わたしを離さないで

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評判

わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

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平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,450件 1,401〜1,420 71/73ページ
No.50
(5pt)

人が人たりえるもの

読了後、呆然とすることしばし。

この物語には、暗く深遠な川を思わせる重厚なテーマが
根底に流れている。しかし、それらが読み進む上での
重石になることなく最後まで読ませるところは作者の
力量かと。

最近読んだ新刊の中で、間違いなくベストに数えられる作品。
ぜひ、読むべきです。

あと残念なことに、この作品のレビューをしている方の中で
明らかなネタバレをしているものがあります。それでも決して
作品自体をスポイルしてしまうほどのものではありませんが、
その事前情報があるのとないのでは、明らかに導入の印象に
影響してきます。厳に謹しむべきかと思われます。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.49
(5pt)

人が人たりえるもの

読了後、呆然とすることしばし。

この物語には、暗く深遠な川を思わせる重厚なテーマが
根底に流れている。しかし、それらが読み進む上での
重石になることなく最後まで読ませるところは作者の
力量かと。

最近読んだ新刊の中で、間違いなくベストに数えられる作品。
ぜひ、読むべきです。

あと残念なことに、この作品のレビューをしている方の中で
明らかなネタバレをしているものがあります。それでも決して
作品自体をスポイルしてしまうほどのものではありませんが、
その事前情報があるのとないのでは、明らかに導入の印象に
影響してきます。厳に謹しむべきかと思われます。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.48
(4pt)

お勧めの1冊

90年代後半のイギリス。特別なドナーの介護を仕事とする31歳のキャシーは、人里離れた寄宿学校での生活を思い起こしていた。

キャシー、ラス、トミーは、幼少時代をHeilshame schoolで過ごしたクラスメイトだ。そこは、生徒たちがどれほど特別な存在なのかを事あるごとにそれとなく伝えてくる謎めいた大人たちがいて、奇妙な規律が存在する不思議な学校なのだ。時が経ち、成長したキャシーが、それまで音信不通だったラスの介護を率先したことをきっかけに、彼女の生活に再びラスとトミーが入り込む。物語は、キャシーが過去を思い起こし、自分たちが「特別」であることの意味を理解しながら、その賜物が3人として残された日々をどう作り上げていったのかを彼女のモノローグで描く。

Carer Donation Guardian Gallery Possible...。イシグロの手によって、何てことのない言葉が特別なものに変わります。それらの言葉ひとつひとつに「明かされるべき謎」の影が見えて、読むものを話に引き込むのです。巧みな話の進め方に時間を忘れて読みふけること請け合いの1冊です。

謎めいた幼少時代。無垢な者たちを囲む非情な現実。それが当たり前だと思いつつも、消えそうな希望の光を握り閉める心。淡々と過ぎていく時間...。哀しくも美しい物語が、穏やかに、そして流れるような文体で書かれています。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.47
(4pt)

お勧めの1冊

90年代後半のイギリス。特別なドナーの介護を仕事とする31歳のキャシーは、人里離れた寄宿学校での生活を思い起こしていた。

キャシー、ラス、トミーは、幼少時代をHeilshame schoolで過ごしたクラスメイトだ。そこは、生徒たちがどれほど特別な存在なのかを事あるごとにそれとなく伝えてくる謎めいた大人たちがいて、奇妙な規律が存在する不思議な学校なのだ。時が経ち、成長したキャシーが、それまで音信不通だったラスの介護を率先したことをきっかけに、彼女の生活に再びラスとトミーが入り込む。物語は、キャシーが過去を思い起こし、自分たちが「特別」であることの意味を理解しながら、その賜物が3人として残された日々をどう作り上げていったのかを彼女のモノローグで描く。

Carer Donation Guardian Gallery Possible...。イシグロの手によって、何てことのない言葉が特別なものに変わります。それらの言葉ひとつひとつに「明かされるべき謎」の影が見えて、読むものを話に引き込むのです。巧みな話の進め方に時間を忘れて読みふけること請け合いの1冊です。

謎めいた幼少時代。無垢な者たちを囲む非情な現実。それが当たり前だと思いつつも、消えそうな希望の光を握り閉める心。淡々と過ぎていく時間...。哀しくも美しい物語が、穏やかに、そして流れるような文体で書かれています。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.46
(5pt)

既視感と浮遊感

キャシーとルースの感情の絡み合いや、微妙な女心の揺れが、あまりにも現実的であるため、
自分自身の過去の思い出や経験と重なり合い、不思議な既視感をもたらす。

しかし、徐々に特殊な存在であることが明らかにされるにつれて、
現実離れした世界(…でも、本当に有り得ない世界だろうか?)が不思議な浮遊感を創り出してゆく。

テープに合わせてダンスを踊るキャシーの腕の中にいるのが、
架空の恋人というよりも、赤ん坊として表現されたことにも驚きました。
男性の著者が、どうしてこんなに繊細に、鮮やかに女性の心の動きを表現し得るのでしょうか。

SF的な主題でありながら、もしかしたら彼らのような生命がすでにどこかに存在しているかもしれない……
そんな懸念を払拭できない私は、現実の境目を見失ったような感覚を味わいました。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.45
(5pt)

既視感と浮遊感

キャシーとルースの感情の絡み合いや、微妙な女心の揺れが、あまりにも現実的であるため、
自分自身の過去の思い出や経験と重なり合い、不思議な既視感をもたらす。

しかし、徐々に特殊な存在であることが明らかにされるにつれて、
現実離れした世界(…でも、本当に有り得ない世界だろうか?)が不思議な浮遊感を創り出してゆく。

テープに合わせてダンスを踊るキャシーの腕の中にいるのが、
架空の恋人というよりも、赤ん坊として表現されたことにも驚きました。
男性の著者が、どうしてこんなに繊細に、鮮やかに女性の心の動きを表現し得るのでしょうか。

SF的な主題でありながら、もしかしたら彼らのような生命がすでにどこかに存在しているかもしれない……
そんな懸念を払拭できない私は、現実の境目を見失ったような感覚を味わいました。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.44
(5pt)

深い・・読後に何度も咀嚼しています。

私もレヴューの方と同じ「ブレードランナー」を思い出した。が、その手法は表と裏で、存在を否定された側から読者の同化を促し進行する。
ですから、明かされた最終章では、あまりに酷い。

ボストンに住む弟から著者を教えてもらい、初めて読んだ。原語を読んでみたくなるほど、訳語も素晴らしい。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.43
(5pt)

深い・・読後に何度も咀嚼しています。

私もレヴューの方と同じ「ブレードランナー」を思い出した。が、その手法は表と裏で、存在を否定された側から読者の同化を促し進行する。
ですから、明かされた最終章では、あまりに酷い。

ボストンに住む弟から著者を教えてもらい、初めて読んだ。原語を読んでみたくなるほど、訳語も素晴らしい。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.42
(4pt)

代償

ある背景を除けば、3人の成長を綴った甘酸っぱい青春小説です。
が、その背景は作中にも出てくる「知っているのに知っていない」という感覚を読者にも
体験できるように、語り手はさりげなく…そして何度も触れているにも関わらず、3人の
成長と感情を前面に書いているため、最初は朧げにそして漠然としか認識できません。
そして最後に向けてそれは重く暗く読者の心を鉛の弾となって貫くのではないでしょうか。
この構成は見事だと思います。

自分は鈍いのか、その重さを実感するまでにしばらく放心状態になり、もう一度物語りを
反芻し、登場人物達に思いを馳せると言い知れぬ不安に襲われました。
突拍子もない背景かも知れませんが、あり得なくもなさそうな描写に人知れず呟きました。
「わたしを離さないで」
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.41
(5pt)

稀有な作家による驚愕の物語

前作「わたしたちが孤児だったころ」は少々物足りなかったが
本作は名作「日の名残り」に勝るとも劣らぬ傑作だと思う。
ではあるが、正直言って読後には背筋が寒くなるのを覚えた。
そして巷に溢れる数々の「ホラー小説」より、この作品のほうが
遥かに恐ろしいテーマを扱っているのではないかと思った。

「生命」に関する考え方が大きく揺れ動いている現在、
この物語の設定は荒唐無稽とは思えない。
「個人の尊厳」「人権」といった人類が長い歴史のなかで積み上げてきた倫理など
科学の暴走とそれを是とする人びとの前では何の価値もない、ということだろうか。

物語の終わり近く、キャシーとトミーが老いた指導教官をたずね、
善意と使命感に基づいて行動したはずの彼女から残酷な本音を聞かされる場面には、
イシグロの鋭い批判がこめられているように感じた。

「人間中心主義」の行き着く先、西洋の道徳感に潜む問題に対し、
鋭敏な感受性と批判力を備えたイシグロは、静かに異議を唱えているのかも知れない。
この優れた作家が同時代に存在することを幸せに思う。
また、原文の繊細な陰影を見事にとらえた翻訳にも敬意を表したい。



わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.40
(4pt)

代償

ある背景を除けば、3人の成長を綴った甘酸っぱい青春小説です。
が、その背景は作中にも出てくる「知っているのに知っていない」という感覚を読者にも
体験できるように、語り手はさりげなく…そして何度も触れているにも関わらず、3人の
成長と感情を前面に書いているため、最初は朧げにそして漠然としか認識できません。
そして最後に向けてそれは重く暗く読者の心を鉛の弾となって貫くのではないでしょうか。
この構成は見事だと思います。

自分は鈍いのか、その重さを実感するまでにしばらく放心状態になり、もう一度物語りを
反芻し、登場人物達に思いを馳せると言い知れぬ不安に襲われました。
突拍子もない背景かも知れませんが、あり得なくもなさそうな描写に人知れず呟きました。
「わたしを離さないで」
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.39
(5pt)

稀有な作家による驚愕の物語

前作「わたしたちが孤児だったころ」は少々物足りなかったが
本作は名作「日の名残り」に勝るとも劣らぬ傑作だと思う。
ではあるが、正直言って読後には背筋が寒くなるのを覚えた。
そして巷に溢れる数々の「ホラー小説」より、この作品のほうが
遥かに恐ろしいテーマを扱っているのではないかと思った。

「生命」に関する考え方が大きく揺れ動いている現在、
この物語の設定は荒唐無稽とは思えない。
「個人の尊厳」「人権」といった人類が長い歴史のなかで積み上げてきた倫理など
科学の暴走とそれを是とする人びとの前では何の価値もない、ということだろうか。

物語の終わり近く、キャシーとトミーが老いた指導教官をたずね、
善意と使命感に基づいて行動したはずの彼女から残酷な本音を聞かされる場面には、
イシグロの鋭い批判がこめられているように感じた。

「人間中心主義」の行き着く先、西洋の道徳感に潜む問題に対し、
鋭敏な感受性と批判力を備えたイシグロは、静かに異議を唱えているのかも知れない。
この優れた作家が同時代に存在することを幸せに思う。
また、原文の繊細な陰影を見事にとらえた翻訳にも敬意を表したい。



わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.38
(5pt)

生命の価値に複製もオリジナルもないという当然の帰結

家畜や奴隷に幸福はあるだろうか。思春期を含めて、青春や友人関係の喜びはあるだろうか。夢やアイデンティティを追い求める価値は?
 障害や病気、人種や貧困などによるマイノリティが、少数の富裕層や中流階級の幸福のために犠牲にされる構図は、本書だけでなく現代社会に厳然と存在する。先に「新しい世界」を手に入れた人々が、「古い世界」で生きている人々を「無慈悲」で「残酷」な世界に追いやる。多くの人はそのことに気づかず一生を終える。不思議だ、変だと思っても実際には行動に移すことはない。
 本書は学童期の「ヘールシャム」時代、モラトリアム期の「コテージ」時代、そして「一般社会」時代の3部に分かれており、主人公を含めて3人の運命が丹念に綴られている。彼らの決められた運命のごとく、全編閉塞感に満ち謎と不思議が覆っているが、主人公が真実に肉薄するとき、彼らの人生が一見悲しい中にも輝かしい光を帯びることになる。特にキャシーという感受性の強い魅力的な主人公の説得力ある語りによって、非現実的であるが、決してファンタジーとは言えないリアリティを、凄みを持って感じられる。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.37
(5pt)

生命の価値に複製もオリジナルもないという当然の帰結

家畜や奴隷に幸福はあるだろうか。思春期を含めて、青春や友人関係の喜びはあるだろうか。夢やアイデンティティを追い求める価値は?
 障害や病気、人種や貧困などによるマイノリティが、少数の富裕層や中流階級の幸福のために犠牲にされる構図は、本書だけでなく現代社会に厳然と存在する。先に「新しい世界」を手に入れた人々が、「古い世界」で生きている人々を「無慈悲」で「残酷」な世界に追いやる。多くの人はそのことに気づかず一生を終える。不思議だ、変だと思っても実際には行動に移すことはない。
 本書は学童期の「ヘールシャム」時代、モラトリアム期の「コテージ」時代、そして「一般社会」時代の3部に分かれており、主人公を含めて3人の運命が丹念に綴られている。彼らの決められた運命のごとく、全編閉塞感に満ち謎と不思議が覆っているが、主人公が真実に肉薄するとき、彼らの人生が一見悲しい中にも輝かしい光を帯びることになる。特にキャシーという感受性の強い魅力的な主人公の説得力ある語りによって、非現実的であるが、決してファンタジーとは言えないリアリティを、凄みを持って感じられる。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.36
(5pt)

こころが漂流している。

何もはっきりとは書かれていない。
秘密が明かされて行くのも、小出しにされるというよりも、
読んでいる自分たちさえ最初から知っていて暗黙の了解の上に会話をしているような気になる。
公然の秘密を共有しているような感覚。

曖昧な状況とは裏腹に、子ども時代からの心模様は過剰に思えるほど詳細で執拗だ。
始めから役割が決まっているとしても、逆らえない運命だとしても、
それが降り掛かっている人物にだって「ふつうの」感情があることを示しているのだろうか。
地に足がついていないというか、足をつけるべき地面がないような感じがするのは、
登場人物たちの不確かな境遇ゆえだろうか。

話したところでどうにも抗えないと分かってはいるけれども、
もしかしたらという気持ちを捨て切れない、あの妙な期待感を覚える。
訥々とした語り口からは想像もできないほど先を急ぎたくなる物語で、
キャシーたちの「ふつうの」しあわせを願わずにはいられなくなった。
それが叶わないことだと知っても。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.35
(5pt)

純粋な感情があふれる設定

前々作『充たされざる者』前作『わたしたちが孤児だったころ』で顕著になったと思うんですが、『充たされざる者』では都市に招かれた指揮者、『わたしたちが孤児だったころ』では若い私立探偵が、それぞれの表現・活動を通して世界を救おうという気持ちを持ちながら世界に翻弄されまくって、無力感の果てに感情を揺さぶられるという仕掛けになっていました。
この『わたしを離さないで』では主人公たちにある運命を課すことで、初めから世界を変える力を奪っています。世界に対する皮肉な見方も削げ落ちてしまったところで、浮かび上がってくる感情のナイーブな純度、閉ざされた生のなかで見られる夢の切なさは、ほかの作家の作品ではあまり体験できないものではないでしょうか。変な連想かもしれませんが、小津さんの「東京物語」を思い出してしまいました。
読み続けていてふっと感情がこみ上げてくるところが小津さんの作品に通じるような。世界に対してあらかじめ無力であると規定されることで感情が純粋にあふれる(その点だけで言えばやや実験的冒険的だった前2作より無理や破綻がなくて完成度が高い)というのは、そこまで世界が悪くなってしまっているということなのかもしれません。そして無力であると規定された主人公たちが、いまを生きる私たちのメタファーだとすると、こみ上げる感情を味わった後に残るのは、すごく苦い気持ちでもあります。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.34
(5pt)

こころが漂流している。

何もはっきりとは書かれていない。
秘密が明かされて行くのも、小出しにされるというよりも、
読んでいる自分たちさえ最初から知っていて暗黙の了解の上に会話をしているような気になる。
公然の秘密を共有しているような感覚。

曖昧な状況とは裏腹に、子ども時代からの心模様は過剰に思えるほど詳細で執拗だ。
始めから役割が決まっているとしても、逆らえない運命だとしても、
それが降り掛かっている人物にだって「ふつうの」感情があることを示しているのだろうか。
地に足がついていないというか、足をつけるべき地面がないような感じがするのは、
登場人物たちの不確かな境遇ゆえだろうか。

話したところでどうにも抗えないと分かってはいるけれども、
もしかしたらという気持ちを捨て切れない、あの妙な期待感を覚える。
訥々とした語り口からは想像もできないほど先を急ぎたくなる物語で、
キャシーたちの「ふつうの」しあわせを願わずにはいられなくなった。
それが叶わないことだと知っても。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.33
(5pt)

純粋な感情があふれる設定

前々作『充たされざる者』前作『わたしたちが孤児だったころ』で顕著になったと思うんですが、『充たされざる者』では都市に招かれた指揮者、『わたしたちが孤児だったころ』では若い私立探偵が、それぞれの表現・活動を通して世界を救おうという気持ちを持ちながら世界に翻弄されまくって、無力感の果てに感情を揺さぶられるという仕掛けになっていました。
この『わたしを離さないで』では主人公たちにある運命を課すことで、初めから世界を変える力を奪っています。世界に対する皮肉な見方も削げ落ちてしまったところで、浮かび上がってくる感情のナイーブな純度、閉ざされた生のなかで見られる夢の切なさは、ほかの作家の作品ではあまり体験できないものではないでしょうか。変な連想かもしれませんが、小津さんの「東京物語」を思い出してしまいました。
読み続けていてふっと感情がこみ上げてくるところが小津さんの作品に通じるような。世界に対してあらかじめ無力であると規定されることで感情が純粋にあふれる(その点だけで言えばやや実験的冒険的だった前2作より無理や破綻がなくて完成度が高い)というのは、そこまで世界が悪くなってしまっているということなのかもしれません。そして無力であると規定された主人公たちが、いまを生きる私たちのメタファーだとすると、こみ上げる感情を味わった後に残るのは、すごく苦い気持ちでもあります。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.32
(4pt)

不思議な本

こりゃあ、たいしたもんだ。うまくいえないが、そこはかとない感動があるな。ひょっとしてこれって俺たちのことかも知れんな。俺たちって、俺たちみんな、誰でもっていう意味だけど。特殊な設定にして問題点をわかりやすくしただけで。

俺は、「ブレード・ランナー」を思い出していたよ。

構成もみごとだし、論理もわかりやすい。たぶん訳もうまいんだと思う。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.31
(4pt)

不思議な本

こりゃあ、たいしたもんだ。うまくいえないが、そこはかとない感動があるな。ひょっとしてこれって俺たちのことかも知れんな。俺たちって、俺たちみんな、誰でもっていう意味だけど。特殊な設定にして問題点をわかりやすくしただけで。

俺は、「ブレード・ランナー」を思い出していたよ。

構成もみごとだし、論理もわかりやすい。たぶん訳もうまいんだと思う。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196