからなす緊迫感が、静かに、ジワリと迫ってきます。
 
捜査現場での地道な聞き込みと、科学捜査による解析調査との絡ませ方が非常に巧みで、また、リアリティー高く描かれていましたので、ストーリーの展開に強く納得することができました。
 
過去の事件を捜査することに対して、公訴時効の撤廃による解釈について、ストーリの各所に丁寧に記述されている点も大変参考になり、また、ストーリーにリアリティーを増し、良かったです。

事件発生から解決まで「リアルタイム」で展開されますので、ストーリーの内容も非常にわかりやすく読むことができたと思います。
 
記述の丁寧さとわかりやすさは、さすが、佐々木譲さんだと感服です。
 
物証から得たわずかな手がかりや、聞き込みから摘みだした、ほんの少しの矛盾を積み上げながら真実に近づいていく過程に対して、十分にサスペンスを堪能することができたと思います。
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4163823905

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