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パレード
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パレードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全123件 101~120 6/7ページ
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こわい本だという事を全く知らずに、若者の共同生活の物語だと思い込んで読み進めていたのですが、サトルが出てきたあたりからハラハラし始め、第5章ではゾっとして、本当に怖かったです。 希薄な人間関係の中で、100%ありえない話ではないな、と思うと本当にゾッとします。 最近読んだ中で、一番ビックリした本でした。個人的にはすごく好きです。 | ||||
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作者と同じ長崎の出身です。 地方出身者にとって東京とはあまりにも大きくザワついた街で、あたりのノイズを振り払うかのように何らかのコミュニティ(仲間)にすがりつき、そうやっていつのまにかノイズは遠のいていき、自分がその一部に吸収されてしまったことすら分からなくなってしまいます。(あるいは気付きたくないだけなのかもしれません。)この作品の初めに語られる“良介”の章で、彼の両親への思い、都会への思い、故郷に残してきた友人への思い、そして新しい仲間への思いに、なんだかすべてを見透かされているような気持ちにさせられました。特に両親への感謝の念。作者は「最後の息子」でも同じような描き方をしています。そのエピソードのひとつひとつがまるで自分のことのように胸に突き刺さりました。そして、そういう人間にとっていちばんの憧れである“直樹”という存在。彼の言葉で語られる最終章にもグッとくるところが多かった。自分とは正反対の人間の実直な告白なんですから。きっと東京という街は、そういうエピソードの集積地点なのでしょう。ここへ寄り集まってきたすべての人間の中に、それぞれのアナザー・ストーリーが存在するのだと思います。作者はその一例を提示してくれた。そう考えた時に「パレード」というタイトルがよりリアリティを帯びてくると思うのです。 | ||||
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保坂和志の『草の上の朝食』若者たちは、野良犬たちの集まりという感じ。 ちょっと凶暴で乱暴で寂しがり屋で生きるのがへたくそで 集団でなくてはうまく生きるられない野犬たち。 直樹くんがリーダ犬といったところだろうか。みな素顔を隠したまま 上手にお互いとの距離をとって生活している。『草の上の朝食』の奇妙な共同生活もいいなあ~~と思ったけれど、このカタチの 人間関係もまた、とてもいい。ぜひ、二冊比べて読んでみてください。 そして、考えてみて。あなたは、猫派?それとも犬派? | ||||
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男2人女2人の奇妙な同居生活。 お互いのことには干渉しない。 もちろん恋愛感情もない。 それぞれの事情を抱えながら過ぎてゆく時間を共有してゆく。 そんな中へ、また同居者が一人増えた。 サトル。 彼の職場は新宿二丁目の公園。 それぞれが、それぞれの方向を向いて暮らしている2LDK。 それぞれが、それぞれのすみやすい距離感を保つ2LDK。そこは暗黙のルールのある彼らの聖域。 そのルールが語られたとき、沈黙は恐怖へと変わる。怖いよ~。これ。 普段通りってやつが、これほど恐怖を際立たせるエッセンスになりうるとは!! まるでアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった。」を読んだときの「やられった!!」って言う感覚。物語は、同居している5人が順番に主人公となり、それぞれの事情を時間軸にそって展開していく形式をとっており、読み始めは「青春トンデモ物語」ってな感じなんですが、次第に各人が絡まり始め最後には加速度を増して暗闇の世界へ突入してゆきます。 考えてみれば、こんな風に話のほとんどをフリに使うなんて、小説にしか出来ないよな~。テレビや映画だったら、刺激的な展開がないと間違いなく最後まで見てくれないし。 詳しい内容をここで説明すると、本を読んだときのトリックの妙が半減しますので多くを語れませんが、読んだ後(ここが重要!!)、背中に冷たいものが走り、いろんなことを確かめるためもう一度読みたくなるような本です | ||||
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吉田氏の初期作品。山本周五郎受賞作品。主人公は5人。学生、フリーター、イラストレーター、無職…様々な人間が暮らす一室でのそれぞれの思いは…人が多く集まれば、それだけ色んな意見、生き方がある。それと同じで一人の人に対する思い、見方は色々あるわけで、もしかして自分は他人に期待されるような生き方をしているのではないかと…最後がまさに秀逸…東京湾景だけではない、吉田氏の魅力を物語る作品です。 | ||||
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本書を評価する際に恐怖がキーワードとする人が多いのも納得。 良く有りそうなシチュエーションではあるが、これほどリアルな描写で書かれてしまうとそれこそ恐怖すら感じてしまう。 読み終えた後、すぐに2周目に入りたくなるほどの傑作に久しぶりに会うことが出来た。 2周目は一つ一つの描写に繋がりを感じ、また一味違った読み方が出来る。「これ以上、深い部分まで突っ込まれると読むのが辛い。」という寸前で話題が変わってくれるのもいい。 | ||||
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怖い怖いと他サイトでも語られていた1冊でしたが、それだけではない気がして、自分がどう感じるか確かめたくて読みました。最終章「直輝」の章で私は涙が出ました。人との関係性に入りたいけれど、本気で付き合いたいと願っていたけれど、自分が思っていたところとは全く別のところに「本当」はあった、彼が哀れでなりませんでした。前の4章のそれぞれの人物の描写も素晴らしく、入り込むのも簡単でした。当たり前のように、当然のようにそこに「いる」他の4人は、最終章の直輝のために描かれたものだったと思います。 けれどそれは、生活の臭いも嫌というほどあるのに、やはり残像で、抜け殻で。彼の思う彼らは別のところに生きていた。人間同士の関係性を作れない哀れな彼らは、私の中にもあるように思います。だからこそ、哀れで切なくて涙が出ました。けれど、「怖い」けれど「悲しい」けれど、どこまでも救われないハナシにも感じたけれど、私には読後感がよかったのです。 明日読めばまた違う感想を持ち、明後日読めばまた違う感想を持つ、そんな小説だと思います。お奨めとは、言いません。 これを読んで、自分がどう感じるのか試してみたくはないですか? と、問います。 | ||||
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最近、本屋さんで文庫版が平積みされているのをよく見ます。山本周五郎賞受賞だってことで、軽い気持ちで手に取ったこの本。(文庫の)解説にも書いてあったのですが、読んでみると……コワイっす(>_<)読み終えて、「ハリネズミのジレンマ」っていう言葉を思い出しました(有名なたとえ話ですけど、知らない人はネットで調べてみてください)。このお話は、あるマンションの同居人たちの話なんですけど、たぶん私の人間関係もこれに近いものがあったりなかったりで。。。みんな思い当たるところ、あるんじゃないでしょうか。この状態が良い悪いかは別にして、まるで自分の生活の一部分を切り取って見せられているようで、ハッとさせられます。読み終えた感想としては、不安っていうか、共感っていうか。 一言で言うと、なんだか「どきどき」します。 | ||||
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パレード。 行列。行進。見せびらかし。そして、虚勢。登場人物の一人ずつが1章を一人称で綴る。マンションの1室をシェアして暮らす5人の若者たち。それぞれ悩みを抱え、それでも明るくふざけた顔して毎日を楽しく暮らしている。だけど、ちょっと視点を変えてみれば・・・?何気ない会話や行動の中に、ふと入り交じる違和感がたまらなく怖い。ひとりずつの世界に入り込めない彼らが、本当に理解していると思っている互いの存在ってなんなんだろう?読んだ後、少しショックを受けました。彼らがどのへんからずれているのかもう一度読みます。おかしいことを「おかしい」って正々堂々言える大人にならなきゃいけませんね。 | ||||
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社会人一年目、僕は会社の寮に入った。3LDKのマンションの一室に同期の人間と一緒に住むのだ。隣の部屋も反対の隣の部屋も、同期や先輩の社員が住んでいた。3ヶ月でイヤになって一人暮らしを始めた。一人暮らしを始めてもう5年。「誰かと一緒に住むのもいいかも」と、この本を読んで思った。この「パレード」では同じマンションの一室に住む5人の男女をそれぞれの視点から展開していく。同じ部屋で一緒に生活していくためにはそれぞれ「この部屋用の自分」を演じる必要がある。読み進めて行くうちに「共同生活ってそんなにも楽しいモノなのだろうか」という思いと、「そんなにも悲しいモノなのだろうか」という思いが浮かんでくる。そして最後は怖い。 近いウチにまた読み直したい。時間があれば今すぐにでも読み直したい。 | ||||
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最初は楽しげに読み出したものの、最終章を読み終えると「ぎゃ-!」と叫び出したくなるほどに恐ろしくなりました。彼らは表面上とても平和に、穏やかに暮らしている。でもそれは他人を干渉しない、いわば「チャットルーム」の中で生活しているようなもんだからだ。5者5様、それぞれに抱えている問題があり、でもそれについて語ることはなく、そこで「話しても良い話題」だけを無意識に選んで暮らしている。こわいのは、暗い部分を持っている彼らではなく、相手に黙認されているという状態。それはストレートに生きられなかった者達が共有する礼儀なのではないかと思いました。共存するにはプライバシーを守ることは不可欠だ。例えば毎日顔を逢わせる同僚でも、休日何をしているかまったく想像が付かない人もいる。ついたとしても自分が作り上げたその人のイメージからくる思い込みかもしれない。相手が見ている自分が本当の自分ではないように、自分が見ている相手も本当の相手ではないかもしれない。自分が知っているのは、目の前にいる相手のことだけだ。だったらそれを信じるしかないのだけれど…。小説のように真上から人間模様を見ることができたらいいのに。いやそれもつらいか?わからない。なんだかとってもこわくなっていつまでも寝つけなくなる、同時に何度も読み返してしまいそうな不思議な魅力を持った1冊です。 | ||||
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同居する5人のそれぞれの視点で 現代に生きる若者の姿を、描いている。 伊原直輝という人物以外は、著者がイメージしている 現代の若者像のステレオタイプが著しく描かれているため リアリティに欠けると思う。伊原直輝のページまで、30分で 読めるほどの、軽さで書かれている。 しかし、伊原直輝は最も読み応えがあると思ったので、ぜひ、最初の方を読んで飽きてしまっても、がんばって 速読して伊原直輝の巻まで行ってほしいと思う。 もしかしたら、伊原直輝は、著者自身の闇の姿なのでは ないだろうか、と思わせるくらい、おもしろく、心理描写がよく書かれている。 | ||||
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「パークライフ」でも読もうかなと、本屋を物色中、隣にあったこの本を何となくパラパラ捲ってみた。何かよさそう。家へ帰り、読み始めると、面白くって止まらない。同居している5人が、それぞれ「わたし」となり、自分や同居人たち、そしてその生活を綴っていくのだが、それぞれのキャラが何か誰かに似てるとか、こういう奴いそうって感じで、つい口元が緩む。読み進むうちに、それぞれが大なり小なり、こころのうちに暗い何かを抱えているのがわかってくる。それは登場人物に限らず、誰しもがそうなのだろうが、一見うまくいっているように見える、彼等の共同生活の象徴ともいえるリビング。そこでの会話や、やり取りがとても微笑ましいだけに、輪を離れ個となった彼等の独白には、少なからず衝撃を感じた。それは、最後にピークを迎えるわけだが、それさえも、つくられた空間は呑み込み、何事も無かったようにそれぞれを迎える。 ここ数年でも、3指に数えられる傑作です。 | ||||
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生活ってなんだろう。確かな生活…。地に足の着いた暮らし…。そんなものあるのか。 学生でアパート暮らしだったとき、友達の友達の家に泊まった事なんて、そんなに珍しいことじゃなかったはず。合コンの延長でスキー旅行に行った時、男女大勢で数日過ごすことだって、あった。初めから何かたくらんでる奴がいなければ、そういうことはごく自然にありうることだ。そこには、地に足のついた感じはない。しかしフワフワしている日常もまた、事実日常として存在する。 生家を離れての東京暮らしというのは、基本的にそうした学生的日常の延長なのではないか。長すぎる仮住まいというか、現在だけの日常の連続というか。このフワフワ感は、生まれ育った土地から切り離されているからなのだろうか。 18から28の5人のトーキョーの生活感が良く描かれている。 地に足のついた生活…というのは、地方には確かにある。だがこの小説を読むと、学生時代のあのフワフワした遊離感と不安感とが思い出される。それも確かに日常だったし、今も魅力的でもあるのだ。 | ||||
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この小説の面白さというのは、語りの視点の設定の仕方にある。章がか わるごとに5人の登場人物がそれぞれが一人称「私」で語る視点の中に、 その他の4人に対する視座が設定されて、5人5通りの世界観を通して物 語が展開する。そして同時にその自らの語りの中にも本人のキャラクター が浮かびあがる仕掛け。 マンションに暮らす5人はお互いどんな過去の生い立ちで、外で何やっ ているかを深く詮索しあわない。お互い同士傷つけ合わず、「フリをする」善意で成り立つ寄り合い所帯。それが一時的で長続きはしないと思ってい ても、なぜか居心地が良くて帰ってきてしまう場所。そういう現代風の孤 独と癒しのあり方をその寄り合い所帯は象徴する。 凝縮された自我とか努力と忍耐とか自己実現とか将来展望とか、そんな ものとは無縁の20代の若者が集って織りなす他愛もない日常が物語のほ とんどで、大した出来事も起こらず、読んでいて退屈ではある。けれども 最終章に至ってぞくっとするような展開になり、ちょっとしたミステリー 仕立てともいえる。 それゆえ、読後感は重い。が、僕には、この結末は読者サービスであっ て、やっぱり書き手の力点は、それぞれの視点を通して描かれ、マンショ ンというるつぼで織りなされる現代若者の群像にあるのではないか、とお もえる。豊作 | ||||
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何も起こらなくて、誰でもよくて、何も解決されない、そのような小説を以前から読んでみたかった。読んでみたかったけど、そんな理想的な小説はおそらく面白くないし、誰も書かない、と思っていた。けど、書いた人いた。この小説の特徴を一言でいえば、友人の日記を盗み見しているような快感。この作家のセンスが伝わってくる。読み終わった後の虚無感からくる爽快さは今までに経験したことがない。 | ||||
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いかにも現代人といった感性と筆致で描かれた小説。表面的には気楽で楽しい2LDKの共同生活が 一歩内面に踏み込むとそこは真実と虚偽が混沌とした世界。一見どこにでもある日常風景だが、 いざつきつけられると物恐ろしげに感じる。どこか悲哀を感じさせる読後感だった。 | ||||
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テレビドラマを読んでいるみたいに、情景がありありと浮かんでくるストーリー展開。表面的にはああ、 こういう友達いるよな、とか、こういう同僚いるよな。と思えるような登場人物たちが、 実は計り知れないことを考えていたり、悩んでいたり、していたり・・・。読みながら勝手にドラマになったら、この人は、彼だな。と、キャスティングしたくなってしまいました。 久しぶりに、スピードに乗って読んでしまいました。面白いですよ。次回作、楽しみです。 | ||||
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体内に毒を抱えている。周囲には見せないし、あるいは当人でさえ、表現するのは難しい影の人格。マンションに同居する若者五人のやりとりは軽妙なのに、毒は確実に浮かんでくる。五人は、ネットなんかの匿名コミュニティーや、他人への過剰な迎合にはけ口を求めない。かといって、互いの毒の存在を知りながら、「語り」で癒やすわけでも、捨ててしまうわけでもない。他人の毒がぎらりと垣間見えた時の安堵感。体内に毒が残ってこその生の感覚。互いの毒に守られながら暮らすマンションは、不思議なようで、どこか馴染み深くもある。当たり前といえば当たり前。でも、何でもかんでも解毒しようとする人が多いような・・・ | ||||
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本作で芥川賞を受賞していてもまったく不思議ではない。 著者の作品の特徴は、スッと物語に入っていけることだ。今という時代の雰囲気(たとえば、人間関係の希薄さのようなもの)をうまく文章にできているからだと思う。 本作では、そういう雰囲気をもった大部分と、力強くグイグイ引っ張る最終部とのコントラストが効いている。傑作だと思う。 | ||||
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