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宵山万華鏡
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宵山万華鏡の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全60件 41~60 3/3ページ
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ちょっと不思議な世界にくるくると惑わされる。 見える景色がくるくる変わる。これはこうで、あそこはこうで。 この人があの人で、あそこにいたのがこの人で、あの人はここにいて。 一つ一つは短くてあっという間だけれども、それが次に重なりあう。 万華鏡のように景色が変わる。そういう連作短編集だ。 私の頭の中の京都の地図は通りの名前しか記載されていないので、町名で書かれると戸惑う。 でも、町名がぴんと来ないことで、景色がぼんやりと曖昧で感覚的なものになり、物語世界が幻想的になった。 達磨や招き猫や信楽焼きの狸が飾られた、天狗や竜が舞い遊ぶ、そこは偽京都。 偽京都の祇園祭に偽祇園祭があるのだ。要注意。 | ||||
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いままでより少し大人っぽくなったような。 森見氏でないと書けないあの祭りの夜店にいるような目くらまし、けれどそれがなくとも充分正統な幻想小説のように感じました。 | ||||
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ぐるぐるぐる。繋がる繋がる。 宵山巡りをして、自身もまるで迷い込んでしまった感覚に囚われます。 この本を読む私自身は万華鏡を通して宵山を眺めているのか, それとも少女達に誘われて迷子になってしまったのか。 全ては繋がってきっと出口へと導いてくれます。 だけど、途中で何かを見落としたらそのまま宵山に取り残されてしまう。 京都の夜の不思議な世界へ。 | ||||
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京都、宵山の祇園祭の世界に迷い込んだ人たちの話が収められています。 一つ一つの話は独立していますが、全ての話を読むと宵山の世界が見えてきます。 一度、宵山の世界に入り込むと二度と抜け出すことのできない、あやしの世界です。 宵山の世界は幻想的な魅力を放ち、人々、特に子供の心をつかみます。 それは、子供たちにとって手に入りにくい物でも、祇園祭で一番えらい“宵山様”の近くに行くと簡単に手に入ってしまうからでしょう。 幻想的だけれども二度と抜け出すことのできない“あやし”の世界に浸れます。 | ||||
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太陽の塔で森見作品にハマり、キラキラな表紙に惹かれて購入。 なんだかにぎやかで心惹かれる表紙ですよね! 一番初めの小学生の姉妹の話を読んだときは「怖い」「あの愉快なノリは?」と???な感想だったのですが、読むうちに納得。 いつもの京大生風と怪談風、どちらも一冊に収まったというか。 読み終わったあと不思議な感覚になりました。 多分二回目のほうが楽しめる作品です。 違う章で出てきた登場人物たちがさりげなく登場しててニヤっとします。 本当に万華鏡をのぞいている感覚! 宵山行きたくなりました! 乙川さんが一番好き♪ | ||||
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日本の夏祭り特有の、蒸して汗ばんだ空気、 浮かび上がる提灯の明かり、夜店の甘ったるい匂い・・ 日本人ならば誰もがおそらく持っている 夏祭りの、心躍るも切ない情景が詰まっています。 しかも、舞台は京都の宵山。 短い話に出てくる何人かの主人公は、それぞれ 近づいたり、遠ざかったり、関係があったり、なかったりしながら それぞれの宵山を過ごし、ちょっと成長したり、心の「つかえ」が取れたり、 一歩前へすすみます。 まるで、この宵山全体が誰かに見られ、操られているかのように。 ただ単に、読んでいるだけで楽しく、夏が恋しくなる本です。 夏が好き、京都が好き、不思議ストーリーが好き、 という方は楽しんで読めるのではと思います。 さやかさんのカバーイラストがまた美しく、ずっと眺めていたくなります。 | ||||
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綺麗な表装に魅かれて初めて森見さんの作品を手にしました。 昭和生まれの私の年齢のせいでしょうか?どこか懐かしい風景が眼に浮かぶ作品です。一夜の宵山の出来事をいろいろな人間がいろいろな角度から見ておりそれがひとつにつながるというものですが不思議なタッチの作品です。 祭りの賑わいから少し離れると静寂の暗闇があり、誰もがこどもの頃に経験した怖さを思い出しました。この作品が好きな人は他に「きつねのはなし」もおすすめです。 | ||||
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初出は小説すばる2007年3月号〜2008年10月号。リリースは2009年7月10日。6つの短編からなる作品だ。 森見氏の作品の特徴として、ひとつの事象を登場人物それぞれの視点から作品化するという手法がある。その視点が時間・空間という軸を90度異なったもので進行していく。本作の短編6編は正にその典型とも言える手法が用いられていて、最初の短編にちょっと登場した人物が、次の話の主役にすわり、その人の周辺で前の話が別の角度から進行する。小説のテクニックとしてかなり高度である。その高度さをほとんど意識させないところが氏の又凄いところだ。 相変わらずの森見ワールドで愉しめるのだが、それと同じくらいに感心したのはカバーの絵だった。実に完璧に森見ワールドを絵にしている。何となく伊藤若冲の現代風みたいな感じである。どうやら『さやか』という人が描いたいるらしいのだが何者だろう。それがますます作品の価値を高めている。ますます、の森見氏だ。 | ||||
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祇園祭の宵山を舞台に繰り広げられる、六つの短編小説がおさめられています。 今作は従来からの森見ファンの中でも評価が分かれる作品かもしれません。 というのも、森見氏が今まで見せてきたいくつかの作風の作品が混じってはいっているからです。 六つの短編を分類すると A.1、4、5→”きつねのはなし”で見せた怪奇小説風の作風 B.2、3、 →”新釈走れメロス”の表題作などで見せた阿呆なノリの作風 C.6 →”夜は短し”の古本市の話などで見せた、幻想と現実が継ぎ目なしに入り混じった作風 という感じがしました。 だから BやCの森見氏のいつもの作風を期待して読む人にとってはやや物足りないかもしれません。 一方Aの怪奇小説風が好きな人は気に入る可能性が高いと思います。 個人的には森見作品の幻想性が好きなのですが 三編目がやや空回りしている印象を受けたものの、全体としては大変楽しめました。 特に六編目の宵山万華鏡が好きです。 | ||||
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この作家お得意の怪異の似合う街、京都の、しかも祇園祭りの前夜際、宵山の黄昏から夕闇迫るある一夜を舞台にした連作。「宵山姉妹」「宵山金魚」「宵山劇場」「宵山回廊」「宵山迷宮」「宵山万華鏡」の六篇を収める。 それぞれの物語は、宵山の祭りの喧騒のなか、しかしひっそりと現実と妖しの世界が入り乱れる不思議な空間に陥ったひとびと、あるいは同じ刻、同じ場所で宵山の祭りを楽しむ人々の物語を描く。ふと気づくと、あちらの世界に足を踏み入れ、帰れなくなってしまうひと、帰れなくなりそうになる少女。その横では馬鹿馬鹿しくも祭りを楽しむ。不思議な魅力、そしてふと横にある恐怖がそっと孕まれた、静かな喧騒の世界。祭の夜は何かが起こる。 連作最初の「宵山姉妹」を小学校三年生、四年生の姉妹の妹の視点、最後の「宵山万華鏡」が姉の視点、それぞれの視点から書く物語を最初と最後に置くことで一冊の作品としてうまく纏め上げた。ふたつの短編それぞれの最後の場面の叙述は、「彼女は姉と一緒に夢中で走って」と「妹の手を引いて走り」と、最初の一文が違うだけで以降はまったく同じ文章であることも見事。そしてまた二話と三話で祭りを楽しむ物語、四話と五話は宵山に閉じ込められる物語を、それぞれがまた連なる。 宵山の不思議な世界(あちらの世界)から、現実の世界(こちらの世界)に無事戻ってきた二人の幼い姉妹が「帰ろ」と堅く手を握り合ったまま、家というまさに安心な空間に、何事もなかったかのように戻る姿で始まり、終わる物語はまさにファンタジーであろう。対して四話「宵山回廊」で明かされる、従妹の手を離したことで起こる怪異はうすら怖い。ゆめゆめ大事なひとの手は離すべからず。 本書表題が、あるいはその一篇に「万華鏡」が名づけられてはいるが、昨今流行の西洋のきらきら煌く万華鏡とはちょっと違う。どちらかというと日本のお祭りが今でも持つ、提灯で照らされたほの明る暗い(ってどっちなんだ?)煌きに近いものだろう。五話の「宵山迷宮」で乙川の探す水晶玉は、その万華鏡の一部。人ならざる者の持ち物で、宵山の夜は、この世界の外側にある万華鏡に覗かれた世界であると物語は語る。陳腐な物言いが我ながら情けないが、おそらくジブリアニメで描くことが似合いそうな風景。 黄昏時から夜の闇までの、まさに逢魔ヶ刻(おうまがとき)ならばこその風景であり、そして物語。万華鏡のようにきらめき、くるくる繰り返され、そして閉じ込められた物語たち。携帯電話さえ登場する現代という時代においてさえ、京都という街、その祭りの夜には、いまだ幻想的な世界が繰り広げられることに違和感を覚えない。 前作「おっぱい万歳」もとい、「恋文の技術」はオモチロイ物語であったが、本書は不可思議できらめく世界の物語。同じようで、同じでない作風の作品を書き、発表しつづける森見登美彦は、やはり巷でモリミーなぞと騒がれるほどにスゴイ作家なのかもしれない。 蛇足:本書カバーのカラーインクで描かれたイラスト(さやか)と、そして特殊処理された煌くコーティングは、まさに本書の軽ろみをも含む世界を表現している。ただ背景の、夜を表現する紺と、夕焼けの朱はもう少し深く濃く滲んだもののほうがふさわしいような気がする。ちょっと明るすぎるかな? 蛇足2:古道具屋の乙川なる人物の印象が、物語が進むに連れ、変わっていくことに、少しだけ違和感を覚えた。 | ||||
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またしても京都を舞台に森見ワールド展開です。 が…、 今回のは今までの作品にはあてはまらないような新たな世界観があったような気がします。 この作品は短編がいくつか集められていますが、まさに万華鏡から角度を変えて見える世界…という感じでそれぞれがリンクしていて面白かったです。 鍵になるのは…赤い浴衣の女の子たちですね。 この本の一番目の作品を読み終えた時になんだか背筋がゾッとしたのですが、全部通して最後まで読んでみると、温かいような、でも冷たいような、不思議な感覚になりました。 また、【演劇「偏屈王」】や【赤玉ポートワイン】なんて森見さんの作品をいろいろと読んでいる方ならどこかで目にしたことのある言葉が(笑) そんな時、森見さんの遊び心を感じます。 表紙もキラキラして可愛くて、作品のなかの登場人物(&ガラクタ??笑)が描かれていて、これも物語の世界に引き込ませてくれました。 それにしても、毎回森見さんの作品を読んだ後は京都に行ってみたくなりますね〜。 実はまだ一度も行ったことがないのです。 森見さんには是非、いつか京都ガイドとか出して欲しいです。 路地裏のおもしろい場所や店を知っていそうで。 | ||||
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まあ、誰かのバンドのアルバムにせよ、「?」って思う曲も必ずあるし、森見登美彦氏作品の中で「よくわからん…。」っていうのもあって不思議ではないと思う。 要は、自分が好きな作家として、「森見登美彦氏作品の魅力はどこか?」を探してということ。 私の場合、主人公が置かれている状況と私が似ていることと、そのようなモテないし華のない男なら、必ず一度はしたことのあるはずファンタジーな妄想の世界を、森見登美彦氏は見事なまでに当てていると言うことだ。「夜は短し歩けよ乙女」では、まさに私のような男性にはウケたのではないか? また、各作品の登場人物をオーバラップさせているのも素晴らしい。ひとつひとつの作品に完璧な終わりがない気がして、楽しい。「ああ、樋口さん、羽貫さん、元気そうだなぁ。」ってなる。こんな業を使う作家は、楽しいじゃないか。 レビューだけで作品の良し悪しは決まらないから、迷っているなら買ってみて。自分の好きな作家なら、ましてや。 他人が駄作だと言おうが、秀作だと言おうが、全てを含めて自分自身愛すべき「森見登美彦氏作品」なのだから。 | ||||
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「夜は短し・・」で見せた「妄想小説」 「きつねのはなし」で見せた怪談的要素 「四畳半神話大系」で見せた連作短編と言う形 もちろん、今回もタイトルからもわかりますが 「京都」の不思議さがたっぷりです。 それにしても、各章ごとに出てくる人物たちのかかわり方が 非常にうまいと思いました。 全編に出てくる「少女」の正体にはちょっとドキッとする感じもあります。 馬鹿馬鹿しさと、巧妙さと、幻想と、恐怖が 絶妙のバランスでミックスされた良品です。 短編ゆえ、深く感情移入できるキャラがなかったゆえに 星は4つにさせていただきます。 | ||||
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この人の本読むと、よくこう思うけど、「宮崎アニメで見てみたい!」 描かれている場面や人物が、きらきら色あざやかで奇妙で可愛らしいからだ。 読みやすいんだけど、あえて、ゆっくり読みたい。 細部まで、頭の中でじっくり映像に再現しながら。 お祭りの夜の出来事を、別の登場人物の視点から描いた6つの短編が、 つながりをもった連作になっているのも、とてもすてきだ。 子どもと大人、きれいなものと不気味なものが、ごたまぜになっている。 うきうきするけど、なぜだかさみしい。そんな、お祭りの雰囲気が伝わってくる。 全体像がじわじわ明らかになっていくのも、おもしろい。 「そういうことだったか!」と思ってから、読みかえすのがまた楽しい。 森見作品は全部読んでるけど、これ、かなり好き。 | ||||
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言い得て妙なタイトルです。 どのページを開いても、祇園祭宵山の夜の話だったり、 それにつながるふしぎなお話で、お話自体が万華鏡です。 連作短編集です。 第二話の「宵山金魚」と、 第三話の「宵山劇場」は、 完全なるA面とB面ていう印象。 それに第三話の主人公は森見さんの小説では、 よく主人公キャラを射止めそうな男子大学生なんで、 僕はほんまに大好きです。 祇園祭…ニュース映像で見るだけなんで、 実物は見たことございません。 一度は本物見たことある方がこれを読むと、 また僕とは違った感想を持ちはるんでしょうね。 全ての短編小説で、全てのキャラが少しずつ関わる。 このスタイル、大好きです。 | ||||
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森見登美彦ワールド炸裂の一冊です。森見氏の作品はそれぞれが独立した内容になっているのに、お互いがどことなく通じあっている不思議な世界が展開されています。京都という歴史ある街では、このような摩訶不思議なことが起きてもおかしくはないなと思わせる一冊です。装丁も美しく、森見ワールドをさらに強烈なものにしています。 | ||||
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表紙のきらびやかな感じから「森見さん?」となんとなく妙な感じにはなったんですが、中身はバッチリ森見さんでした。 この一冊は森見さんが持つ二つの作風、 ・不気味な感じ(きつねのはなしのような) ・妙な大学生とか狸がドタバタする感じ(太陽の塔みたいな) が両方詰まってますね。 私はきつねから入った森見さんファンなので別作品を読んだときはたいそう驚いたのですが、この本から入れば驚くことも減るでしょう(良い意味で) 内容は祇園祭を舞台に繰り広げられる話です。短編でありながら繋がりがあり、明らかになる謎もあり。終始祇園祭のきらびやかで楽しい感じがあり、また不安になる所もあり。 個人的に面白かったです。ワクドキしながらページをめくれるし、ちょっとの時間でも見たくなる。並ぶ文字に魅了され、頭の中では見たことのない祇園祭が展開され、色鮮やかに空想しながら楽しみました。 出てくるアイテム達も個人的に好きな物だったので余計に良かったのかも。 きつね〜が好きな私はこの不安になる不気味な話系がまた読めて良かったです。 全体的に読みやすい感じもするので、森見さんを読んだことない方にはお勧めしやすい気がします。 | ||||
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久しぶりに森見先生の"怪奇"小説を読んだような気がします。 「竹林」「恋文」と森見的男子(ヘタレだけど憎めない)が活躍するお話が続いたので、怪談のような、不思議な怖さのある作品は久しぶりに読んだような気がします。不思議な宵山の夜にどっぷりつかって大変満足しました。 一つ一つの話が微妙に接していて、話が進んで行くごとに宵山の闇へと引きずりこまれるような気がして、頭がくらくらしました。この不思議な感覚を是非味わってみてください。 | ||||
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森見の最新作は、祇園祭の宵山を舞台にした連作小説。 相変わらず、京都の学生のハチャメチャぶりは健在だけど、今回はちょっと違う。 どことなく切なさが漂う。祭りの後のような、不思議な読後感の小説だ。 『美女と竹林』、『恋文の技術』、そしてこれ。どんどん、作風が変化しているような気がする。 | ||||
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京都の祇園祭は宵山(よいやま)をめぐって展開、回転する話が六つ。仲のいい小学生姉妹の冒険を描いた最初の「宵山姉妹」の話にはじまり、それぞれに繋がり、絡まり合う「宵山金魚」「宵山劇場」「宵山回廊」「宵山迷宮」の話を通って、おしまいの「宵山万華鏡」の話に至る連作短編の妙。それはなんだか、話の中にも出てくる万華鏡をくるくると回しながら、覗き見している感じ。ああ、面白かったなあ。いつまでもいつまでも、この宵山の祭りの世界から抜け出したくない、そんな思いに駆られたくらい、それはめくるめく不思議なファンタジー・ワールドでした。 話の中にいつしかさ迷いこんでいて、その世界を旅している味わいに似ているところ、通じているものがあるかなあとふっと思い出したのが、恒川光太郎の「夜市」「秋の牢獄」といった短編。本書の万華鏡世界から抜け出した後、そちらの世界にも足を延ばしてみる、というのも面白いかもしれません。 きらきら光るものを散りばめた表紙カバー、装画のさやか(呼び捨て御免)の絵もいいっすね。お祭りの賑やかさ、楽しさ、わくわく感に包まれる素敵なイラスト。この表紙カバーを外すと、そこにはまた、一種異様で、暗くて怖い幻想味に満ちた絵が、目に飛び込んでまいります。本を広げてその絵に親しんだ後、くるりと本をひっくり返し、頁をめくって、宵山の祭りの世界に、行ってらっしゃい! | ||||
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