ローラ・フェイとの最後の会話
評判
ローラ・フェイとの最後の会話の評価:
4.50/5点 レビュー 14件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21〜30 2/2ページ
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ローラ・フェイとの最後の会話の評価:
4.50/5点 レビュー 14件。 C ランク
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自らの新著を宣伝する講演会の為にセントルイスの西部博物館を訪れた歴史学者ルークは、そこで思いがけない女性ローラ・フェイ・ギルロイと20年振りに再会する。動機に不審を抱きながらも彼女とホテルのラウンジで話をする事にしたルークは、やがて自分の心の中にずっと封印して来た遠い故郷の町グレンヴィルで家族に起きた悲劇の忌まわしい記憶が甦るのを感じる。
私が最近の欧米ミステリーの注目作を読んでいて特に感じるのは、推理小説がどんどん普通小説に近づいているなあという感慨です。小説の中で起きる犯罪が大枠では不自然でなく実人生で起きてもおかしくないリアリティーと説得力を備えており、謎は小ぶりでも絵空事ではない本物の物語を読んだ感触に現代の読者は安心感を覚えて、そういった傾向を歓迎している様に私には思えます。そんな作品群が主流になって行く現状については昔から謎解きパズルの本格ミステリーを愛して来た者としては複雑な心境ですが、上辺だけでない真実の人間心理がきめ細かく描写され深い情感を湛えた物語にも大きな魅力が感じられ決して悪くないなとは思います。本書は少ない登場人物、語り手の主人公ルーク、謎めいた女ローラ・フェイ、大雑把な性格のルークの父ダグ、ルークに深い愛情を注いで来た優しい母エリー、ローラ・フェイを盲目的に愛する元夫ウディ、ルークと愛し合いながらも別れた前妻ジュリア、という人々それぞれの性格を二人の会話の中から断片的に少しずつ浮かび上がらせて行きます。そこで感じるのは開けっ広げで単純その物の理解し易い性格もあれば不器用なせいで相手に自分を上手く伝えられない性格もあるという事で、その誤解が積み重なり不運な状況と絡み合って生み出される残酷なドラマを著者は冷徹に描いてみせます。哀しい事に明るい晴天ではなく暗く不運な状況で示される愛情、悪の中にも人として理解出来る同情の余地を残した悲痛な人間ドラマといった著者の資質が遺憾なく発揮された本書は地味ながらも心震わせる感動と忘れ難い余韻を残す秀作だと思います。そして訳者あとがきでも触れられている様に、物語の行く末に希望の灯をともし大きな安らぎに満ち溢れたラストは著者の素晴らしい新境地だと言えましょう。
僅かに残された著者の未訳作品の全てが今後紹介されるかどうかはわかりませんが、これからも確実に刊行されて行くだろう新作は勿論の事としてこの機会に過去の作品群も探し出して読んで行きたいと思っています。