わたしを離さないで

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,450件 1,381〜1,400 70/73ページ
No.70
(4pt)

科学と生命倫理について考えさせられました

優秀な介護人キャシーによる回想形式で、静かに静かに物語が進んでいきます。
初めはヘールシャムがごく一般的な学校かと思っていましたが、それが施設―毎週健康診断がある、生徒たちが特殊な「使命」を全うするために生きているなど、特殊な施設であることが徐々にわかってきます。

誰かを救うために生まれてきた人たち。自分の職業や生き方を選ぶこともできず、ただ自らの運命を受け入れて生きている彼らの人生は痛ましくもあり、哀しくもあり、たくましくもあります。

クローン問題、臓器移植問題など世間でいろいろ取り沙汰されていますが、実際にこういうことが起きるかもしれないと思うと、改めて生命倫理について考えさせられました。

唯一気になったのは、トミーのしゃべり方が全然若者らしくなかったことです。施設時代はもちろん、大人になってからも、ほぼ自分と同年齢の彼のしゃべり方がどうもおじさんっぽくて、そこだけ浮いているような感じがしました。これだけ科学が進んだ時代の話ですから、できればもう少し現代の青年らしく訳していただきたかったです。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.69
(4pt)

科学と生命倫理について考えさせられました

優秀な介護人キャシーによる回想形式で、静かに静かに物語が進んでいきます。
初めはヘールシャムがごく一般的な学校かと思っていましたが、それが施設―毎週健康診断がある、生徒たちが特殊な「使命」を全うするために生きているなど、特殊な施設であることが徐々にわかってきます。

誰かを救うために生まれてきた人たち。自分の職業や生き方を選ぶこともできず、ただ自らの運命を受け入れて生きている彼らの人生は痛ましくもあり、哀しくもあり、たくましくもあります。

クローン問題、臓器移植問題など世間でいろいろ取り沙汰されていますが、実際にこういうことが起きるかもしれないと思うと、改めて生命倫理について考えさせられました。

唯一気になったのは、トミーのしゃべり方が全然若者らしくなかったことです。施設時代はもちろん、大人になってからも、ほぼ自分と同年齢の彼のしゃべり方がどうもおじさんっぽくて、そこだけ浮いているような感じがしました。これだけ科学が進んだ時代の話ですから、できればもう少し現代の青年らしく訳していただきたかったです。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.68
(5pt)

それでも…

親友ルースという「魅力的であるけれど嫌らしい女」を描きだしてゆく適度な距離感に、読みながら少々驚いた。親友トミーに向ける視線にも似たものを感じたけれど、作者が男だったことを忘れるくらいに自然で、語り手キャシーに寄りそうように読んでゆけた。
正直、なぜ彼ら彼女らは逃げないのか、運命をすんなり受け入れてしまうのか、また世間一般にまじわって暮らしているはずなのに、なぜ終盤になるまで「そのこと」を知りえなかったのか、自分で調べることができたのではないかと、さまざまな疑問をうっすら感じるのだけれども、おそらく作者は、そんなこと描くつもりがなかったのだろう。
作者の現時点での代表作であろう「日の名残り」でも感じたけれど、この作者には、みずからへの運命への受容性に、その特徴があると思う。ある運命を受けいれ、そこに繊細な感受性をもって柔らかな世界をひろげてみせる。
主人公たちは、ヘールシャムの幸せな幼年期の記憶をまとっている。過酷な運命にさらされることになっても、またヘールシャムの「驚くべき真実」とやらがわかっても、なお、幸せな記憶は、主人公たちからは消えない。幼年期特有のいじめもあり苦悩苦痛もあり、ヘールシャムは楽園ではなかったけれど、そこでの憶い出が、主人公たちを支えている。
読了後、「それでも、キャシーたちは幸せだったかもしれない」と感じた。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.67
(5pt)

とても良かった(^^)

最初から最後までとても静かな作品で、盛り上がるわけでもなく淡々と語り口調で終わっていくが、それが何でかとても心地よく、暗い話であるにもかかわらず読後に気分が滅入ることがなかった。あるとても悲劇的な使命をもった人間達の話だが、悲劇的な部分があまり強調されず、それが運命なのだと受け入れる部分に焦点があっていたからだろうか。翻訳の仕方も上手く、すんなりと本の世界に入っていくことができた。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.66
(5pt)

耳に残る声 目の裏に残る風景

この小説は,女性の一人語りでつづられています。
子供時代のいかにもイギリス的な共同生活。(そういえば,子供の頃大好きだったおちゃめなふたごシリーズであこがれていたなぁ,こんな寮生活。)
その後のコテージでの日々。(背伸びしたい年頃だよねと自分を振り返りながら思う。)
登場人物たちの成長が丁寧に丁寧に著されます。思い切り,はまり込んで読んだために,読後2日たっても,Never let me go の歌声とキャシーの姿が残ってしまってしょうがありません。ねたばれになるので,詳細は書きませんが,設定自体は国内外で新しいものではありません。でもこのような静謐さでそのテーマをあつかえたということに,驚きました。
どうしても原文が気になるので,アマゾンさん,Never let me go一丁。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.65
(5pt)

それでも…

親友ルースという「魅力的であるけれど嫌らしい女」を描きだしてゆく適度な距離感に、読みながら少々驚いた。親友トミーに向ける視線にも似たものを感じたけれど、作者が男だったことを忘れるくらいに自然で、語り手キャシーに寄りそうように読んでゆけた。
正直、なぜ彼ら彼女らは逃げないのか、運命をすんなり受け入れてしまうのか、また世間一般にまじわって暮らしているはずなのに、なぜ終盤になるまで「そのこと」を知りえなかったのか、自分で調べることができたのではないかと、さまざまな疑問をうっすら感じるのだけれども、おそらく作者は、そんなこと描くつもりがなかったのだろう。
作者の現時点での代表作であろう「日の名残り」でも感じたけれど、この作者には、みずからへの運命への受容性に、その特徴があると思う。ある運命を受けいれ、そこに繊細な感受性をもって柔らかな世界をひろげてみせる。
主人公たちは、ヘールシャムの幸せな幼年期の記憶をまとっている。過酷な運命にさらされることになっても、またヘールシャムの「驚くべき真実」とやらがわかっても、なお、幸せな記憶は、主人公たちからは消えない。幼年期特有のいじめもあり苦悩苦痛もあり、ヘールシャムは楽園ではなかったけれど、そこでの憶い出が、主人公たちを支えている。
読了後、「それでも、キャシーたちは幸せだったかもしれない」と感じた。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.64
(5pt)

とても良かった(^^)

最初から最後までとても静かな作品で、盛り上がるわけでもなく淡々と語り口調で終わっていくが、それが何でかとても心地よく、暗い話であるにもかかわらず読後に気分が滅入ることがなかった。あるとても悲劇的な使命をもった人間達の話だが、悲劇的な部分があまり強調されず、それが運命なのだと受け入れる部分に焦点があっていたからだろうか。翻訳の仕方も上手く、すんなりと本の世界に入っていくことができた。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.63
(5pt)

耳に残る声 目の裏に残る風景

この小説は,女性の一人語りでつづられています。
子供時代のいかにもイギリス的な共同生活。(そういえば,子供の頃大好きだったおちゃめなふたごシリーズであこがれていたなぁ,こんな寮生活。)
その後のコテージでの日々。(背伸びしたい年頃だよねと自分を振り返りながら思う。)
登場人物たちの成長が丁寧に丁寧に著されます。思い切り,はまり込んで読んだために,読後2日たっても,Never let me go の歌声とキャシーの姿が残ってしまってしょうがありません。ねたばれになるので,詳細は書きませんが,設定自体は国内外で新しいものではありません。でもこのような静謐さでそのテーマをあつかえたということに,驚きました。
どうしても原文が気になるので,アマゾンさん,Never let me go一丁。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.62
(5pt)

家畜のように

ある特殊な役割を持った人々の成長と愛情の物語。ある意味では、家畜のような存在の人々。教育もうけ、知性もあり、芸術性もあり、愛情もあり。自分の運命をやがてしっていく。それなのに、しずかに、淡々と受け入れる様が物悲しい。延期する手段もあるが、でも、それは、延期にしか過ぎず、中止ではない。静かに、悲しい話なのであるが、淀む事なく話はすすんでいく。愛する人を亡くした後の、主人公の女性の最後の静謐な”境地”を読んで、私も泣いた。
 同じような設定を、マイケルクライトンの”クロモゾーム6”で読んだが、あまりに読後感が違う。いつか、本当に、こんな時代もくるのだろうか?
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.61
(5pt)

家畜のように

ある特殊な役割を持った人々の成長と愛情の物語。ある意味では、家畜のような存在の人々。教育もうけ、知性もあり、芸術性もあり、愛情もあり。自分の運命をやがてしっていく。それなのに、しずかに、淡々と受け入れる様が物悲しい。延期する手段もあるが、でも、それは、延期にしか過ぎず、中止ではない。静かに、悲しい話なのであるが、淀む事なく話はすすんでいく。愛する人を亡くした後の、主人公の女性の最後の静謐な”境地”を読んで、私も泣いた。
 同じような設定を、マイケルクライトンの”クロモゾーム6”で読んだが、あまりに読後感が違う。いつか、本当に、こんな時代もくるのだろうか?
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.60
(5pt)

最初の印象は、、

いかにも現代的な設定だと感じた。クローン技術などが急速に発展してきた、現代社会への警句とうけとるこもできると思う。でも僕はその設定自体はこの話の主題ではないと思う。人は誰でも自分の意思とは無関係にいろいろことが限定されてしまっている。例えば、才能、容姿、財産などだ。物語のなかでも主人公たちは、僕たちの想像をこえて、悲劇的に限定されてしまっている。でもその不条理のなかでも、彼らは生きていかなければならない。これは人間だれしもに当てはまることではないだろうか?これが僕がこの本から感じたことだ。いろんな読み方ができる、考えさせてくれる本だった。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.59
(5pt)

最初の印象は、、

いかにも現代的な設定だと感じた。クローン技術などが急速に発展してきた、現代社会への警句とうけとるこもできると思う。でも僕はその設定自体はこの話の主題ではないと思う。人は誰でも自分の意思とは無関係にいろいろことが限定されてしまっている。例えば、才能、容姿、財産などだ。物語のなかでも主人公たちは、僕たちの想像をこえて、悲劇的に限定されてしまっている。でもその不条理のなかでも、彼らは生きていかなければならない。これは人間だれしもに当てはまることではないだろうか?これが僕がこの本から感じたことだ。いろんな読み方ができる、考えさせてくれる本だった。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.58
(5pt)

一気に読んでしまいました

友人がこの本の話をしてくれて、実際にストーリーを知ってしまったのですが、それでもなお、読んでみたくて買いました。つまり、ミステリの種明かしをされてもなお、どうしても読みたいと思ってしまったのです。
この作家の本は初めて読みましたが、翻訳も素晴らしいのでしょうか、睡眠時間を削っても最後まで読みたくて、泣きながら夜更かししてしまいました。主人公は31歳の女性で、昔の回想を淡々と述べていきます。でも、子供時代、思春期、青春時代、その描写のこまかいことといったら、男性が書いているなんて思えないくらい、繊細でした(失礼!)。この小説の世界を見事に構築したカズオ・イシグロに、私は敬服しました。素晴らしい想像力です。他の作品もぜひ読みたいと思いました。いままでにない、読後感でした。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.57
(5pt)

一気に読んでしまいました

友人がこの本の話をしてくれて、実際にストーリーを知ってしまったのですが、それでもなお、読んでみたくて買いました。つまり、ミステリの種明かしをされてもなお、どうしても読みたいと思ってしまったのです。
この作家の本は初めて読みましたが、翻訳も素晴らしいのでしょうか、睡眠時間を削っても最後まで読みたくて、泣きながら夜更かししてしまいました。主人公は31歳の女性で、昔の回想を淡々と述べていきます。でも、子供時代、思春期、青春時代、その描写のこまかいことといったら、男性が書いているなんて思えないくらい、繊細でした(失礼!)。この小説の世界を見事に構築したカズオ・イシグロに、私は敬服しました。素晴らしい想像力です。他の作品もぜひ読みたいと思いました。いままでにない、読後感でした。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.56
(5pt)

語られない想い

主人公は現在「介護人」、親しい友人たちは「提供者(だった)」、みんなが育ったのは「ヘールシャム」という場所・・・
この社会のしくみを早く知りたい一方で、主人公たちの人間模様をじっくり味わいたくて、一気には読めなかった。

これは回想と、控えめだけれどどこか意固地な過去の憶測から、現在へと進むストーリー。
最初は全く伺いしれない主人公の境遇や不可解な世界のからくりが、徐々に明らかになってゆく。

私たちとは違う世界、違った教育、ズレた価値観、人生観・・・
でも彼女たちにも愛情、怒り、希望、不安、虚栄心・・・がある。
学園生活は充実していて、友情や思い出は確かなものだ。

抑制の効いた主人公からは語られない登場人物の想い、哀しみを想像すると、鳥肌が立つ。

淡々とした美しい文章、痛くてとても読み返せない。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.55
(5pt)

語られない想い

主人公は現在「介護人」、親しい友人たちは「提供者(だった)」、みんなが育ったのは「ヘールシャム」という場所・・・
この社会のしくみを早く知りたい一方で、主人公たちの人間模様をじっくり味わいたくて、一気には読めなかった。

これは回想と、控えめだけれどどこか意固地な過去の憶測から、現在へと進むストーリー。
最初は全く伺いしれない主人公の境遇や不可解な世界のからくりが、徐々に明らかになってゆく。

私たちとは違う世界、違った教育、ズレた価値観、人生観・・・
でも彼女たちにも愛情、怒り、希望、不安、虚栄心・・・がある。
学園生活は充実していて、友情や思い出は確かなものだ。

抑制の効いた主人公からは語られない登場人物の想い、哀しみを想像すると、鳥肌が立つ。

淡々とした美しい文章、痛くてとても読み返せない。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.54
(2pt)

絶賛されるわけがわからない

ディティールの表現うまさや、感情を丁寧につづった点はすばらしいと感じたが、テーマのわりに背景が薄いような気がした。
著者は日本人名だが感覚は外国人だなぁと、登場人物の感情の移行を読んでいて感じた。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.53
(2pt)

絶賛されるわけがわからない

ディティールの表現うまさや、感情を丁寧につづった点はすばらしいと感じたが、テーマのわりに背景が薄いような気がした。
著者は日本人名だが感覚は外国人だなぁと、登場人物の感情の移行を読んでいて感じた。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.52
(4pt)

ひそかに読む

カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』をひそかに読む。翻訳された女性の語りで綴られるストーリー、作者が日本人であることはもうほとんど関係ないということを実感する。
 短命に終わることが、予めわかっている主人公たちは、映画『ブレードランナー』のレプリカントに近いものがある。しかし、きちんとした教育を与えられると、ちゃんと自分の役目を理解する大人に育つということを書きたかったわけではないでしょう。

 彼女らより長い人生が、一般的に与えられているとはいえ、限りある命という意味では、私たちの人生も変わりはない。ただ、彼女らは、自分たちの臓器を私たちに提供するよう運命づけられている。文字通りの「献身」である。
 彼女らの最高の望みが、わずか3年の延命と恋人との自由な生活だけというのが、泣ける。鮮明な記憶は彼女たち「生徒」の特性であるが、生きた証は何度でも繰り返し思い出されることの中にあるのだろう。

 架空の生命体(遺伝子的には人間だけど)の独自の世界観を表現して、静かで滑らかな、読み応えのある文学作品でした。「泣ける」かどうかは、その人によるでしょう。
 Never Let Me Go の原題のわりに、「行って」しまうことがどうしようもないこととして刷り込まれている「生徒」たちの悲しさは、幼いときから敵を倒すことを使命と教え育てられる、かの国の子どもたちを思わせる。


わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.51
(4pt)

ひそかに読む

カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』をひそかに読む。翻訳された女性の語りで綴られるストーリー、作者が日本人であることはもうほとんど関係ないということを実感する。
 短命に終わることが、予めわかっている主人公たちは、映画『ブレードランナー』のレプリカントに近いものがある。しかし、きちんとした教育を与えられると、ちゃんと自分の役目を理解する大人に育つということを書きたかったわけではないでしょう。

 彼女らより長い人生が、一般的に与えられているとはいえ、限りある命という意味では、私たちの人生も変わりはない。ただ、彼女らは、自分たちの臓器を私たちに提供するよう運命づけられている。文字通りの「献身」である。
 彼女らの最高の望みが、わずか3年の延命と恋人との自由な生活だけというのが、泣ける。鮮明な記憶は彼女たち「生徒」の特性であるが、生きた証は何度でも繰り返し思い出されることの中にあるのだろう。

 架空の生命体(遺伝子的には人間だけど)の独自の世界観を表現して、静かで滑らかな、読み応えのある文学作品でした。「泣ける」かどうかは、その人によるでしょう。
 Never Let Me Go の原題のわりに、「行って」しまうことがどうしようもないこととして刷り込まれている「生徒」たちの悲しさは、幼いときから敵を倒すことを使命と教え育てられる、かの国の子どもたちを思わせる。


わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196