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(短編集)
修道女フィデルマの探求
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修道女フィデルマの探求の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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中世歴史ミステリー好きの方は、是非、一読して頂きたい。主人公の目上の方に対する、振る舞いや言動はハラハラ、ドキドキしますが読了後は、スッキリします。フィデルマの頭の回転の良さ、機転には、いつも感心してます。 | ||||
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やはり短編集は読みやすい | ||||
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修道女フィデルマシリーズは、これまで長編7作、短編集3作が刊行されており、 本作は、短編集の4作目に当たります。 これまで、翻訳版は作品の年代順ではなく、本の中で前回の働きへの称賛など あり、それはどんな事件だったのか、また、既知の登場人物との関わりなど 詳しくわからない事を残念に感じていました。 今回の短編集では、「化粧ポウチ」にて、いよいよ、タラの学問所においての、 あの「モラン師」と学生時代のフィデルマとのエピソードが紹介されます。 16歳くらいの、うっすらとそばかすが散った少女、フィデルマの登場です。 寮で過ごす初めての夜に、同室の上級生に「苛めようとされた」り、 故郷や友を思い、切なくてなかなか眠れない様子は、あのどこまでも強気な フィデルマを知っているだけに、意外で、愛おしく感じられます。 フィデルマファンの方には、是非知って頂きたいエピソードです。 まあ、すぐにいつものフィデルマというか、若いだけに分別がまだ十分 でなく、ほとんど生意気なくらいの、いつもの調子を取り戻しますが。 本作品には、短編が6作、掲載されています。 「化粧ポウチ」 先ほどの、タラの学問所、入学初日と翌日とのエピソード。 「痣」 学問所で4年間を過ごし、最初の学位取得試験の最終日、モラン師の 試験当日、なんとフィデルマは遅刻してしまい、心身とも取り乱した 状態で試験に臨むことになるが・・・。 「死者の囁き」 学問所を卒業し、ドーリィ(法廷弁護士)の資格を持つフィデルマ。 すでにその活躍から名声が知れ渡っている。 後見人のラズローン修道院長と一緒に、暖炉のそば、マルド・ワイン (美味しそう)を飲み、くつろいでいる時に、身元不明の農婦らしい 死体の調査を提案される。 「バンシー」 死を嘆く妖精、バンシーの伝承が根強く残る、鄙びた農村での殺人。 確かにバンシーの声を聞いたと証言するものが二人いて・・・。 フィデルマの、論理的推理が冴える。 「消えた鷲」 フィデルマのかけがえのない相棒、エイダルフ修道士がやっと登場。 ただ、一緒に活躍するのではなく、少々言葉を交わすのみ。この 二人のやり取りをいつも楽しみにしているので、そこがちょっと残念。 「昏い月 昇る夜」 アンルー(上位弁護士)として、裁判官を務めることになったフィデルマ。 事件の詳細を調べるために、アワン・ヴォール川を遡っていく事に。 フィデルマの頼もしいお供は、既出のロス船長。 調査の為に、危険と思われる砦にも果敢に踏み込んでいくフィデルマ。 友好的でない相手にはわざと傲慢な態度をとるのも、お約束通り。 本当に面白く楽しませてもらいました。 1日足らずで、あっという間に読んでしまったのが悔やまれます。 長編との前後関係や、年代も調べてみると興味がまた増します。 個人的には、長編が大好き、前回翻訳本から2年が経ち、次の 長編の刊行を心待ちにしています。 余談ですが、 ピーター・トレメインのアイルランド幻想 (光文社文庫)も読んで おくと、そのアイリッシュ・ホラーの雰囲気が、このフィデルマ シリーズの伴奏曲のような効果をもたらしてくれます。 | ||||
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フィデルマのかかわる事件は、政治色のあるもの、恋愛沙汰に関するもの、そして人間の物質欲のからんだもの、とに大ざっぱに分けられると思いますが、時代背景もあるのでしょうが、単純なものが多く、彼女の論理で解決するパターンがほとんどです。それを飽きさせないフィデルマの魅力は大したものです。 20代後半で高等弁護士の資格を持ち、ハイキングの妹ともなれば、水戸黄門と同じくらいの力があります。背の高い、美人で強気一辺倒の魅惑の緑色の目を持つ鉄のヒロインも結構です。でも読者としては、任務と恋愛の板挟みで悩む揺らぐ弱い心をさらけだすフィデルマにも会いたいという気がするのですが・・・修道女だって恋愛できることは、彼女自身が認めているのですから、もっといろいろ経験しないと、仕事のやり方にも影響するのでは?と勝手に心配したくなります。 | ||||
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主人公一人が、きっちり輝く、短編は、魅力全開である。 脇役が間抜けなのに、それを信頼したりする、長編は、聊か、違和感が漂うのだが、この短編集では脇役無しである。(この短編集は、本国でのシリーズ9冊目の一部との事で、相当熟れているのかもしれない) チェスタトンを思わせるような、キレの良い推理、日本の捕り物帳を見るような温情裁き、クールな立ち回り等、こうあれかしと思うその姿を楽しめる。作者の巧者振りも際立って見える。 ふと思うのだが、この主人公は、初老に設定した方が、更に魅力的だったのではなかろうか。これだけの、叡智、洞察、探究心は、若年より、老境にある方が、説得力がありそうな気もする。ミス・マープルみたいに。 いや、やっぱ、美人がいいかな。 | ||||
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ピーター・トレメイン著、甲斐萬里江訳『修道女フィデルマの探求 修道女フィデルマ短編集』(創元推理文庫、2012年)は中世のアイルランドを舞台に法曹資格を持つ修道女フィデルマが各地の教会で起きた事件を解決する短編小説集である。法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、鋭い推理で難事件を解決する。 一般に暗黒の中世は女性抑圧の時代とされる。その苦しみは『女教皇ヨハンナ』で詳しい。これに対して『修道女フィデルマの探求』は男尊女卑的な教義が固まる前の時代である。女性蔑視的な風潮は存在するものの、主人公は理性と知性で活躍する。カトリシズムの中に見られる男尊女卑的要素は後から加えられたものであって、本質的な要素ではないと実感させられる。 『修道女フィデルマの探求』での弁護士は現代とは法制度は異なり、どちらかと言えば検察官的な立場であり、探偵役である。しかし、その真実を追求する姿勢は現代人も学ぶべきである。現代日本ではモンスター弁護士やブラック士業が問題になっている(林田力「宇都宮健児日弁連新会長の課題はモンスター弁護士の排除」PJニュース2010年3月27日)。 モンスター弁護士やブラック士業は真実ではなく、金儲けを追求しているためである。以下の台詞は現代人にも耳が痛い。「学生たちは、法律に関する立派な知識を学んで、ここを巣立ってゆく。だが、しばしば、正義については、白紙のままじゃ」(225頁) 『修道女フィデルマの探求』で起きる事件は恋愛感情のもつれによる殺人など俗世間と同じような事件である。修道院も一般の社会と変わらない。特に苦行と称して若い修道士にむち打ちなどを行い、死に至らしめた事件は、大阪市立桜宮高校の体罰自殺事件に重なる。閉鎖的な世界であるために問題は深刻である。 推理物としては、いかにも不都合な事実を隠蔽しようとしている人物ではなく、ノーマークの人物が真犯人であったという意外性が楽しめる。これは一つ一つの短編を評価する上では申し分ないが、複数の短編を通して読むと逆に真犯人のキャラクターがワンパターン化して真犯人が予想しやすくなる。シリーズ物としては真犯人のバリエーションに期待したい。 | ||||
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快刀乱麻を断つ名推理で意外な真相を解き明かすお馴染み美貌の修道女フィデルマ短編集第3弾です。本書を読んで改めて感じたのは、犯罪事件に遭遇した古代の人々が最も無難な道筋に沿って犯人を断定しようとするのに対して、安易な結論で妥協せずに見せかけのシナリオの裏に隠された邪悪な奸計を見破る修道女フィデルマの頼もしく絶対の信頼がおける確かな実力です。古代に生きるフィデルマは指紋やDNA鑑定など無くても物的証拠と人間心理のみを手掛かりにして真相を導き出しますから、科学技術の発達した現代の警察にも引けを取らない優秀な名探偵だと断言出来るでしょう。本書収録の5編はどれも意外性十分のまるでミステリーのお手本を読む様な完成度の高い秀作揃いで誰もが深く満足されるだろうと太鼓判を押します。尚内容とは別の私見で外国が舞台だという事から考えて完全にあり得ない仮定ですが、もしシリーズが日本でドラマ化されるとしたら、フィデルマ役は理知的な雰囲気の女優、仲間由紀恵さんが良いのではないかとふと思いました。 『ゲルトルーディスの聖なる血』聖女の血が入った小瓶を運ぶ途中の修道女が殺害され小瓶も消え失せる。偶然に立ち寄ったフィデルマが男女の恋愛が絡む歪んだ犯罪の真相を暴きます。『汚れた光輪』聖者の如き若者が殺され傍らにいた老女がすぐに逮捕されたが、フィデルマが調べる内に被害者の真の顔が判明し始める。意外な犯人の趣向に加えて更に動機からもうひとつのサプライズを浮かび上がらせる構成が秀逸です。『不吉なる僧院』島の僧院の院長への書状を携えて訪れたフィデルマは木に縛り付けられた男の無惨な遺体に出くわす。確かな事実しか信用せずに全てを疑ってかかるフィデルマが微かな手掛かりから真犯人の欺瞞を突き止めます。『道に惑いて』修道院の磔刑像十字架と聖餐杯が姿を消しやがて神父の首吊り死体が発見される。日頃から悩んでいた神父の窃盗後の自殺と盗人による洗濯女の殺害説を鵜呑みにせずに醜悪な企みを見破るフィデルマ。『ウルフスタンへの頌歌』南サクソンの王子が学んでいた修道院内の密室状況下の自室で殺害される。妖術師の仕業と疑る人々に対し己の信念を貫き通して理詰めで難解な謎に答を出すフィデルマは誠に天晴れだと思いますし、若い小娘と見くびるサクソン人の無礼な男に対して真の実力を見せつけ心から認めさせる堂々たる裁きに強く感銘を受けました。 これでようやく第1短編集が完訳となりましたが、まだ続く2冊目の短編集が控えているとの事で、唯一「叡智」「洞察」「探求」に続く訳題の面では苦労されるだろうなと心配しますがそこは編集者にがんばって頂くとしまして、安心して読める著者の切れ味鋭い短編が紹介される日を今から楽しみに待ちたいと思います。 | ||||
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どこがどうと言うも愚かとにかく何もかも好感。フィデルマものはすべて読んできて理屈抜きにすばらしい。それもこれも甲斐萬里江さんのアイルランド系学識をふまえたうえでの名翻訳の賜物である。「サクソンの…」はすぐに読むのが惜しいので大事にとっておいてある。 | ||||
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短編集「修道女フィデルマの探求」は、著者ピーター・トレメインによる人気シリーズの第3弾目で、修道女フィデルマシリーズとしては8冊目である。7世紀のアイルランド・モアン王国を舞台に、修道女で王の妹(王女)、法廷弁護士・裁判官の資格も持つ美貌の女性・フィデルマが探偵役を務めるシリーズ。 修道院で次々に起こる難事件を、彼女の明晰かつ鋭い推理で挑む。聖女の血入りの瓶を携えて殺された修道女、孤島の僧院で無残な死体で発見された院長、修道院で学ぶ王子が不可能な状況下で殺害された事件など全5編が収録されている。このシリーズを読むと、古代アイルランドやサクソンの歴史、宗教、文化などの背景がわかるのも良い。そんな中でフィデルマは常に凛として信念と正義の人である。しかし、彼女には、出目と地位へのかなり強いこだわりと自負があり、それが時折顔を出すのがおもしろい。本作には、なんと、密室トリックまで登場します。 フィデルマシリーズは初期中世のキリスト教史、古代アイルランドに関心のある人には興味深く、楽しめる作品だと思います。 | ||||
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