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マイク・ハマーへ伝言
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マイク・ハマーへ伝言の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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74年のヨコハマを舞台に、リョウという青年の青春最後の一日をカッコいい文体で描いた快作。 一日だから朝に始まって夜半に終わる。 そのせいか、あるいは長編のせいか、同じスターシステムを採用しているいくつかの短編よりもロマンティックな冗長さが少なく、全体にスピード感を持っている。 リョウに限るのは、マイクの青春はとっくに終わっているし、克哉のそれもほぼ終わっていたからだ。他のふたりは始まってすらいない。 とはいえ、青春物の本質として時代との密着性がある。いまになっても変わらない若さの光というものももちろんあるが、PXのステーキ・サンドやキャディラックといった小道具が鼻に突くひとも、発表当時よりも多くなっているだろう。アメリカへの憧れなんてなくなっちゃったしね。作中で既にかなり薄れているし、現在になって読めばなおさら。なんせもう柳ジョージもいなくなったし、ディスコもなくなった。大統領は(たぶん)またトランプだ。 おなじく青春が始まらなかったひとりとして、彼らの倍の年齢になったいま読み返すと、克哉が羨ましくてならない。 | ||||
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以前、何度も読み返した作品ですが、引っ越しを重ねているうちに手放していたものです。 古い本の中古は初めて購入したのですが、ハードカバーの装丁で、 表カバーは新品のように奇麗だったので驚きました。 さすがに中のページは経年劣化で日焼けはしてますが十分に満足できる状態です。 また欲しい本が見つかったら購入しても良いと思います。 | ||||
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この本を読んだ時の衝撃は、大友克洋さんのAKIRAを読んだ時と同じ衝撃を受けました。 その衝撃とは、今までに読んだことがない、映画のような映像表現になっているからです! 大友克洋さんのAKIRAを読んだ時も、漫画で映画のような映像描写をしている事に驚きました。 そして、この小説は、文章で映画のような映像描写をしているので、驚きます! 文章での映画のような映像描写とは、キャラクターの内面を描かずに、客観的な状況だけを精密に描写して、描いている事です。この描写の仕方がスタイリッシュでかっこよく、映画的です! 正直、この小説は、読者を選びます! 車やファッションなどの固有名詞の理解も必要ですし、読者に能動的な想像力が必要なので、海外の文学作品を読める高度な読者でないと、この描写には、ついていけないと思います! この小説の凄さが分かる人は、目の肥えた読者として信用できます! | ||||
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古い作品で、時代感覚の差もあろが、評判程、おもしろいと思えなかった。和製ハードボイルドはやはり古い。 | ||||
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ハードボイルドものとして評価が凄く高かったので読んだ。他の読者との感想がこれほど違うのにびっくり!私には全くダメ。話の展開が遅い。更には主人公に共感ができない。車に興味のない私には、車のことを色々書かれても面倒臭いだけ。横浜や由比ヶ浜に東京から来る人を田舎者扱いしたり(埼玉県民はどうすればいいの?)。医者の息子や一流商社マン、元ボンボン不良の登場人物、だから何?って感じ。上滑りしている感じ。私のような田舎者は読まない方がいいのかな?!でも300ページ弱で薄かったのが読む時間をかけずに済んだので良かった。 | ||||
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克哉は、米軍属の居住区、根岸ハイツの玄関先に止めてある真赤なハード・トップ・タイプのダッジ・チャージャーを無断借用しようとする。それを隣家の小さな女の子、ジョナスに見咎められ、克哉はシャーベット代に5ドル紙幣をわたし彼女をチャペルセンターに追い払おうとする。 「いいのよ、無理しなくても。ね、それより、このお金多すぎる。お釣りでジューク・ボックス聞けると思わない。」 「じゃあ、ぼくのために一曲かけてくれよ。"ユゥッド・ビイ・ソウ・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ" ヘレン・メリルだぜ」 「誰に帰って来てもらいたいの」 時は逢魔時、女の子からの予想もしない問いかけが、二度と会えない女のことを思い出させる。 矢作俊彦のファンでつくづく良かったと思える瞬間です。 | ||||
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癖のある文体だが、悪くない。 20代で、これが書けるなんて、矢作さんは凄い人だね。 話は、それほど凄い話ではない。 苦い、青春の話。 大佛次郎の「霧笛」の昭和版といったところだ。 | ||||
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この頃の矢作俊彦作品の主題はツッパリ、偽悪。短編にもそういうのが多い。 その偽悪の楽屋をばらすストーリー展開。マイクハマーは偽悪者だけど、長編を張れるだけのパワーがない。マイクハマーが存在感がないから昔はタイトルにとても違和感があった。今はそんなことどうでもよくなってきた。 | ||||
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ニューハードボイルドと評される向きもあるようだが、作者は「ハードボイルド」を描いたつもりなどないのではなかろうか。 警察車両に殺された仲間の復讐へ至る動機や実行に使用する機材や車のディテールも甘く、復讐にいちばん燃えていたはずの人物が終盤では影の薄い存在となり、ハマの坊っちゃん達があっさりと事を成し遂げるラストなど最早ファンタジーだ。 救いは現代的になってゆくヨコハマをクールに見つめたくだりが数十ページに一度位読めるあたりか。 昔、本牧で暮らしていたことがあるのでそれ以前の「‘70年代ヨコハマ臭」を嗅ぎたくて読んでみたが、残念ながら最後までドキドキも感情移入もできないままだった。 読み手を選ぶのかなぁ...自分にはソフト過ぎた。 | ||||
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矢作俊彦の長編処女作品。 警察とのカーチェイスの末、死んだ友人の無念を晴らすべく不良仲間たちが各々の愛車を駆使して警察に挑戦するハードボイルド作品。 国家権力に対する復讐をテーマにしながらも、肝心のカーチェイスは巻末30Pほどで、さらに銃撃戦がない(銃器の描写は、米軍基地でのコルト・ガバメントの試射シーンのみ)。ページの大半を、弔いの決意から実行までの過程に割いているので、一般的なバイオレンス作品と期待して読むと拍子抜けするだろう。作風としては、アメリカン・ニューシネマのような雰囲気を持つ作品である。 また、矢作作品独特のキザを極めた言い回しが鼻につく方にはつくかもしれない。 それでも、名作としていまだに色あせない理由は、矢作氏が自分の世界観を言葉で作り上げ、なおかつ日本人作家独特の湿っぽい感情を排した点が大きいからだろう。 欲を言えば、発表当時に映画化していれば日本映画に残る名作が出来たかもしれない。 監督は村川透、主演のマイク・ハマーは舘ひろし、カメラは仙元誠三、脚本は矢作氏自身で。 せっかく、発表当時に優秀なスタッフが数多くいたのに映画化されなかったのは残念に思えてならない。 | ||||
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20年ぶりに再読すると、ステロタイプな「不良少年たちの復讐劇」というよりはフランス文学系の心理劇という印象ですね。 堀口先生を引用するあたり、矢作さんもかなり意識していると思います。 横浜の育ちのいい青年たちの青春時代の嘘と虚栄の葛藤。 それが友人・松本の死をきっかけに一夜にして炙り出される構成は、見事としか言いようがありません。天才作家といわれるゆえんでしょう。 まずマイクハマーが見栄を張る。友人たちはあるものは見破り、あるものはそれを信じる。松本はそれを信じてしまう。憧れ、真似をし、挫折し、自殺に近い死に方をする。それに平行して諒は克哉の優雅さに嫉妬し、克哉は諒の純粋な力強さを笑いながらも、女を巡っては敗北する。 ラスト、スピード競争の果ての克哉の唐突な死に、初読時、作内論理を理解できず違和感を覚えましたが、その直前、松本の死を「誰にも負けたくない夜があったんだろうさ」と諒が分析するシーンがあります。 その瞬間、克哉がどんな顔をしていたのか、描写が有りませんが、諒にとって愛する友人が自分に嫉妬し競争をかけるラストは、あるいは理解不能なのかもしれません。 このテーマはそのまま暗闇にノーサイドの龍哉と克哉にひきつがれるようです | ||||
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解説や感想にも度々登場する比喩表現の巧さは絶品です。また、章毎の終わり方がキザでいてそれぞれ格好のよいものとなっています。個人的に車にほとんど興味がないので多少読む中で億劫になったりわからない部分もありましたが、それを差し引いても楽しく読むことが出来ました。ただ一点、これは時代的にしょうがないことだと思いますが、差別的な表現に軽い不快感を覚えました。 | ||||
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矢作俊彦が描くヨコハマはもうこの世には存在しない場所である。それは単に本牧の米軍施設がなくなったとかという事実だけではなく、そこに宿る精神的なものや、価値観すら変化してしまったのではないか。 失われていくものを追うのではなく、ただただ事実を受け止めることができた時に、それを人は成長というのであろうか。この小説を読むたびにそんなことを考えてみたりする。 | ||||
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矢作俊彦の名を世に知らしめた処女長編。 警察の化け物パトカーに殺された仲間の敵を討つため、 若者達がそれぞれの車を駆り、復讐劇を繰り広げていく。 本作の刊行により、氏は以後しばらくニューハードボイルド の旗手と目されることとなった。 筋立てこそ簡明だが、散りばめられた意匠、軽快な会話、スタイリッシュな文章、類い希な比喩表現など初期作品群 の要素がほとんど揃っており、現在入手できる作品の中では、 著者の片鱗をうかがうに最適な作品と言える。 | ||||
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矢作俊彦の名を世に知らしめた処女長編。 警察の化け物パトカーに殺された仲間の敵を討つため、 若者達がそれぞれの車を駆り、復讐劇を繰り広げていく。 本作の刊行により、氏は以後しばらくニューハードボイルド の旗手と目されることとなった。 筋立てこそ簡明だが、散りばめられた意匠、軽快な会話、スタイリッシュな文章、類い希な比喩表現など初期作品群 の要素がほとんど揃っており、現在入手できる作品の中では、 著者の片鱗をうかがうに最適な作品と言える。 余談だが『マイク・ハマー「へ」伝言』であることを付け加えておこう。 | ||||
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矢作俊彦の名を世に知らしめた処女長編。 警察の化け物パトカーに殺された仲間の敵を討つため、 若者達がそれぞれの車を駆り、復讐劇を繰り広げていく。 本作の刊行により、氏は以後しばらくニューハードボイルド の旗手と目されることとなった。 筋立てこそ簡明だが、散りばめられた意匠、軽快な会話、スタイリッシュな文章、類い希な比喩表現など初期作品群 の要素がほとんど揃っており、現在入手できる作品の中では、 著者の片鱗をうかがうに最適な作品と言える。 | ||||
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「マイク・ハマー」は矢作俊彦の初の長編書き下ろしだけあって、文にスピード感があるとともに、この人の原点であり、その立脚点は今も揺らいでいないことがわかる。当時の横浜の風俗や、当時の横浜人の持つ矜持がひしひしと伝わってくる。 この本の初版は83年1月だが、当時高校生だった私はたちまち、虜になった。今の横浜は当時と全く違うものだけど、この本を読まずして、矢作俊彦語ることは出来ないだろう。 なお、当初の光文社から出版された本の巻末には、当時の彼の住所が書かれている。 ところで、未完の「コルテスの収穫」の下巻は永遠に出ないのかな? | ||||
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初版は20年以上前の作品ですが、現在も変わることなく(あるいはそれ以上に)輝き続けている傑作。最近の作家たちの稚拙な作品とは一線を画す、美しさや格好良さを突き詰めた文章は、圧倒的なものだと思います。本書はしばしば「復習劇」と紹介されますが、そこからステレオタイプな物語を想像してはいけません。冒頭の墓場のシーンから、クライマックスの首都高横羽線を舞台にしたカーチェイスまで、卓越した比喩を駆使した極めて詳細な情景・心理描写で予想を超えた濃密な物語が展開していきます。昭和・レトロブームの昨今、全編に70年代の雰囲気を湛えた本作品を誰か忠実に映画化してくれないかなぁ! | ||||
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少年期にこの作品を読んでしまったため人生が変わってしまった。一読すればとてつもない衝撃を与えてくれる日本文学史上の隠れた名作。横浜の元不良少年連中が、死んでしまった友人の復讐をするというだけの物語なのだが、その物語の合間に変幻自在に現れる細かなエピソードが圧倒的に素晴らしい! 登場人物のひとつひとつの台詞と行動から目が離せない。自分が手を付けてしまったために出て行ったお手伝いさんの布団を見ながら涙するなんて、しみったれた自我とは無縁の奔放さ。「私小説の呪縛」とは無縁の小説。 | ||||
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