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殺意



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殺意の評価: 3.60/5点 レビュー 10件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(2pt)

推理の余地がない、ダメ男の悪あがき。

※ネタバレ
 金目当てで、良家の娘~それも馬面でかなり薹の立った~と結婚して開業した医者が、妻に頭が上がらなくて、憂さ晴らしに村の女を、とっかえひっかえたぶらかして、挙げ句に妻を殺して、不倫相手と結婚しようと考え、妻を麻薬中毒にして殺す。……ところが、不倫相手が別の男と結婚したので、怒ってその不倫相手も殺そうとする。……自分が妻を殺したことを嗅ぎつけた男も、一緒に殺そうとする。
 ……どこまでの自己中?……どこまでの傲慢さ?
 妻殺しの容疑で裁判にかけられるが、なんとか無罪になり(なんでこれで無罪?)、最後に別の殺人で有罪判決が下る。……でもその犯行では3人が毒を盛られていて、1人については、後で犯人がダメ押しの毒入りの錠剤を飲ませようとしたのに、その錠剤がほんとに使われたかどうかも不明。有罪判決の決め手になった犯罪がどうやって立証されたかも、書かれていない。……推理小説として、こういうことはありえないんじゃないかと思う。……なんのための推理小説かという気がする。
 主人公はじめ登場人物が、みんな、セックスか自分の見栄や欲を満たすことしか考えてなくて、読んでてうんざりしてくる。
 “三大倒叙ミステリー"の一つと言われているらしいけど、それほどのものではない。
 “三大倒叙"の中では、『クロイドン発12時30分』が、まあまあ合格点。
 だいたい、最初から犯人が分かっていて面白いのは、犯人が追い詰められて、焦ったりするところだから、倒叙法が成功するのは、テレビドラマぐらいじゃないかと思う。
殺意 (1953年) (異色探偵小説選集〈第3〉)Amazon書評・レビュー:殺意 (1953年) (異色探偵小説選集〈第3〉)より
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No.9:
(1pt)

拍子抜け

倒叙と言えば刑事コロンボ。しかし小説の倒叙はどんなもんか、読んでみた。だが殺人計画はあるが殺人はなかなか実行されない。また『伯母殺人事件』みたいなやつかと思ったら、一応殺人はなされるが、この犯人、二人も愛人がいてセックスばかりしている。なんで?田舎だからセックスも自由奔放なの? 意味不明。後半になってやっと逮捕されて、そこからは法廷ものみたいになるんだが、何か焦点がやたらボケていて、肝心なところが省略されている。で、無罪となるが、即逮捕とか。なんで? これ意味不明なんだけど。これのどこが意外な結末? わたしゃ作者に殺意を覚えるよホント。
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
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No.8:
(4pt)

やっぱり心理描写が秀逸

イギリスの田舎町の開業医 ビクリー博士は、妻ジュリアを疎んじていた。ビクリーの自宅でパーティーが開かれた日。訪れたギニフリッドに一目惚れしたビクリーは、ジュリアへ嫌悪を募らせついに殺意を抱くようになる。ギニフリッドを我がものにせんと、ビクリーは綿密な計画をたて、ジュリアを殺害を実行にうつすのだが ・・・

本作品は、ビクリーが犯罪を企てるところから始まりその顛末が描かれている。犯人やその動機が冒頭から提示されているゆえに、犯罪が暴露されるまで経過と犯人の心理描写が本作品の見所である。

風体がパっとせず妻に頭の上がらないビクリー。それでもその町の名士として、数々の女性との浮名を流している。ビクリーは、愛人がいながらもギニフリッドにアプローチをし、あげく翻弄されてしまう。

ビクリー、ギニフリッド、ジュリアらの歪んだ心の内が丹念の描かれている。

恋する女性のために妻を殺害したが、その女性は恋愛ゲームを楽しむ天性の毒婦。警察による捜査に恐慌をきたしながらも、ビクリーは逆境をはねのけからくも逃げ道を探し出していく。この時の、ビクリーの浮き沈みの描き方が秀逸で、クライマックスを盛り上がてくれる。

そして、ラストは ・・・ そうきたか!

田舎町という独特の閉鎖的な空間で繰り広げられる犯罪行為。ゴシップのネタに嬉々とする人々。誰もが誰もを監視しているような息苦しさ。ビクリーを含め登場人物誰もが、居心地の悪くなるようないやらしさを秘めている。ここもひとつの見所だろうか。
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
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No.7:
(3pt)

少し褒めすぎ

他のレビューを読んで。

「倒叙推理小説の傑作」とか「心理的推理小説の古典的傑作」は、納得できる。
しかし、ラストの展開はヘンテコではないかな?
確かに意外性はあるのだけれど、それまでの緻密な構成に比べて安易に過ぎる。

そこまでの高評価には値しないと思うのだが。。。
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
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No.6:
(5pt)

人を喰った、しかしショッキングで理不尽などんでん返し

全篇に亘り主人公の徹底したエゴイズムが吐露され異様なスリルに満ちた傑作。「倒叙ミステリ」の枠で括るには勿体無いほど完成度の高いモダンな小説だ。
情けない最低の主人公に何時の間にか感情移入させられるせいで、不条理で呆気無いラストが凄まじい衝撃となる。本作と似た破壊力を持つ小説はJ・トンプスンの『深夜のベルボーイ』、映画ならコーエン兄弟の『バーバー』だろう。
※表紙にコンビーフサンドの写真(とても不気味)を使った角川文庫版が入手困難なのは残念!
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
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No.5:
(4pt)

犯罪者の心理を巧みに描く、いうまでもなく傑作

1985年以来の再読。
フリーマン・ウィルス・クロフツの
クロイドン発12時30分 (ハヤカワ・ミステリ文庫)、
リチャード・ハルの伯母殺人事件 (創元推理文庫 125-1)とともに、
三大倒叙推理小説の一つに数えられる本作品は、
再読に耐えうる傑作です。
今回、読み返してみて印象を強く持ったことを記します。

【事件はなかなか起きないが・・・】
妻ジュリアに殺意を抱く、ビクリー博士。
事件を犯人の側から描く倒叙推理として作者が力を入れているのは、
ビクリー博士の心理描写です。
劣等感から生じたいびつな心理状態が
妻への殺意につながっていく過程はじっくり描かれ、
殺人が起こるのは、物語の中盤になってから。
でも、それまでの描写は冗長ではなく、
犯罪へ至る過程を魅力的な筆さばきで味わわせてくれます。

【倒叙推理というより、犯罪心理小説】
この言葉は、巻末の解説にあったもの。
倒叙推理というと、私などは、
テレビドラマの「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」のイメージが強く、
完璧な犯人の殺人計画が探偵役によって次第に欠陥を突き詰められ、
ついには逃げられなくなるという展開に
焦点が絞られたものを思い浮かべてしまいますが、
この作品の中心は犯罪者の心理描写。
そうした意味では、初めて読む方は、違和感を感じるかもしれません。

【ラストは、この作品ならでは】
最後の2ページになって、意外な結末が示されますが、
最近の作品の帯広告にあるような
「ドンデン返し」や「驚愕の結末」とは、少し違います。
しかし、この作品の展開ならではの、
とても皮肉に満ちたオチは、非常に印象深く、
この作品の評価を高めることにつながっていると思いました。
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
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No.4:
(4pt)

エスプリと皮肉が効いた倒述ミステリ

英国ミステリ界の大御所バークリーがアイルズ名義で書いた作品で、世界三大倒述ミステリの一つと言われている。主人公はビグリーと言う医者で、ターゲットは妻のジュリア。ビグリーは劣等感の裏返しで、傲慢で色狂いの性格に設定されている。冒頭でいきなり、ビグリーの「殺意」が表明されるが、物語は三人称で語られており、前半は通常のミステリの進行と大差ない。勿論、ビグリーの心理の変遷が中心に描かれるのだが、並行して、小さな村の人々の人間模様や飛び交うゴシップ、作者の女性観・道徳観が悠揚迫らぬ筆致で描かれる。

中盤でようやくビグリーの計画が実行に移される。致命的な失言をしたのにも係らず、事件は表沙汰にならない。ここからが作者の腕の見せ所で、まず、自分の計画の成功に舞い上がったビグリーの醜悪な自我が肥大する様がユーモアと皮肉交じりに綴られる。更に、別の二人の殺害未遂をすると言う増長ぶり。しかし皮肉な事に、この第二の事件をキッカケに、ビグリーは妻殺害の容疑で逮捕される。ここから始まる法廷シーンが、作者が一番力を入れた所だろう。証拠や証言は、検察側・弁護側双方にとって平等に採り上げられる。その結果に一喜一憂するビグリーの姿が見ものである。そして、証拠や証言が決定的な因子にならないよう、作者が注意深く書き進めていた事が分かり、感心する。そして、待っている結末は...。

事件自体は派手ではないのだが、倒述形式にする事によって犯人の心理を余す事なく披瀝して、楽しめる物語になっている。流石、世界三大倒述ミステリ一つと呼ばれるだけはある。
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
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No.3:
(5pt)

故に殺意

英国黄金時代の雄アントニイ・バークリーがフランシス・アイルズ名義で発表した本作の『殺
意』は、クロフツの『クロイドン発12時30分』、リチャード・ハルの『伯母殺人事件』と合わ
せて倒叙三大名作に数えられる傑作だ。
倒叙推理小説とゆうのは、探偵側から描くのはではなく、犯人の側から描かれる形式であって
それ故に犯行に至るまでのプロセスや、犯人そのものの主観的且つ客観的な人物像を浮き上が
らせて、その一挙手一投足が凡て重要なファクターとなって読者にスリルを与えてくれます。

この『殺意』では、その手法が極限の絶対的とまで高められていて、舞台の登場人物を取巻く
社会と個々の優劣滲み出るドラマチックな描写と、まさにアントニイ・バークリー(フランシ
ス・アイルズ)の矛盾的な作風を地で具現したような主人公(犯人)のビクリー博士を徹底的
に解剖し文学的と謂えるほど豊富な語彙で表現し尽した力量により、まるで自分の眼前で事が
繰り広げられているようであり、自分自身からビクリー博士の臭いがしてくるようだ...
克明な犯行描写もさることながら、終盤の法廷での動静は今にも壊れてしまいそうなぐらいの
ビクリー博士の心理的緊張を体現しており、息も吐かせない。。。

そして入り込みすぎた故に、頭が真っ白になるラストの展開に、神経にくるエピローグの衝撃
がもたらすカタルシスは、、、

これは・・・読まなきゃ損!!!
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
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No.2:
(4pt)

単なる犯罪パズルからの脱却を唱えるアイルズの主張が、色濃く反映されている作品

フランシス・アイルズは、アントニイ・バークリーの別名であり、彼は、作品によって、この二つの名前を使い分けていたのだそうだ。私は、バークリー名義の「試行錯誤」を読んだ直後に、この「殺意」を読んでみたのだが、「試行錯誤」では、堂々巡りで、一向に先へ進まない冗長で退屈な展開にしびれを切らし、思わず途中を読み飛ばしてしまったのだが、本書は、とてもそれと同じ作家によるものとは思えない、淀みないプロット、流麗な筆致で、物語が進んでいくのだ。名前を変えるということは、作風も筆致も変えるということなのだろうが、これほど極端な違いを見せ付けられると、本当に驚かされる。本格派ミステリには、作家に小説家としての描写力が欠け、ユニークなトリック以外には見るべきものがなく、読んでいて、味気なさを感じる作品が少なくないのだが、本書巻末の解説によると、バークリーは、この点について、探偵小説を、「人間性格の面白さ、文体、ユーモアなどの要素を無視した古い型の純粋かつ単純な犯罪パズルから、心理学的な手法に重点を置いた文学作品にまで発展させるべき」と考えていたようであり、彼のこうした主張は、特にフランシス・アイルズ名義で書かれた本書のような「犯罪心理小説」に色濃く反映されている。本書は、主人公の妻殺しの完全犯罪を倒叙推理小説風に描いた「犯罪心理小説」なのだが、自分を捨てようとしている男に対するいじらしくもあわれな女心や、中年男の若い娘に対するプラトニックな純愛心理、自己中心的な女の身勝手な愛といった、男と女の機微に触れた心理描写の巧みさが際立っており、確かに、単なる謎解き小説にはない面白さがあり、彼の主張が伊達ではなかったことがよくわかる作品である。ただ、物語の展開上、そうするしかなかったのだろうが、後半、主人公に明らかな愚行を行わせるなど、プロットが粗くなってしまっている感があるのが惜しまれる。
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
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No.1:
(4pt)

倒叙を語るにはずせない一冊

倒叙推理小説(刑事コロンボシリーズに代表される、犯人や犯行方法
が最初から読者に知らされるスタイルの作品)を語る上でははずせない
古典的名作。

 本作では殺害方法が「時間をかけてじっくり」、というタイプで、激情型
犯罪ではないため活劇的なスリルには乏しいが、その分心理的駆け引
きが面白い。犯人が被害者(妻)に対して途中で一瞬見せる同情がリア
ル(ただし決して後悔はしないところが怖い)。

 法廷での攻防の末に、逃げ切った!と思わせた後の最後のページで
語られる結末は、驚きとともに「なるほど」と思わせる見事なもの。その
衝撃の一文はあまりにも短く、途中で最後のページが偶然開いてしまっ
ただけでも楽しみを失う可能性があり、要注意。
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))Amazon書評・レビュー:殺意 (創元推理文庫 (124‐1))より
4488124011

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