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悪貨



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【この小説が収録されている参考書籍】
悪貨 (100周年書き下ろし)

悪貨の評価: 3.41/5点 レビュー 22件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(2pt)

ドラマがアレだったので

制作クレジットを見てたら「原作 島田雅彦」ってあるんで、「え?」と思ったわけです。
で、餅は餅屋で、こういうガジェットの小説はやはり、楡周平さんとか真山仁さん、池井戸潤さん、おおまけにオマケして、せめて辻村深月さんあたりにお任せされた方がよろしいんじゃないかと。っていうか、私、島田雅彦氏の作品はデビュー作以来ついぞ触れたことなかったのですが、いつのまに純文学作家からサスペンス作家に転身されていたのでしょう。やはり、純文学ではメシは食えない?その恨みつらみから書かれた小説でしょうか。だとしても、あるいはであればこそ、やはり、島田雅彦氏には日本の伝統芸でも有る、昭和の左の薫りのする私小説、純文学を書き続けていって欲しいと思うものです。
悪貨 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:悪貨 (100周年書き下ろし)より
4062162482
No.4:
(1pt)

経済小説としては落第(浅薄な経済知識で書かれた浅薄な話)

題名と本の裏に書かれたおどろおどろしい宣伝文言につられてこの本を買った。
最初はそれなりに面白いと感じた。突然ホームレスが百万円をつかんだ後の行動など、
よく出来た話だと思った。チンピラがこれを強奪し夜の街で豪遊するのも面白い。
孝行娘がせっかく親のために貯めた金が実は偽札だとわかったときの狼狽とショックには
大いに共感を持てた。
しかし、話が段々と広がり過ぎていく過程では、とてもついていけないと思った。
金融経済学の用語が多く使われ、それなりの説明がなされているが、作者は、おそらく
それの半分も理解していないだろうなということがすぐに読み取れた。マネタリーベースが120兆円
で、そこに400億円の偽札が加わって経済が大混乱を起こし、ハイパーインフレになる、という話は
経済学をかじったものなら、首をかしげざるを得ない。マネタリーベース120兆円は白川総裁の時の
話だと思うが、その後、黒田総裁になって、このマネタリーベースは倍の240兆円くらいになっている。
で、今のところ日本経済はハイパーインフレなど起こっておらず、むしろ、相変わらずデフレ傾向から
脱却できないでいる。120兆円ばら撒いてもハイパーインフレが起こらないのに、400億円程度でハイパーインフレは起こるのか。
また、米国債が紙くずになると、それを大量に保有する日本の経済が破綻し、超円安になるという記述も、
ええ、と首をかしげてしまう。米国債は100%米ドル建てで発行されている債券だ。
それが破綻して紙くずになるという状況とはいかなることを指すのだろうか。破綻のメカニズムを聞きたいところだ。また、普通米国債が暴落するとドル安になる。ドル安ということは円高だ。ところが米国債の破綻=円安とこの本では謳っている。
兎にも角にも、この本の経済破綻ネタは、最近、巷にあふれ出ている日本経済破綻論、米国経済終わり論、
資本主義終焉論といった、出所の怪しい、おどろおどろしい意味不明の経済破綻本からのつまみ食いであろうことは容易に推察できる。
それらしい経済用語を使い、それらしい話に作り上げているが、経済をかじった人間からいたら内容はトンでもだ。まともに論じる気になれる本ではない。
経済学は一つの体系だ。数学や物理のようにきっちりと理論的に積み上げられた学問だ。それをちゃんと勉強しいていないと、本書のような、悲惨な結果になってしまう。
こういう大ネタを書こうと思ったら、まず、最低、基本的なマクロ経済学、国際金融論、といった勉強が大事だと思う。でないと、まともな人は、この本を読む気はしないはずだ。
手島隆一氏のウルトラダラー、幸田真音の日本国債、といった骨太の経済小説を読んできた拙者からしたら
とてもまともに読める小説ではない。また、小松左京、眉村卓も、こういった経済SF小説を書いておられて、決して背伸びをしないで身の丈に合ったストーリーを展開されていたように思う。
ドラマにもなっているようだが、まだ見てないが、内容は推して知るべしだろう。
悪貨 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:悪貨 (100周年書き下ろし)より
4062162482
No.3:
(2pt)

ふらてるびて

悪化は良貨を駆逐する。貨幣は糞便であり第三項なのであり。最後結局ほぼおなじなのだ。最近の島田先生は全くめんもくないですな。太陽の党の某さんを拉致するような描写があった気がした。ただ一回よめばそれでよい。左か右かも今の著者には関係なくなりつつあるのだろう。
悪貨 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:悪貨 (100周年書き下ろし)より
4062162482
No.2:
(2pt)

これもまた「悪貨」?

島田さんの小説はデビュー時の数冊を読んだきりだったので、かれこれ四半世紀ぶり? 手にした本は初版後3ヶ月の5刷なので、読者からは愛され続けているのかな?
脇筋はいろいろあるけれど、主筋は2つ。貨幣社会を無化して乗り越えようという、元大学教授の経済学者が展開する、生協と宗教を合わせたような、自らの貨幣をも作り出す、反-日本の運動。そして、彼に救われ彼を信奉する青年が、中国の裏社会に入って偽札作りで彼を支援するという話。
気になるのは、結局、島田さんは世の中よりも頭がよくて、しかも職業作家として生計も維持できている、というポジションから、半ば知的遊戯として書いているということ。だから、作者は頭がいい、それを喜ぶ読者も頭がいい、編集者も「これで儲かりそうでOK」という空間で、結局みんな、自分が「頭がいい」で、世界を鼻で笑うレベルで、読み書きされているだけの作品なのかと思う。だって、気持ちを込めて書かれた文章は1行もないでしょ。
ま、こんなのが「ブンガク」だと褒められるのだとしたら、それこそ資本主義のゲームですよね。
悪貨 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:悪貨 (100周年書き下ろし)より
4062162482
No.1:
(2pt)

時代遅れのサヨクが貨幣経済を断じてみたものの…

(ややネタばれ気味なのでこれから本作品を読まれる方はご注意を…)
作者は、この作品の中で作中人物に『時代遅れのサヨクが…』と語らせていますが、まさしく『時代遅れのサヨクが…』貨幣経済(あるいは作者が言うところの資本制経済)から友愛経済への転換を夢見るファンタジー小説とでも評すべきか…。
確かに極めて精巧な偽札が日本国内に大量に出回り、未曾有のハイパーインフレに襲われた日本を起点に貨幣経済をベースとする世界経済が瓦解していく…大ボラではあるが有り得そーなストーリではある。しかしながら、以下の2つの点において、この作品の質・内容は極めてチープなものとなっていると考える。
1.ひとつは、資本制経済(あるいは国家をベースとした貨幣経済)の代替として、アガペーなる地域貨幣をベースとした友愛経済をいわば理想として描いていること。「彼岸コミューン」なる組織あるいは社会が、作者が否定するところの貨幣経済を表象する主人公野々宮が中国で刷った偽金(=ほとんど真札と見分けがつかないという意味において、これは“お金”そのものである)無しには成立・拡大しなかったという大いなる皮肉を作者はどー考えているのだろうか?(また、あまりポリティカルな話をここでするのは気が進まないのですが、“友愛”をテーマに掲げて浮世離れした公約を打ち出し、政権をとった某与党の政権運営の拙さが、日本の大いなる停滞を招いているという現実を…)
'2.ふたつめは、大ボラをもっともらしく見せるには(あるいは読ませるには)逆にディテールにリアリティがあってこそと考えるが、たとえば、『中国の銀行が顧客に“毎月50%”の利益を保証している』とか『ニセ札を持ち込まれた銀行の支店長が、いきなり副頭取に対応方法を聞く』といった表現があるとあまりのリアリティの無さに白けてしまう。(偽造パスポートで入国した野々宮をやすやすと取り逃がしてしまう馬鹿な刑事とかハイパーインフレが日本をパニックに陥れる過程とか、リアリティの欠けるシーンは幾つもあるような…)
この作品を一種の恋愛小説と見る向きもあるようですが、それにしては野々宮もエリカも魅力無さすぎ…。エリカが何故そんなに野々宮を愛して?しまったのかもわからない。感情移入できない。しかも、結局エリカは野々宮の為に何もできないし…(空港で捕まらないのは刑事が馬鹿なだけです)
いずれにしても、『時代遅れのサヨクが…』がリーマンショックと民主党政権の誕生に触発されて、勉強不足なままお手軽な経済小説もどきを書いてみましたってことでしょうか?

あまりに糞味噌だと怒られそーなので…
さすがに『小説作法ABC』なる小説の書き方を書いた本を出しているだけあって、文章はうまく(って私ごときに言われたくないでしょうが)すいすいと読めます。
また、友愛経済を夢見ると書きましたが、実は夢だとわかっているのでしょう。主人公をあっけなく東京湾に沈めてしまうのだから…。
悪貨 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:悪貨 (100周年書き下ろし)より
4062162482

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