■スポンサードリンク
(短編集)
仕掛け花火
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
仕掛け花火の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
美しい情景があり、心温まるやりとりがあり、シュールな笑いがあり、くだらないダジャレがあり、ノスタルジーと遊び心にあふれた、地味深い一冊となっています。 私はこの一冊に人生観を変えられました。少々大げさかもしれませんが。 ★月光酒盛り 古風な酒蔵の点々とする光景を前に、旅人は、通りがかった村人と酒盛りをはじめる。村人の取りだした酒瓶は、二度酔うことができるという不思議な地酒だった。 ★虹細工 永遠野平(とわのだいら)に向かう列車の中で、少女は不思議なじいさんと出会う。虹でいろんな動物を作っているというじいさんが起こす、奇跡とは。 ★箱娘 大小様々な箱に埋め尽くされた、けったいな実家をもつ女房と、その家族の話。 ★花火 幼いころ、夏の終わりに常光寺で出会った花火屋のおっさん。その思い出は、四十年たった今でもはっきりと心に残っている。 ショートショートの可能性を無限に広げた、江坂遊の最高傑作。(主観です。) ショートショートの軽さを、軽率さ、と捉える方もいらっしゃるかもしれません。 私は、その軽みの中に、人生の奥深さを感じました。 童心のまま人生を楽しむことの大切さを教えてくれた、私にとってはとても大切な一冊です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
星新一の評伝(最相葉月)で江坂遊を知る。ショート・ショートは私の苦手なジャンルである。 一編一編は工夫をこらした手品のようで、それぞれに楽しめる。もしこれらが、一編だけ、飛行機の機内誌に載っていたら、もっと印象がつよいだろう。周囲から浮き出して目立つことだろう。しかし、これらが本書のように数珠つなぎになったとき、その魅力はむしろ相殺されるように思う。それが私の苦手たる所以である。 短い楽しみ、一瞬の驚きや戦慄を、素直に楽しめる人は幸いである。私は人生において、そうした刹那的な感情を極力排除してきた。だからこうした作品集を心底楽しむことができない。ちょうど、トランプ手品を3時間連続してみせられたとき、飽きずに楽しめるかどうか、に似ている。どんなに簡単な手品であっても、個々のトリックを独創するのは、それを短くまとめるのは、大変な苦労だと思う。ひとつだけなら、それを見た客にはつよい印象が残るだろう。しかし、20も30も続けて見たら….。勝手な客である私は、3時間でひとつのストーリーを堪能する方がよいと思ってしまう。 だから私は、本書を一気に読むことを勧めない。できれば数編ずつを上限として、星新一も解説で言うように「とにかく、ゆっくり読まなければならない」(p.231)。 なお、どれが一番よかった、ということについては、難しい。私が頭で「すばらしい」と考えた作品と、身体が反応した(鳥肌が立った)作品とが、違うのである。後者はどちらも絵の話で、「秋」(p.202)「赤い街」(p.209)であった。そういえば、何年経っても覚えている作品というのは、読んだ当時に感心した作品と必ずしも一致しない。この作品集にも、いくつかは、何年経っても折にふれ思い出す作品があるだろうと思う。私がこの作品集を本当に楽しむのは、だから、もう少し経ってから、ということになる。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!