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氷壁
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【この小説が収録されている参考書籍】
氷壁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.37pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全72件 21~40 2/4ページ
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山男である魚津の朴訥とした雰囲気、その魚津に惚れる小坂かおるの純粋さ、魚津の上司である常盤の熱情や優しさ、富豪ながらエンジニアとしての一本気をもつ八代。そんな好感のもてる登場人物らのなかにあって、ただ一人フラフラと若い男に惹かれてしまう芯のない八代の妻・美那子に苛立ってしまう。 ところが、この美那子の存在が、物語全体にピリッとした緊張をもたらし、面白さを引き立てるのだから不思議だ。表向きの主人公は山男の魚津であるが、井上靖が描きたかった本当の主役は、人間としての未熟さを抱えて生きる美那子だったのかもしれない。 | ||||
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懐かしいスタイルの本でした。とても読みやすく、面白かったです。少し古典的な、少し前の日本人の感性が懐かしく思い出されました。文学って大切ですね。 | ||||
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この小説をきっかけにして、世間の関心を誘い、ナイロンザイルの真実が明らかになった。 凄いことだ。 | ||||
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穂高は登ったことがあるので情景が浮かび、読んでいて面白かったです。ただ、少し暗いですね。 | ||||
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時代は違うのですが、様々な要因が絡み合い人生についても責任についても考えさせられます。面白いです。 | ||||
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ジャケ買いみたいな感じでした。 昭和を知っている40代以上じゃないとわかりにくいかも。 珍しく2回読みました。 | ||||
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読了:2017年132冊(10月8冊)★3.6 『氷壁 (新潮文庫)1963/11/7、井上 靖 (著) 初めて井上靖の作品を読みました。噂に聞いていた通り素晴らしく才能がある人だな、と思う。本書は1963年の作品です。そんな一昔前のこととは思えないくらいスイスイ読める。今と違和感があるのは、会社が社員の個人情報(住所や電話番号)を躊躇なく教えることくらいか。本書はサスペンスでもあり、恋愛でもある。恋愛と言っても、そんなにドロドロネチネチしたものではなく、とても純文学ちっくなものである。 作品では、山から乙彦落下することで大きく話が展開していく(実は、生きていた!という展開かな、と思ったけれど、普通に死体で発見されました)。また、科学者から見た実験や懸賞についての考え方は、なるほど、と思うところがありました。この小説からは、事実にしても、人の想いにしても、白黒つけられないことはあるな、と改めて思いました。 | ||||
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この小説のことは徳沢園で知りました。 私が初めて徳澤園訪れた時、頭には『栄光の岸壁』の岳彦氏のことがありましたが、そこには「氷壁の宿 徳澤園」と、この小説を前面に出す表示がありました。 東京の雑踏を舞台に描かれる場面が圧倒的に多かったり、ナイロンザイルの問題点に触れていたりするのに比して山を舞台に描かれた紙面はそれほど多くないのかもしれません。 それでも読み終わった後の心の中に、徳澤園の林の中や梓川の上を駆け抜ける風の爽やかさが残るのが不思議です。 | ||||
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1957年に出版された長編小説。本文は609ページと長い印象だが、一つ一つの場面が短いので飽きずに数日で楽に読み終えることができる。1955年に起きたナイロンザイル切断事件が題材で、こちらは現在解決済みであるが事件の詳細を知ると小説の興味が失われるので実際の事件の顛末は読後に確かめることを薦める。また、舞台は穂高岳であり、山の写真などあると情景描写に共感が得られる利点はあるが、山の紹介文には本小説の結末が書かれてあったりするので注意が必要。登山家の魚津恭太が主人公で一緒に山に登った小坂乙彦のザイルが切れた原因と、小坂が片思いの人妻八代美那子に魚津も魅かれていくという二つのテーマがある。美那子の年長の夫、教之助は科学者で社長。ふたりが何故結婚するに至ったかは不明で、美奈子は夫に入れるコーヒーカップに凝ってみたり、お茶の入れ方を工夫したり、料理を気にかけたりと繊細なところをみせるのだが夫の仕事の理解はない。夫の美奈子に対する態度は女中か家政婦に近く、時に嫉妬をみせるものの、基本的には妻と離れたほうが落ち着くタイプ。解説にあるように美奈子は「都会の人工性につながれた存在p630」で、この夫婦が何故離婚せずにいるのか、特に魚津に魅かれる美奈子については疑問であるが、社長夫人という平安な「人生をおりた人=遁世p624」のような生活は、実際は人生と闘う必要がないので理想的かもしれない。ただ、これが魚津や小坂の命と秤にかけてでも守る生活なのかという点には美奈子の関心はない。魚津は、登山家としての小坂を信頼し、自分の信ずるところ(時に「神」という表現を用いる)を人が信じてくれずに苦悩する。そんな中で、小坂の妹、かおるだけは無条件に魚津を信じて愛するのだが、それに救われつつも、魚津の心は美奈子にある。魚津は自然を愛し自分の信じるところ、信じる道のために死を賭してまでに「反抗p624」していくところは魅力的であるが、小坂かおるを愛することが将来できるであろう想定のもとに結婚を考えるのは短絡的で、八代らと同様の愛のない結婚に至る可能性などは一顧にしない。人に惚れることは理屈ではいかないので、うまく事が運ばないということもあるが、本小説の恋愛感情は、外見に由来するものが殆どで、相手を人物としてその中身から愛しているのは、かおるのみ。本小説のように死が描かれるときに、自分の命を、一生を犠牲にしてまで守るに値するものは何かを、考えさせられる。本小説では、かおるの真実の愛と、魚津の自分の信じるもの(本当の自分自身=「神」)を貫く姿勢が、それに値するのではないか。 | ||||
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「ハーネスは切れたのか切られたのか」で有名な本書。 登山家である主人公は、親友登山家の死にふさいでいるさなかに、社会の興味はハーネスの性能に集まります。 主人公としては「いやそんなことはどうでもよくて、親友である優秀な登山家が遭難したことを悼みたい」と感じつつ、社会のワイドショー的な興味にそそのかされながら、戸惑いつつも実験を受け入れる主人公。かたや、その主人公を取り巻く環境がなんとも言えないドラマ性にあふれます。勤務先のスポンサーの一つがハーネスメーカーであったり、そうでありながら暖かく主人公を信じてくれる上司がいたり、遭難した親友が心寄せていた女性が、実は主人公自身に思いを寄せていたり。 そのような登場人物がそろったところで行われるハーネス実験。結果は結果として出ますが、一方ですでに社会の興味は失われているという切なさ。ピュアに山に生きたい主人公と社会とのズレが、「主人公不在な小説」としてここに投影されているようです。5つ星ではない理由は、中盤でハーネス事件を引っ張りすぎてやや中だるみな点だけです。 | ||||
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井上靖の文章はとても整然と美しく読みやすい。物語も最後まで面白く読めましたが、いざ感想となると上手くまとまりません。ですので、以下、思い付いたままを箇条書きにします。参考にならないかもしれませんが悪しからず。ネタバレ注意。 ○ナイロンザイルの切れた理由が不明なまま終わってしまったことが、ちょっとモヤモヤします。逆に理由を特定しなかったから、結果的に深みのある物語になったような気もしますが。 実際の事故を題材に執筆した作品なので、断定的なことが書けなかったのでしょうね。 ○自殺か事故死か判然としない男。女に執着するのがちょっと怖い感じ。煮え切らない女の方が悪いのか。もっとも女はきっぱりお断りしているつもりのようですが。 ○女性2人のキャラクターはユニークで、女性って案外とこういう言動で男を迷わせそう。とは言っても、男性作家の書く女の心理描写には限界があるのか、やや平板な印象も受けました。 ○主人公の性格や苦悩はよく書かれてると思います。山好きな男の孤高な雰囲気が良いです。 ○他のレビューにもありますが、常盤支社長の存在感が素晴らしい。登場人物でひときわ鮮やかな印象が残りますね。 ○昭和30年代前半の東京の描写がとても良いです。新宿駅や銀座など、当時の雰囲気が香ってくるようです。お酒や食事の場面も濃厚(?)で、素敵です。また、酒田市の描写も地味ながら心に残ります。 登山の小説ですが東京や酒田が生き生きとしてます。 ○もちろん穂高の描写も凛と清々しくて良かったですよ。 自分的にはこの小説に感じた微妙な違和感(うまく説明できない)については、それは60年前という時代背景から来る部分もあるように思われます。 それが故に★5をつけるのにためらわれ、でも物語そのものは堪能できましたので、4以上5以下というつもりで★4とさせていただきました。 | ||||
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この小説が書かれた 時代背景は60年も前のことです。 私は登山も趣味とし、アイゼンをつけて 冬山も登ります(1300m低山レベル)。 携帯アイホンもなく、ネットでリアルタイムの 天気も見れない時代の、冬の北アルプス 氷壁を攻めるとは、当時としてはまさに自殺行為? しかし恋愛&社会問題&山岳小説として 今の時代でも十分楽しめました。 ただ中盤のザイルうんぬんの件が だらだらと続くはなしや 人妻の恋愛心理の描写にかんしては 少々しつこすぎる気がしました。 が、良作です。 | ||||
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これが60年も前に書かれた本だとは思えません。 時代背景は確かに昭和なのに、普通に現代にもいそうな人物設定で、魚住に至っては社会人としては失格なのに、何故かすごく魅力を感じてしまいます。 読み終わった後しばらく魚住が頭から離れなかったり(笑) あと今時こんな素晴らしい上司はいないですよ。 岩をやる人には事実と違う説明もあるらしく(恐らく前穂の説明辺りかと)邪道だと言われましたが、そんな細かい事はいいんです! 山屋でないと情景は浮かばず面白くないかもしれませんが、槍穂好きの私には徳澤園の聞けば魚住思い浮かぶくらい大好きな小説です。 ただ一つ。小坂乙彦がもこみちさんのイメージなのは私だけでしょうか。。 | ||||
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実際にあった事件がモチーフになっています。事件そのものに興味ある方は「氷壁・ナイロンザイル事件の真実」をオススメします。「氷壁」は場面の展開が巧みなので、山に関心ない方でも2時間ドラマみたいに楽しめると思います。都会と山の対比が美しく鮮やかです♪ただし描かれているのが昭和30年代で現在とは生活ぶりが違います。平成生まれの方はご両親か祖父母に話を聞いてみて下さい。登場人物は「常盤大作」が傑作です。自由に振る舞っているようで実はまわりを良く見ていて、心折れそうな部下を励ます一面もあります。「小坂かおる」もインパクトあります。純粋で一途な汚れのない雪みたいな女性です。こんな方は絶対いそうもないですが、万一今の時代に存在しても多分生きられないでしょう。彼女は一体どうしているかとても気になるので続編を読みたい! | ||||
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再読したくなり、買いました。 代表作を集めたもので、かなり良い編集と思いました。 一時期のイノウエを知るにはよい本です。 | ||||
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ナイロンザイル事件から辿り着いた本書(ドラマも知らず)。 中身もそんな流れだろうと思っていたが、読むと思いのほか引き込まれ、事件からは一日かからず読み上げた。 素晴らしい作品だと思う。 特に主人公がとてもいい。 しかし所々で緊張を強いられ気楽に読めない。 何しろ山行・事件・恋愛共にこちらが思うように進まない。 余りに狭い世界で絡み合う設定や、特に男女絡みの説明不足も不自然に思った。 だから魚津が彼女をそんなに想っていたとは思えなかった。 そこが物語上、重要な割には…。 駆け足で読んだので見落としている部分もあるのだろう。 繰り返し読む本になると思う。 | ||||
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先日初めて上高地に行き、30年前に読んだ氷壁を思い出し、再度読みました。 舞台は昭和30年、今から60年前の物語で、少々、時代錯誤は感じますが、日本語の美しさ、また穂高、上高地の自然描写とあいまって、心洗われます。 しかし、内容は波乱にとんでいて、長編ですが思わず一気に読んでしまいました。 | ||||
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1955年に穂高で起きた、当時出始めのナイロンザイルが切れて死者が出た事件。「ナイロンザイルに欠点があるのか、扱い方を間違えたのか」巻き起こった論争。それをもとに描いた登山・ヒューマンドラマ。 すっっごく面白かった。 自然をしっかり感じられる「山」の描写、愛憎劇が繰り広げられる「都会」の描写の2つが大きく繰り返しながら物語は進んでいきます。 「山」では、必要最小限ながらも自然の美しさや厳しさ、その描写力に北アルプスへの憧れがつのります。 「都会」では、主人公の魚津を中心に、ザイル事件で亡くなることになる小坂、彼が想いを寄せていた八代夫人、その主人の教之助、魚津に思いを寄せる小坂の妹かおる、魚津の上司常盤等が複雑に人間模様を交錯させていく。友情、愛情、嫉妬――時代に不変の感情は、事件後60年たっても全く輝きを失いません。 この2つが交互に、しかもときに人物視点を変えながらテンポよく繰り返されるので、600ページにわたる分厚い本ながら、全く飽きることなく、一気に読んでしまいました。 ちなみに僕が一番好きだったのは主人公の魚津ではなく、豪快で自己中心的ながらも部下を認め、包み込むような上司の常盤さんだったのですが、上司のやさしいフォローにも突っかかっていく魚津これが登山家との視点の違いでしょうか。 悲劇から始まる物語「にもかかわらず」な最後は、個人的にはキツくもあったのですが 最後の最後のシーンは素晴らしかったです。主要な3人が、それぞれの思惑を抱えながら、それぞれの方向へ解散していく。名シーンではないでしょうか。 | ||||
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滑落事故を中心に、主人公を取り巻く人々の人間関係や心理の描写が細かく描かれていて、読み飽きず楽しめました。 最後の落石のシーンが心に残ります。 | ||||
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若い頃一度読んでいたはずが30年以上もたつと記憶も薄れ、再び読んでみたくなりました。新たに買って読んでみると意外な発見が随所にありました。サスペンス物でもあるのですが、恋愛も少しあり、日本の男性の心としては品よく好感がもてました。最後の結末、なんとなく悲しかったです。これもお話しの世界だから致し方ないかもしれません。あまりにも日本的な作品で、こういうものを読むとほっとしました。素敵な作家だとつくづく想いました。 | ||||
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