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(短編集)

ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち



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ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たちの評価: 3.85/5点 レビュー 321件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.85pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全57件 41~57 3/3ページ
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No.17:
(3pt)

本作品へ求めるものが間違っていたようです

書店でも平積みされている本書、かなり売れ行き好調のようですが、自分としては、満足度は平均点といったところでしょうか。

「古書」を題材としながら、あまり「文章」を読んだという充足感がないのは、何とも皮肉な感じです。
読みやすい文章であることは確かで、気楽に読める小説も好きではありますが、「古書」をテーマにするには、重厚さがないです。
−−と言っても、本文庫の他の作品のラインナップからすると、発刊意図が「気楽に読める小説」を目指しているようなので、そのようなことを求めることが間違っているのでしょうけれど。

【ミステリとして残念な点】
題名が「事件手帖」なので、ミステリ作品と言えるのでしょうが、その点ではもう少し工夫がほしいところ。
4編の短編が載っていますが、いずれも「伏線の巧妙さ」がありません。
ミステリで高評価されている作品への書評などを見ていただくと分かると思いますが、質の高いミステリは、「伏線」が思わぬところに仕掛けられているものなのです。

【テーマの「古書」も浅すぎ】
作品のテーマとなっている「古書」についての知識は、「なるほど」と感心させられるものはあまりありませんでした。
「よくここまで調べているな」「綿密に取材している」と感じさせる作品がベストなのですが、そこからは程遠いレベルに思えます。

以上から、本書は、「古書をテーマとしたミステリ」としてオススメすることはできないと感じています。
そうではなく、これから、古今の名作小説を読もうという方への橋渡し的な役割を持った書物と言えるのではないでしょうか。
ストーリー的にもミステリの体裁を取ることで、起承転結がはっきりし、誰にでも分かり易いという効果が現れている−−ということは言えると思います。
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)より
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No.16:
(3pt)

これからは読書好きと本好きは分けたいと思います。

知人に頂いて読みました。本屋大賞2012のノミネート作品ということで期待しました。

内容ですが、本は好きだけど本は読めないというマッチョな青年が、ケガで入院している美人店主の古書店に就職し、動けない店主の手足となり共に本をめぐる事件を解決していくという話です。店主は安楽椅子探偵、青年は助手という感じです。本をめぐる事件の「本」とは、物体としての本という珍しい設定ですがそこに本の内容もたくみに絡んできます。

私は読書は好きですが物体としての本にはそれほど興味が無いので、設定は珍しいとは思いましたがそれほど面白いとは思いませんでした。これなら本の内容に沿った事件が次々と起こるようなミステリーのほうが好きです。しかし舞台になる街や古書店、病院の雰囲気が穏やかに描写されておりこんな古書店で買った本をこんな街で読みたいな、といった気持ちになりました。尾道とか京都とかそういう場所ですね。人間の描写は薄い感じで人間の情念を感じられません。いかにも中学生高校生が喜びそうな大人が読むとちょっと恥ずかしくなるような内容です。ライトノベルとはよくいったものだなと思います。でもそこは人それぞれだから、自分も中学生高校生のときに読んでいたとしたらもっと面白いと思ったかも知れません。読み易い本でもありますし。続編もあるようですが、私には機会があれば読んでみてもいいかなという程度です。

この本は読書だけでなく、本そのものの表紙とか物としての構成や造りや歴史(初版だとか)などにも強い関心がある人で、比較的若い人におすすめです。
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)より
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No.15:
(3pt)

最後の最後で(ネタバレ注意!

まず本屋で平積みされてる本書を見て、表紙につられて買った者です。 最初は栞子さんが、小さな手掛かりと本にまつわる豊富な知識で日常の謎を解いていく。 というのは素直に面白いと思いましたし、 読み進めるうちに次第に栞子さんと主人公の距離が徐々に縮まっていくのもニヤニヤしながら楽しめました。 しかし最後のお話で、主人公に対し心を開いていたかに見えた栞子さんが結局主人公に対し信頼していなかった事が露呈します。この事実は主人公含め読者の私までもが落胆してしまいました。 出会って1ヶ月かで命を預ける程信頼しろとは思いませんが、目的の為なら手段を選ばないような犯人をおびき寄せるために身の危険を省みずリスクを背負ってくれた人間に、 「自分の好みが理解されないかも…」ではあんまりです。 最終的には問題の本を渡そうとして仲直りします。主人公はそれで良しとしていますが 私にはそれでもまだ栞子さんへの不信感が拭えません。 栞子さんの事が直前まで気に入っていただけに凄く残念。 そのまんまの意味で裏切られました。 ただ途中までは面白かったので☆3つ
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No.14:
(3pt)

本にまつわるお話

ライトノベル小説を敬遠していた私でしたが、本屋大賞に文庫本で初めてノミネートされているという事で興味を持ち読ませて頂きました。内容は実際に存在する古書を題材にして、その古書を中心にしてストーリーが展開されるといったと感じです。話は繋がっていますが、各章ごとに話が分かれていているので、読書初心者でも読みやすいです。しかし、本好きの私(自称ですが…)にしては、古書自身の内容の話あまり出てこなくて物足りない感は否めなせんでした。少しだけSFチックにしたら面白かったかも…
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No.13:
(3pt)

面白い

確かに面白いけど、それだけの話。
評価などで期待をしていたぶん、肩透かしをくらいました。
同じ本にまつわる話なら他にも面白い話はあるので、目新しさはない。
ライトノベルという感じではないし、さくっと読めるので読みやすいものを探しているひとにはおすすめしようと思います。
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No.12:
(3pt)

死体のないミステリー

帯に惹かれての購入。帯が動機になって購入というのは、10代の頃から変わってないのだが如何なものか……。

閑話休題。

舞台は、鎌倉。
私は茅ヶ崎。
妙に近い地域が舞台となっていたので、親近感が沸いた(これも、実は購入動機のひとつだったりする)。

ジャンルは『ミステリー』。
といっても、死体は転がってない。
そういう意味で、重くなく比較的軽いノリで読める。文体もオノマトペが苦手な私としては読みやすい部類だった。
NHKでドラマ化されても内容的に違和感はない。

題材は実際に刊行されている書籍。それらが、サブタイトルになっている。
ちなみに、第一話は『漱石全集・新書版(岩波書店)』

この作品は、上記のような実際に存在する書籍を題材とし、それにまつわる人間関係を題材となる作品の内容とさりげなく交差させながら進んでいく。
なので、題材となる作品をご存じの方は、ストーリーの流れがなんとなく先読みできるかもしれない。

構成は、プロローグ/第一話/第二話/第三話/第四話/エピローグの構成。
起承転結はしっかりしているので、安心して読める内容になっている。

また、死体が転がっていないからといって侮ることなかれ。
なにを扱っていようがこの作品は『ミステリー』である。

以上

まとめ
可もなく不可もなく……ということで3点。
厳し目だろうか。

ただ、この劇中に出てきた、『論理学入門』はぜひ読んでみたい。
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No.11:
(3pt)

コミックスに落とし込んだらまた楽しいかな

古書にまつわるお話で、いろいろ知識が増えました。
サンリオSF文庫が希少価値というのはべつの小説で覚えたてでした(古書店を舞台にしたBLですが)。
初版本に対する価値の高さや、アンカットなどなど。
マニアックな部分が多い、けれど楽しめる。
キャラクタは、ヒロインが少しもったいないかなと思ったくらいです。
1を聞いて10まで分かるという設定には、いき過ぎかなと。
これがコミックスだったら、読み手を置いてけぼりにせず、またぐいっとストーリーに引き込ませられたのではと思います。
ラストあたりのどんでん返し、走り過ぎたような印象も否めなかったです。
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No.10:
(3pt)

本好きでない人にもオススメ

この本を読んでみようと思ったきっかけは、巷で話題になっていたので、
面白いこと間違えがないと思ったので、購入してみた。

私としては、今までに読んだことのない書店を題材としたミステリーだったので、
新しいと感じた小説だった。
また、短編ものかと思ったら最後には話が繋がっているところも、面白かった。

題材になっている本を読んだことがないと面白さが半減ということもないので、
手軽に読めるので、本好きでない人にもオススメです。
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No.9:
(3pt)

普通に面白かったです

面白かったです

僕は年齢が10代後半なのですが、きっとこの本を読まなかったら
こんな古書のことはおそらく向こう10年は絶対に知らなかったと思います。

小説内の古書に関する説明もくどく感じないし、本当に楽しかったです。

ただ、2巻より1巻の方が字量的には少なく、2巻を読んだあとでは少し1巻が物足りなく感じました。
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No.8:
(3pt)

『文学少女』のパクり!

内容は大変読みやすくて、本が好きな人は楽しめて良作だと思います。

ならなんで三ツ星かって?

まず、ライトノベル作家の野村美月先生の『文学少女』の二番煎じという部分ですかね。何かの本を題材にして事件を読み解いていくというパターンが『文学少女』のもろパクり。

多分、このビブリアの作者自身もライトノベルでデビューしたいるので3・4年前にヒットした『文学少女』を読んで、
『これは、ラノベでビブリアやったら文学少女のパクり言われる可能性があるから一般文学ならバレないやろ!』って思いビブリアを初めた感じがするので、減点1。

そして、二番煎じなのはいいが野村美月先生の『文学少女』に比べると文章力、構成力、面白さ、が劣っているので減点1。

この本が文学少女の前に出ていたら五ツ星なんですが後なんでね…

惜しい作品ですがそれなりに面白いので是非とも読んで下さい。ビブリア好きなら文学少女は絶対読むべき。


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No.7:
(3pt)

本好きは読んでみたくなる題名

古本屋さん関係は面白い作品がある(「古本屋探偵の事件簿」「蒼林堂書店へようこそ」等)ので、こちらも期待・・という感じで読み始めました。

読みやすくてあっという間に読めますが、古本屋を舞台にした小説に必須ともいうべき『古書にまつわる薀蓄』がなさすぎて肩透かし。
ただの青春恋愛小説のできそこないのようになっている部分も。

なのですが、第2巻からは一転して良くなります。『本』が主題としてちゃんと組み込まれてくる。作者の出し惜しみ?と思うほど。第1巻は第2巻のイントロと思えば、ライトな読みやすさが活きてきて、星三つとなります。

この本をこれから読まれる方は、必ず第2巻まで読まれるべきです。
(別に最近はやりの販売促進(さくら)をしているわけではありませんので・・)
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No.6:
(3pt)

表紙に惹かれ

店頭で表紙に惹かれました。 評価が高いようですが、恋愛感情らしきものはない方が良かったかな。焼きもちでしょうか。 あと、最後の話の途中で犯人がわかってしまったのが残念でした。 まあ、そのうちTVドラマか映画化しそうな気がします。
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No.5:
(3pt)

「本の虫ってのは同類を好きになる者だからさ」

主人公の祖母の言葉である。この祖母も結構わけありなのだが....
 
 本書は典型的なアームチェア・ディテクティブ物である。絶世の美女が体育会系の語り手を走らせて「事件」を解決する。
 本書の特徴は、そこに古書が挟まることである。薀蓄もあるが評者のような書痴ではない読者にも心地よい程度であり、ライトノベルズベストセラーの書き手達はここらあたりがうまい。キャラも立っている。主人公も魅力的である。伏線のはり方も解決の仕方も良し。表紙絵もシンプルだが、本書の雰囲気によくあっている。エンターテイメントとしては言ううことない。

# ただ、内容以前の問題で、評者には今ひとつのめり込めなかった。
  評者は比較的本を読む方だと思っているが、「本は読めれはいい派」であり、厚い本は持ちやすいようにばらして持ち運ぶような人間である(糸とじでない場合)。電子書籍は古い本が読めないから使っていないだけ。けれど、外出する時は必ず本を持ち歩くし、5分でも時間があれば本を読むか、本の内容について考えている。
 本書では「本を読まない人」=「本自体を愛する人」になっている。評者は本は愛しているが、本自体はあまり可愛がっていない。ここらあたりにギャップを感じたから少し点は辛めにしてしまった。
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No.4:
(3pt)

すべての「本好き」に読んでほしい

いわゆる「ライトノベル」系ですね。古書をめぐるミステリーというテイストが付与されていますが,謎といっても本格的なものではなく,人物たちの言動も含めてまさに「ライト」な感じです。

「萌え」な要素もあるので,本格的なミステリーが好きで,なおかつ頭が固い人にとっては許しがたい作品かもしれません・・・。

でも,本好きとしては,主人公である栞子さんの口から語られる古書にまつわるうんちくを読んでいるだけで楽しくなってきてしまうのも事実。私はすっかり「文学」を読んでみたくなってしまいました。
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No.3:
(3pt)

流行っているからという滅茶苦茶安易な気持ちで読んでみた

先日覗いたライトノベル情報サイトの情報によると、『ビブリア古書堂の事件手帖』が、シリーズ累計87万部突破したらしい。
今だシリーズ2冊しか発売していないにも関わらず、このような売上を叩き出しているのは、ライトノベル業界の中では異例の事態である。
ビブリアは確かにウェルメイドな作品ではあるが、ただウェルメイドなだけではここまでの売上を見せないのではないか。
僕はこの作品が人気を集めている主たる理由は、本作がここ最近のオタク系コンテンツの流れの中に身を置いているからだと思う。

ここ最近のオタク系コンテンツ、その中でもアニメ業界の流れをザッと見直してみよう。
ゼロ年代の半ば、京都アニメーションによるテレビアニメ『けいおん!』や『らき☆すた』のヒットにより、「日常系アニメ」というムーブメントが発生した。
このムーブメントは別名「空気系」などと呼ばれており、ドラマツルギーを徹底的に排除した、永遠に続くかのような日常世界を描いたものだった。
また、日常系作品の特性のひとつとして、虚構と現実の混同(フィクションの中に、実在の地名やスポットが登場する)という点が挙げられる。
そのため、ファンがアニメに登場したスポットを実際に訪れるという「聖地巡礼」なる行為も多発した。
(それ以前に京都アニメーションは『涼宮ハルヒの憂鬱』をヒットさせており、この作品は、所謂「セカイ系」作品と「日常系」作品をコネクトさせた物だった。『涼宮ハルヒの憂鬱』では「日常」と「非日常」が地続きであり、『新世紀エヴァンゲリオン』のネルフのように、この二つの世界の分水嶺となるような仕掛けは登場しない)

而して2011年、アダルトゲームのシナリオライターである虚淵玄氏が脚本を担当したアニメ、『魔法少女まどかマギカ』が大きなヒットを記録し、この年の文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞した事は記憶に新しい。(正直、この賞の存在自体はなかなか胡散臭いモノなのだが。)
この作品は魔法少女というエレメントにSF的なガジェットを組み合わせた、一見ファンシーだがその実硬派な物語であり、「日常系」作品の興隆によって済に追いやられたドラマツルギー、言い換えるならば抑圧された「物語」への欲望が本作のヒットを支えていた、という見方をする人間も少なくない。
この流れを時系列順に並べるのなら「セカイ系」→「日常系」→「物語の復権」、と大雑把に整理することが可能だろう。

本作『ビブリア古書堂の事件帖』は、「日常の謎」というミステリーの一ジャンルに分類することができる。
「日常の謎」は、広義では人物の死が起こらない推理小説全般を指し、トリックは通常のミステリーとは違い、日常の中で高い確率で起こりうる非常に地味なものが多く、当然、世界の終わりもSF的ガジェットも登場しないが、ドラマツルギーは成立している。
つまり、言い換えるならば、このジャンルは「日常」に根を張った「物語」であり、これをオタクコンテンツの流れの中に当てはめるならば、「日常系」と「物語の復権」の丁度中間に位置することにならないだろうか。
確かに『魔法少女まどかマギカ』は支持を集めたが、同時に「日常系」物語の求心力が弱まっているのかというとそういうわけでもなく、そのことは2011年現在公開されている劇場版けいおんの集客力や、動画工房によるアニメーション『ゆるゆり』のスマッシュヒットからも明らかだろう。
現在のオタク系コンテンツの傾向を大局的に眺めると、「物語」への欲望と「非物語」への欲望が混在している。
そんな中、「日常の謎」というジャンルに属する『ビブリオ古書堂の事件手帖』のヒットは双方への欲望が一箇所に備給された結果であり、「日常」というぬるま湯に浸かっていた人々が「物語」へと向き合うためのリハビリテーションとして機能しているのではないかと僕は思う。(逆に言えば、人々の「物語」に対する耐性が弱かったからこそ、『魔法少女まどかマギカ』が話題になったという面もあるのではないかと思う。本作は美少女ゲームのフォーマットから見れば非常にスタンダートな作品だ)
そして其のことの妥当性は、数々のエポックメイキングな作品を送り出してきた京都アニメーションが、「日常の謎」の代表的作品である『氷菓』(米澤穂信著)のアニメ化に着手したという情報が強く裏付けているのではないだろうか。
また、本作の舞台は神奈川県の鎌倉市であり、「長谷」や「鎌倉駅」などといった実在の地名も頻出する。
これも、先程指摘した「現実と虚構の混在」という日常系作品の傾向とシンクロしており、そのような作品と『ビブリア古書堂の事件帖』の親和性を暗に示しているのではないかと思う。

長々と本作のヒットのコンテクスト(と予想されうるもの)を書き記したが、消費者にとって一番大切なのは作品そのものの面白さだろう。
僕個人としては、ヒロインの人格の断絶が人物としての魅力を損なってると感じたり、単純な作業の積み重ねがカタルシスとして昇華されていない点に退屈さを覚えたが(このジャンルの根幹を揺るがす発言かもしれない)、これが貴方の求めている物語なのかもしれない。
小品としての破綻は無いので、最先端を体感するためにも一読してみることをオススメする。


ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)より
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No.2:
(3pt)

書店ものというジャンル

それほど「書」というものに執着しない自分のような人間からするとあまりトリビア的な知識に興味はもてないのですが、それでも楽しめました。
 ただ、ここのところ図書館や書店、古本屋等を舞台にした小説というのがジャンルと呼べるまでに数を増やしていますが、その中ではミステリーとしては圧倒的に甘いです。自分のようなミステリー初心者にさえ先を読ませるようではまずいと思います。
 よって☆は小説として3.5、ミステリーとしては2くらいの評価で。
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)より
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No.1:
(3pt)

本や古書店好きにはくすぐられる1冊

古書店,つまり古本屋さんと古本を題材にした四話収録の連作短編集に近い作品で,
その四話に四冊の本がそれぞれタイトルとして当てられているのも興味を引かれます.

内容はいわゆる『日常の謎』系,それぞれの本を踏襲するちょっとした謎や事件を,
カバー絵の女性主人が安楽椅子探偵,語り部の青年が助手となり解決をしていきます.
また,人の手を渡る古本ということで,本を巡る思いやそれまでの時間に重きが置かれ,
血生臭い話はないものの,一話にはじまりどちらかと言えば重めに寄った印象を受けます.

そしてこれらとは別に,四つの話を貫くように描かれる全体を通じた謎と人間模様は,
やや平易な部分もありますが,各話をうまく回収しながらキレイにまとめられています.

ただ,ちょっと気になったのは説明的というか作文のような表現がチラホラあったこと,
連載されていた作品でもないのに,話のたびに人などの説明が入るのが冗長に感じました.

それでも,本や古書店好きをくすぐる内容になっていて続刊の方への期待も膨らむところ.
なお,登場する本は作中で内容などが語られますので,知らなくても全く問題はありません.
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)より
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